1・2次共通財務・会計~目次~


くろやぎです。


投資の経済性計算について前回途中まで書いたのですが、やはり
時間を空けてしまうとなんとなく書く気を無くしてしまうものです。

このあたりのモチベーション管理が、例えば長い試験勉強を続ける
上で重要なんでしょうね。どの成果を目標とするかを明確にして
いないとなかなか続きません。

今いろいろ手をつけてしまっているブログのテーマをどのように
収束させるのか!?まあ、適当に。。


■差額キャッシュフローの求め方

投資の経済性計算を進めるためには、投資案の中で発生するそれぞれ
の取引がどのようにキャッシュフローを生み出すのかについて正確に
理解している必要があります。


○差額キャッシュフローの基本形

これはフリーCFの求め方と同じです。ただし、機会費用の概念を
加味して金額を求める必要があります。つまり取替投資の場合で
あれば「取り替えない場合に得られたであろうCFを放棄して、
取り替えた場合のCFを得た」ことを考慮します。

まあ、だから「差額」なんですけど。


差額キャッシュフロー
=営業利益×(1-税率)+減価償却費-運転資本増-設備投資


これを基本として、よくある出題パターンでは、後半の2つの項を
考慮しない形、すなわち

差額キャッシュフロー=営業利益×(1-税率)+減価償却費


の形で考えれば良い状況で出題されます。


■差額キャッシュフローを導出しやすい形で理解する

投資案に係る個々の取引をCFの金額に換算するには、前述の

(1)差額CF=営業利益×(1-税率)+減価償却費


の形で問題に情報が与えられていれば比較的ラクになってくるので
すが、なかなかそうはいきません。

また、ささいな計算ミスをしただけで最終の計算結果が変わってし
まうので、この形のみでの差額CFの導出はミスの発見がしづらい
こともあり、検算をする意味でも別のアプローチからの導出方法も
覚えておくと良いです。


それは、より実戦向けであり、かつ検算にも活用することができる
方法で差額CFを求めるやり方です。

といっても、(1)の式を分解して個々の取引の要素ごとに処理
するだけですが、、、これを理解するには、P/Lをイメージしな
がら、それぞれの要素に対して税金がどのように掛かってくるかを
考えましょう。


○分解

差額CF

=営業利益×(1-税率)+減価償却費 ...(1)

=(CIF-COF-減価償却費)×(1-税率)+減価償却費...(2)

=(CIF-COF)×(1-税率)
      -減価償却費×(1-税率)+減価償却費...(3)

=(CIF-COF)×(1-税率)+減価償却費×税率...(4)


分解手順を少し解説します。営業利益はP/Lから考えると、


 売上高   (CIF)
-売上原価  (COF)
----------------------------
 売上総利益

-現金販管費 (COF)
-減価償却費 (非資金費用)
----------------------------
 営業利益

ということで、営業利益はCIFとCOFと減価償却費の3つを
もって変形することが出来ます。


さらに、もう一段階工夫した形が最終形となります。例えば税率を
40%とするならば、

差額CF=CIF×0.6-COF×0.6+減価償却費×0.4...(5)

の形です。


この式が示唆する事は「現金収益/費用は0.6掛けで、減価償却費は
0.4掛けである」というもので、実際に費用収益などに対して税金を
考慮してCFに換算する際の、一番使い勝手の良いアプローチと
なります。


■差額CFを求める上での取引要素の認識まとめ

まとめると、差額CFを求めるときに、問題に書かれている投資案の
個々の取引に対して「どのように処理すれば税引き後CFへ換算
できるか?」は、

1.(1-税率)を掛けてCFへ変換するもの

 ・現金収益(売上高、固定資産売却益、など)
 ・現金費用(材料費、光熱費、人件費、など)


2.税率そのままを掛けてCFへ変換するもの

 ・非資金費用(減価償却費、固定資産売却損、など)


いきなり固定資産売却損益が出てきましたが、それぞれがP/Lの
中でどのように計算され、税率がどのように掛かり最終的にCFと
して残るのかをイメージしてみてください。


これで、取替投資などでよく見るあの「図」を作り上げる準備が
整いました。次回は図の作り方と解答の導出までを書く予定です。

多分。


そうそう、検算は(1)と(5)の両方でやって下さいね。
僕は3回以上やってます。

以上