追悼 ジーナ・ローランズ | 銀幕と緑のピッチとインクの匂い

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映画は洋画、それも古い映画が大好き。本は外国文学。ドラマは洋物。サッカーは海外チームと代表の応援、という思いっきり偏った嗜好で、天の邪鬼に感想を語ります。但し、脱線話題多し。

 

アメリカ女優のジーナ・ローランズが、8月14日に逝去しました。享年94。

米ウィスコンシン州出身。父はウィスコンシン州の上院議員であり、母は画家という恵まれた家に育ちます。

 

奨学金を得て演劇を学び、ウィスコンシン大学を卒業後、53年にNYに移りアメリカン・アカデミー・オブ・ドラマティック・アートに学びます。ここで生涯の伴侶、ジョン・カサヴェテスと知り合い54年に結婚。その後ブロードウェイで『七年目の浮気』の代役に選ばれ、そのまま公演終了まで出演します。

 

 

 

次の出演作『夜の真中で』は1年半のロングランを記録しブロードウェイ・スターの仲間入りをします。57年、MGMと5年契約を交わして映画デビュー。姐御肌のたくましい女性というイメージで、特に夫の監督作での評価は高く、どれも好演で、74年の『こわれゆく女』と、80年の彼女の代表作である『グロリア』ではアカデミー主演賞にノミネートされました。TV界の方では50年代から多数のドラマに出演。TVシリーズ『87分署』では主人公の妻役でレギュラー出演もしていました。89年、カサヴェテスと死別以降も独特の貫禄で多数の作品で好演し続けています。性格俳優兼監督のニック・カサヴェテスは息子で、彼が監督した2004年の『きみに読む物語』にも出演しています。ジェームズ・ガーナーさんとの共演で、認知症の女性に、ガーナーさんが物語を読んであげるという設定でしたが、この映画では涙を誘いましたね。

 

2015年には、長年にわたる功績をたたえられ、アカデミー名誉賞を贈られました。

 

ジーナ・ローランズといえば、真っ先に『こわれゆく女』と『グロリア』が思い浮かびます。前作では、神経的がピーンと張ったヒロインを演じ、なんとも息苦しいぐらいに繊細な作品でした。一方の『グロリア』は、子供嫌いの殺し屋が子供を守ってハイヒールで銃をぶっ放し闊歩する、というまあ、なんとも格好良い役でした。あのとき、ついていた映画の宣伝文句も格好良くて何かと口ずさんでいたものなのですが、忘れてしまいました。「グロリア、あんたは、タフでなんとかで優しいよ」とかいうものでした。

 

 

76年の『パニック・イン・スタジアム』も忘れられない映画です。スタジアムで、犯人が銃の乱射を始めるというパニック映画ですが、ジーナは、デヴィッド・ジャンセンと夫婦役を演じ、色々と喧嘩していました。喧嘩していて、銃の乱射に気づかなかったのです。

 

他にも、『オープニング・ナイト』『私の中のもうひとりの私』『愛に迷った時』『マイフレンド・メモリー』などに出演しています。

 

また、『ナンバーズ』『名探偵モンク』『NCIS~ネイビー犯罪捜査班』などにもゲスト出演しています。遺作は、『インフェクション~感染』。

 

天国でご主人と安らかにお休みください。