日本食とヒンディー語
日本語教師は、多分文化に触れる楽しいお仕事です。最近、私の周りに、両親共に外国人で、子供は日本生まれで、日本育ちという子供たちが多くなりました。インド人のYちゃんもその一人です。今日は、20年以上も前から仲良くしているインド人のNさんのお嬢さんの食事についてお話ししたいと思います。彼女は、日本生まれの日本育ちです。Yちゃんが出産のときには、来日したばかりで、両親共に日本語は全く話せませんでしたので、たまたま隣に住んでいた私が出産に立ち会うことになりました。あれから20数年が立ち、今では、就職し、他県で一人暮らしをしています。時間が経つのは早いですね。Yちゃんの好物はインド料理ではなく、日本料理です。離乳食が終わり、普通食が食べられるようになった頃、私の家に来ては納豆を食べていました。いつも「ナットー チャヒエー」と冷蔵庫の前に座っていました。「ナット―」は納豆のことだとはわかりましたが、「チャヒエー」は何のことだかわかりませんでした。Nさんに聞くと、「チャヒエー」は欲しいという意味だということが、わかりました。「チャヒエー」の意味が分かった私は、名詞にチャヒエーが付くと何かを欲しがっていることがわかり、Yちゃんが発するヒンディ語に注意深く耳を傾けるようになりました。ウルドゥ語とヒンディ語は兄弟言語とも呼ばれ、両話者はお互いにコミュニケーションを取ることができます。かなり前に少しだけウルドゥ語の勉強をしたことがありましたので、ウルドゥ語の挨拶等は覚えていましたが、「チャヒエー」の意味はわかりませんでした。実際に、ウルドゥ語話者のパキスタン人とヒンディ語話者のインド人の留学生が話しているのをよく見かけました。私は、Yちゃんとコミュニケーションが取りたくて、この日を境にヒンディー語の学習を始めました。Nさん夫婦は来日した際には、ベジタイアンだったので、肉や魚は触ることもできず、玉子も食べられませんでした。しかし、二人の子供にはベジタリアン食を強要しなかったので、二人とも小学校に上がってからは、給食を食べていました。毎日給食を食べている子供たちは、次第に、インド料理より日本食の方を好むようになっていったので、Nさんも少しずつ日本料理を作るようになりました。今では、触ることもできなかった肉や魚料理はもちろんのこと、筑前煮等、色々な日本料理も作れるようになりました。しかし、納豆だけはまだ食べられないそうです。Yちゃんの大好物はエビフライです。私の家に遊びに来たときも、「何が食べたい?」と尋ねると、いつも「エビフライがいい」と言います。Yちゃんに「将来インドと日本とどちらに住みたい?」と聞くと、「インドも日本もどちらも好きだけど、食事は日本食がいいので、やっぱり日本に住みたい」と答えました。去年、3週間ぐらいインドに滞在したそうですが、毎日インド料理ばかりを食べたので、「早く日本に帰りたい」と思ったそうです。私もインドに行ったことがあります。日本食レストランや食材は手に入りますが、高いし、いつでも食べられるわけではないので、やはり食べたいものが食べられないのが、一番辛いですね。