"THE LAST BATTLE" ミリアムの魔術書・外伝 -8ページ目

得るもの失うもの



”... I to believe do not have religion. I think that some kind of God dwells in all which is natural if I say forcibly.
Will it be the faith that is not thought about to you?  But will you be different from ten people if there are ten people?

I will grow in something.

I may have been dead if not so while surely I was younger.”




信じる・・・

わたしは宗教をもっていません。強いて言うのならば、自然のすべてに何らかの神が宿っていると考えます。

あなたには考えられない信念でしょうか? でも10人いれば、10人とも違うでしょう?


わたしは何かに生かしてもらっているのでしょうね。


そうでないのなら、きっともっと若いうちに死んでいたかもしれないわ。





これが、マリアが寺院を抜けたときの置き手紙。


皮肉にも”善なる自分”を捨ててからが、彼女が本来の実力を発揮する旅の始まりとなった。 







・・・・・・・・・・・・・・・・・・?



あら? おっきなおっきな猫さん。おひとり様なの?



気のせいか、そのとき猫が頷いたように見えたらしいわ。



「じゃあ、一緒に行こう。わたしね、自分からひとりぼっちになっちゃったの。おうちを捨ててしまったの」



マリアはその大きくて重い猫に軽くキスして旅の友にしたの。





・・・・・ああ、それがサナの猫よ。マリアの出身国の古い言葉で”太っている”ことを”gordo”というそうね。

そう、この猫リースロットでは”ゴルド(Gordo)”っていうの。



”THE LAST BATTLE”   ミリアムの魔術書・外伝



「じゃあおっきなおっきなゴルドくん、行こうか」



マリアはその日初めて笑った。




悪魔に魅入られて


 わたしが修行と祈りによって得た法術(このストーリーでは”プリーストマジック”に該当)は強大だった。


 

 だからリューゲンもウィルソンもわたしを放さなかった。


 

 本当に愛した人が死んだとき、神を呪ってこの胸を裂いた。あんなに祈りを捧げたのに、何度も、気を失うほど精神力を使って法術を使ったのに。


 恋人は死んでしまって。仲間はいてもわたしの心はひとりぼっちになってしまった。

 そしてどれだけ時間が過ぎたか(フェルナンドの話では3日は眠っていたというけど)。

 

 気がつくと胸の傷は跡形もなく、ゆったりとしたベッドの上に横たわっていた。


 

 そこにはフェルナンドがいてわたしにコップ一杯の水をくれた。


 

 「君はたしかに死んだのだけれど、なぜか生き返った。そして君を救ったのは神ではなかった。君に魅入られた悪魔だったんだよ」


 

 彼は恐ろしい話も淡々と語る癖があって、事情をのみ込めなかったわたしにはかえって滑稽に見えたし、だからこそ安心することさえできた。いい仲間だわ。


 

 「神より悪魔に愛されたと思う? わたしが」


 

 「わからない。でも君を救ったのは少なくとも神ではないんだろうな」


 水を飲み干し、コップをフェルナンドにお願いすると、わたしは印をきり、いつものように、神にむかって”おはようございます”と念を送った。神は不思議なオーラでわたしを包み、わたしの心の声に応えた。


 

 そしてもうひとつ印をきり。



 

 ”わたしを助けてくれたあなたは誰? 胸の傷を消してくれたあなた”



 

 禍々しい生ぬるい空気。



 フェルナンドが不思議そうな顔で窓を開けて、部屋に風を入れたけど。


 風はあっという間に湿って時折冷たい感触を肌に残した。



 

 それが返事だとわたしは感じた。



 

 「気味が悪いな、マリア。今日の天気はなんか変だよね」


 フェルナンドにはわからない。それがわたしと悪魔の最初の”会話”であったことを。


 


 わたしは信仰を捨て、悪魔の力を得るためのダーク・プリーストとなった。

 理由がどうあれわたしを利用しようというのであれ。


 

 それが悪魔でも。


 

 力を得るためならば人間であることもわたしは捨てられた。こんなにも容易に。


 


 単純な選択。単純な人生。


 


 ただ力がほしかった。




ある娘の願い


何人かと恋をした。


でもこの無限の寿命は彼らとの日々をあっという間に喰らい尽した。



わたしの法術を利用するあの男たちもいて。


だからわたしは恋を諦めたけど。もし、もとの”普通の人間”に戻れる日がきたら。



もう一度くらい誰かを愛したいわ。





”マリア・ブランドル”


恋を超える想い


「 きっと僕はあなたを愛していると思う」


ハ・ティムはマーティン・リヒターに正直な気持ちを打ち明けたことがあるらしいわ。


この二人は子供のころから主従関係にあり、リヒターは皇子様で、ハ・ティムはその家に代々使える給仕の家の子供だった。年もひとつしか離れていなかったこともあり、当時リヒターの父親が二人が友達のようになれるような、そんな環境を作った。


同じ家庭教師につき、一緒のテーブルで食事することを許され、夜遅くまでカードゲームに興じる日もあったとか。


そんな生活が十数年続き、二人は立派な青年へと成長した。


リヒターは剣術を主に体得したのだけど、家庭教師の計らいで、ハ・ティムには生まれつき魔力が強いとのことで、リヒターの父王はいざというときのためにもハ・ティムを魔術師の見習にもしていたそうね。


忘れてはいけない。ハ・ティムはあくまで給仕の家系であることを。

国を家を守るべく戦士の一団に迎えられはしたものの、特別扱いはそこまでだった。それはハ・ティム自身も素直に受け入れた。

これは当然の身分の違いなのだから。


自分を懐刀に利用するつもりであったとはいえ、リヒターの父王には修行をさせてもらったことを、心から感謝しているらしいの。

実力を身につけたからこそ、尊敬から恋慕へと気持ちの変わったリヒターについていけるのだと。


最初の告白をしたとき、リヒターは一瞬だけ驚いて言葉を失ったようだけど。ほんと、一瞬だったみたいね。


そのすぐあとに


「ありがとう。これからもよろしくな?」


なんて言ってのけたらしいから。


でもハ・ティムの尊敬の念の表わし方のひとつだと勘違いしたようだったから、たいへん。

リヒターはそろそろお后を選ばないといけない時期にきていたのよ。



幻想世界の宿主

わたしはダン・ナギ(Dawn Nagy)


リースロット大陸には自分がどこからやってきたのか、幼少期の記憶さえ持たない者もいる。

”後から来た者たち”がそのいい例だったわ。


そういえばわたしもないなあ・・・どっからきたのかしら?


・・・ま、これはいいとして。



自分の住む世界が真に現実であると信じられるのもまた幸せかもね。


このリースロットの世界のすべてを握るのは“サナ(Sana)”という格闘家でね。

子供のころからどうしようもないくらいの空想癖があって、その世界で遊んでいたら、ここまで領土がひろがちゃったわけよ。


ここからは長いからゆっくりとね。




空想の世界。その産物。

あらゆる人物が登場するのは理解できるわよね。


でもサナはついに実兄や愛猫までこの世界に引き込んだ。



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愛猫は大きな白黒の猫。


なかなか勇気があって、いつもは「おなかスキましタ」なんて言ってるけど、サナが命を懸けて臨んだ闘いに同行したくらいだった。


そして心臓を射抜かれて死んだ彼女に駆け寄り、生き返らせるなんて奇蹟まで起こした・・・・とんでもない猫よ。


名前はなんて言ったっけかしらね? サナの兄さんはこの世界ではケヴィン・ナッシュっていう、たしか法術を使う男だけど、この子は・・・? 失礼、今は思い出せないわ。


でも、体つきがそのまま名前になったのよね。


思い出したら教えてあげる。



ともかくも、命を落としたサナを蘇らせたのはこの子だったの。それはご存じなかったですか?


そしてサナ自身が格闘家である自覚を捨てたときに、この世界はいったん崩壊したのよ。