本日も知人の質問から。
モノが壊れたときの表現の仕方である。
私たちの周りでは実にいろんなものがよく壊れる。
モノが壊れるとトラブルになることも多いので、こういう小さな表現は知っていて損はないと思う。
質問してくれた知人は、壊れたモノの大きさによって、表現の仕方がちがうのかだとか、あるいは完全に壊れてはいないが、調子が悪いというようなときの言い方を知りたいという内容であった。
物が完全に壊れていて使えないような場合で、公共のものだと、張り紙がしてあったりする。
"Out of order"
「故障中です」
日本は修理をすぐしてくれる国なので、欧米より "Out of order" 「故障中です」の張り紙が少ないように思う。
そのほかのものもほぼサイズにかかわらず、"broken"「壊れている」という言葉を使って簡単に表現できる。
"My phone's broken."
「電話が壊れた」
"My watch is broken."
「時計が壊れている」
という風に。
ところが、完全に壊れたわけじゃなく、ちょっと調子が悪いという程度のときがある。
電球ならつくときもあれば、つかないときもあるだとか、テレビなどでいうと叩けば映るだとか、まったく動かないというわけではなく、半分壊れているような状態である。
口語表現ではあるが、こちらで老若男女使う言葉で、
"playing up" という。
年配の人でも普通に使う言葉なので非常に便利で、「なんだか調子が悪い」というときに役立つ。
"My PC is playing up."
「パソコンの調子が悪い」
"My TV is playing up."
「テレビの調子が悪い」
大きなものでも使える。
"My car is playing up."
「車の調子が悪い」
ついでにお腹の調子にも使える。
"My stomach is playing up."
「お腹の調子が悪い」
ちなみに体ではお腹しか使えない。
完全に壊れているというわけではないので、これから壊れていくという予告にも聞こえるが、だいたいモノというのは壊れかけてからが長いものなのである。
なので、叩いたり、振ったりしながら(もっと壊れそうだが)、完全に壊れてしまうまでは、だましだまし使う。
そうして、いつしか、
"My car is dead."
「車がうんともすんとも言わない」
とここへ行き着く。
哀愁さえ感じてしまうモノの壊れていき具合だが、やはり何事も順番があるように、普通に作動しているところから、完全に壊れてしまうまでの一番長い期間(短い場合もあるが)の言い方を知っていると、便利だと思う。
ところで、"play up" というのを辞書で引くと、結構いろんな意味が書かれているのだが、悪ふざけするだとか、大げさに言うとか、宣伝するとか、いろいろあるのだが、会話では、もうほとんど上記に説明した「調子が悪い」という意味以外では使わない。
なのでほかの意味は消去しておいていいであろう。
こんなこと言うと、辞書を作った人は卒倒するだろうな。
正確に言い換えると、たまに新聞の記事で使われることもあるが、新聞を英語で読まない人は消しておいてよい。
しかし、うちを見渡すとなんだかまともに作動しているものがない気がしてきた。
あれも、これも、それも、調子が悪い。
私の中では、
"○○ is playing up."
「○○の調子が悪い」
というのは、工夫すれば使えるということである。
最近は、PCの調子が悪い。
急にぶつっといきそうで毎日ひやひやである。
急に更新が途切れたらPCのご臨終だと思ってください。(汗
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英会話のフレーズ集なんかで、とても気になることがある。
困ったときだとか、レストランでだとか、友人同士の会話でだとか、いろんな表現がいろんなところで知ることができるようになった。
インターネットでもう調べられない表現はないんじゃないかと思うほどに。
その中でよく見るのが、
「○○をカッコよく言うには?」
だとか、
「△△をカッコよく言いたい」
という前置きといっしょに紹介されている英文である。
「カッコよく言う」という言葉に読者が弱いのか、過去によっぽど「カッコ悪い」思いをしたのか、定かではないが、とにかくそこらじゅうに「カッコよく言おう」という風潮がある。
何か英語で表現するのに、文法的に発音的に「正しい言い方」であるかどうかはわかりやすいが、「カッコいい」かどうかは、"context"「文脈」や会話の相手や、もっと細かいことをいうと、話し手の身なり、発音、話し方などが複雑に関係するので、この言い方が「カッコいい」という単純なことでもないといつも思う。
そして紹介されている「カッコいい」フレーズというのは大半が、ビジネス的な言い回し、あるいは文語体の表現を、そのまま口語文にしているだけだったりする。
例えば、好きという表現を
"I like Sushi very much." 「お寿司がとても好きです」
これを「カッコよく」言うと
"I love sushi." 「お寿司が大好き」
なんて書いてある。
どう見ても普通の文なんだが、本当に「カッコよく」なったのかどうか大いに疑問だ。
いわゆる文語体を口語体に変えるということであるが、確かに堅さは取れるかもしれない。
だが、「カッコよく」なると思うのは非常に危険な気がする。
下手をすると軽い感じに聞こえるし、相手によっては失礼になることもあるし、イギリスのように結構保守的な国では、「カッコよく」しようと意識すること自体が、「カッコ悪い」とそんな風にとられることもある。
知人にもちょっと前に聞かれた。
「ダイエットしなきゃ」ってカッコよく何て言うの?
「カッコよく」って何よ?
「ダイエットしないといけない状況」ということ自体、すでにもう「カッコいい」という意味合いから外れている気がするのは私だけ?
だが、日本人が「カッコよく」というときは、「ネイティブがナチュラルに使う表現」という意味であるらしく、彼女は「カッコいい表現」をインターネットから見つけてきていた。
その表現が、
"I need to go on a diet." 「ダイエットしなきゃ」
そのままやん。
カッコいいも何もそのままである。
ナチュラルに確かに使う表現であるし、間違ってはいないが、普通のダイレクトな言い方なのに、そこに「カッコいい」言い方と書かれていることがちょっと気になる。
ちなみに欧米人もダイエットはさかんであるし、「ダイエットしなきゃ」なんて表現はあちらこちらで聞くが、私には(私にだけかもしれないが)、少しひねりのある文のほうがおもしろいし、カッコいいと思える。
例えば、
"I'll have to let the Cakes go."
「ケーキ類をちょっとよそへ出かけさせるわ」
"I'd better give the beer a rest."
「ビールに休憩させてやらないとな」
"Time for the chocolate to take a holiday"
「チョコレートに長期休暇を取らすわ」
こんな感じに。
同じように「禁煙しなきゃ」という文を、
"I'd better give my lungs a break."
「肺に休憩させないとな」
なんて言う人もいた。
こういう文を裏から伝えるような表現は英語には結構多く、ジョークなどにもよく用いられる方法でもある。
日本語と比較して私にはこれくらいのひねりがある文のほうが、カッコよく聞こえる気がする。
もちろんそれも人によるので必ずしも「カッコよく」なることは保証はできない。
しかし、チョコレートより私に長期休暇くれと言いたいし、家のローンもよそに出かけてくれないかなぁとか、私の考える英文は結局生活に基づいてしまう。
いつまでたっても「カッコよく」なれないのである。(汗)
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