気が付けば、2023年も終わりに近づいてきました

だからというわけではありませんが、夏くらいから記事の更新をサボっていたので、個人的に気になる2023年下半期の気になる鉄道ニュースをまとめてみました

 

●南海・泉北高速、経営統合へ

去る12月20日に南海電鉄より、2025年度の早期を目標に泉北高速鉄道と経営統合を図ることが発表されました

昨年の4月には、南海電鉄が泉北高速の株式を100%取得して完全子会社化しており、沿線人口の減少やコロナ禍後の生活様式の変化により、利用者数の大幅な伸びが期待できない中で、グループ内の経営効率の改善を図る狙いがあります

 

また、経営統合により初乗り運賃の二重払いが解消されるため、通勤・通学定期については値下げが行われます

現在は独自のカラーリングやロゴを纏う泉北高速の車両ですが、経営統合後は南海のカラーリングに統一されるのでしょうか?

 

既に、今年登場した泉北高速の9300系は、イニシャルコストの低減を狙って南海電鉄の8300系と共通設計となっており、泉北高速のオリジナリティは徐々に姿を消していくことが予想されます

 

▲泉北高速のオリジナルカラーは見納めに…?

 

●立山トンネルトロリーバス、来シーズン限りで引退

富山県と長野県を結ぶ山岳観光ルートとして国内外から人気の高い立山黒部アルペンルート

ロープウェイやケーブルカーなど様々な乗り物を駆使して、険しい地形を克服していますが、室堂駅と大観峰駅の間の立山トンネルでは日本で唯一の存在となったトロリーバスが運行されています

 

2018年までは関電トンネルにもトロリーバスが運行されていましたが、翌19年シーズンよりBEVバスに切り替えられ消滅しました

運行事業者である立山黒部貫光によると、修理部品の調達が困難になったといい、25年4月からは関電トンネルと同様なBEVバスに取って代わります

 

ところで、24年6月30日より欅平と黒部ダムを結ぶ黒部宇奈月キャニオンルートが一般開放されますが、トロバスの運行が24年11月いっぱいなので、僅か5ヶ月間だけではあるものの両者を体験することができます

 

▲立山トンネル中央にある交換所で離合するトロリーバス

 

●VSE、12月10日完全引退

2022年3月のダイヤ改正時に定期運用から離脱した50000形VSEですが、このほど12月10日のツアーをもって完全に引退しました

まるで芸術品のような秀麗さを持つ車両が18年ほどの活躍で、その生涯に幕を下ろしてしまったことが残念でなりません

 

小田急にとっても特別な存在であることから、海老名のロマンスカーミュージアムでの保存が検討されているようですが、VSEの引退に伴い同車からは連接車体の特急車両は消滅しました

ここからは、趣味人の願望でしかないのですが、できれば先輩のいる長野で第二の人生を歩んで欲しいと切に願っています

 

 

▲/▲▲引退が惜しまれる小田急ロマンスカー50000形「VSE」

 

●THE ROYAL EXPRESS 瀬戸内クルーズトレイン

JR西日本・四国・貨物の協力のもと、初めてとなる四国への運行が話題を呼んでいる伊豆急のロイヤルエクスプレスですが、このほど行程が発表されました

来年の1月から3月にかけて6回催行されるツアーは、いずれも岡山発岡山着の3泊4日となっており、最終日は高松港から新岡山港まで水戸岡デザインの「おりんぴあどりーむせと」に乗船します

 

2名1室でツアー料金は、もっとも安いプランで96万円からなので、管理人のような一般庶民には縁の世界といえそうです

なお、プレスリリースにはロイヤルエクスプレスを牽引するEF210形電気機関車が描かれており、同車が営業用の旅客車両を牽引する初のケースとなりそうです

 

●小浜線に観光列車「はなあかり」登場

10月25日には、JR西日本より24年10月から運行を始める観光列車「はなあかり」の詳細が発表されました

福井県の敦賀駅と兵庫県の城崎温泉駅の間を、小浜線・京都丹後鉄道・山陰本線経由で結び、24年3月に開業する北陸新幹線と呼応して、広域観光を促進する狙いがあります

 

車両は「はまかぜ」に使用されているキハ189系のうち、3両1編成を全車グリーン車のハイグレード仕様へ改装します

さらに、1号車はグリーン車のさらに上をいく”スーペリアグリーン車”とし、室内には2人用のセミコンパートメントが10室設置されます

 

内外装のデザインは、「WEST EXPRESS 銀河」や273系「やくも」に引き続き、イチバンセンの川西康之氏が手掛けます

なお、運行区間についてですが、四半期ごとにJR西日本管内の他線区を走る予定としており、「銀河」のように山陽・山陰地区を走る姿を見ることができそうですね

 

▲観光列車「はなあかり」へ生まれ変わるキハ189系

 

●鶴見線にE131系投入

本日12月24日より、鶴見線にE131系がお目見えしました

既に車両は一般公開されており、これまでの房総地区や相模線、宇都宮線へ投入された車両と違って、拡幅車体ではなく、建築限界の関係なのかストレート車体を採用していることが特徴です

最終的には、3両編成×8本の24両が投入され、現在走っている205系をすべて置き換えます

 


▲続々と仲間が増えていくE131系

 

●阪急京都線 座席指定サービスPRiVACE始動

昨年の10月に阪急電鉄から発表されたプレスリリースで明らかになった京都線への座席指定サービス

今年の11月には、名称がPRiVACE(プライベース)に決定し、2024年夏頃から運行開始予定であることが発表されました

 

京阪のプレミアムカーを嚆矢として、JR西日本が新快速にAシート導入するなど、追加料金を支払ってもゆっくり座って移動したいというニーズの高まりを受けて、同社では初めてとなる座席指定サービスの導入に踏み切ることになりました

PRiVACEには、PrivateとPlaceを掛け合わせた造語で、移動時間を単なる移動としてでなく、プライベートな自分時間を過ごして欲しいという意味合いが込められています

 

イメージ図を見ると、ドアは車両中央に1ヶ所だけ設置され、ドア横には京阪のプレミアムカーのようなガラスサイネージの行先表示を目を惹きます

一方、車内へ目をやると、シートモケットは阪急の伝統ともいえるモスグリーン色になっており、落ち着いた木目調のインテリアで、独自色を演出しています

 

このPRiVACE車両は、新たに京都線へ導入される2300系のほか、既存の9300系の一部にも連結予定で、大阪梅田方から4両目に設定されます

 

▲大阪梅田駅で発車を待つ阪急電車

昨日のことになりますが、鉄道各社から24年春のダイヤ改正についての発表がなされました

もちろん、一番のトピックは北陸新幹線の延伸開業なわけですが、JR北海道から順番に管理人の気になったポイントをまとめていこうと思います

 

●JR北海道

既に11月15日の社長会見で明らかになっていましたが、24年春のダイヤ改正から道内を走る4つの特急列車…「北斗」「すずらん」「おおぞら」「とかち」…で自由席が廃止され、全車指定席化が行われます

これにより、道内で自由席が残るのは、「ライラック」「カムイ」と宗谷本線・石北本線系統の特急列車だけになります

 

JR北海道によると、全車指定席化に踏み切ることによって、発車前にホームで長時間に渡って並んだり、始発駅に近い方が座席の確保が容易である不公平感が解消されることをメリットとして挙げています

編成が異なる「ライラック」と「カムイ」も、自由席車が両列車共に2両に減らされて、その分指定席車が増えることになります

 

「カムイ」ではダイヤ改正以降、3~5号車が指定席になりますが、当列車に使用される789系1000番台は4号車がuシート車となっており、3・5号車と座席が異なります

そのため、同じ指定席車ながら、PCコンセントの有無等格差が生じますが、JR北海道としては問題ないと判断したのでしょう

 

この他には、小樽・札幌~新千歳空港間で運行されている快速「エアポート」については、運行本数が毎時5本から毎時6本に増発されます

ただ単に1本増発されるわけではなく、6本のうち1本を特別快速「エアポート」として、空港アクセスの速達化が図られます

 

また、毎時2本については、区間快速「エアポート」となり、昼間時の北広島~千歳間では普通列車の運行を取りやめ、当列車が普通列車の代替を務めます

 

▲札幌駅に到着した789系1000番台

「カムイ」についても、自由席車が減ることになった

 

 

●JR東日本

北陸新幹線の延伸開業区間はJR西日本管内になるので、その話題は別項に譲るとして、ここではE8系と255系の撤退を取り上げます

まず、山形新幹線についてですが、E3系1000・2000番台に代わるニューフェイスとして、E8系が順次投入されます

 

これにより、東北新幹線内での最高速度が275㎞/hから300㎞/hへ向上し、東京~山形・新庄間で所要時間が4分短縮されます

E8系と併結する「やまびこ」についてもE5系へと変更されることから、E2系の肩身がますます狭くなりそうです

 

在来線特急では、房総方面で活躍する255系が定期運用を終えることになりました

とは言っても、新車が増投入されるわけではなく、既存のE257系500番台の運用見直しとE259系の転用によって賄われます

 

255系がJR東日本の所有する最も古い特急車であることや、E259系の塗装変更から何となく予想されていたことですが、既に651系や251系は引退済みであり、平成初期に登場したJR東日本の特急車はすべて姿を消すことになります

 

ただし、アフターコロナで空港輸送需要は回復基調であり、E259系の運用数にさほど余裕があるとは思えず、しばらくは「新宿さざなみ」などの波動用で255系が残りそうです

255系撤退による運用の見直しを受けて、E257系500番台では10両編成の運行が取り止めになります

 

また、E259系の本職である「成田エクスプレス」でも、運用に余裕を持たせる狙いがあるのか、八王子発着の便が廃止されます

これまで、「成田エクスプレス」については、A特急料金適用されたり、グリーン料金が最低でも200㎞分必要だったりと、割高な印象がありました

 

しかし、今度のダイヤ改正以降は、利用駅に成田空港駅・空港第2ビル駅を含まない場合は、首都圏を走る「ひたち」や「あずさ」と同じ料金体系に変更されます

なお、これら両駅を含む利用であっても繁忙期・閑散期の区別が廃止され、通年で同一の料金となるほか、グリーン料金も100㎞までの利用であれば1,300円になります

 

ところで、JR東日本の発表の中で、一番のけ反りそうになったのは、奥羽本線を走る「つがる」に速達版の「スーパーつがる」が登場することです

3往復運行されている「つがる」のうち1往復で、停車駅を見直した速達便を設定し、現行の1号で秋田~青森間で2時間40分のところを9分短縮し、最速2時間31分で同区間を結びます

 

E751系が「スーパーはつかり」として登場してから四半世紀近くを経て、再び列車名に”スーパー”を冠するようになるのは感慨深いものがありますね

 

さきほど、「成田エクスプレス」の料金が通年で同額になることはお伝えしましたが、首都圏を走る普通列車グリーン料金(Bグリーン料金)についても、これまでの平日料金/ホリデー料金の区分が廃止されます

その代わりに、Suicaを利用した場合と、紙のきっぷを購入した場合で、料金に差が生じることになります

 

なお、料金についても50㎞以内であれば、780円(平日/事前料金)から750円(Suica)へ値下げされることになります

半面、101㎞以上利用する場合は1000円(平日/事前料金)から1,550円へ値上げされることになり、区間によっては「こだま」や「なすの」を利用した方がよさそうなケースも出てきそうです

 

▲安房鴨川駅に到着した255系「わかしお」

 

▲255系も自由席表示も見納めとなる

 

 

●JR東海

既に2ヶ月前に発表のあったことですが、24年春改正時に東海道・山陽・九州新幹線を走る車両に設置されている喫煙ルームが廃止されます

2020年に700系が引退して、新幹線から喫煙車が消滅したのは記憶に新しいところですが、今後は新幹線車内での喫煙が御法度になります

 

JR東海によると、近年の健康志向の高まりや喫煙率の低下を踏まえて判断したと報じられており、”全室禁煙”から”全車禁煙”への変化は愛煙家にとって厳しいものとなりそうです

JRグループで、車内でタバコが吸えるのは「サンライズ瀬戸・出雲」だけになりそうですね

 

●JR西日本

JR西日本では、北陸新幹線の敦賀延伸と「やくも」への273系投入が目玉になります

まず、北陸新幹線の金沢~敦賀間の延伸開業に伴い、最速の「かがやき」で東京~福井間を2時間51分、東京~敦賀間を3時間8分で結びます

 

東京~福井間に関しては、従前の「ひかり」+「しらさぎ」を米原駅で乗り継ぐ場合と比べて、30分以上短縮されます

しかし、東京~敦賀間に関していえば、米原経由の方が北陸新幹線利用よりも18分速いという残念な結果に

 

これも既報通りではありますが、七尾線を走る「能登かがり火」は運行を継続するほか、「花嫁のれん」についても2往復の運行が維持されます

「能登かがり火」については、和倉温泉発着の「サンダーバード」1往復が廃止される分を吸収し、定期5往復となり、臨時列車も1往復設定されます

 

3月16日のダイヤ改正から遅れること3週間後の4月6日に、いよいよ273系が「やくも」にお目見えします

日本初の「車上型制御付き自然振り子方式」を採用しており、381系と比べて大きく乗り心地が改善されるとあって、デビュー前から注目を集めています

 

4月6日の時点では、まず15往復中6往復に投入され、7月1日からは全面的に381系を置き換えることも併せて発表されました

これにより、国鉄色から始まった381系の各種リバイバル塗装は、まず4月5日に「スーパーやくも」塗装が運行を終えるほか、6月30日には国鉄色と緑やくも塗装が運行を終えます

 

なお、7月1日以降も繁忙期に381系を使用する可能性が示唆されています

アフターコロナで利用が回復しつつあるので、念のために381系を残しつつ、273系11編成で繁忙期を乗り切れるかどうか見極めて、もし戦力が不足するようであれば、同車の追加増備も考えているのではないでしょうか?

 

「やくも」と同じく山陰を発着する「スーパーはくと」でも、今回の改正で大きな動きがあります

96年春改正で関西側の始発駅は長らく京都駅とされてきましたが、同駅発着便を2往復に減らして、大阪発着便を6往復とする体系へシフトします

 

つまり、大阪~鳥取間で見れば7往復から8往復へ増発されることになりますが、京都からの利用は不便になりそうですね

 

この他に、アーバンネットワーク内では「らくラクはりま」の運行区間が姫路~新大阪間から網干~京都間へ変更されます

大阪~米原間を走る「びわこエクスプレス」については、運行区間はそのままに、列車名が「らくラクびわこ」へ変更され、683系が充当される米原行きの便は大阪駅発が21時36分から19時20分へ発車時刻が繰り上げられます

 

以上、2つの通勤特急は運行区間や列車名の変更だけですが、今回新たに新大阪~奈良間を天王寺経由で結ぶ「らくラクやまと」が設定され、快速「うれシート」も運行本数や設定日が拡大されます

 

 

▲リバイバル塗装第二弾の「スーパーやくも」塗装を纏う編成は24年4月5日限りで運用を離脱する

 

 

●JR四国

8000系の二次リニューアル車完成で話題が持ち切りのJR四国ですが、今度のダイヤ改正で土讃線高知~伊野間、高徳線高松~引田間でパターンダイヤが導入されます

 

徳島駅では高徳線、徳島線、鳴門線、牟岐線の各線同士を乗り継ぐ際の利便性を向上させるべく、”タクトダイヤ”が導入されます

パターンダイヤはよく聞く単語ですが、タクトダイヤは各路線のパターンダイヤを結合し、駅でまるで指揮者がタクトを振るように、各線の列車が上手く接続することを指します

 

その他、ものがたり列車については大きな変更はないようですね

 

▲二次リニューアルにより、順次現行の塗装は変更される

 

 

●JR九州

九州新幹線で新たに久留米駅に「みずほ」が停車するほか、都市間連絡特急では「リレーかもめ」の増発や一部の「かささぎ」「ひゅうが」の減便が行われます

また、D&S列車関連では、21年改正時より繁忙期に2往復運行されている「海幸山幸」が再び1往復のみの運行に変更されます

キハ85系のラストランを5日後に控えた6月25日のこと、私は2日間限定で運行された「ありがとうキハ85系南紀」号の雄姿をファインダーに収めるべく新宮駅にいました

通常、この手の企画は定期運用終了後に行われることが多いのですが、「ありがとうキハ85系ひだ」号の時と同じく、引退を直前に控えての日程…6/24・6/25…で1往復ずつ運行されました

 

 

いつもは閑散としている新宮駅も、この日ばかりはカメラをぶら下げた人間でごった返しており、定刻の12時44分に名古屋方面から満員のお客さんを乗せた「ありがとうキハ85系南紀」号が到着しました

僅か1分間ではありましたが、「南紀」6号名古屋行きが3番のりばに停車していたため、通常ダイヤでは有り得ないキハ85系同士の共演を、確とこの目に焼き付けておきました

 

 

キハ85系の引退を前にして2日間に渡って運行された「ありがとうキハ85系南紀」号ですが、注目ポイントはキロ85形を編成両端に連結した豪華編成で運行された点です

もともと、「南紀」用として1992年に登場した全室グリーン車のキロ85形ですが、利用が芳しくなかったこともあって2001年春改正時に「ひだ」へコンバートされてしまいました

 

その代わり、「南紀」には繁忙期に限って「ひだ」用の半室グリーン車のキロハ84形が連結されるようになりました

2008年春改正でキロハ84形が通年で連結されるようになったものの、コロナ禍による需要の減退で2020年10月いっぱいで再びグリーン車は連結されなくなり、とうとう復活することなくHC85系へバトンを受け渡すことになりました

 

 

この特別運行のために仕立てられた編成は、名古屋方から

キロ85‐3+キハ84‐203+キハ85‐1209+キハ84‐303+キハ84‐204+キロ85‐4

の6両編成でした

 

残念ながらトップナンバー車ばかりで揃えることは叶いませんでしたが、1号車から4号車にかけての編成は「南紀」号にキハ85系が投入された当初の編成が再現されており、JR東海の同車に対する”愛”がひしひしと感じられました
 

 

「南紀」用として生を受けながら、その人生のうち2/3を高山本線で過ごすことになったキロ85形

最後の最後に生まれ故郷を走ることになった彼は、何を思っていることでしょうか?

 

 

新宮駅構内で、僚友であるパンダくろしおと顔を合わせました

かつての顔馴染みであった381系は、一足早くにこの地を去りました

 

 

新宮駅で発車を見送ってもよかったのですが、熊野川の鉄橋を渡るシーンも記録しておきたくて、対岸の紀宝町へやって来ました

新宮駅からクルマで10分弱の距離で、レンタサイクルでも来られる距離なので、撮影者は非常に多かったです

 

 

「ありがとうキハ85系南紀」号でやって来たお客さんを名古屋まで乗せて帰るために、この日は8004D「南紀」84号の運転日でした

せっかくなので、少しアングルを変えて、キハ85系の流麗な先頭車両を強調するように撮ってみました

 

キハ85系が紀勢本線を去ってから、早いもので2ヶ月が過ぎました

最新鋭車両のHC85系も徐々に沿線の景色に馴染みつつあるような気がしますが、それでもキハ85系とほぼ同い年の管理人からすれば、あのエンジン音とふかふかの座席が恋しくなってしまうんですよね

 

次回の記事では、6月30日のキハ85系定期運行最終日の様子をお伝えしようと思います

2023年6月30日…JR東海が初めて世に送り出した車両であるキハ85系が定期運用から撤退しました

後の383系や373系に受け継がれる”ワイドビュー特急”の嚆矢となり、「ひだ」と「南紀」で約30年間に渡って活躍を続けてきましたが、後輩に道を譲る形で鉄路から勇退しました

 

「南紀」については、地元を走る列車ということもあって、未公開カットがいくつかあります

せっかくなので、キハ85系が引退したタイミングで彼の雄姿を振り返ろうというわけです

 

 

海を背景に入れることのできる新鹿駅や三瀬谷ダム横の鉄橋なんかで撮ってみたかったのですが、そこまで撮影メインの人間ではないので、駅撮りがメインになります

まずは、宇久井駅を通過する3006D「南紀」6号名古屋行きからです

 

 

駅全体が緩くカーブしていますが、編成全体を捉えることはできないので、何だか中途半端な構図になってしまっていますね

日曜日ということもあって、キハ85形1100番台車が2両連なる3両に増結されています

 

 

桜の見ごろも終盤を迎えていた4月上旬のこと、紀伊勝浦駅の傍らに桜が咲いているのを発見しました

キハ85系と桜の共演をファインダーに収めることができるのは、間違いないなく今年の春が最後になります

 

残念ながら、気付いたのが遅かったので、葉桜になってしまっていますが、これはこれで貴重な記録になったと思います

 

 

引退を約3週間後に控えた6月10日こと、Twitterを見ていると「南紀」1号がトリプルヘッダーの5連で南下しているとの情報を掴み、那智駅へ赴きました

先頭車両が3両連なる様子はいかにもキハ85系らしく、”変態連結”なるワードもすっかりファン層に浸透した感があります

 

 

 

この日は、那智駅で「南紀」1号を撮影した後に、すかさず紀伊勝浦駅へ向かいました

折り返し「南紀」6号名古屋行きとなるため、この駅で30分近く停車するわけですが、やはり引退直前とあってホームや駅周辺はカメラを持った人で大賑わいでした

 

同じ名古屋から観光地を結ぶ特急列車でありながら、注目度や利用者数で「ひだ」の陰に隠れがちな「南紀」ですが、この時ばかりはファンから熱い眼差しが注がれていました

 


227系1000番台がきのくに線の新宮口で運用を開始したのは、2021年3月のダイヤ改正時からで、キハ85系との共演は僅か2年ほどに留まりました

 

 

コロナ禍による利用客減少もあって、2020年11月からは基本編成が2両となっていた「南紀」でしたが、引退を前にトリプルヘッダーを含む5連が多く見られ、同車の活躍に華を添えました

願わくば、最後の3ヶ月だけでもグリーン車を連結して欲しかったですね

 

「南紀」の運行区間のうち、末端部にあたる新宮~紀伊勝浦間はJR西日本の管轄となっており、大阪方面からの「くろしお」と肩を並べるシーンが展開されます

 

しかし、紀伊勝浦駅を発着する「南紀」は僅かに3往復で、回送列車を含めても4往復しかありません

そこに5~6往復しかない「くろしお」との離合を狙うのは、殊の外難しいのです

 

 

あまり光線状態はよくありませんが、13時過ぎの三輪崎駅で3003D「南紀」3号紀伊勝浦行きと61M「くろしお」11号新宮行きが離合します

かつては、名古屋駅で「しらさぎ」として出会っていた車両に、南国の小駅で再び出会うシーンにどんな言葉を交わしたことでしょうか?

 

なお、21年春改正で61Mが289系から287系へ変更されたことで、このシーンは見れなくなってしまいました
 

 

21年春改正までは「くろしお」のうち2往復にオーシャンアローが充当されており、同じく三輪崎駅で3001D「南紀」1号紀伊勝浦行きと51M「くろしお」1号新宮行きがすれ違うシーンも見られました

同じ貫通型先頭車両でありながら良好な眺望性を誇るキハ85系や383系に対して、283系のそれはまったく不可能であり、そこら辺は両社の設計思想の相違といえるでしょう

 

 

本当ならばキハ85形0番台とクロ282形のパノラマ顔同士が並ぶはずだったのですが、この時283系は通称”逆イルカ”と呼ばれる6号車にクロ283形が連結される編成でした

 

 

さきほど三輪崎駅ですれ違った「南紀」1号は紀伊勝浦駅で折り返して、「南紀」6号名古屋行きとなり、「くろしお」1号は新宮駅で折り返して、「くろしお」24号新大阪行きとなります

再び新宮駅で顔を合わせた両車は、紀伊半島の海岸線をなぞり、それぞれの目的地へ向かいます

 

 

世代的にも近く、客室からの前面展望がセールスポイントなキハ85系と283系

HC85系への置き換えにより紀勢東線側では前面展望を楽しむことはできなくなり、283系も不具合が頻発していることを考えると、いつフェードアウトしてもおかしくない状態です

近い将来、紀勢本線から前面展望を堪能できる車両は姿を消してしまう可能性が高そうです

7月20日にJR東海より、特急「しなの」に使用されている383系の後継車両として385系を製造することが発表されました

まずは、2026年度に量産先行車が登場し、長期試験に供された後、2029年度に量産車が登場する予定になっています

 

383系も登場から30年近くが経ち、何よりも同系に試験台車が装着されている姿が目撃されており、近々何らかの動きがあるのでは?と、否応なく気付かされたことかと思います

1988~1992年に製造されたキハ85系の置き換えが完了したことから、次に着手すべき懸案事項が383系の置き換えなことは明々白々なわけです

 

まず、形式についてですが、383系の後継車両ということで、順当に”385系”となりました

「しなの」の走る中央西線は、振り子車両である381系が初めて投入された路線であり、同車の血脈を受け継ぐ意志が感じられます

 

エクステリアについては、テーマを「アルプスを翔ける爽風」とし、アルプスの山並みのなかを颯爽と駆け抜けていく様子を表現したデザインになります

なお、現行の383系では長野方の先頭車両のみパノラマ型グリーン車ですが、385系では名古屋方の先頭車両でも前面展望が可能となります

 

キハ85系がHC85系へ置き換えられるにあたって、前面展望が可能な先頭車両はバッサリと切り捨てられてしまいましたが、385系では存続することになりました

この情報そのものは”吉報”として素直に喜びたいところですが、385系のイメージパースを見る限り、383系と比べて運転台の前面窓下端が高めの位置に設定されており、客室内からの眺望性に疑問が残ります

 

また、プレスリリースではホームドアへの対応から、中央西線を走る315系とドア位置と車両長を揃えることとが謳われており、先述の編成の両端がパノラマ型車両になるという情報を合わせると、どうやら385系は増解結を考慮しない8両固定編成で登場する可能性が高そうです

 

最後に振り子装置についてですが、現行の383系は制御付自然振り子方式で、予め車両側に記録された走行線区の情報に加え、ATS地上子を活用することで、位置補正を行い、振り子制御シリンダで車体傾斜を行います

これに対して、385系では車上に搭載されたジャイロセンサで曲線の位置検知を行い、よりスムースに車体傾斜を行うことで、383系に比べて曲線通過時の乗り心地が向上するようです

 

ところで、383系と世代的に近い373系の去就はどうなるのでしょうか?

さすがに、「ふじかわ」や「伊那路」を特急から快速へ格下げすることは考えにくいのですが、「しなの」や「ひだ」と比べて利用客数が多くないことから、JR東海としてはギリギリまで373系を使い倒す腹積もりなのかもしれません

 

▲名古屋駅で並ぶワイドビューしなの&ワイドビュー南紀

昨年7月にフルモデルチェンジが発表されたトヨタ・クラウン
国産乗用車モデルの中で最も長い歴史誇るブランドですが、16代目となるSH35型はこれまでの伝統をかなぐり捨てる形で登場しました
 
アウディに影響を受けたような大型のグリルを引っ提げて登場したS21、S22型であっても、頑なに駆動方式はFRを貫いてきましたが、今回のSH35型ではカムリなどと同様のGA-Kプラットフォームが採用され、全グレードがFFベースのAWDとなりました
 
現在、市販されているのはクロスオーバーのみですが、今年の秋頃にクラウンスポーツとセダンが追加され、さらにエステートがラインナップに加わる予定です
なお、クロスオーバーに限った話ではありませんが、S22型まで設定のあったピュアエンジンモデルは設定されていません
 
レクサスブランドやアルヴェルに押され気味とはいえ、一応トヨタブランドの最上級車種であり、その新型モデルとあっては試乗してみたいところ
ちょうど、自分の乗っているクルマにリコールがあり、ディーラーへ行く機会があったので、部品交換の時間を利用してクラウンクロスオーバーに乗ってみました
 

 
これまで、C-HRやRAV4といったカジュアルな車種を中心に設定のあったツートンのカラーリングが、今回からクラウンにも設定されました
公式サイトやCMなどでは、ブラック×プレシャスブロンズがよく登場しますが、今回の試乗車はブラック×プレシャスメタルです
 

 
近寄ってみると、プレシャスメタルは地味な色合いのグレーではなく、日本刀のように鋭い風合いのカラーリングです
フロントグリルは、先代、先々代に比べて小さくなりましたが、横一直線に光輝くデイタイムランニングランプを見るにつけ、「かなり攻めたデザインだな」と感じた次第
 

 
装着タイヤはミシュランのe・PRIMACYで、サイズは225/45R21です
アルミホイールそのものにもノイズを低減する機能を持たせています
 
最低地上高は全グレード共通で145㎜となっており、RAV4のそれが200㎜なのと比較すると、セダンに近いボディ形状故に控え目な数字になっています
ちなみに、サスペンションは、前輪がマクファーソンストラット式、後輪がマルチリンク式です
 

 

運転席の様子はこんな感じです

メーター画面は12.3インチのLCDで、これとは別にナビ・オーディオ用のマルチファンクションディスプレイがダッシュボード中央に鎮座しています

 

シフトノブは、ノア/ヴォクシーやシエンタのハイブリッド車で見られる電子制御方式のもので、パーキングブレーキはDレンジへ入れると自動で解除されるタイプです

写真では少し見切れていますが、2名分のドラポジ…ハンドル・シート・サイドミラー・ドア…をセットしておける機能があり、ドアハンドルの横にスイッチがあります

 

試乗したこの日は、汗ばむ陽気だったのですが、前席にはシートベンチレーションが仕込まれており、運転中に熱気がこもりがちな背中をひんやり冷やしてくれます

このグレードでは、シートベンチレーション以外にも前席シートヒーターが標準で装備されており、クラウンらしいおもてなしといえます

 

ということで、この後試乗の予約が入ってるそうなので、30分ほどで試乗を切り上げて、ディーラーへ戻ってきました

試乗してみた感想ですが、これまで私の乗ったことがあるトヨタのハイブリッド車は、代車で借りた初代アクアとタクシーで乗ったレクサスESくらいで、そもそも比較対象に乏しいのです

 

無論、コンパクトカーであるアクアと比べたら走りの質感は桁違いですが、レクサスESと比べてしまうと静粛性では太刀打ちできません

そもそも、今回新たに登場したクラウン・クロスオーバーはどういった層が購入するのでしょうか?

 

これまでのクラウンの伝統をかなぐり捨てて、セダンとSUVを融合させた目新しさ故に、クロスオーバーに対する注目度は低くありません

しかし、今年の秋にはショーファー需要向けとなるFR方式のセダンが販売予定で、クロスオーバーの立ち位置が曖昧になってしまことは避けられないように思えます

 

ちなみに、今回試乗したグレードは車両本体価格570万円なのですが、あと32万円出せば同じGA-KプラットフォームのレクサスESが買えてしまうわけです

静粛性や質感、どれをとってもレクサスESには敵わないわけで、決して悪いクルマではないものの、敢えてクラウン・クロスオーバーを選ぶ意味は希薄に感じられてしまうわけです

 

 

↑前回からつづく↑

 

 

帯広から「おおぞら」4号に揺られ、新千歳空港の最寄り駅である南千歳駅で下車しました

そのまま空港へ向かえばいいのですが、搭乗する予定の飛行機の出発時刻まで余裕があるので、千歳駅前のイオンを寄っていくことにしました

 

なぜ、イオンへ寄ったかというと、この日からビアードパパで1月限定のいちごシューの販売が始まったからに他なりません

せっかく北海道まで来て、なぜ全国チェーン店へわざわざ行くのか訝しむ方もいると思いますが、和歌山県内にビアードパパの店舗がないので、食べれる時に食べておきたかったのです

 

 

ただ、ここに来てかなり風雪が強くなってきました

今朝の帯広市内は快晴だったのに、千歳市内は時々視界が悪化するような猛吹雪で、「おおぞら」4号に乗車している時から、搭乗予定の飛行機の出発が遅れるという不穏なメールがスマホに届き始めました

 

 

空港に着いて国内線の出発案内を見ると、ご覧の通りずらりと欠航が並んでいます

なんとか11時くらいまでは離陸できていたようですが、悪化する一方の空模様に滑走路の除雪が追い付かなくなり、昼以降にCTSを離陸する便は軒並み欠航となっています

 

これはイオンで呑気にいちごシュークリームを食べている場合ではなかったのかもしれません

 

しかし、不思議なことに私の乗る予定のCTS15:50発→KIX18:15着のMM110便は、欠航にはならず出発時刻がどんどん繰り下がっている状態でした

 

 

ということで、腹が減ってはなんとやらなので、空港内にある五十七番寿しで昼食にしました

元旦とはいえ、例年より利用客が少なかったのか、運良く並ばずに入ることができました

 

まずはおまかせ五貫セットを頼んだのですが、空港内という立地にして北海道でも一二を争うレベルの高さでした

 

 

北海道へ来たからには、カニも必須だろうと調子に乗って追加で注文しました

 

残念ながらお寿司を食べ終わっても、一向に天候が回復する気配もなければ、飛行機が飛びそうな気配もありません

依然として、私が搭乗する予定のMM110便は”欠航”ではなく”遅延”の扱いになっており、天候次第ではフライトが期待できそうでした

 

ここで私に残された選択肢は2つです

①天候の回復と滑走路の除雪が完了するのを空港で待つ

②鉄路でひたすら南下

 

 

ここで私の出した結論は②でした

いつ飛ぶのか分からない飛行機を、ひたすら空港で待つのはしんどいですからねぇ

 

新千歳空港が閉鎖になるほどの大雪ですが、幸いなことに「北斗」や北海道新幹線は動いています

とりあえずきっぷを買おうと思い、新千歳空港駅のきっぷ売場へ向かうと、混乱と混雑を極めた状態になっていました

 

質の悪いことに、指定席券売機で空席状況を確認する阿呆な客もいるわけで、スマホからサイバーステーションなり、えきねっとを見ればすぐ確認できるものを、こんな大行列の最中にそんなことをするのは遠慮して欲しいものです

前もって乗車する列車を決めてから、きっぷを買ってくれると助かるのですが…

 

南千歳駅から「北斗」20号に乗り込みましたが、飛行機に乗れなかった人が大挙して押し寄せたことで、車内はすし詰め状態で、立っているのもしんどかったので、客席の床に紙袋を敷いて、新函館北斗に着くまでの3時間をひたすら耐え抜きました

 

空港が大混乱だったので、実はこの時はまだ搭乗予定だったMM110便のキャンセルをしておらず、「北斗」に乗ってからようやく手続きが終わりました

飛行機を普段使いしている人にとっては常識かもしれませんが、ずらりと行列の出来た空港のカウンターに並ばなくても、スマホのアプリから簡単にキャンセルができてしまうことに軽く感動を覚えました

 

新函館北斗からは20:43発の「はやて」98号に乗り換えて、終点の盛岡まで行きます

さっきまで乗っていた「北斗」の車内はぎゅうぎゅうパンパンだったのに、H5系の車内にはずいぶん余裕があり、フル規格新幹線車両の輸送力をひしひしと痛感させられました

 

 

「はやて」98号に充当されていたのは、JR北海道所属のH5系でした

約2ヶ月後に発生する福島県沖地震でH2編成が被災・脱線しましたが、この時はまだ4編成すべてが健在でした

 

 

私の中で「はやて」といえば、E2系が充当される東北新幹線の最速達種別でした

いまやその面影はまるで失われ、「はやて」98号の通過駅はいわて沼宮内のみで、ほぼ各駅停車となっています

 

 

2011年春の改正で「はやぶさ」が登場してからは、それまで「はやて」が担っていた最速達種別の任を徐々に明け渡し、いまや「はやて」は上下合わせて3本(1.5往復)にまで本数を減らしています

いまの「はやて」には、盛岡以北で「はやぶさ」が運行されない時間帯を埋める役割が与えられています

 

 

普通車客室内の床材には、雪の結晶が描かれておりE5系との相違点となっています

 

 

新函館北斗から2時間少々で、岩手県の県庁所在地である盛岡に少し遅れて到着しました

21年8月に「やまびこ」のグランクラスに揺られて訪問して以来、4ヶ月半ぶりの盛岡となりましたが、既に時刻は23時になろうかというタイミングで、南千歳駅から5時間ぶっ続けで乗り続けた体はくたくたで、一目散にホテルへ向かいました

 

東京から盛岡までグランクラスへ乗車した時の旅行記は、下記リンクからご覧ください

 

 

 

 

 

駅から一番近かったからという身も蓋もない理由により、ホテルメトロポリタン盛岡へ投宿しました

 

 

ユニットバス付きのシングルルームは、メトロポリタンであることを考えると、かなり狭かったです

しかも、縁起の悪いことにルームナンバーが904号室で、まるでこの旅程崩壊を暗示しているかのようでした

 

一番安いシングルルームだったので狭く感じましたが、ゆったりくつろぐのあればデラックスシングルやモデレートダブルがよさそうですね

開業から40年が経過しているとはいえ、やはりメトロポリタンブランドですので、古さは感じるものの、不潔感はありません

 

 

ホテルメトロポリタン盛岡の前身である盛岡ターミナルホテルが開業したのは、東北新幹線開業1年前の1981年のことで、開業40周年を迎えました

国鉄時代から名称を変えつつ営業しているわけで、メトロポリタンブランドの中では老舗の部類に入るかと思われます

 

 

大波乱の2022年の元旦を乗り越え、眠い目をこすりながら再び盛岡駅の新幹線ホームへやって来ました

昨日に引き続き、ひたすら鉄路での南下となりますが、だいぶと体がしんどかったので、グリーン車にしました

 

 

PeachでCTSからひとっ飛びするのに比べて、出費が嵩みますが仕方ありません

 

 

最初はグレーに覆われていた空も、南下するに従って青空が広がってきました

 

 

青空と雪化粧した奥羽山脈のコントラストが旅のフィナーレを演出します

この後、東海道新幹線からの「南紀」を乗り継いで、陸路で1000㎞以上となる長旅を無事に?終えました

 

もし、新千歳空港が雪で閉鎖されると分かっていれば、一旦「おおぞら」で帯広から釧路へ行って、KUH→HND→SHMと飛んで、家に帰るのもありだったかもしれません

 

あまりのしんどさに東京駅に着いてからの写真がまったく無いため、これにて「年越し北海道旅行記2021-2022」は完結です

最後までご覧下さりありがとうございました

 

↑前回からつづく↑

 

 

 

旭川駅からキハ183系「オホーツク」2号に揺られて、お昼前の札幌駅へ戻ってきました

冬の北海道を訪れたのは今回が初めてですが、駅のホームは風が通り抜けるせいなのか、街中よりも段違いに寒いです

 

いよいよ本旅行の主目的ともいえるキハ283系に乗車するわけですが、6往復運行されている「おおぞら」のうち、2020年春改正で3往復にキハ261系が投入されました

キハ283系の運用で残る「おおぞら」は、下りが1,7,9号、上りが4,6,12号の3往復です

 

当初の計画では、札幌14:15発の7号で釧路まで向かい、翌朝の4号で戻って来る予定でしたが、年末のUターンラッシュで7号はハザ、ロザ共に満席でした

そこで、札幌で時間を持て余すことを承知で、仕方なく私は9号のロザを確保したわけです

 

しかし、この日はキハ283系が車両トラブルを起こし、本来はキハ283系で運行されるはずの「おおぞら」7号に急遽キハ261系が充当されたため、どうやら結果オーライだったようです

それでは、「おおぞら」9号の発車まで時間があるので、ステラプレイスや地下街を散策しましょう

 

 

「散策しましょう」と言っても、さすがに人混みの地下街の写真なんかは撮ってないので、札幌駅の全景写真でも載せておきます

 

 

 

管理人がカメラを向けるのは鉄道だけに限りません

とりあえず乗り物なら何でも好きなので、札幌駅前を行き交うバスも記録しておきます

 

札幌市電の雪ミク電車は有名ですが、じょうてつバスには雪ミクバスがあるんですね

 

 

 

こちらは北海道中央バスのいすゞ・ガーラです

長距離仕様なので、札幌駅から函館や釧路といった道内各地の主要都市に高速バス路線に充当されている車両と思われます

 

 

同じくいすゞのガーラですが、こちらは北紋バス仕様です

社名の北紋は「北見紋別」を略したもので、紋別~札幌間で「高速流氷もんべつ」号が運行されています

撮りバスをしても、まだ時間に余裕があったので時計台やテレビ塔を見物しつつ、三越のある大通付近まで歩いてみることにしました

 

 

訪問する予定はまったくなかったのですが、人生4度目の北海道にして初めての札幌時計台です

もともとは札幌農学校の演武場として1878年に建設されたもので、1階が研究室や講義室、2階は講堂として入学式や兵式訓練が行われてそうです

建設当初、時計は設置されていませんでしたが、完成から3年後の1881年にアメリカから取り寄せた時計が据え付けられました

 

 

時計台が初めてなら、こちらも見物するのは初めてのテレビ塔です

正式名称は「さっぽろテレビ塔」で、完成したのは1957年と、東京タワーの1年先輩にあたります

 

高さは147.2mで、完成当初は目立っていたであろうテレビ塔も周りを高層ビル群に取り囲まれて、若干窮屈そうです

 

 

札幌PARCOの横にある西四丁目停留所で寒さに震えながら、撮り鉄タイムです

Wikiでこの停留所のことを調べてみると、ここが路面電車の駅としては日本最北に位置しています

 

写真の8510形は、8500形の増備車として1987年に製造された車両です

登場年からは信じられませんが、ベースになった8500形ともどもVVVFインバータ制御を採用しています
 

 

せっかく札幌まで来たので、久しぶりに大通→さっぽろの1区間だけですが、札幌市営地下鉄に乗車しました

札幌の地下鉄に乗るのは6年半ぶりですが、ゴムタイヤ駆動なので相変わらず独特の走行音です

 

 

札幌市交通局のロゴマークは、STを図案化したもので、1993年に制定されたものです

四色で構成されているのは、三路線ある地下鉄のラインカラーと札幌市電を表したものかと思いきや、青は北国の青空、オレンジは暖かい市民のふれあいといったように、きちんと意味が与えられています

 

 

南北線で運用されている5000形ですが、2018年より行先・車内案内表示器が三色LEDからフルカラーLEDへ改造が進んでおり、現在ではどうやら全編成の改造工事が完了しているみたいです

さっぽろ駅を越えた途端に、突然駅名が個性を失い、北●条駅が4駅連続するのがいかにも札幌らしいです

 

 

帯広に着いた後、セコマで夕食を調達しようと思っていたのですが、昼食がサンドイッチだけだったので、猛烈にお腹が空いてきました

とりあえず「札幌へ来たからにはスープカレー」だろうと、ステラプレイスの天馬というお店に入ったのですが、後で調べてみたら日本レストランシステムが運営しているチェーン店で、本州にもお店がありました

 

札幌くんだりまでやって来て、チェーン店へ入ってしまうあたり、まだまだ修行が足りないと思った次第です

さっきまで私のいた札幌三越や札幌PARCOの近くに、かの有名店であるGARAKUがあったのに…と思ったところで、もう後の祭りですね

 

んで、夕食を食べるつもりなんか無くて、札幌市内をぶらぶらと散策していたせいで、「おおぞら」9号の発車時刻が間近に迫ってきました

しかも、自分の荷物を預けたコインロッカーの場所が分からなくなってしまい、車内へ乗り込んだ時には発車2分前でした

 

とりあえず間に合ったからよかったものの、これで間に合わなかったら後悔を残すことになったでしょう

 

乗車路線:千歳線,石勝線,根室本線

乗車区間:札幌1729発→帯広2016着

乗車列車:おおぞら9号(4009D)

乗車車両:釧クシ283系気動車キロ282-3(2号車3番D席)

座席種別:グリーン車指定席

 

 

 

そんなこんなで、出発前にゆっくり車体をスナップする余裕もなく、前日に撮影した写真の使い回しで申し訳ありませんが、「おおぞら」9号の車上の人となり、帯広を目指します

長年乗りたいと思っていたキハ283系との邂逅を、登場から四半世紀近くを経てようやく果たしました

 

 

いつもは車内に乗客が少なくなったタイミングを見計らって、こそこそっと車内の様子を撮影しているのですが、「おおぞら」の場合は帯広までの利用者が多いため、車内の隅々まで記録できていません

ただし、グリーン車の座席については前回までに紹介したキハ183系やキハ281系とまったく同じものを搭載しているので、詳細は割愛します

 

改座前は、JR九州の787系と並んで在来線最強と謳われていたキハ283系のグリーン車

ヘッドレストピローやフットレストはもちろんのこと、オーディオユニットに加え、電動のリクライニングやレッグレストまで備えた豪華な座席でした

できれば、その時代に一度乗ってみたかったですね

 

 

車掌室はベースになったキハ281系と同じくオープンカウンター式で、ダウンライトがアッパークラスのデッキに相応しい落ち着いた雰囲気です

 

 

キハ282形2000番台車のデッキには、縦長の窓が特徴的なミニラウンジがあります

かつては、灰皿が置かれ喫煙スペースとして機能していましたが、いまは全車禁煙のためタバコはNGです

 

JR九州の885系にも似たようなフリースペースがありますが、振り子車であるが故に、この縦長の窓から景色を眺めていたら、酔ってしまいそうです

実際に、885系では登場からしばらくして、下方に目隠しが設けられました

 

 

キハ283系においても指定席車を中心に”グレードアップ座席”への換装が進んでいることから、登場当初からの丹頂鶴をあしらったモケットのまま残る車両は僅かしかありません

この日の「おおぞら」9号は7両編成でしたが、6号車だけが丹頂鶴モケットでした

 

 

アームレスト周りにJR東海の383系と共通項が見て取れますが、バックレストなんかはJR北海道オリジナルっぽいですね

シートピッチは960㎜で、きちんとフットレストまで備わってる真面目さは素直に高評価です

 

 

この車両は、2001年に製造された5次車なので、4次車までと比べると背面テーブルが大型化されており、座席肩部のハンドグリップも形状が半円型に変更されています

ハンドグリップの赤は丹頂鶴の頭部を表現していると思われ、細部までいたるまで道東らしさが表現されたインテリアになっています

 

 

 

トイレはすべて洋式となっており、個室内に洗面台が併設されています

個室内に洗面台が配される構造はキハ281系も同様で、おそらく機器スペースに面積を割かれた結果、独立した洗面所を設けるのが難しかったのでしょう

 

これら振り子DC特急車よりも先に登場した785系では、独立した洗面所が設けられているので、仕方ない事情があったのでしょう

 

 

札幌から2時間47分で道東の主要都市である帯広に到着し、「おおぞら」9号からも多くのお客さんが下車しました

せっかくなので、釧路まで行きたかったところですが、釧路着が22時とあっては体力的に厳しいものがあるので、今晩は帯広で一夜を明かすことにします

 

それにしても、いつ見てもキハ283系のスタイリングは惚れ惚れするカッコよさですね

キハ261系と違って、振り子車ならではの絞り込まれた車体コンタと縦長に配された灯具類が、見る者にシャープな印象を与えます

 

 

釧路市の人口が16万人を下回ったことから、帯広は道内で5番目に人口の多い都市となっています

 

 

1987年に廃線となった旧広尾線の愛国駅や幸福駅へは、帯広駅から十勝バスで行くことができます

 

 

道央と道東をショートカットする路線として生まれた石勝線は1981年10月に開通し、2021年には開業40周年を迎えました

「おおぞら」や「とかち」が高速バスや航空機といったライバルたちと戦っていく上で、その重要性は揺らぐことはありません

 

 

コンコースを歩いてホテルへ向かおうとしていると、牛乳オンリーの自販機を発見し、さすがは酪農王国十勝だと思った次第

 

 

その近くには十勝地サイダーの自販機もありました

ビンは嵩むので結局買わなかったのですが、後でネットで調べてみると、池田白ぶどうや更別すももなど複数のフレーバーがあって、こちらもなかなか美味しそうです

 

本当は最終日の新千歳空港で荷物を送るつもりだったのですが、結局この日のホテルで荷造りをすることになったので、何本か買っておけばよかったなぁ

 

 

ホテルに荷物を預けて一休みした後は、マイナス10℃の帯広駅前を徘徊していました

みんなが紅白歌合戦に夢中になってる時間帯に何をやってるんだろうと思わなくもないですが、ホテルの部屋でテレビを見ているよりかは知らない街を散策する方が楽しいですよね

 

 

ホテル日航ノースランド帯広で一夜を明かして、本日は2022年1月1日でございます

それでは、元旦だからといって一切お正月らしいことはせずに、乗り鉄を敢行します

 

乗車路線:根室本線,石勝線

乗車区間:帯広0953発→南千歳1150着

乗車列車:おおぞら4号(4004D)

乗車車両:釧クシ283系気動車キロ282(2号車6番A席)

座席種別:グリーン車指定席

 

 

もちろん帰りもキハ283系が充当される便を選んでいます

帯広駅は両側の1,4番のりばが本線の扱いになっており、当駅始発の「とかち」は3番のりばから出ることが多いようです

 

 

さて、これまで一言も記事内で言及していなかったのですが、キハ283系といえば、重低音で唸るエンジン音が特徴的です

多種多様な気動車が発着する札幌駅で、キハ283系の姿は視認できなくても、そのエンジン音さえ聞けば存在が分かるほどで、私のようにそのエンジン音に魅入られるファンは多いはずです

 

JR四国の2000系から発展・進化を遂げた振り子DC特急車たちですが、どの車両もコマツ製の直列6気筒E/gを搭載しています

キハ283系には、JR四国の2000系や智頭急行のHOT7000系、京都丹後鉄道のKTR8000形と同じ排気量11LのN-DMF11HZAが2基搭載されています

 

JR東日本とJR北海道は、コマツの形式付番であるSA6D125Hを使用せずに、国鉄の規則に従ってN-DMF11という形式が与えられていますが、呼称が異なるだけでモノは同じです

上記三車種と一昨日乗ったキハ281系は、やはり同系統のコマツ製エンジンを搭載しているので、床下からは聞き覚えのあるエンジン音が耳に入ってきます

 

ところが、キハ283系はよくあるタービンのキーンという金属音は聞こえず、ひたすら低音で唸り続けるエンジン音が特徴的です

時折、加速しているにもかかわらず、急にこの音が小さくなる時があり、実際に乗車してみると不思議な感覚に陥ります

 

どうやらその理由はサービス用電源の供給に際して、走行用エンジンで油圧ポンプを駆動させて、さらにそのパワーで油圧モーターを定速回転させる独特の発電方式にあるようです

ネットで調べてもはっきりとした理由は分からず、Wikiにあった下記リンクから富士電機のレポートにキハ283系についての記述がありました

 

詳しく知りたい方は、下記URLからどうぞ

https://felib.fujielectric.co.jp/docfetch2/CustomContentBrowse.aspx?dataid=68382788&version=0&site=japan&lang=ja

 

 

 

帯広駅を出発してから30分ほどで新得駅に到着しました

ここでは国鉄一般形気動車標準色(朱色4号+クリーム4号)を身に纏ったキハ40形がいました

 

 

トマムでは「おおぞら」3号と離合する関係で数分間停車するので、ホームへ降りてみました

ホームにはこんもりと雪が積もっていますが、凍結しているわけではないので、注意深く歩けば滑ることはありません

 

キハ283系そのものは23年春のダイヤ改正より「オホーツク」「大雪」で復活を遂げましたが、グリーン車であるキロ282形は転用されることなく、全車廃車の憂き目に遭いました

何となくホーム上から写したキロ282形の姿が貴重なカットになってしまいました

 

 

定刻より数分遅れて札幌からの「おおぞら」3号が到着しました

あと2ヶ月半で去ってしまう先輩と、「おおぞら」の命運を託された後輩はどんな言葉を交わしたことでしょうか?

 

 

長大トンネルの連続する石勝線ですが、トンネルとトンネルの間からは、写真のように樹氷に覆われた木々が幻想的な美しさには得も言われぬものがありますね

 

いま走っている石勝線内で、2011年にキハ283系が脱線・炎上する痛ましい事故発生しました

鉄道工学が専門ではないので、詳細は割愛しますが、炎に包まれて変わり果てた姿になった同車の姿にショックを受けた人も多かったことでしょう

 

その後、JR北海道では事故やトラブルが相次いで発生し、130㎞/h運転が行われていた特急列車については120㎞/hへ引き下げる措置が講じられました

しかし、キハ283系だけは20㎞/hの引き下げが断行され、最高速度はキハ183系よりも低い110㎞/hに抑えられました

 

一説では、軽量化を進め過ぎた車体であるが故に、剛性が不足しているのが原因とされています

キハ283系の変速機は変速1段直結4段となっていますが、直結3速から直結4速へのシフトアップは110㎞/h以上で行われるため、最高速度が引き下げられた2013年11月以降トップギアは封印された状態がいまも続いています

 

最高速度が110㎞/hになったといっても、石勝線内の走りっぷりは十分に疾走感のあるものでしたが、130㎞/h時代はもっと凄かったんでしょうね

 

 

他社の車両では、停車駅の案内は「次は●●」や「まもなく●●」のように車内LEDにスクロールされるだけですが、JR北海道の特急車両では、デフォルメされた車両のイラストが現在地を直感的に分かりやすく乗客に教えてくれます

 

 

キハ283系のエンジン音に酔いしれていると、約2時間の乗車時間はあっという間に過ぎ去り、後ろ髪を引かれる思いで南千歳駅へ降り立ちました

最後は、北海道を象った石勝線の0キロポストを絡めた構図でキハ283系を見送りました

 

後は、新千歳空港から関空へひとっ飛びするはずが、大波乱に巻き込まれることになります

~年越し北海道旅行記2021-2022⑨~大波乱の北海道脱出編へつづく~