フローリングに杉30mmを使う理由 | 楽しんで木・自然素材・土壁の家づくりをするために

フローリングに杉30mmを使う理由

床に使うフローリングは杉がもっとも適している。

そう確信したのはつい最近のことです。

以前から私自身では杉がいいと思っていたのですが、私の自己満足だけでは勧められないなと思っていたんです。

私の足の裏、結構敏感で、足の裏を手で押すだけで痛いんです。( 内臓が悪いのかもしれませんが(笑))。

新建材のフローリングはもちろん、無垢の板でも一般に使われているナラやメープルといった広葉樹フローリングの上にスリッパなしで5分を立っていたら痛くてすぐに座りたくなります。

広葉樹よりもやらかい桧やカラマツでさえダメで唯一杉だけが何時間立っていても痛くならないんです。

スリッパを履けばある程度解消されるのですが、常にスリッパを履いているのもめんどくさいし、靴下でさえ脱ぎたくなるんです。

ですので、固くて冷たいフローリングでは・・・
だけど、私の足事情でお客さんに提案するのもね?なんて思っていたんですが

以前建てさせて頂いた住まいの見学会で、
そのおうちには1階のLDKの床に唐松、洗面に桧、2階寝室に杉を使っていました。

びっくりしたことに、時間が経つにつれ、子供たちはみんな杉の床に集まり、座ったり、這いつくばったりして遊んでいました。その他の樹種の床には座ろうともしませんでした。

子供の肌は柔らかくて敏感なんで、体が自然に反応して杉なら大丈夫とわかって、床で遊ぶ回っているのだなと思いました。

[私が思っていたことが小さな子供達が証明してくれた」と思いました。

ところで、みなさんはフローリングを選ぶ際、何の基準で決めてますか?
おそらく、どの樹種のフローリングが柔らいか硬いまではあまりピンとこないので、家の雰囲気にあった、見た目のいいやつを選んでいるのかもしれません。

無垢のフローリング好きな方は結構多いですが、フローリングにクッションを敷いて座るなど、直接フローリングに座らない方が多いような気がします。
ちょっともったいないかもしれません。

もともと日本の生活は、畳に座って座卓で御飯を食べ、布団を敷いて寝ていたように、床に座るという習慣があるので、気軽に座れたら嬉しいと思うんです。

杉ってほんとイイくらいにやらかいし、温かいので、ダイレクトに座ることができます。
けっして大きくない部屋であれば、ソファーや椅子がなくても座卓で生活できます。


ところで、杉が一番柔らかくて足触りがいいのはなぜなのか?
物理的な見解をすると、

木材を顕微鏡でみると隙間(すきま)だらけで、体積の半分以上はこの空隙でできています。
木材の繊維単体の重さはあまり変わらず、空気がどの位入っているかによって木の硬さ・やわらかさが決まります。

杉 気乾比重 0.38 桧 気乾比重 0.41 唐松 気乾比重 0.53

気乾比重とは、
木には空気以外にも水を含んでいるため、樹種の違いの硬さを比較するには、含水率を同じ条件でする必要があります。

含水率(15%くらい)を一定にしたときの比重を気乾比重といいます。
ですので、気乾比重は樹脂の硬さを比較することができます。

杉が一番低いということは杉が一番空気を多く含んでいるということで、
ペアガラスでわかるとおり、空気層が多いと断熱性能が高いです。

だから杉が温かく、柔らかいんです。

私の使っている杉のフローリングは30mmの厚さのもので、フローリングとしての標準でもある15mmの厚さだと、薄すぎて下地の固さの感触が伝わってきて固さを感じてしまいます。

また、熱で圧縮した杉のフローリングもあるのですが、それは圧をかけることで、空気層がなくなるため、本来杉が持っている柔らかさや温かさがありません。

ですので、30mm以外はあまりおすすめしません。

柔らかい長所が故に、傷つきやすいという短所があります。
少しの傷も嫌というのであれば杉というか無垢板はおすすめできません。

傷といっても、無垢板の機能としては全く問題なく、生活する中で色合いが深みを増して木の樹脂によって表面がツルツルになっていく杉は、傷も含めて味わい深いものになります。

生活をし傷を付けながら木の経年変化を楽しむ。

「古美ていく」楽しみの一つです。

長くなりましたが、私は見た目よりも肌触り、居心地の良さを重視するので、今のところ杉以外いいのが見当たりませんので、杉以外はおすすめはしていません。