楽しんで木・自然素材・土壁の家づくりをするために -4ページ目

木も鉄も素地が一番いい。

「25坪の家」
階段・吹き抜け手摺つきました。
階段とか吹き抜け周りって開放感が欲しいので、手すりに存在感があるとうるさくなるんです。

存在を消しつつも、主張する。
この矛盾と思える課題が難しい。

もっとも信頼している金物やさんKANAMONO工房さん にアイデアを出してもらい、いいものを作ってもらいました。
16φの手摺。
限界に近いくらい細い寸法の手摺です。 
細いので、中が空洞のパイプでは強度的に持たないので、芯まで詰まっている無垢棒を使っています。

素材は、黒皮鉄。
また、鉄の素材をそのまま生かすために、塗装をせずに、無垢板のフローリングでも使う蜜蝋(ミツロウ)仕上げにしています。

木と同じで、あまり塗装をして素地の表情を消してしまうのは好きではなくて、素材そのものの表情・肌触り、色が移りゆく変化を楽しめるように自然系のワックス仕上げにしています。

木そのままの無垢板に鉄そのままの黒皮鉄。
合わないわけがないよねー。

2つ目のこだわりとして、
手すりを切らずに一筆になるように、熱で曲げ加工してもらってるんです。手作業なのがすごい。



あと一つ取付のブラケットをちょっとこだわってみました。
私ではなく、金物屋さんの金城さんのアイデアですが・・・

出来るだけ小さく丸に。

なかなか可愛らしくないですか?
細部まで妥協をしない。これこそ職人技。
踏み板の小口にも小さなブラケット。

お客さんもイメージ通りで喜んでいました。
小さな吹き抜けなので、圧迫感がでないようにしたいと思ってましたが、見事に存在感はないけど、主張はしっかりしたものができました。

職人さんといいアイデアを出し合って、限界まで挑戦するってホント楽しい。

言うだけでのわたしで、造る職人さんは大変だろうけど・・・

ひとつのコンセプトに沿って、それぞれのこだわりが交じり合うことで、大きな空間が生きてくるのだと実感できました。








屋根の形状・向き・勾配の根拠

「ホタルの家」足場がおリました。


施主さんと建物を眺めてる写真。平和だなーと改めて思います。

写真では大きい建物のように見えますが、1階30坪であとはロフト(天井1700mm~2300mmあるので2Fですが)なので、それほど大きくありません。

「屋根の形がインパクトあるね」とよく言われるのですが、意匠的にというよりも、必要な高さ、空間取りをするとそうなったんです。

何がいいたいかと言うと意味もなくこんな形になった訳ではないですよーということなんです。(笑)

屋根の計画したときをちょっと振り返ってみます。

この土地の周辺には、360°建物がなく、東西南北それぞれ違う景色があって、それをどのように家に取り込むのか?そのために、屋根を東西に流したほうがいいのか?南北に流したほうがいいのか?

悩みました。

北の方角の山の形が綺麗で、優雅な感じがしたので、家の中からでもこの山や空が見えたらいいなと考えていたんです。


そのためには高いところにガラスがいるので、屋根が下ってくる軒側には高窓を造るのは難しいかなと漠然と考えていたんです。
けらば(軒がない方)側の矢切の部分にFIXガラスを入れるのがいいかなと思っていました。

また、アプローチは西からなので、玄関は平入(軒がある方)の方がなんとなくイメージが沸く。
(昔から妻入り(△側)、平入(軒がある方)って昔から意味のあるもので、建物や用途、地域などによって決められていたみたい。)

そのなこんなで東、西に屋根を流すことに決めました。

高台にある隣接した南面道路が屋根のようなUP、DOWN勾配になっているので、車でそこを通ると、屋根に登って、降りていく感じになるんで、調和してる感じがします。

、屋根の軒を玄関庇と兼用としてすっきりとさせてます。


■屋根の勾配

玄関の庇を付けるのはあんまり好きではないので、玄関の庇と軒は兼用と考えていて、軒を玄関の庇の高さにあうように、できるだけ軒は低くしたい、

また、昔の家のように、柿とかその他野菜など、軒にぶら下げて乾かせるよう、手が届くほどの軒の高さにしたい。
軒先から屋根に登って遊ぶってのもいいかなとか想像してました。


ちょっと間取りの話を挟みます。
LDKは開放感がある少し高い天井が欲しい。その他の洗面・トイレ・浴室・寝室の部屋は高い天井は必要としない。

そのため、洗面、、トイレ・寝室などを東側にまとめて配置し、その上にロフトを設けることにしました。

ロフトの勾配天井の最低寸法を一般男性の身長の高さ1750mmとし、先ほど決めた玄関の軒の高さと線で結んで、勾配を決定しました。その結果3.2寸勾配になりました。

反対側の短い屋根は、ロフトの中心部に棟をもっていき、棟の点と1750mmと設定したロフト桁高の点を結んで、屋根の勾配を決めました。西面の大屋根とは異なる2.2寸勾配になっています。



両側で勾配が違うというのも珍しいですが、違和感なくできました。

屋根の形はいろんな要素が混ざってこのような形になったんです。




土壁 大直し

1月中はとても寒く、荒壁の土がなかなか乾かず、「これでいつになったら濡れるんだろ?」と思っていたんですが、やっと室内の土壁が塗れるようになりました。

乾いていない壁に塗ってしまうと、仕上げの壁が割れちゃったり、浮いてきたりするので、見切り発車はダメダメ。

荒壁は塗りの精度よりもとにかく厚みのある土を塗りつけているので、表面が凸凹していてその上、乾いた荒壁はひび割れているため、仕上げをするためには、ある程度平滑にし、ひび割れのところを直す作業に入ります。

それを「大直し」というのですが、荒壁土よりも、目の細かい土と細かい藁、砂分も荒壁時よりも多く入れたものを使います。


荒壁の土と比べると見るからに綺麗な土。
左官屋さんの荒壁の豪快さではなくて、繊細な動きになっています。



土をアップにした写真。
荒壁の乾燥によって木と荒壁に隙間が出来ています。それを修正するように塗り重ねています。


竹小舞を編んで荒壁を塗った外周部周り以外の内部の壁は土が付くように、ラススポード(石膏)下地の上にプラスター(石膏)を塗って、乾かないうちに土壁を塗ってます。

乾かないうちに、塗ることを専門用語で追っ掛け(おっかけ)っていうんです。

水引きの加減を見ながら、塗るタイミングを図るみたいなんですが、左官とは実に奥が深いもんです。


上の写真はラスボードの上にプラスター(石膏)を塗っているところ。


追っ掛けで中塗りを塗ってます。

土壁ってほんと、何回塗りんだろうというくらい塗ります。
荒壁表裏で2回、貫伏せ1回、大直しで1回、中塗り1回、漆喰などの仕上げをする場合1回、計6回も塗るんです。

手間かかりますが、70mmもの土を塗れば、夏の湿気はかなりすってくれ活躍してくれることでしょう。


次は、やっと中塗りの仕上げ工事にはいります。
また、見に行こ。












壁・天井の塗り壁 薩摩中霧島壁

25坪の家

LDKに塗り壁を塗っています。



今回は漆喰、珪藻土ではなく、薩摩中霧島壁。

外壁によく使うそとん壁 とおなじシラスを原料としています。

シラスは67%が珪酸でできていて、多孔質な構造なので、その凹凸の部分に水分を溜め込むことができるため、調湿性があるんです。

また、質感もいいので、部屋の雰囲気も柔らかくなります。
また無垢板との相性もいいです。

その他、消臭機能やマイナスイオン放出など自然素材ならではの特徴がありますので、興味のある方はメーカーのHP みてください。

今回利用したものは薩摩霧島壁ライトといって通常の塗厚よりも少し薄い2.5mmの(設計価格3,990円/m²) のものを使っています。

クロスは嫌だけど、左官はちょっと高すぎるという場合にはこれいいですよね。

ちなみに薩摩霧島壁 5mmは設計価格,187円/m²です。 

パターンも色々あるのですが、今回は写真のような、クシを引いて仕上げています。




左の壁が仕上げっているのですが、違いがわかります?
塗っぱなしよりもちょっと上品ですよね。

25坪の家 庭の計画

25坪の家、庭の打ち合わせに入っています。



まず初めに、庭はどれだけ敷地がちいさくても・家が小さくなっても取り入れる方がいいです。
庭によって暮らしの豊かさは明らかにかわります。

建物に目一杯費用をかけて、庭にかける費用がなくなったしまったってことはよくある話なんで、建物を計画する際に、外構の費用をあらかじめ残しておいてください。

ほんとにが我慢してくださいね。

30坪~50坪の敷地なら150万~200万円くらいは欲しいですかね。(オープンのアプローチの場合)

今回は150万円くらいの費用で検討です。
ここの敷地は、住宅街ではあるけれど、好都合に道路挟んだ南には家が建つことがない、開けた畑がありります。

ですので、陽当たりが良く、室内から目線も通るので開放的な庭にできそうです。


塀や門柱などはあまり費用をかけず簡素なものとし、できる限り緑を取り入れるように計画しました。

その一つの例として、
道路との高低差が40cm~50cmあるのですが、



上の写真は解体前のものですが、ブロックが6~7段積んでました。
まだ綺麗なので、このままブロックを使ってもよかったのですが・・・



お客さんと考えに考えたたすえ、とりあえずブロック塀は撤去しました。
新たにブロックを積んで擁壁を設けて土を区切るのは費用かかるし、無機質になるし。

土が崩れない30°以下の法面として、保水できるように植物をいれようということになりました。
上の写真は30°以上あります。外構時にもう少し勾配を緩めます。

また、せっかくなんで、石のアプローチの両側には少し高めの木を入れて、木の間を通って玄関に行けるようにしました。 

いつもアプローチは意識していて、可能な限り長ーく取りたいなと思っています。

というのも、家に帰ってすぐに玄関となると、なんとなく仕事モードと家庭モードのスイッチを切りかえができないような気がするので、アプローチはとても大事ではないかと思うのです。

主婦の方も同じで、子供をおいて外出し、家に帰ってくると、主婦モードに切り替えないといけませんよね。

その切り替えってけっこう難しいような。
玄関までのちょっとしたアプローチでスイッチを切ってもらいたい。

そうなればいいなと考えています。
アプローチに咲く花や植物を見れば少しは癒され自ずと寛容になれそうな気がするのですが。

庭は室内空間にもいい影響をあたえるんです。

LDKに面してデッキを設けることで、、外部との境界が曖昧になり、もうひとつの延長リビングができ、室内にいても、視覚的に広がりと奥行きが出ますので、LDKが大きくなったように感じます。

今回敷地の影響により、南だけでなく、北にも庭を設けれるので、LDKが南北の庭で挟まれるため、、風も目線もかなりとおります。
そのため、LDKの居心地はいいと思います。
できあがったらまたお見せします。

また、南に吹き抜けを設けましたので、南の植栽は家の中にどーんと映ってきます。

視覚的な要素はとても大事で、ゆとりある庭を必要箇所に面することで、より空間はいいものになります。

どんなに広い室内空間を造っても4方ふさがりなら息苦しいですからね。


































































フローリングに杉30mmを使う理由

床に使うフローリングは杉がもっとも適している。

そう確信したのはつい最近のことです。

以前から私自身では杉がいいと思っていたのですが、私の自己満足だけでは勧められないなと思っていたんです。

私の足の裏、結構敏感で、足の裏を手で押すだけで痛いんです。( 内臓が悪いのかもしれませんが(笑))。

新建材のフローリングはもちろん、無垢の板でも一般に使われているナラやメープルといった広葉樹フローリングの上にスリッパなしで5分を立っていたら痛くてすぐに座りたくなります。

広葉樹よりもやらかい桧やカラマツでさえダメで唯一杉だけが何時間立っていても痛くならないんです。

スリッパを履けばある程度解消されるのですが、常にスリッパを履いているのもめんどくさいし、靴下でさえ脱ぎたくなるんです。

ですので、固くて冷たいフローリングでは・・・
だけど、私の足事情でお客さんに提案するのもね?なんて思っていたんですが

以前建てさせて頂いた住まいの見学会で、
そのおうちには1階のLDKの床に唐松、洗面に桧、2階寝室に杉を使っていました。

びっくりしたことに、時間が経つにつれ、子供たちはみんな杉の床に集まり、座ったり、這いつくばったりして遊んでいました。その他の樹種の床には座ろうともしませんでした。

子供の肌は柔らかくて敏感なんで、体が自然に反応して杉なら大丈夫とわかって、床で遊ぶ回っているのだなと思いました。

[私が思っていたことが小さな子供達が証明してくれた」と思いました。

ところで、みなさんはフローリングを選ぶ際、何の基準で決めてますか?
おそらく、どの樹種のフローリングが柔らいか硬いまではあまりピンとこないので、家の雰囲気にあった、見た目のいいやつを選んでいるのかもしれません。

無垢のフローリング好きな方は結構多いですが、フローリングにクッションを敷いて座るなど、直接フローリングに座らない方が多いような気がします。
ちょっともったいないかもしれません。

もともと日本の生活は、畳に座って座卓で御飯を食べ、布団を敷いて寝ていたように、床に座るという習慣があるので、気軽に座れたら嬉しいと思うんです。

杉ってほんとイイくらいにやらかいし、温かいので、ダイレクトに座ることができます。
けっして大きくない部屋であれば、ソファーや椅子がなくても座卓で生活できます。


ところで、杉が一番柔らかくて足触りがいいのはなぜなのか?
物理的な見解をすると、

木材を顕微鏡でみると隙間(すきま)だらけで、体積の半分以上はこの空隙でできています。
木材の繊維単体の重さはあまり変わらず、空気がどの位入っているかによって木の硬さ・やわらかさが決まります。

杉 気乾比重 0.38 桧 気乾比重 0.41 唐松 気乾比重 0.53

気乾比重とは、
木には空気以外にも水を含んでいるため、樹種の違いの硬さを比較するには、含水率を同じ条件でする必要があります。

含水率(15%くらい)を一定にしたときの比重を気乾比重といいます。
ですので、気乾比重は樹脂の硬さを比較することができます。

杉が一番低いということは杉が一番空気を多く含んでいるということで、
ペアガラスでわかるとおり、空気層が多いと断熱性能が高いです。

だから杉が温かく、柔らかいんです。

私の使っている杉のフローリングは30mmの厚さのもので、フローリングとしての標準でもある15mmの厚さだと、薄すぎて下地の固さの感触が伝わってきて固さを感じてしまいます。

また、熱で圧縮した杉のフローリングもあるのですが、それは圧をかけることで、空気層がなくなるため、本来杉が持っている柔らかさや温かさがありません。

ですので、30mm以外はあまりおすすめしません。

柔らかい長所が故に、傷つきやすいという短所があります。
少しの傷も嫌というのであれば杉というか無垢板はおすすめできません。

傷といっても、無垢板の機能としては全く問題なく、生活する中で色合いが深みを増して木の樹脂によって表面がツルツルになっていく杉は、傷も含めて味わい深いものになります。

生活をし傷を付けながら木の経年変化を楽しむ。

「古美ていく」楽しみの一つです。

長くなりましたが、私は見た目よりも肌触り、居心地の良さを重視するので、今のところ杉以外いいのが見当たりませんので、杉以外はおすすめはしていません。

昨年を振り返って。

昨年を少し振り返って。

昨年から始まり今年三月に竣工する新築が2件あります。
以前からブログでUPしている「蛍の家」「25坪の家」のことなのですが、
おかげさまで終始「楽しく」取り組むことができました。

年末年始にお客さんから「完成が楽しみですが、あと少しで終わってしまうのが、寂しいような気がする」と温かいお言葉も頂けたので、少しは私と同じように楽しんでくれたのかなと自負しています。

お客さんは私のブログを見てくれていて、共感してもらえた部分が多かったこともあり、スムーズに進めることができたような気がします。

いい家づくりにするためにはどうしたらいいのか?
その答えが私には少し見えたような気がします。

「信頼関係」が一番大事だといえば、なにか、薄っぺらく、上っ面な感じもするので・・・

「共感し合える関係」といった方がいいでしょうか。

お客さんと私「建築士」が家づくりの考えや趣向が同じ方向を向いていることが大切なのではないかと思うのです。

そのベクトルが同じ方向を向いていれば、肩肘を張ることもなく「家づくり」が楽しくできるのだと思うのです。

どちらの家も25坪から30坪といった、世間一般では「小さい家」になりますが、私は小さな家だからこそむしろ豊かな暮らしができると考えています。

「豊かな暮らし」ってただただ高価に見える素材や数値的な広いスペースといったゆとりから生まれるものではないような気がするんです。

居心地の良さこそが贅沢なものではないのかと思っています。

横(平面)や縦(立面)の無駄なスペースはそぎ落とし、必要最小限のスペースによりいい自然素材を使い・風の流れや光を最大限家全体に行きとどかせ、どこにいても四季を感じ取れる居心地の良い空間を目指す。

小さいゆえに起こりうる圧迫感は、庭や借景を通した視界の広がりや高低差、明暗の演出を利用することで、ゆとりは生まれます。

掃除きらいで物をあまり持ちたくない私の発想ですが、もしかしての予備スペースや意味をなさないスペースは贅沢なものではなく無駄な手間のかかるものだと思います。
生活していて居る場所って結構限定されていて、25坪くらいが許容範囲だと思うのですが。

「居心地の良い空間」の大切な要素の一つとして、土、無垢板といった自然の素材があげられます。

「蛍の家は」土壁で取り組んでいて、25坪の家も内装の壁や天井には薩摩中霧島壁(火山灰)です。
床には肌触りがよく、あったかい杉、カウンターや家具、建具のちょっとしたところにはチークやチェリーといった広葉樹を取り入れ、日増しに味わい深くなる素材を使っています。

また、庭、借景をリラックスできる空間で眺めることができるようにしています。

温熱環境として、どちらも薪ストーブを入れる予定で、この一台で冬は完全にまかなうことができます。。夏は補助としてエアコンを設置するけれど、風が通り抜けることができるので、快適なのではないでしょうか。

どちらの家も贅沢な感じはしますが、それはあまり余るお金があるわけでもなく、面積が小さいがためになせる技なんです。

家づくりって面白くて、高価であればいいものができるとは限らず、それよりも「住む感性」のほうが大事だと思います。

それは、家づくりに限ったことではなく、私の周りでも、生き方がオシャレだなとか、なにかとセンスあるなと思う人はいますが、決してお金持ちではないです。

感性が豊かなんだと思います。

ちょっとそれましたが、
周りの景色・庭を眺めたい
風や光といった自然を感じたい
四季を楽しみたい
経年変化する自然素材を使いたい

このあたりがお客さんと共感し合えたんではないかと思います。

2つともいい家になります。
「1年以上も建てる会社を探した」「予算上量産型の家しか建てれないとあきらめかけていたけど、奥さんの家づくりに対する執念」

が実を結びそうです。

ですので、みなさんもあきらめず、持っている感性を大事に共感しあえるプロを見つけ楽しむことがいい家になる秘訣なんだと思います。

それが私になればなお幸いですが・・・
今後もこのような家づくりができ、面白いお客さんの感性に触れて楽しめたら最高です。













土壁の断熱なんて期待しない。付加断熱で土のよさを活かす。

土壁の家って寒いと印象がありますよね?

昔からの土壁の日本家屋は断熱材というものもなく、身近にあるなかで、使えそうな土だけで断熱していました。
屋根もしかりで、屋根に土をたくさん盛ることで断熱をしていたのですが、震災の際に屋根が重たいことにより、屋根から沈み込む建物が多く見られました。

土で断熱って無理があるんでしょうね。

そもそも現代の断熱材と比べると、1/20の断熱性しかないので、そら寒いですよね。

それでも暮らせていけていたのは、土の蓄熱性のおかげなんだと思います。
昔は、今と違って、囲炉裏や暖炉で長時間火を焚いて、生活していて、土の蓄熱性のおかげで、熱が逃げにくかったのでしょう。



今回は壁の土の外側に高性能のポリスチレンの3種(スタイロEX 熱伝導率 0.024W/mK)の断熱材を入れてます。

土には断熱させない。土は調湿性と蓄熱性のみを期待する。
この考えです。

土壁に付加断熱を入れると、断熱性能が上がるだけでなくて、
より土の「蓄熱性」もより活きたものになるんです。

冬の場合

蓄熱された壁は断熱材のおかげで、熱が逃げにくくなるため、少ないエネルギーで、安定した室内環境を得ることができる。

外部の気温の変化に左右されることなく、緩やかで生活しやすい室内の温熱環境を得ることができる。

夏の場合
断熱材のない土壁は夏の日射にのより土は暖められ、夜に部屋内へ暖気は流れるんですが、
断熱材を入れることにより、土が暖まることもない。

夏は湿気を取り除いてくれて快適ではあるが、冬は寒い従来の土壁は心配なくなり、四季を通じて快適です。



断熱材の上には耐力壁でもあるモイスを張ってます。


従来は壁の耐力は筋交いを利用していたのですが、筋かい部分に土が塗れない、竹が入れにくいこともあり、面材の耐力壁を利用することにしました。

また、モイスは調湿性があるので、壁体内の湿気や結露を通気層へ逃がすことができるので、安心です。

このあとは、通気層の胴縁を張って、その上にそとん壁を塗るための下地、バラ板、ラス、左官下地、仕上げとなかなか工程の多い外壁ですが、やるだけの価値は大アリです。





癒される空間

連休を利用して、2件のマンションリノベーションを見学に行ってきました。

みなさん、細部まで丁寧に設計されているなというのが率直な感想です。

スッキリと見せる工夫、居心地のいい空間にするための目線の通りかた、高低差の緩急。

あと、家具っていいなと思いました。


テーブルやいす。一生ものなので生活する上で結構大事になってくるんだと思う。

家具デザイナーさんの造る家具は美しい上に使いやすい。

「落ち着きのある照明に無駄のない空間で、居心地のいい椅子に座り、景観を楽しむ。」

癒される空間こそいい空間。それを造るのが設計者の仕事。
私はそう思います。

「生活を豊かにする」って広い空間や贅沢なもの使うということではなく、ちょっとした設計工夫で手に入るような気がしました。

空間作りって、間取りを考えるといったわかりやすいものだけでなく、照明、素材、演出、ディティールどれも必要で、それが合いまったときにいいものはできるんだと思う。

だから難しく面白く、わかりやすい答えがないんだろう。


これからも「癒される空間」をどれだけ目指せるかを追求したいなと思う2日間でした。

土壁 裏返し

外周部から荒壁を塗り、約一週間が経ちました。

引き続き、室内側から外周部で塗った土と同じものを塗っています。これを「裏返し」というんですが。

室内の壁は見え掛かりとなるので、外から塗った時よりも慎重に進めないといけないんです。

貫が入っているところは木が収縮したりとかして、室内の壁がひび割れしちゃう可能性があるんで、昔は貫のところに長いスサを入れて、壁が割れないように工夫をしていました。( 貫伏せ)

現在はより強力な、ガラス繊維のファイバーテープというものを使っています。
さかん屋さんが「こっちのほうがいいよ。」と見せてくれました。



これを貫のところに土と一緒に塗りこんで、準備はOK。


写真を見るとキレイに仕上がっているので仕上げのように見えますが、これで完了ではないですよ。

土を乾燥させて割れたところを利用して、今塗った土よりも細かい粒の土でまた塗り重ねていきます。

これだけ多くの土をぬるんだから、調湿性は期待できますよね。