先日、同じ地域の同期合格者と近況報告会を開催した。

久しぶりだったのでとっても楽しい時間だった。

認定考査の合格祝い(残念ながら10名の参加者中1名不合格だったが・・・)やお互いの事務所の様子など、まさに同期ならではの飲みとなった。

早くも最初の事務所を辞めてしまった僕に対しては、ありがたいことに複数の同期から、彼らが勤務してる事務所に推薦するから面接に来るように勧められた。

ただ仕事はすーっごい忙しいよ、という留保付きではあったが。





さて今回は、同期の1人であるAさんが開業したということで、そのお祝いも兼ねた飲み会でもあった。

開業はめでたいが、“即独”と言ってもいいくらいのスピードなので、みんなの関心はAさんがなぜそんなに早く独立するのかの点に集まった。

Aさんは大学生の娘さんもいるくらいの年齢の人。

さすがに年の功というべきか、穏やかで楽しく酒好きで、誰にでも気さくに話しかけるような人柄なので、僕も親しくさせてもらっている。

合格までにはずいぶん苦労したらしいが実務経験は無かったので、知人の紹介で小さな事務所に勤めて修行していた。

ところがその事務所というのが年配の夫婦だけでやってる超小規模事務所で、特に補助者である奥さんがものすごくキツくてイジメに近いような扱いを受けたらしい。

それでも仕事の流れが把握できるまでと思い、3か月間は何とか我慢した。

その後退職、本当は他の事務所も見てみたかったが年齢的にも厳しいし、どこに勤めても似たようなものだろうと考えて、自分の事務所を開いたとのことだった。





開業のことはともかく、事務所と合わずに辞めたという話は本当によく聞く。

僕の知る限りでも、この1年の間に事務所を変えた同期は、僕自身を含めて両手でも収まらないほどいる。

最初のうちは、辞めた人間が根性無しなんだろうと思っていたが、自分の前の職場のことやAさんのような人柄でもイジメのような扱いをされる現状を見るにつけ、この業界には闇の部分が多いように感じる。





実は僕らの同期の間には、入ってはいけないブラック事務所のリストが出回っている。

注意深く書士会の求人票をチェックしていると、そのリストに掲載されている事務所は常時求人を出していることが分かる。

それだけ離職率が高く、新たな人間を常に探しているということなんだろう。

でも僕が最初に入った“挨拶しない事務所”もAさんの事務所も、そのリストには掲載されていなかった。

リスト未掲載でも、おかしなところは無数にあるということなんだろう。





それにしてもこの業界には、「人材」という考え方が乏しい気がする。

無視する、ミスを押し付ける、残業代を出さないなんてのは序の口で、暴言を吐くとか暴力を振るう?なんて話まで頻繁に聞く。

そういう話が絶えないのは、あれほど過酷な試験に通っても、実務の現場では大して役に立たないという現実があるせいかもしれない。

まずは何年か修行させてもらわなければまったく使い物にならない。

だからこそ、事務所側の買い手市場、丁稚奉公的な風習が根強いってことじゃないか。





だけど反面、そういう使い方をしていたら、人はやがて離れていくと思う。

面接に行くとこんなことをよく言われる。

『せめて5年は働いてほしい』
『経営の承継をしてくれる人を探している』
『2~3年で資格者はみんな辞めていくのでそれは困る』

これって逆に言えば、その事務所にはずっとやっていきたいと思わせるような環境が無いということじゃないか。

事務所側が修行させてやる、使ってやるというような姿勢だからこそ、資格者側も仕事さえ覚えたらサクサク辞めてやるって思うんじゃないだろうか。





ちなみに僕が入った事務所でも、正式採用になったら4年は働いてほしいと言われた。

ならせめて、朝の挨拶くらい、帰りの挨拶くらいすればいいのにって思う。