おかげさまで10月から新しい事務所で働くことになった。

同期が配属研修を受けた事務所で、すごくいい事務所だから是非面接してみるべきだと強く勧められたので受けてみた。

『経営承継してくれる30代の若手』を探していたそうなので、正直落ちたと思っていた。

ちなみにトイレも使えるし、朝夕の挨拶もちゃんとあるとのこと。

それだけで選んだわけじゃないけど、そういうこともすごく大事。

まあ正直なところ、事務所の雰囲気や相性ってのは入ってみないとわかんないので、3か月間の試用期間でよく見極めようと思う。










話変わってシルバーウィークのこと。

面接の結果待ちで暇だったのと、このところのウツウツ気分から抜け出すため、フェス系のイベントでアルバイトをしてきた。

できるだけ賑やかな、そしてできるだけ忙しいバイトなら凹む暇もないかなと思って、敢えて3泊4日の拘束を伴う勤務を希望した。



某海浜公園で開催されたロックフェス。

海に面した解放感ある公園に巨大なステージが組み上げられている。

あちこちにイベント感漂う屋台が立ち並び、ミニDJブースまで設けられている。



僕の担当は入り口ゲートでの“もぎり”。

すぐ横に海が見える最高のロケーションで、数万人分のチケットをもぎってきた。



フェスは初めてだったけど、次から次へと色んなアーチストが出てくるお得感は半端じゃない。

ざんねんながら、僕のいた場所からはステージは見えなかった。

けれど音楽は大音量なので十分に聞こえる。

特に僕たち宿泊組は本番の前日から現地入りしていたので、リハーサルの様子まで聞くことができた。

プロってのはしつこいくらいにリハするもんなんだね。



本番当日はお気に入りアーチストのコスプレや、肌の露出の限界に挑戦しているかのような過激な格好のお客さんも多く、お祭り感はイッキに高まる。

天気は快晴。海風が気持ちいい。

仕事じゃなければ最高だろうなと何度も思った。





基本は立ちっぱなしの過酷なバイトだが、ライブの最中はそこそこ休憩もとれる。

弁当も出るしお茶も出る。

朝は6時から夜11時過ぎまで拘束されるし、設営撤去仕事もあり、正直ラクとは言えない。

でも短期でやる分には、聞こえてくる音楽を聞きながら仕事ができるので、かなり面白いアルバイトだったと思う。



ただし宿はひどかった。

僕らが泊まったのはライブ会場からバスで20分ほどの旅館。

あてがわれたのは一見して宴会場だと分かる大広間で、そこに初対面の男ばかり10名以上が押し込まれた。

布団もギチギチに敷き詰められて、横を向くと知らないオッサンの顔があるような感じ。



お風呂は3人も入れば満員になってしまうミニ仕様。

だから30分以上も行列して待たなきゃ入れない。

仕方なくコンビニでビールを買ってきて飲みながら待つような感じ。

まあ、そんな過酷な環境なので、2日目には同室の面々とはすっかり仲良くなったけど。





疲労感ピークで迎えた最終日の夜、ステージ上では大トリのアーチストがアンコールのサプライズ企画で最後の盛り上がりを演出していた。

僕はこれからの帰宅ラッシュに備え、お客さんの荷物を預かるクロークテントに配置換えされて、周辺に散乱するゴミをまとめていた。

アーチストが「3、2、1!!」とカウントダウンをすると、巨大な花火が打ち上げられた。

色あざやかな花火が、腹の底に音が響くくらいの距離で打ち上がる。

それがちょうど僕のいるクローク広場の真正面の位置だったので、まるで僕のために打ち上げられた花火のように感じた。

ゴミ袋を持ちながら、目の前の光景にしばらく呆然としてしまった。





お客さんを送り出した夜10時過ぎから、ステージの一部撤去作業を手伝った。

男7人で持っても足元がふらつくような鉄製のフェンスをいくつも移動させたのがハイライト。

重すぎて握力がなくなるなんて初めての経験。

おそらく200キロ近くあったんじゃないか。

前々日に降った雨のせいでステージ周りはひどいぬかるみで、何度も滑りそうになった。

その後、ステージ周辺に落ちてる大量のゴミを拾い、別の柵の移動も終えて、12時を回ってようやく解放された。



宿に帰りついてビールを飲もうとしたが、腕が震えてプルタブが開けられなくて困った。

風呂でシャンプーするときも、腕が上がらなくて大変だった。

けれど明日は帰れるという解放感の中、ビールを飲みながら布団に寝そべって、同室のおっさんたちと他愛もない話をした時間は、忘れられない経験となった。











教訓。

フェスは楽しむもの。働いちゃいかん。




今日は自転車でサイクリングに出かけた。

コースは簡単。

自宅の前に流れる川をずっとずっと北上するだけ。

スマホにお気に入りの音楽を入れて、景色が変わるまでペダルをこいでみようと思った。



最近の僕は、失くしたものの大きさばかりを思って進めずにいる。

これじゃダメだという自覚はあるものの、うまく自分がコントロールできない。

せめて外の空気だけでも吸ってみよう。



川沿いの細い道を一番軽いギアでゆっくり進む。

BGMはできるだけテンションの高いのを選ぶ。

でもそれだとちょっと疲れるから、合間に穏やかな曲も入れる。

時々鼻先をかすめる金木犀の香りには切なくなるけど、止まらずペダルをこぐ。



2時間近くこいでると太ももやお尻が痛くなってくるが、構わずに進む。

だいぶ来てるのに大して風景は変わらないもんだ。

でもフワフワ飛んでるトンボの群れを見たり、少し冷気を含み始めた空気を胸いっぱいに吸い込んだりしてるうちに、だいぶ楽になってきた。

そういえば深呼吸なんて久々にするな。



日が暮れ始めたので今日はここまで。

結局、風景が変わるところまではいけなかった。

かなり北上してもいつもの川。

何にも変わらず、ずっとそこにある。

こんな風景にすら意味を見出そうとするのは、きっと自分の心が繊細になりすぎてるせいだ。



帰り道はとっぷりと日が暮れて、真っ暗い道を戻る羽目になった。

お尻はじんじん、太ももはパンパン。

自転車のライトが付かずに難渋した。



だけど久々のサイクリングは気持ちよかった。

時々こうして心を解放してあげる時間があってもいいなと思った。











先日、同じ地域の同期合格者と近況報告会を開催した。

久しぶりだったのでとっても楽しい時間だった。

認定考査の合格祝い(残念ながら10名の参加者中1名不合格だったが・・・)やお互いの事務所の様子など、まさに同期ならではの飲みとなった。

早くも最初の事務所を辞めてしまった僕に対しては、ありがたいことに複数の同期から、彼らが勤務してる事務所に推薦するから面接に来るように勧められた。

ただ仕事はすーっごい忙しいよ、という留保付きではあったが。





さて今回は、同期の1人であるAさんが開業したということで、そのお祝いも兼ねた飲み会でもあった。

開業はめでたいが、“即独”と言ってもいいくらいのスピードなので、みんなの関心はAさんがなぜそんなに早く独立するのかの点に集まった。

Aさんは大学生の娘さんもいるくらいの年齢の人。

さすがに年の功というべきか、穏やかで楽しく酒好きで、誰にでも気さくに話しかけるような人柄なので、僕も親しくさせてもらっている。

合格までにはずいぶん苦労したらしいが実務経験は無かったので、知人の紹介で小さな事務所に勤めて修行していた。

ところがその事務所というのが年配の夫婦だけでやってる超小規模事務所で、特に補助者である奥さんがものすごくキツくてイジメに近いような扱いを受けたらしい。

それでも仕事の流れが把握できるまでと思い、3か月間は何とか我慢した。

その後退職、本当は他の事務所も見てみたかったが年齢的にも厳しいし、どこに勤めても似たようなものだろうと考えて、自分の事務所を開いたとのことだった。





開業のことはともかく、事務所と合わずに辞めたという話は本当によく聞く。

僕の知る限りでも、この1年の間に事務所を変えた同期は、僕自身を含めて両手でも収まらないほどいる。

最初のうちは、辞めた人間が根性無しなんだろうと思っていたが、自分の前の職場のことやAさんのような人柄でもイジメのような扱いをされる現状を見るにつけ、この業界には闇の部分が多いように感じる。





実は僕らの同期の間には、入ってはいけないブラック事務所のリストが出回っている。

注意深く書士会の求人票をチェックしていると、そのリストに掲載されている事務所は常時求人を出していることが分かる。

それだけ離職率が高く、新たな人間を常に探しているということなんだろう。

でも僕が最初に入った“挨拶しない事務所”もAさんの事務所も、そのリストには掲載されていなかった。

リスト未掲載でも、おかしなところは無数にあるということなんだろう。





それにしてもこの業界には、「人材」という考え方が乏しい気がする。

無視する、ミスを押し付ける、残業代を出さないなんてのは序の口で、暴言を吐くとか暴力を振るう?なんて話まで頻繁に聞く。

そういう話が絶えないのは、あれほど過酷な試験に通っても、実務の現場では大して役に立たないという現実があるせいかもしれない。

まずは何年か修行させてもらわなければまったく使い物にならない。

だからこそ、事務所側の買い手市場、丁稚奉公的な風習が根強いってことじゃないか。





だけど反面、そういう使い方をしていたら、人はやがて離れていくと思う。

面接に行くとこんなことをよく言われる。

『せめて5年は働いてほしい』
『経営の承継をしてくれる人を探している』
『2~3年で資格者はみんな辞めていくのでそれは困る』

これって逆に言えば、その事務所にはずっとやっていきたいと思わせるような環境が無いということじゃないか。

事務所側が修行させてやる、使ってやるというような姿勢だからこそ、資格者側も仕事さえ覚えたらサクサク辞めてやるって思うんじゃないだろうか。





ちなみに僕が入った事務所でも、正式採用になったら4年は働いてほしいと言われた。

ならせめて、朝の挨拶くらい、帰りの挨拶くらいすればいいのにって思う。










MNPでドコモからauに乗り換えた。





通話専用のカケホーダイで月額1500円。

値段は格安で嬉しすぎるのだが、なにしろ音が悪い。

全体的にこもっていて、ジージーとノイズが入る。





端末の問題かと思いググってみると、音質の悪さはau自体の仕様だとのこと。

なんでもドコモやソフトバンクとは規格が違うらしく、音の良さにこだわるならドコモかソフトバンクの二択なんだそう。

ぜんっぜん知らなかった。





静かな場所でなら、多少聞きづらさはあるものの大体聞き取れる。

でも駅のホームとか雑踏の中では、音がこもりすぎて非常に聞き取りづらい。





はー失敗した・・・。



先日、ガラケー乗り換えでケータイショップに出かけたときのこと。





店を入ってすぐのところで女の人がしゃがみこんでいた。

その女の人の目の前には年配の女性が立ってて、何か話しかけてる。





大して気にも留めずに横を通り抜けようとしたところ、しゃがみこんでいた女の人が突然

『あたしのラインかえしてよぉぉぉ~~!!!!』

と金切り声を上げた。



しかもそのままギャン泣き。

これほど本気の泣きを見るのは久しぶりだったので、ビックリしてガン見してしまった。





うずくまっていた女の人は20代後半くらいだろうか。

ゆるゆるヘアというよりパーマが抜けきった感じの髪型で、もりあがった背中の印象から、ちょっと太目であることがわかった。





唖然としていると、そのギャン泣きした女の人の目の前にいた年配の女性が静かに言った。

『誰に言ってるの?誰に対して言ってるの?誰も返せないのよ。』





諭すような口ぶりからして、その年配の女性はギャンの母親みたいだった。

ギャンは母親の落ち着き払った態度に切れたのか、いきなり立ち上がり、抱え込んでいたスマホをホールに叩きつけた。

ガシャン!!

すごい音がして店内が異様な雰囲気になった。

ケータイショップにありがちな時代遅れのユーロビート?だけが空しく響く中、店員も客もかたずをのんで見守る。



するとギャンの母親と思しき年配の女性は、2メートル先まで吹っ飛んだスマホを拾い上げて、ギャンを置いて店から出ていった。

その様子を見てギャンは一層大きな声で泣き続けたが、その声は徐々にユーロビートにかき消され、僕がauの契約書にサインを始めるころには聞こえなくなった。

ふと気づいて入口の方を見ると、ギャンが肉厚な背中を丸めながら店から出ていくところだった。





ラインを返せってどういうことだったんだろ。
ラインって盗られるのか。
ラインの始め方すらわからんオッサンには盗られるなんて想像もつかない。

でも、いいトシの大人が公衆の面前でしゃがみこみ、悲鳴を上げて号泣するほど、ラインを盗られるのはショックなんだろうか。
あれじゃお菓子買ってもらえずにギャーギャー泣いてる幼児だ。

あと、スマホをあんなに叩きつけたらぶっ壊れるんじゃないかな。
買ったばかりでビクビクしながら触ってる自分には考えられない・・・。





そうそう、スマホってメール返すのにやたらと時間がかかる。
だからメールをもらってもスマホでは返さず、PCで返信するようにしてる。
意味ないじゃんね。





とうとうスマホに変えた。



ガラケーひと筋だったが、同期との情報交換で結構メールするし電話も掛ける。
なので、1か月の料金がそれなりの額になっていた。
いろいろ調べてみると、通話に関してはカケホーダイプランが主流。
乗り換えなら月額1500円程度で利用できる(ただし通話専用となるのでメールは一切できなくなるが)。
仕事に出れば電話は相当かけることになるだろうから、カケホーダイはかなり嬉しい。



メールは格安スマホを持てば月額2000円程度で済む。
スマホだからガラケーではできなかったネットもできる。
しかも、これまで使っていたドコモの携帯が7月に更新を迎えるので、8月中なら解約料がかからない。

このタイミングを逃すまじということで、先日、ドコモからauのガラケーに乗り換えた。
そして併せてスマホも契約し、いわゆる『2台持ち』状態に突入した。






ところが、せっかく2台持ちまでしたのだが、仕事を辞めて自宅にいるのでほとんどスマホを使う機会がない。
このブログもPCで書いてるし、スマホにきたgmailもすべてPCで返している。



このままだと悔しいので、アプリなるものをいくつかダウンロードした。
噂のLineも入れてみた。

しかし入れたのはいいが、一体全体どうしたらいいのかサッパリわからない。
結局、放置してしまっている。

みんなどうして電車の中でスマホをいじってるんだろう。
ゲームをやっているのか?
自分は電車の中では小説を読むことにしているので、ゲームはやらない。
SNSに投稿するとか?
やっぱりラーメン食べたらみんなに報告すべきなんだろうか。

先日、都内の飲み会に誘われた際、さっそく気合を入れて乗換案内を使ってみたが、なぜだか目的の駅が出てこなくて難渋し、電車を一本乗り過ごしてしまった。
駅員に聞いた方が早いじゃねーか。





スマホの有効な利用方法を、誰か教えてくれないだろうか。






本日、認定考査の発表があり、無事合格していた。

今年の論点は、賃貸借契約における用法遵守義務違反。
正直、ちょっとズレ気味だったので怖かったが、なんとか滑り込めていたみたいだ。

合格率は65%ちょい。
まあまあ高いなと思うか、案外落ちてるなと思うか。
しかし落ちると結構恥ずかしいので、受かってマジでよかったと思う。





さて、せっかくなので近況などもポツポツと。



満を持して7月に就職した事務所は、わずか1か月で退職してしまった。
まさかこんなに早く辞めることになるとは思いもしなかったが、今は辞めて良かったと思う。



この業界には変わった人が多いと聞くけど、朝夕の挨拶すら返してもらえないような職場は初めてだった。
最初は聞こえてないのかと思ったが、どうもそうじゃなくて、この事務所には挨拶する習慣がなかったみたいだ。

事務所の雰囲気はいつもピリピリしてて、電話が鳴らないときは、耳鳴りがするくらいしーんとしてた。
とにかく会話が無かった。

やたら無口なボスと、それに輪をかけて無口なオバサン補助者、ちょっと意地悪な若い補助者。
この人らが息詰まる空気感を醸し出していたのだが、あの雰囲気には耐えられなかった。



でも補助者経験を経て合格した同期に聞いたところ、殴られたり暴言を吐かれたり、自分の責任じゃないのに怒鳴られたり、あからさまなイジメを受けたわけじゃないなら、むしろいい事務所だったんじゃないかと言われた。

まじかよ。
それがこの業界の労働スタンダードなのか。
よほど環境は厳しいんだな。



ちなみにここの事務所にはトイレが無かった。
正確に言うと、あることはあるのだが、事務所が狭くてトイレのドアが薄く、中の音が筒抜けなので誰も使っていなかった。
(ボスは事務所の目の前にあるマンションに住んでいたので自宅のトイレを使用してた)

スタッフはみな歩いて5~6分くらいのところにあるヨー○ドーまで用足しに行ってた。
こういうところも過酷だなと思う。






そんなわけでまた就活ジョニー。
今度は朝夕の挨拶とトイレは必須条件にしたい。

でも先ほどの同期曰く、狭い部屋でシコシコやってるような事務所の場合、トイレは使いづらいところがほとんどだから、コンビニを利用するのがデフォだと思っておいた方がいいとのこと。

それを聞いただけで、今からお腹が痛い。







同期との連絡用に必要だと思い、Facebookを始めた。
おかげで迅速に飲み会情報は回ってくるようになったが、イマイチ使いにくくて、個人的な記事はまだあげてない。
今さらなんだけど、本名で登録するのが基本なのね。
ちょっと新鮮。





試しに昔の同級生の名前を検索してみると、6~7人に1人くらいの割合で登録していることにもビックリ。
懐かしさのあまり記事をのぞいてみて、彼らの変貌ぶりにもイチイチ驚いている。
みんなオッサンオバサンになったなー。
写真がねえ、みんな肥えてる。





普通にちゃんとパパ・ママしてるやつも多い。
あんなに自分勝手だった奴が、子供の記事ばかりで子煩悩ぶりを発揮してるとか。

高校生の時、好きだった子も発見。
さっそく(笑)登録申請して記事を拝見したが、年齢相応の貫録を身に着け、重厚な女性になっていた。
まだ独身で、バリバリ働いてるらしいので、部下はきっと大変だろうな、と勝手に妄想したり。

深夜に一人同窓会状態で、妙にテンションを上げてます。





まあ、自分もそれだけオッサンになったってことだよね。
そういえば最近身体も重い。

研修前に牛丼ばっかり食べてるしね。
ジョグしないと。

またバドミントン始めようかな。
膝が痛いんだけど。


東京会研修、中央新人研修、関東ブロック新人研修が終了し、いよいよ特別研修が始まった。



きついと噂される100時間研修。
でも、自分的には、これまでよりもずっと充実した時間を過ごしていると感じる。

昨年から延々と続いた座学のオンパレードに比べれば、やりがいも格段に違うし、勉強にもなる。
まあ、座学もそれなりに入るんだけど。



ただ研修が始まって思うのは、働きながらこの内容を消化するのは大変だろうってこと。
昨年から就職した同期は、毎日10時過ぎに帰宅する生活で、要件事実の予習もままならず、ディスカッション形式の授業に付いていけないとボヤいていた。





そう。
受験時代にはまったく意識してこなかった要件事実論。

実体法を訴訟法的な視点から眺めてみると、まるで別物に見えるから不思議。
というより、実体法は、まったく手続法を意識していないんだなと実感。



そういえば、債権者代位権の性質論の中で、訴訟法の三ケ月先生が、代位権なんて差押制度があればいらないはずで、訴訟手続を知らない立法者の勇み足だ、みたいな批判をしてたっけ。

その批判を知ったときは、訴訟法学者が実体法にケチをつけるとは本末転倒も甚だしいと感じたが、要件事実論を学んでみると、実体法サイドにも、訴訟手続の基準たるべき位置づけを忘れた独りよがりな部分があるんだなと改めて思う。

実体法を学ぶ際、要件事実的な視点をもって教えてくれたら、実体法をより緻密に勉強できるし、訴訟法の理解も深まると思うんだけどな。





あと、民訴はやはり憲法的な視点を持っていると理解が深まると感じる。

なぜ処分権主義なのか、なぜ弁論主義なのか。
なぜ司法権は、受動的な法原理機関とされるのか。

このあたりが分かってくると、事実レベルと法律レベルの違いや主張・立証という弁論の構造も見えてきて、ひいては要件事実論の定着にも生きてくると思う。

とはいえ、いきなり訴状や答弁書を作成しろと言われても、どうしていいのかわからなくなっちゃうんだけど。



勉強法の話は、ずいぶん前から書こうと思っていた。
けれど、どうにも時間がなくてこんな時期になってしまった。

もう間もなく二月。
書士受験生の方々は、直前期モードに突入しつつあることと思う。

そんな時期に、いまさら勉強法の記事なんて空気読めよって突っ込まれそうだが、以下の話は、いち受験生の私的見解なので、こんな方法で受かったやつがいたんだ、くらいに思ってもらえたらいいかな。

自分も点数が伸びずにずいぶん苦労したので、少しでも参考にしてもらえたら、なお幸いに思う。





まず、択一について。

1.合格する前の年までの勉強法
自分は、合格する前の年まで、テキストを読み込み、六法で条文や判例を確認してから、過去問で確認的にアウトプットするという流れを基本としていた。

テキストの読み込みに際しては、とりわけ法の理論の体系的理解に時間を費やし、領域ごと、例えば担保物権なら、担保物権全体の背景にある制度趣旨にまで広げて学習することを目標としていた。

法とは人間の作った仕組みである以上、制度の体系的な理解なくして、これを自在に使いこなすことはできない!みたいなことを本気で考えていた。

これは確かに法学習の方法として正しいとは思うけど、あの我妻先生ですら民法体系の確立には至っていないという話を聞いてから、少なくとも試験勉強のために、法律を体系的にすべてマスターすることは不可能だし無意味だと感じるようになった。
事実、いくら体系的理解に努めても、答練では悲惨な成績の連続で、本試験でも結果が出せずにいた。
そこで、インプットの体系化よりも、アウトプットの習熟に力を入れるようになった。





2.合格した年の勉強法
合格した年は、テキストの読み込みに割く時間は抑えて、過去問を中心としたアウトプット型の学習方法に切り替えた。

(1)民法
民法は、とことん過去問をやりこんだ。
テキストを読むのは、あくまでも問題を解いた後の確認程度にした。

過去問を解くに際してこだわった点は次の2点。
まず、過去問を範囲ごとではなく、年度別に解くようにしたこと。

範囲で解いていくと、何度も似たような問題を解くことになるので、演習している時点ではその論点について詳細な理解ができる。
けれど、しばらく時間がたつとまるっきり抜け落ちてしまうことが多々あった。
総則の問題ばっかりやってると、保証債務の論点やら遺留分の話やらはすっかり忘れちゃうみたいな。

そこで年度別に解く。
正直、いきなり年度別に解いても、最初のうちは全然解けなかった。
確認のためにテキストを読み込む時間ばかりかかって、なかなか前に進めない。
けれど諦めずに1年分、3年分、5年分、と年度別に解いていく。

こうすることで、民法を広範囲にわたって確認せざるを得なくなり、必然的に全体を見渡すことができるようになる。
最終的には、総則の問題も、物権も債権も、親族も相続の問題も、等しく解けるようにならないと合格点には届かないから、無理やりにでも全体を見ておくことは有益だと思う。



次に、各問題の解き方。
合格した年は、それまでよりもずっと緻密に、すべての選択肢を一つ一つ検討した。
具体的には、それが正解だとするなら、そう考えた根拠(条文なのか判例なのか学説なのか)、さらには出題の元となった論点(何が問題となっている論点なのか)まで思い浮かべられるようにした。

ついついやりがちな、選択肢の組み合わせで正解を導く方法は、絶対NG。
そんなことをして正解しても意味ないし、本番で役立つ力がまったく育成されない。
(某予備校の先生が勧めるように、選択肢を消すことまではしなかったけど、選択肢に頼るなってのは正しいと思う。あ、もちろん模試や答練、本番でこのテクニックを使うのは当然アリだけど)



要するに、日常の学習の中では、年度別に問題を解くことで全範囲を常に眺めつつ、各肢を見て、その正誤を判断できるのはもちろん、正誤の根拠や出題意図まで思い浮かべられるようにしたってこと。

こうした解き方は負担が大きく、また大変に時間がかかるが、常時、個数問題の特訓をしているようなカタチになるため、答練でも本試験でも、個数問題に対する苦手意識はまったく無くなった。





(2)不登法・商登法
民法と同様、年度別に過去問を解くことと、各設問の全肢を詳細に検討し、正誤の根拠まで答えるという方法を採った。

併せて、書式化できそうな肢であれば、瞬時に書式化する訓練(登記の目的や原因を思い浮かべ、添付情報を思い浮かべる程度)もした。

また午後択一は時間との勝負なので、一問あたりどれくらいの時間で解けるかを考えることも重要になる。
自分は、午後の35問を1時間10分程度で解くことを目標にしていたので、全肢検討が慣れてきたら、ストップウォッチを使って時間を測りながら解く訓練もした。

不登法は、1問当たり、1分30~40秒くらいで解いていたと思う。





(3)会社法・民訴法
これらの科目は条文中心の学習方法を採った。

過去問を見たところ、条文レベルが正確に入っていれば、十分に対応できると考えたから。
会社法は条文こそが最大の教科書だと思う。
また商業登記法の学習に際して、常に会社法の条文を確認することで、より記憶の定着にも役立ったと感じる。

民訴法については、解くスピードを上げなければならないので、ストップウォッチを使って時間を測りながら解いた。
民訴もやはり条文。
分厚いテキストを使って民訴理論をマスターしても、書士試験にはあまり意味が無いように感じる。むしろ条文を読み込み、わからない制度をテキストや教科書で調べる方法を採った方が早い。

ただし、訴訟法は応用憲法とも呼ばれる領域なので、憲法の「裁判を受ける権利」や対審・公開・判決を定める規定などと絡めて原理原則を考えてみると、案外すんなり理解できるかもしれない。
もちろん、条文と過去問で十分いけるとは思うが。





3.択一間違いノートの作成
過去問を解いて間違った肢は、エクセルに転記し、オリジナルの間違いノートを作成した。
間違えた肢と、これに対する自分なりの解説を打ち込んだ点がオリジナル。

直前期に見直すため、全科目について作成するつもりだったが、時間がすごくかかるので、民法・会社法・不登法、それに商登法(の一部)についてだけ作成した。

間違いノートは作成した方がいいとは思うが、自分のように丁寧に作りすぎると時間がかかるという欠点がある。
自分は、理解した点を清書しておかなければ気が済まない性質だったのでやむなくエクセル化したが、過去問に直接書き込んでもいいし、メモ書きでファイルしておいてもいいと思う。

5月6月の超直前期は思いのほか時間が足りなくなるので、自分の理解の根拠を確認したいとき、それを探す時間さえも惜しくなる。
なので、自分の理解を集約したツールを一つくらい用意しておくと心強い。

自分は、民法と不登法に関しては、間違いノートだけをひたすら眺めて直前期を過ごした。










以上、殴り書きのようだが、択一主要科目の勉強方法を書いてみた。

読み返してみると、いわゆる過去問主義の王道的な方法じゃんか、って感じる。
いろいろ迷い、悲惨な点数で打ちのめされて、結局は王道の方法に落ち着いたって感じだろうか。

同じように迷っている人の参考になればうれしい。