神の国が到来して、人間による支配に終わりをもたらすことは、聖書の中で一貫して述べられている預言です。その時、神の裁きを受ける最後の世界強国についても、一貫して一つの帝国、すなわちローマ帝国を指していることを知ることは、預言を解釈する上で大切です。
バビロンの王ネブカドネザルが見た、金、銀、青銅、鉄で出来た巨大な像の意味は、ダニエルによって解き明かされ、バビロンに続く四番目の世界強国が神の国によって亡ぼされます。
その像の頭は純金、胸と両腕とは銀、腹と、ももとは青銅、 すねは鉄、足の一部は鉄、一部は粘土です。 2:34あなたが見ておられたとき、一つの石が人手によらずに切り出されて、その像の鉄と粘土との足を撃ち、これを砕きました。(ダニエル2:32、34)
それらの王たちの世に、天の神は一つの国を立てられます。これはいつまでも滅びることがなく、その主権は他の民にわたされず、かえってこれらのもろもろの国を打ち破って滅ぼすでしょう。そしてこの国は立って永遠に至るのです。(ダニエル2:44)
7章に記された、ダニエル自身が見た四つの獣の幻も、同様の預言となっており、8章まで続くみ使いによる解き明かしによれば、ギリシヤに続くローマ帝国が最後の裁きを受けて滅ぼされることが繰り返し述べられています。
『この四つの大きな獣は、地に起らんとする四人の王である。しかしついには、いと高き者の聖徒が国を受け、永遠にその国を保って、世々かぎりなく続く』。(ダニエル7:17、18)
あなたが見た、あの二つの角のある雄羊は、メデアとペルシャの王です。 また、かの雄やぎはギリシヤの王です、その目の間の大きな角は、その第一の王です。 (中略)彼らの国の終りの時になり、罪びとの罪が満ちるに及んで、ひとりの王が起るでしょう。(中略)彼は悪知恵をもって、偽りをその手におこない遂げ、みずから心に高ぶり、不意に多くの人を打ち滅ぼし、また君の君たる者に敵するでしょう。しかし、ついに彼は人手によらずに滅ぼされるでしょう。(ダニエル8:20-25)
とは言え、今は英米世界強国が支配する世界となっているので、これらの預言は間違っているのでしょうか。この疑問に対する答えが、黙示録13章に記されています。
わたしはまた、一匹の獣が海から上って来るのを見た。それには角が十本、頭が七つあり、それらの角には十の冠があって、頭には神を汚す名がついていた。 わたしの見たこの獣はひょうに似ており、その足はくまの足のようで、その口はししの口のようであった。龍は自分の力と位と大いなる権威とを、この獣に与えた。(黙示13:1、2)
わたしはまた、ほかの獣が地から上って来るのを見た。それには小羊のような角が二つあって、龍のように物を言った。そして、先の獣の持つすべての権力をその前で働かせた。また、地と地に住む人々に、致命的な傷がいやされた先の獣を拝ませた。 また、大いなるしるしを行って、人々の前で火を天から地に降らせることさえした。 さらに、先の獣の前で行うのを許されたしるしで、地に住む人々を惑わし、かつ、つるぎの傷を受けてもなお生きている先の獣の像を造ることを、地に住む人々に命じた。 それから、その獣の像に息を吹き込んで、その獣の像が物を言うことさえできるようにし、また、その獣の像を拝まない者をみな殺させた。 また、小さき者にも、大いなる者にも、富める者にも、貧しき者にも、自由人にも、奴隷にも、すべての人々に、その右の手あるいは額に刻印を押させ、この刻印のない者はみな、物を買うことも売ることもできないようにした。この刻印は、その獣の名、または、その名の数字のことである。 ここに、知恵が必要である。思慮のある者は、獣の数字を解くがよい。その数字とは、人間をさすものである。そして、その数字は六百六十六である。(黙示13:11-18)
海から上ってくる獣(緋色の野獣)は、ダニエルの幻に表れた四つの獣の特徴を有しており、その特徴は四番目のローマ帝国に合致します。一方、地から上ってくる「ほかの獣」は「先の獣」の持つすべての権力を働かせ、その像を造って人々に拝ませたたり、獣の刻印を強制したりするのですから、先の獣の代理者、その獣そのものであるとも言えるでしょう。
この獣に「子羊のような角が二つある」ことは、キリスト教を装った二つの主要な国、英国とアメリカ合衆国を表しているように思えます。ローマ帝国の版図を継承し、ローマ文字を用いる欧米諸国は、何よりもローマ帝国が制定した三位一体の神を信奉する点で、まさにローマ帝国の継承者であり、聖書の歴史観点からは、ローマ帝国そのものであると言えるでしょう。
従って、世の終わりに関する聖書預言の成就において、主要な役割を演じ、また神の国に取って替られるのは、ローマ帝国の末裔としての英米世界強国また西欧諸国であり、中国やロシヤ、あるいはインドといった国々が、重要な役割を果たしたり、米国にとって代わったりすることなどあり得ないのです。