ご訪問くださいまして、

有り難うございます。

 

れっつごうです(^^)

 

私は、小説を読んでから、

その映画を観ることは、よくあるのですが、

 

映画を観てから、

小説を読むことは、あまりありません。

 

が、その例外として、

映画がとてもよかったので、

思わず小説を読みたくなった本がこれ!

 

平野啓一郎さんのベストセラー小説、

ある男

 

 

映画は、2022年の上映なので、

少し前になりますが、

ちょうど今、

アマゾンプライムで見れます(^^)

 

で、何気なく観てみたのですが、

これは、なかなかの作品です!

 

日本アカデミー賞で

最多の8部門を

受賞しているだけのことはあります。

 

主役の弁護士役の妻夫木聡さんと、

謎の人物役の窪田正孝さん、

未亡人役の安藤サクラさん・・・

それぞれ、いい味だしています。

 

小説では、

映画では触れなかった箇所もあり、

より重層的に物語が語られていますが、

 

映画のほうが、

ラストがショッキングというか、

「えっ、どういうことなの?」

というような終わり方になっています(^^;

 

物語の内容をちょっとだけ・・・

 

「愛したはずの夫は、

まったくの別人であった」

 

というキャッチフレーズにあるように、

 

亡くなった夫が語っていた過去が、

まったくの別人のものだったことが、

発覚するんですね!

 

それを弁護士が調査していく中で、

様々な事実が

浮き彫りになってくるのですが・・・

 

そこには、

差別や偏見の問題、死刑制度の是非、

子育てに関する問題・・・など、

 

思わず考えさせられるような、

テーマが散りばめられています。

 

謎解きの要素もあり、

もちろん、

ストーリーにも、

ぐいぐい引き込まれていくのですが、

 

私の中で、印象に残った箇所のみ、

ちょっと引用させていただきますね。

 

まずは、

(序)の部分から・・・

 

 

小説家は、

意識的・無意識的を問わず、

いつもどこかで

小説のモデルとなるような人物を

捜し求めている。

 

ムルソーのような、

ホリー・ゴライトリー

のような人が、

 

ある日突然、

目の前に現れる

僥倖(ぎょうこう)を

待ち望んでいるところがある。

 

 

ムルソーは、

私、ピンとこなかったのですが、

調べたら、

カミュの代表的な不条理小説

「異邦人」の主人公の名前ですね(^^;

 

ホリー・ゴライトリーとは、

「ティファニーで朝食を」

の主人公でした。

(読んだことありません(^^;)

 

 

モデルとして相応しいのは、

その人物が、

極めて例外的でありながら、

人間の、或いは時代の一種の

典型と思われる何かを

備えている場合で、

 

フィクションによって、

彼または彼女は、

象徴の次元にまで

醇化されなければならない。

 

 

・・・難しい表現ですが、

つまり、

 

小説のモデルにふさわしいのは、

一見、珍しく見えるが、

実は、今の世相の、

典型的なものを備えている人であり、

 

小説家は、それを、

物語によって、

象徴的に際立たせる。

 

ということでしょうか。

 

そう考えると、

まさに、この物語の主人公は、

息苦しい今の時代における

「小説のモデル」

にふさわしい感じがします!

 

 

ルネ・マグリットの絵で、

姿見を見ている男に対して、

 

鏡の中の彼も、

背中を向けて同じ鏡の奥を

見ているという

《複製禁止》

なる作品がある。

 

 

ルネ・マグリットの絵画、

《複製禁止》は、

これです!

 

 

この作品が、

小説でも、映画でも、

象徴的に取り上げられています。

 

とても印象深いセリフがあります。

 

 

「(中略)

僕たちは誰かを好きになる時、

その人の何を

愛しているんですかね?

 

・・・出会ってからの

現在の相手に好感を抱いて、

 

そのあと、

過去までを含めて

その人を愛するようになる。

 

で、その過去が

赤の他人のものだと

わかったとして、

二人の間の愛は?」

 

美涼は、

それはそんなに

難しくないという顔で、

 

「わかったってところから、

また愛し直すんじゃないですか?

 

一回、

愛したら終わりじゃなくて、

長い時間の間に、

何度も愛し直すでしょう?

 

色んなことが起きるから。」

 

 

一回、愛したら終わりじゃなくて、

長い時間の間に、何度も愛し直す・・・

 

そうですね。

結果的に愛を継続させるには、

何度も「愛し直す」必要がある。

 

言い方を変えると、

一回愛したからって、

何度も「愛し直おす」ことをしなければ、

愛は継続しないのかな~

 

などと思いました(^^;

 

 

彼らもまた、

悲しみが極まって、

或いは追い詰められて、

或いは無理矢理に、

違う自分へと変身せざるを

得なかったのではあるまいか。

 

そして、

ある者は、

そのために愛され、

幸福を手に入れ、

 

またある者は、

更なる淪落を経験している。

 

 

作者の平野啓一郎さんは、

 

分人主義

というものを、打ち出しています。

 

人の人格、

すなわち「本当の自分」は、

ひとつではなく、

 

複数の人格すべてが、

「本当の自分」

だと捉える考え方です。

 

過去ブログでも、

紹介しました。

 

 

 

 

円グラフ、分数のように、

様々な人格の集合体が、

ひとつの円になり、

 

その円全体が、

「本当の自分」というものである。

 

人が幸せになるには、

円の中で居心地のよい

「分人」を創り出して、

その割合を広げていけばいい、

 

逆に、

居心地の悪い「分人」は、

たとえ、なくすことはできなくとも、

割合を意識的に少なくしていけばいい、

 

という考え方です。

 

この考え方は、

人が人生を歩んでいく中で、

とても「生きやすくなる」

可能性を秘めていると感じます。

 

この物語でも描かれているのですが、

人は過ちを犯すこともありますし、

 

たとえ過ちを犯さなくても、

そもそも、

生まれてくる環境は選べません。

 

その中で、

スティグマ(差別や偏見)

を背負うこともあります。

 

しかし、人は、

必ずしも、

それに縛られ続ける必要はないし、

いつでも、変わることができる。

 

自分の居心地のいい「分人」を創り出し、

それを育み、大きくしていくことができる。

 

もちろん、変わることによって、

必ずしも、幸せになれるとは限りません。

 

追い詰められて、

変わらざるを得ない場合もあるでしょうし、

かえって不幸になるリスクもある。

 

しかし、

少なくとも、人には、自由意志がある。

 

自分の人生を、

自分で選択する自由はあるのだ・・・

 

そんなことを考えました。

 

 

 

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これ以上続けると、

ネタバレさせそうなので、

やめておきますね(^^;

 

平野啓一郎さんのベストセラー小説、

ある男

 

 

映画も小説もおすすめします!

 

GWにお時間のある方は、

物語の世界にどっぷり浸ってみては

いかがでしょうか。

 

で、皆さんは、

映画から見るか?

小説から読むか?

(昔の角川商法か、(^^;)

 

 

 

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今回も最後までお読みくださいまして、

有り難うございました😊

 

次回は、別の本を紹介する予定です。

 

 

 

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おまけ写真集(^^;

 

 

日帰り出張、

新幹線、富士川の車窓から、

今回は富士山ばっちり🗻

 

今の季節、

雪の帽子の割合がちょうどいい感じで、

美しいですね!

 

 

 

豊橋の吉田城、ちら見できました!

 

 

 

豊橋市公会堂、ちら見。

独特のロマネスク様式が素敵です!

 

 

 

手筒花火発祥の地、

豊橋の吉田神社。

 

 

 

帰りの新幹線、

おなじ場所で日の入り前に、

 

ああ、やっぱり、

富士は神々しい・・・

 

 

 

 

ところ変わって、ウチの前、

コデマリ真っ盛り!

 

 

 

アップで撮っても、

美しいですね・・・

 

 

 

宮音の寝相特集!

 

 

 

面目ない・・・?

 

 

 

オツカレサマデシタ~😸