勉強法の話は、ずいぶん前から書こうと思っていた。
けれど、どうにも時間がなくてこんな時期になってしまった。

もう間もなく二月。
書士受験生の方々は、直前期モードに突入しつつあることと思う。

そんな時期に、いまさら勉強法の記事なんて空気読めよって突っ込まれそうだが、以下の話は、いち受験生の私的見解なので、こんな方法で受かったやつがいたんだ、くらいに思ってもらえたらいいかな。

自分も点数が伸びずにずいぶん苦労したので、少しでも参考にしてもらえたら、なお幸いに思う。





まず、択一について。

1.合格する前の年までの勉強法
自分は、合格する前の年まで、テキストを読み込み、六法で条文や判例を確認してから、過去問で確認的にアウトプットするという流れを基本としていた。

テキストの読み込みに際しては、とりわけ法の理論の体系的理解に時間を費やし、領域ごと、例えば担保物権なら、担保物権全体の背景にある制度趣旨にまで広げて学習することを目標としていた。

法とは人間の作った仕組みである以上、制度の体系的な理解なくして、これを自在に使いこなすことはできない!みたいなことを本気で考えていた。

これは確かに法学習の方法として正しいとは思うけど、あの我妻先生ですら民法体系の確立には至っていないという話を聞いてから、少なくとも試験勉強のために、法律を体系的にすべてマスターすることは不可能だし無意味だと感じるようになった。
事実、いくら体系的理解に努めても、答練では悲惨な成績の連続で、本試験でも結果が出せずにいた。
そこで、インプットの体系化よりも、アウトプットの習熟に力を入れるようになった。





2.合格した年の勉強法
合格した年は、テキストの読み込みに割く時間は抑えて、過去問を中心としたアウトプット型の学習方法に切り替えた。

(1)民法
民法は、とことん過去問をやりこんだ。
テキストを読むのは、あくまでも問題を解いた後の確認程度にした。

過去問を解くに際してこだわった点は次の2点。
まず、過去問を範囲ごとではなく、年度別に解くようにしたこと。

範囲で解いていくと、何度も似たような問題を解くことになるので、演習している時点ではその論点について詳細な理解ができる。
けれど、しばらく時間がたつとまるっきり抜け落ちてしまうことが多々あった。
総則の問題ばっかりやってると、保証債務の論点やら遺留分の話やらはすっかり忘れちゃうみたいな。

そこで年度別に解く。
正直、いきなり年度別に解いても、最初のうちは全然解けなかった。
確認のためにテキストを読み込む時間ばかりかかって、なかなか前に進めない。
けれど諦めずに1年分、3年分、5年分、と年度別に解いていく。

こうすることで、民法を広範囲にわたって確認せざるを得なくなり、必然的に全体を見渡すことができるようになる。
最終的には、総則の問題も、物権も債権も、親族も相続の問題も、等しく解けるようにならないと合格点には届かないから、無理やりにでも全体を見ておくことは有益だと思う。



次に、各問題の解き方。
合格した年は、それまでよりもずっと緻密に、すべての選択肢を一つ一つ検討した。
具体的には、それが正解だとするなら、そう考えた根拠(条文なのか判例なのか学説なのか)、さらには出題の元となった論点(何が問題となっている論点なのか)まで思い浮かべられるようにした。

ついついやりがちな、選択肢の組み合わせで正解を導く方法は、絶対NG。
そんなことをして正解しても意味ないし、本番で役立つ力がまったく育成されない。
(某予備校の先生が勧めるように、選択肢を消すことまではしなかったけど、選択肢に頼るなってのは正しいと思う。あ、もちろん模試や答練、本番でこのテクニックを使うのは当然アリだけど)



要するに、日常の学習の中では、年度別に問題を解くことで全範囲を常に眺めつつ、各肢を見て、その正誤を判断できるのはもちろん、正誤の根拠や出題意図まで思い浮かべられるようにしたってこと。

こうした解き方は負担が大きく、また大変に時間がかかるが、常時、個数問題の特訓をしているようなカタチになるため、答練でも本試験でも、個数問題に対する苦手意識はまったく無くなった。





(2)不登法・商登法
民法と同様、年度別に過去問を解くことと、各設問の全肢を詳細に検討し、正誤の根拠まで答えるという方法を採った。

併せて、書式化できそうな肢であれば、瞬時に書式化する訓練(登記の目的や原因を思い浮かべ、添付情報を思い浮かべる程度)もした。

また午後択一は時間との勝負なので、一問あたりどれくらいの時間で解けるかを考えることも重要になる。
自分は、午後の35問を1時間10分程度で解くことを目標にしていたので、全肢検討が慣れてきたら、ストップウォッチを使って時間を測りながら解く訓練もした。

不登法は、1問当たり、1分30~40秒くらいで解いていたと思う。





(3)会社法・民訴法
これらの科目は条文中心の学習方法を採った。

過去問を見たところ、条文レベルが正確に入っていれば、十分に対応できると考えたから。
会社法は条文こそが最大の教科書だと思う。
また商業登記法の学習に際して、常に会社法の条文を確認することで、より記憶の定着にも役立ったと感じる。

民訴法については、解くスピードを上げなければならないので、ストップウォッチを使って時間を測りながら解いた。
民訴もやはり条文。
分厚いテキストを使って民訴理論をマスターしても、書士試験にはあまり意味が無いように感じる。むしろ条文を読み込み、わからない制度をテキストや教科書で調べる方法を採った方が早い。

ただし、訴訟法は応用憲法とも呼ばれる領域なので、憲法の「裁判を受ける権利」や対審・公開・判決を定める規定などと絡めて原理原則を考えてみると、案外すんなり理解できるかもしれない。
もちろん、条文と過去問で十分いけるとは思うが。





3.択一間違いノートの作成
過去問を解いて間違った肢は、エクセルに転記し、オリジナルの間違いノートを作成した。
間違えた肢と、これに対する自分なりの解説を打ち込んだ点がオリジナル。

直前期に見直すため、全科目について作成するつもりだったが、時間がすごくかかるので、民法・会社法・不登法、それに商登法(の一部)についてだけ作成した。

間違いノートは作成した方がいいとは思うが、自分のように丁寧に作りすぎると時間がかかるという欠点がある。
自分は、理解した点を清書しておかなければ気が済まない性質だったのでやむなくエクセル化したが、過去問に直接書き込んでもいいし、メモ書きでファイルしておいてもいいと思う。

5月6月の超直前期は思いのほか時間が足りなくなるので、自分の理解の根拠を確認したいとき、それを探す時間さえも惜しくなる。
なので、自分の理解を集約したツールを一つくらい用意しておくと心強い。

自分は、民法と不登法に関しては、間違いノートだけをひたすら眺めて直前期を過ごした。










以上、殴り書きのようだが、択一主要科目の勉強方法を書いてみた。

読み返してみると、いわゆる過去問主義の王道的な方法じゃんか、って感じる。
いろいろ迷い、悲惨な点数で打ちのめされて、結局は王道の方法に落ち着いたって感じだろうか。

同じように迷っている人の参考になればうれしい。