"THE LAST BATTLE" ミリアムの魔術書・外伝 -7ページ目

もうひとつの道


そう忘れてはいけない。

あの少女、アークエンジェルとして生まれ変わったケイティを。

この時代ではケイティはジャッジメントの役目から解放され、日々を19歳の女性、女剣士として生き延びている。


黄泉へと続く橋を渡らせながらも彼にもう一度生きる機会を与えたケイティは、その少年、少し年下の17歳のエヴァンと共にフェルナンドやリューゲンたちを追う。

彼らを倒すことで、魔属を異次元へと飛ばすことができるのだ。

なぜなら、フェルナンドたちは戦闘においてデーモンと接触したことによって、無限の寿命を得たから。つまり、彼らはすでに見た目が人であるだけのれっきとしたデーモンなのだ




リューゲンたちは必ずしも英雄ではない。もはや人間でもなくなっているのだ。

エンジェルとしてケイティはその事実を知っている。彼女は魔属を完全に排斥する手段を選んだ。



ケイティはアークエンジェルだった誇りをもって、あえてリューゲンたちを倒すために剣を抜く。



”THE LAST BATTLE”   ミリアムの魔術書・外伝

告白にも似た


”あなたの唱える呪文のひとつひとつが


わたしの傷を癒し、体のすみずみ、余すところなく安らげばいいと思う


その初歩的ですらある術さえ、他の誰も使うことのできないスペルと化してしまえと願うほどに”



”THE LAST BATTLE”   ミリアムの魔術書・外伝


そろそろ始めましょうね。



先に来た男


フェルナンドは強いのね。


君たちより100年は長く生きてるからね・・・。

ずっとひとりで。鍛錬する時間は無限にあったよ。


寂しくなかった?


そんな感覚どこかにいっちゃったよ。



”THE LAST BATTLE”   ミリアムの魔術書・外伝


 


The Dark Spell


 天の足枷


 地に手枷


 無理矢理さかさまの世界を見せられ誰かを恨む


 心の持ちようとはよく言ったもの


 それも半分


 どうにもならない世界の動き


 身近な人々の目


 どんなに綺麗事を言ってみても、大きな波には呑まれてしまう


 ならばいっそ呑まれてしまいなさい


 それだけでも気持ちは楽に


 自意識も少しは和らぎ


 手枷、足枷外れたとき


 見上げる空に


 一縷の星輝く



駆け抜けて 森を林を


 もとは農家の娘さんだったマリアはこの時点では読み書きが不得手だったようね。


 いずれ完璧に読み書きを覚えるわけだけど、祈りを主とするプリーストには文字より心なのね。


 マリアより読んだり書いたりが苦手な人は寺院にたくさんいた。


 みんな愛に支えられていた。



 神を見限ったマリアはそれを鼻で笑う。



 幸せかって?


 恋人を失ったばかりの20歳に満たない娘さんよ?


 

 マリアは仲間のもとへ走る。


 バックパックひとつ背負って。


 唇に紅をさすことも忘れて。


 そのあとを必死に猫が追っていた。