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Hit or Miss

いきあたりばったり

今日もロベルトに偶然会えたのに、全然しゃべれなかった。

ネタがない、というのが理由だけど、なぜか今日あたしがやる気なくて、感じ悪かったと思う。

「退屈させてごめんね」

って謝られたし。


悪いのはロベルトじゃない。

おもしろくない自分が悪い。

趣味は?って聞かれてもロベルトの「打ち込み!」みたいに即答できない。

読書、映画、音楽なんてものは当たり前で、つまんない。

個性的な趣味、特技を持ちたいと思うけど、今の今まで何もやってない。

サッカーやF1好きだけど、見るだけだしなあ。

でもほかの日本人にしろ、カティーやシュテフィーにしろ、特に趣味!ていうもの持ってる人のほうが少ないと思うけど。

あ、カティーはビジュアル系か・・・。


趣味がない、これといって好きな俳優もいない、そんなあたしにロベルトはがっかりしてるみたいだ。

自分が変だから、相手にも変さを求めてる。


会話も盛り上がらず、あたしはへこんでいき、雰囲気最悪で別れた。

でも土曜日の夜にクラブでミニマムやるらしくて、誘ってくれた。

ロベルトのほうがちゃんと彼氏としてがんばってくれてる。

次会うときはいっぱいネタ用意していこう!!


帰ったら元彼からメールが来てた。

あたしがこっちに来てから一方的に別れた。

電話で話したときは平気そうだったのに、メールからどれだけ自分が彼を傷つけたのかが伝わってきた。

さらにへこむ。


何はともあれ、今日はカラオケパーティー。

場所は普通のバーなんだけど、毎週木曜日にそこで開催される名物イベントみたい。

カティーが誘ってくれた。

メンバーはカティー、ラディンもといシュテファン、その友達、カティーと同じ学部のJay Cee、ミタ。


日本のカラオケと違って、マイクも画面も一つ。

店に来てる客みんなの前で歌うことになる。

「ちょっと恥ずかしいけど、一緒に歌えば大丈夫!」

ってカティーも言うし、今日はへこんでたから歌いたかった。

しかし。


ものすごい人で、マイクの奪い合い状態。

最後は何人かのうまい人同士の対決になって、まったく歌うチャンスはなかった。。

でもドイツ人のカラオケっていうのがすでに面白かった。

選曲とかも新鮮だし。


でもあいかわらず、ドイツ人同士の会話についていけない。

早すぎるし、わかんない単語いっぱい。

ほとんど聞いてるだけで、たまにふられて

「わかんないよ!」

って言ってシュテファンからつっこまれる、というのが最後まで続いた。

ロベルトがいたらなあ、って思ったけど、彼は今頃、別のクラブのテクノパーティー。


しかしこうしてカティーたちのKreis(仲間の輪)と付き合ってると、ロベルトのそれとはぜんぜん違うことに気づく。

カティーたちはさわやかでたぶんスタンダードなドイツの若者なんだと思う。

あたしもそれに合わせて、マニアック発言は控えてるし、お酒もカクテル!


ロベルトはたぶん彼らと引き合わせても仲良くはならないと思う。

というかロベルトってドイツ人の仲いい友達いるのかな?

紹介される人全員トルコ人だし。

普通のドイツ人からすると、いわゆる「よくない仲間」に引きずりこまれてる、という感じなのかなー。。

それって微妙・・・。


図書館でネットをしていたら後ろから肩たたかれた。

ロベルト登場!

図書館で勉強しているところらしい。

片思いのときは会いたくてもなかなか会えなかったのに、最近約束しなくても毎日会えてる。

一緒にカフェテリアでお昼することに。

誘ってくれるからうれしい。


最初は「ネタがない」しかネタがなかった。

周りに知り合いもいないし、

「きのう何時間寝た?」

とかしょうもない会話がとぎれとぎれ続いた。

せっかく彼女として見てくれてるのに、これじゃ気詰まりだ。

こういうとき、思いついたどうでもいいことを会話に発展できなくて、言葉の壁を感じる。


「金がない」

という話から、今までしたことのあるバイトは、というネタが生まれた。

ロベルトは学校の管理人?Hausmeisterを一年間やっていたらしい。

鍵の開け閉めや掃除、修理、生徒の送り迎え、とりあえず何でもしたらしい。


日本の平均的大学生のように、あたしも今までけっこういろいろバイトしてきた。

オーソドックスにコンビニ店員、飲食店、家庭教師、それからデパートの売り子?など。

ロベルトがいかにも好きそうだったから、キャバ嬢経験についても話した。


キャバ嬢、といっても体験入店を2回しただけなんだけど、やはり食いついてきた。

もちろんドイツに売春はあっても、キャバクラなんてない。

ただ話すだけ、触っちゃだめって説明したら、

「それ意味あるの?」

だって。

それは男に聞いてくれ!


「日本人の偏見どおりでおもしろい!」

とあたしのVorgeschichte(前歴)に大喜び?。

こっちでは日本にオタクと変態(コスプレとか)が多いことが有名らしい。

「男は変態多いけど、女は違うよ!」

と反論したら、

「女は被害者。被害者だったんだね、かわいそう~」

となぐさめられた。


おもしろがってそのネタでしつこくいびってくる。

あまりにしつこいのでドイツ語覚えた。


Reit nicht drauf um!(Reit nicht darauf herum!)

od.

Hoer auf,drauf umzureiten!

「しつこい!」


最初はネタなくて困ってたのに、結局3時間も一緒にいた。

しかも明日テストあるらしいのに。

大丈夫なのか聞いたら、

「準備できてないけどこっちのほうがschoener」

って言ってくれてうれしかった。


向こうの席にアルを見つけた。

「彼は完璧な日本語しゃべるよ!」

って言ったらロベルトがなぜかへこんでる。

自分が一番だと思っていたらしい。


「君ともっと会えば、あいつを超えられる」

って日本語で言われた。

「君」ってやらしいからやめてーって言ったけど、そう言ってくれたことがうれしかった。


今日の会話でもっと距離が縮まった気がする!

文化の違い、言葉の壁はあるけど、それがおもしろい。


小腹がすいたので、軽くサンドイッチでも食べに、カフェテリアに行った。

空いてる席ないか探してきょろきょろしてたら、後ろから人が。

ロベルトだ!

「こっちに座ってるからおいでよ」

ということを言われ、ついていく。

きのうもだったけど、わざわざ呼びに来てくれるところが今までと違う気がして、うれしい。


ロベルトの座ってるテーブルはすでにほかに3人いて、みんなトルコ人。

親友のメソッドといい、ロベルトはほんとトルコ人の友達が多い。

そこがまたドイツ人っぽくないところ。


そのあと、隣のテーブルに日本人の留学生仲間が来た。

ヨシコのRefaratの原稿をロベルトが添削することになり、ロベルトは一人それにかかりっきりになった。


その間、一緒に座ってたトルコ人の女の子、セルマと話した。

日本の文化や伝統なんかについて聞いたこと、感じたことを話してくれた。

正しい知識や認識がなくても、こうやって少しでも興味を持ってくれてるって思うとうれしい。

こんな気のきいたところ、あたしも見習いたいな。


しばらく話してたら突然、

「ロベルトとは付き合ってるんでしょ?」

って聞かれてびっくりした。

どこを見てそう思ったんだろう?

"Keine Ahnung!(わかんない)"

を繰り返してたら、

「てっきり付き合ってると思ってたけど。じゃあロベルトに聞いてみようか?」

って!

えー、今!?って動揺してたらあっさり

「ロベルト、この子彼女?」

って聞いちゃった。


ロベルトもちょっと動揺して、笑いながら

"So kann man sagen,vielleicht.(そういえると思うよ、たぶん)"

だって。

お互い照れた。

なんか弱いけど、これではっきりした!

あたしロベルトの彼女みたい!


とは言っても、相変わらずラブラブな会話があるわけでもないし、二人で会う約束もない。

果たして付き合うってどういうのだっけ?

でもみんなといるときでも、ちょっかい出してきたり、身内っぽく話されたりして、なんとなく彼女っぽく扱われている気がしてうれしかった。


今日のUmgangsprach


Hammer

すごい!(でも男しか使わない気がする・・・)


"Mein Rhysmus ist im Arsch."

生活リズムが狂ってる



冬休み最後の週末、旅行に行こうかとも考えたけど、結局家で本を読んで過ごした。

ヘッセのDer Steppenwolf。

もともとヘッセのDemianに、すでに日本語で2回、こっちに来てドイツ語で1回読むほど感銘を受けてた。

次は絶対Der Stepenwolfを読もうと決めてたけど、原書で読むか訳本で読むかを決めかねていた。

そんなところに、カティーの彼氏(ヨリ戻ってた!)の友達から、なぜかクリスマスプレゼントとしていただいた。

飾っておきたいほど素敵なカバー。


ヘッセはトーマス・マンと違って、構文も複雑じゃないし、意外と読める。

時間はかかるけど、Demianに通じるヘッセの世界に浸りながら読みすすめる。


でもさすがに辞書を片手に読んでいると疲れる。

気分転換に町に出ることにした。


そしたら電車の中で着信。

ロベルトだ!

最初にたぶん

「今日これから会う?」

と言うことを聞かれたけど、電車の音ではっきりしなくて、聞き返した。

そしたら

「俺に会いたい?」

だって。

即答でJa!


8時過ぎにロベルトの家に着いた。

久しぶりに会った印象は、こんな人だっけ、そうか、こんな人だったなー、という感じ。

パスタを作るって言ってたけど、作るって言うのかよ、と言う代物。

基本的に料理はしないらしい。

食器なんかはそろってるのに、材料は何もない。


お互いの大晦日の話をしたけど、あたしがずっと一方的に連絡してたことについては触れなかった。

飲み飲みだったみたいで、それはあたしのこと考えてる場合ではなかったんだなー、と思った。


それからすることもなくて、でも帰りたくなくて、ひたすらテクノ聞いてた。

テクノにはまったのはここ二年くらいで、その前はファンク聞いてたらしい。

なんとロベルトはプリンスのアルバムを全部持っている!

プリンス聞いてる人、聞いたことない!と爆笑。

ださかっこよさがいいらしい。

ダサいのにも二種類ある、と力説。

彼曰く、einfach ダサい(たんにダサい)と、coolダサい(ダサくてかっこいい)に分かれるらしい。

その感覚に共感してしまった。


ラム&オレンジジュースという実験的なお酒を飲んで(意外といける)、ロベルトの独特な趣向をけたけた笑ってた。

エリの忠告に従い、今日は泊まらないで帰るつもりだった。

でもつい楽しくて、まだ一緒にいたくて、3時になってた。

ソファーベットをベットにして、結局一緒のお布団で寝た。


でも絶対エッチしないと決めてた。

あいまいな関係でエッチだけするのはもういやだったし、絶対避妊してくれないから。

じゃ、おやすみとあっさり本気寝るモードに入った。


するとロベルトの反応が面白い。

やりたいのが伝わってくる。

「服脱がないの?寝苦しいでしょ?」

「でもパジャマないし、Da kann man nichts machen.(仕方ない)」

"Da kann man etwas machen!(仕方なくない!)"

そんな会話をしつつ、あいかわらず淡々と寝ていると、キスしようとしてきたり、抱き寄せようとしてきたり。

今まであたしもその気あったから、ベットに入ったらすぐGO!って感じだった。

だからロベルトがこんなにがんばるところ初めてで新鮮。


「なんか今日はいろいろ考えてる。いつもと違う。」

って言われた。

いつもの調子でエッチするつもりだったのがみえみえ。

別に考えてないよって寝続けた。


目を開けたらこっちを見てるから

「何考えてるの?」

って聞いた。

いつもはこう聞いたら笑って"nichs"って答えるけど今回は

"Ich denke,dass ich dich mag."

って言われた。

びっくりして、ほんとに?ほんとに?って、何度も確かめた。

それからキスした。

「今度はそっちが何考えてるのか言う番だ」

って言うから、照れたけど

"Ich mag dich!"

って言った。

あ、そうなの、それはいいねっていう感じでほんわかしてた。


そう言ったのもエッチしたいからなのかな、という気もしたけど、エッチしたくないのはそれだけじゃない。

「ゴム持ってないでしょ」

って聞いたら、それか!ってがっくりきてた。

ドイツでは普通、女の子がピルを飲むものだっていうけど、飲んでないんだから仕方ない。

でもゴムだと感じないからいやらしい。

あたしをだきしめて、

"Japanarin!"

と嘆いてた。

切なそうだったけど、ここはきっちりしておかないと!


結局今日はしないからってがまんしてくれたけど、かなりしんどそうだった。

男におあずけは効くなー。

朝起きたときも、やりたくてたまんないみたいだった。

「俺かわいそう!」

って自分で言ってたし。


「でもいいと思う」

って言うから、避妊しないとやらない、って姿勢のことかと思いきや、

「ピル飲むのは。病院行こう」

だって。

恥ずかしかったら一緒に行くからって、それでも恥ずかしいよ!

「もうずっとドイツ留学してて、ドイツ人と長く付き合ってる日本人がいるから相談しよう」

まあ話は聞いてみたいけど・・・ゴム付けてくれればいいだけの話じゃん!


ビジュアル系パーティーもシュテフィーが風邪で行けなくなって流れちゃった。

一日中一歩も部屋の外から出ないで、テレビ見て昼寝して、やっぱりテクノ聞いて、だらだら過ごした。

気づけば12時過ぎてる。

何にもすることないけどなんか楽しい。


一応進歩して、寮の下まで送ってくれた。

でも夜中なんですけど!

トルコ人は家まで送ってくれたのに、あいかわらずあっさり!

別れ際はやっぱりかるーくハグ。

「じゃあ、たぶん・・・また明日?カフェテリアで会おうね」

って言って別れた。


たぶんこれは付き合ってるんだと思う。

やりたさが先行してる気がするけど、一応今日はやらないでいてくれたし、まじめに考えてくれているのかな。

きのうまでの自分の状況考えたら、人生何があるかわかんない。

この先どうなるのかわかんないけど、自分の気持ちに正直につきすすもう!


今回もたくさんUmgang Sprach覚えた。


-r Exhibitionist

露出狂

-r Toepel

ぐず、ばか

zappelig

複雑

-e Zwichmuehe

窮地、板ばさみ

-e Parodontose

歯周病

-r Rettungsring

または

-r Waschbaerbauch(かわいい!)

二段腹

-s Skelett

がりがりに痩せてる人

-r Schicksalsschlag

つらい状況

-r Bulle

警察

geil

スケベ

もっとひどくなると

notgeil

"Ich bin geil auf dich!"

「やりたい!」

pingelig

細かい、几帳面、神経質のそんなに品のよくない言葉

kleinlich

同じ意味で中産階級向き

pedantosch

同じ意味で上流階級向き。ラテン語だから。

umkrempeln

まくりあげる

lueften

換気する

"Wo steckst du?"

「どこいるの?」

"Verrasch mich nicht, Du!"

「なめんなよ!」


きのうは三賢人の日というドイツの祝日だった。

詳しくは知らないけど、イエス誕生のときに3人の王様が各地からイエスを拝みにやってきた日、だと思う。


フランスではこの日、クリッペという小さな人形を入れたケーキを焼いて、人形入りのケーキを食べた人が王様になって他の人に命令できる、と言う遊びをやるのが習慣らしい、。

最近聞かないけど、日本の王様ゲームの起源?


お母さんがフランス人のシュテフィーがケーキを焼いてくれて、カティーの家に集まった。

結局メルもほかの子もこれなくて、そんなゲームもそこそこに、3人でまったり、だらだらと話してた。

相変わらず、二人の会話のスピードについていけず、聞き取った単語から中身を推測。

あたしが静かなのは、しゃべれないからだと思っていたけど、その前に会話についていってないから何をしゃべっていいかも分からないからだったんだなー。

ふられれば分かるようにしゃべってくれるけど。


今回もカティーのビジュアル系、JPOPの知識に驚愕。

いっぱいファイルを落としてて、日本の音楽番組までチェック済み。

今までラルクとかガクトとか、狭い日本で人気だからって天狗になってちゃいかんよ、と思っていたけど、まさか海を越えてこんなディープなファンがいるなんて・・・見方変えてしまった。


しかもカティーに限ったことではなく、ビジュアル系にはまってるドイツ人ってけっこういるらしい。

その証拠に、今週の日曜、"JPOP&VISUAL KEI Party"が開催されるんだって!

当然カティーは行くわけで、JPOPぜんぜん好きじゃないのに、興味本位であたしも行くことに。


3人でガクトのライブDVDやラルクのプロモとか見てる間にいつの間にか着信が!

なんといまさらロベルト!

あわててかけ直しても出ない。


さらに帰り際に携帯見たら2回着信。

家電からで番号分からないけど、ロベルトだと思った。

かけ直してもやっぱりでない。

すれ違いすぎ~!


エリたちと話してから、関係をはっきりさせて、彼女になる!という考えが変わった。

ああいう人だからこそ時間をかけて心を開いていきたい、と思うようになった。

だから責めず、迫らず、あせらないで接していこう。

学校始まれば会うチャンスはあるわけだから!




相変わらずロベルトから連絡はない。

一人でいたらどうしてもロベルトのころ考えちゃうし、これ以上悩んでたらだめだ!

大晦日以来会っていなかった日本人の友達のうちへ行くことにした。


スープとサラダ、バゲットを準備。

あとはワインとビールを飲み飲み。

「今日はぶっちゃけ話をしよう!」

ということになった。


当然あたしはロベルトの話。

これまでのいきさつから、今の悩みまで全部ぶっちゃけた。

そしたらロベルトに関する新たな証言が!


日本人留学生の中で唯一の男であるモクいわく、ロベルトと二人で飲むと、いっつも彼は自分のコンプレックスについて語るらしい。

彼のコンプレックスとは「人とうまくコミュニケーションがとれないこと」。

一見あんなに軽快な彼だから、それを聞いてびっくりした。

どうも人に心を開けないのが悩みのよう。


そしてモクの彼女ノリコ(中国人)いわく、ロベルトは一人の女性と深く付き合える男ではないらしい。

え!二股かけるってこと!?

と動揺したけど、そういう意味じゃなくて、今まで誰にも入れ込むことがなかったんだって。

でも誰かに入れ込んでるよりいいやー、と思ってしまった。


そして元カノの話も聞いた。

あたしと会うちょっと前に「破局した」って言ってたけど、原因は彼女が元彼とより戻しちゃったかららしい。

それはさらに人間不信になるかも。→他人に心を閉ざす


みんなが口をそろえて言ったのは、「時間にルーズ」。

待ち合わせの時間どおりには現れない、電話しても

「あ、寝てた」。

やっぱり・・・!

誰に対してもそうなのか、とちょっと安心する一方、ダメ男のにおいがしてきた。。


ロベルトはけっこういい加減で、要領はいいタイプだと思っていた。

でもみんなの話を聞いて、実はネクラで人付き合いの下手な人なのかもしれない、と思った。

そういえば前に自分のことnachdenklich(よく考える)タイプだって言ってたな。


そしてびっくりだったのはエリのぶっちゃけ。

彼女は生まれつきゲイなんだって。

話はよく聞いたけど、実際に会うのは初めてだった。

そういえば会ったばかりのころ

「彼氏いるの?」

って聞いたけど、あいまいな返答してた。

きっと微妙な関係なんだろう、と解釈してたけど、そりゃたしかに彼氏じゃないわな。


さすが!という感じだったのは、エリは男サイドでものを見るから、何かと意見が参考になる。

ロベルトのようなタイプは追われると逃げる。

しかも一回エッチしちゃうとこっちのもん、と思うらしく、軽く見られがち。

だから今度は絶対エッチなし。

部屋までいって帰る、とか、じらしが必要らしい。

それから責めれるとひいちゃうから、いくら連絡なくてもそれをストレートに言うのは逆効果。

軽く冗談ぽく入って、本心聞き出すのが一番いいって。


たとえば

「私はあなたの何なの!?」

じゃなくて

「あなたにとって彼女ってどんなの?」

とか、

「なんで連絡くれないのよー!?」

じゃなくて

「もう、またdepressiv(欝)だったんでしょー」

みたいに軽い感じでいくと男心にぐっとくる?らしい。

エリいわく。

ほんとか!?


なんだか今日は大いに参考になった。

好き好き、言ってるだけじゃなくてここは落ち着いて向こうの出方を見よう。

まさに"mal schaun"だね!


と話がなんとなくまとまったところで、あたしが最後のぶっちゃけ。

「最初にエッチしたときゴム付けてくれてなくて、しかも中出しされたんだけど、今日生理きたからよかったー!」

って言ったらみんないっせいに

「は!?」

ってなった。

「ゴムしてくれない男は考え直しな!」

「電話来る来ないの問題じゃない!」

「それは最悪!男としてどうなの!?」

一斉につっこまれた。

たしかに・・・!


自分の直感を信じて、盲目的にロベルトにはまり込んでたけど、もう一回冷静に考える必要があるかも。

人間不信なロベルトにお手ごろに遊ばれて、心も開かれず=本気にされず、ほかの女の子のようにあっさりポイっとされる、というのが客観的に見て一番ありえるパターンなのかも。

それでもロベルトと戦うか?

とりあえずmal schaun.


「明日かあさって、また電話する」

ってロベルトはおととい言った。

もうあさってなんですけど!


きのうはどうせいつものパターンで連絡ないだろうな、と思ってたから平気だった。

でも今日こそは、と思って朝からそわそわ!

まだかな、まだかなって、ミュンヘンでメールの返事を待ってるときと同じ気分だった。

あれあれあれ?


家にじっとしてられなくて、勉強も集中できない。

しかたなく大学へ。


図書館にはもう結構人がいた。

Referatや、もう試験のために準備してる人が多いみたい。

あたしも勉強しなくちゃ、だけど他のことが気になりすぎてる。


パソコン使おうと思ったら・・・げ、ペーター。

ペーターはアグニエシュカの紹介で知り合ったドイツ人。

Sex and the Cityに出てくる、ミランダの元彼?スティーブを髣髴とさせる、まさにドイツ版イケてない男子代表。

知らん顔して通り過ぎようとしたら呼び止められた。


ペーターのドイツ語はほんとに分からない。

まったく容赦してくれないから。

そもそもは最初に話したとき分かってないのにあははー、といって流していたのが悪かった。

分かってるものとして、普通のドイツ人と話すのと同じペースで話すからさっぱり分からない。


彼は当然ドイツ人女子にまったくモテず、日本人ならいけるかも!と思ったのか、ちょっと前あたしにがんばってた。

いや、無理、と思っておそらくデート?の誘いを断ってから、彼も察したらしく、メールも誘いもなくなった。

でもこの偶然の出会いでいやな予感が・・・。


別に用ないのに、

「話せるところに出よう」

ってわざわざ部屋移った。

そしてひたすら彼は何か話してたけど、あははー、へー、あっそう、しか言わなかった。

分からないんだもん。


「週末あいてる?飲み行かない?」

えー、やだ。

でもそこはソフトに

「わかんない、もしかしたらね」

とその気のなさをアピール。

「じゃあまたメールするから」

って違う!


日が暮れても相変わらずロベルトから電話はない。

どよーん、となりながらベートーベンのバイオリン協奏曲二長調を聴く。

ベートーベンは壮大だけど、優美さ、繊細さに欠ける、と思ってた。

でもこのメロディー!

甘くて美しくて、ものすごく魅力的。

短調に変わるところは切なさがしみる。

こんなに奥の深いバイオリン協奏曲があるなんて知らなかった。

まさにうまくいかない恋にぴったり、としみじみひたる。


たまらまくなって2回電話したけど、留守電。

ロベルトのメッセージが憎たらしかった。


明らかなのはロベルトに悪気はないけど、その気がないってこと。

でも仕方ない。

好きなんだからあきらめない。

悩んで苦しんで、それでも・・・という気持ち、伝えなくちゃ意味がない。


どうもミュンヘンからまだ帰ってないみたいだ。

「戻ったら連絡するよ」

っていう意味だったのか。

戻らなくてもそのことを一応伝えてくれ!


ロベルトってほんといい加減。

自分もかなり適当なほうだけど、彼はもっとひどい気がする。

典型的ドイツ人じゃない、とは言えこの先もこれに苦しめられそうだなー。


寒い中薄着で夜中まで歩いたり、徹夜で飲んで雑魚寝したりしたせいで、風邪を引いた。

元旦は一歩も家から出ないで、休養と称し、ひたすらだらだらと過ごした。

勉強も運動もやる気が起きない。


そこでドイツ人お得意のメランコリックな気分に浸ってみることにした。

部屋の明かりを消しろうそくに火をともす。

はまっているモンテヴェルディを低音量で流し、風邪に効くと評判のグリューワインを飲む。


ロベルトに期待したのは勘違いだったのかな。

でも相手がどう思うかより先に、自分がどう思うかが大事。

好きじゃなくなるまであきらめる気はない。


状況を動かすには自分から電話するしかないのは分かってる。

でもできない。

出てくれない気がするから。

それで落胆して、さらに望みをなくすのが怖い。

結局自分は臆病者だな、と思う。

いざそういう状況になれば、鈍感さが幸いして傷つかないんだろうけど。

明日、明日になったら絶対電話しよう。

そうするしかないんだから。


メランコリーに浸って、昼寝したにもかかわらず、速攻熟睡。

10時間寝た。


次の日はまだのどが痛いけど、動く気力は復活。

健康的な生活に切り替えるべく、自炊のための買出しへ出かけようとしたそのとき。

携帯に着信。

家電からで誰からか分からない。

ウェーバーさんがもうオマーンから帰ったのかな?


"Hallo,ich bins"

くぐもった眠そうな男の声。

一瞬ギュルカンかと思って身構えた。

すると。

"Robert."

一気にテンションがあがった。


まだミュンヘンにいるらしい。実家からかけてるんだ。

大晦日はどうだったか聞かれた。

フローのところで日本人と過ごしたっていったらびっくりしてる。

ミュンヘンにいると思ったらしい。

メールでそう言ったのに、読んでないのかな?


「フローの家って広いんでしょ。行ったことないけど。」

って言うから

「広いし、romantisch!」

って答えたら

「さむっ」

だって。

この切り替えし、この人しかできない!

もうすっかりうれしくなってしまった。


明日かあさって帰ってくるらしい。

明日早くついたら連絡するけど、遅くなったらあさってねって言われた。

結局明日なの、あさってなのって聞いたら

”Mal schaun"

出たよ・・・。


でも電話切ってからもうれしさで顔にやけっぱなし。

われながら単純だけど、もうこれだけでごきげん。最高ハッピー!

人格まで疑っていたのに、連絡くれただけでもうすべての疑惑が吹っ飛んだ。

またまた期待してる。

でもたぶん明日はないなー。どうせ遅くなるのがパターン。

今日は次会うときに備えて女磨きするぞ!

名づけて”ロベルトの彼女になるぞ計画=ロベカノ計画”あらためて開始!

クリスマスに続く、年末の一大行事、Silvester(大晦日)。

家族でひっそり、静かに過ごすことの多い日本の年越しと違い、友達とシャンパンと花火で派手に祝うのがドイツ流。


ロベルトの”Mal schauen."をすっかり真に受け、ミュンヘンまで出向いた私。

口実と言ってはなんだけど、ミュンヘンに住む昔なじみの知り合いを訪れた。

ドイツ育ちの日本人なんだけど、かなりひねくれていて付き合いづらい。

適当なところで分かれてロベルトと合流するのがひそかな計画だった。


しかし。

「今ミュンヘンで、明日帰るから、その前にちょこっと会えたらうれしいな」

ってメールしたのに丸一日越えても返事なし。

あれあれ?と思って電話しても出ない。

おまけにかけ直してもこない。

あれあれあれ?


その間、アレックスから

「あけましておめでとう。よいお年を」

と言うメールが。

実は二週間前くらいから電話もメールもしかとしている。

「答えてくれなくて僕は悲しい。もう一度ぜひ会いたいんだ」

というメールまでもらったけど放置。

だってもう会う気ない。

返事をするのもめんどくさい。


ああ、ロベルトからこんな風に思われてるのかなあ、と自分の痛さに気づく。

うまくいかないからこそ燃える、と言う気持ちと、ロベルトに対する疑惑の念が半々くらいになった。

メールにも着信にも無反応なのもどうなの、という感じだけど、なにより自分で自分のことtreu(誠実)って言ってたくせに!

「ほんとは軽いだろ!」

と無性に突っ込みたくなった。


酒の勢いで一回やっちゃったっていうならよくある話ですむけど、二回だよ!

しかもあたしの気持ち知っててデートに誘ってきたし。

これは期待しちゃう。

もてあそばれたのかー?

「俺は軽くない。誠実」

と言う言葉をすっかり信じていたけど、自分で軽いって言う人普通いないし。

これがうそだったら人間的に信用できなくなってくる。


とにかく確認したい。

だから会いたい。

恐ろしく鈍感なのは、この状況でもまったく傷ついてないし、へこんでない。

ちょっと笑ってしまいそうになるくらい。


ロベルトから連絡のないまま、うちへ帰る。

残っている日本人と親日家のフローリアンの家で年越しパーティーをした。


自分の経験したPeinlich(痛い)話。と題して一人ひとり話をした。

フローの日本留学時代遊びまくってたころの話や、ほかの日本人の子の下ネタ話でもりあがった。

みんなとても性格がいいので居心地がよくて本当に楽しかった。

あれ、年越してる?と言うくらいまったりと時間が過ぎていった。


新年の目標は、

①酒に飲まれない

②(人格を見極めたうえ)ロベルトの彼女になる

③extroviert (積極的)になる!

 自分の意見がんがん主張できるようになるぞ!


年々肩の力が抜けて、らくちんな生き方ができるようになっている気がする。

人の目とか、どうでもいいプライドとか気にならなくなると、自分の感情に素直になれる。

そして心をオープンにできるから、その分出会いとチャンスに恵まれる。

ネガティブ思考だったり、考えすぎだったりする人に出会うと、自分を能天気に生んでくれた両親に感謝したくなる。


ドイツの冬はクラッシックがさえる。

ドイツほどクラッシックが空気に溶け込むところはないのではないか。

とくに暗く、厳しく、メランコリックなバロックがしっくりくる。


バロックといえばバッハ。

マタイを聞こうか、と思ったけどアドベントも過ぎたし、もっと気楽なものを聞こうとモンテヴェルディのVespro Della Beata Vergine を買った。

モンテヴェルディはバッハより早く、16世紀おわりごろ活躍したイタリアの作曲家。

バロック音楽の走りといえそう。


今まで合唱はどうも苦手だった。

人の声が入るとどうしても音楽が生々しくなって、居心地が悪くなるから。

でもこれは違った!

まさに宗教音楽のきわみ。

神聖で荘厳。

透明でまったく人間くささがない。


冬、そして年末という時期にこの曲に出会ってよかった。

自分の思うように生きることで人を傷つけることがあったかもしれない。

何がいいのか悪いのか分からなくなることもある。

でもこの曲は、そういう悩みをすべて浄化してくれる。