昨日のことになりますが、鉄道各社から24年春のダイヤ改正についての発表がなされました

もちろん、一番のトピックは北陸新幹線の延伸開業なわけですが、JR北海道から順番に管理人の気になったポイントをまとめていこうと思います

 

●JR北海道

既に11月15日の社長会見で明らかになっていましたが、24年春のダイヤ改正から道内を走る4つの特急列車…「北斗」「すずらん」「おおぞら」「とかち」…で自由席が廃止され、全車指定席化が行われます

これにより、道内で自由席が残るのは、「ライラック」「カムイ」と宗谷本線・石北本線系統の特急列車だけになります

 

JR北海道によると、全車指定席化に踏み切ることによって、発車前にホームで長時間に渡って並んだり、始発駅に近い方が座席の確保が容易である不公平感が解消されることをメリットとして挙げています

編成が異なる「ライラック」と「カムイ」も、自由席車が両列車共に2両に減らされて、その分指定席車が増えることになります

 

「カムイ」ではダイヤ改正以降、3~5号車が指定席になりますが、当列車に使用される789系1000番台は4号車がuシート車となっており、3・5号車と座席が異なります

そのため、同じ指定席車ながら、PCコンセントの有無等格差が生じますが、JR北海道としては問題ないと判断したのでしょう

 

この他には、小樽・札幌~新千歳空港間で運行されている快速「エアポート」については、運行本数が毎時5本から毎時6本に増発されます

ただ単に1本増発されるわけではなく、6本のうち1本を特別快速「エアポート」として、空港アクセスの速達化が図られます

 

また、毎時2本については、区間快速「エアポート」となり、昼間時の北広島~千歳間では普通列車の運行を取りやめ、当列車が普通列車の代替を務めます

 

▲札幌駅に到着した789系1000番台

「カムイ」についても、自由席車が減ることになった

 

 

●JR東日本

北陸新幹線の延伸開業区間はJR西日本管内になるので、その話題は別項に譲るとして、ここではE8系と255系の撤退を取り上げます

まず、山形新幹線についてですが、E3系1000・2000番台に代わるニューフェイスとして、E8系が順次投入されます

 

これにより、東北新幹線内での最高速度が275㎞/hから300㎞/hへ向上し、東京~山形・新庄間で所要時間が4分短縮されます

E8系と併結する「やまびこ」についてもE5系へと変更されることから、E2系の肩身がますます狭くなりそうです

 

在来線特急では、房総方面で活躍する255系が定期運用を終えることになりました

とは言っても、新車が増投入されるわけではなく、既存のE257系500番台の運用見直しとE259系の転用によって賄われます

 

255系がJR東日本の所有する最も古い特急車であることや、E259系の塗装変更から何となく予想されていたことですが、既に651系や251系は引退済みであり、平成初期に登場したJR東日本の特急車はすべて姿を消すことになります

 

ただし、アフターコロナで空港輸送需要は回復基調であり、E259系の運用数にさほど余裕があるとは思えず、しばらくは「新宿さざなみ」などの波動用で255系が残りそうです

255系撤退による運用の見直しを受けて、E257系500番台では10両編成の運行が取り止めになります

 

また、E259系の本職である「成田エクスプレス」でも、運用に余裕を持たせる狙いがあるのか、八王子発着の便が廃止されます

これまで、「成田エクスプレス」については、A特急料金適用されたり、グリーン料金が最低でも200㎞分必要だったりと、割高な印象がありました

 

しかし、今度のダイヤ改正以降は、利用駅に成田空港駅・空港第2ビル駅を含まない場合は、首都圏を走る「ひたち」や「あずさ」と同じ料金体系に変更されます

なお、これら両駅を含む利用であっても繁忙期・閑散期の区別が廃止され、通年で同一の料金となるほか、グリーン料金も100㎞までの利用であれば1,300円になります

 

ところで、JR東日本の発表の中で、一番のけ反りそうになったのは、奥羽本線を走る「つがる」に速達版の「スーパーつがる」が登場することです

3往復運行されている「つがる」のうち1往復で、停車駅を見直した速達便を設定し、現行の1号で秋田~青森間で2時間40分のところを9分短縮し、最速2時間31分で同区間を結びます

 

E751系が「スーパーはつかり」として登場してから四半世紀近くを経て、再び列車名に”スーパー”を冠するようになるのは感慨深いものがありますね

 

さきほど、「成田エクスプレス」の料金が通年で同額になることはお伝えしましたが、首都圏を走る普通列車グリーン料金(Bグリーン料金)についても、これまでの平日料金/ホリデー料金の区分が廃止されます

その代わりに、Suicaを利用した場合と、紙のきっぷを購入した場合で、料金に差が生じることになります

 

なお、料金についても50㎞以内であれば、780円(平日/事前料金)から750円(Suica)へ値下げされることになります

半面、101㎞以上利用する場合は1000円(平日/事前料金)から1,550円へ値上げされることになり、区間によっては「こだま」や「なすの」を利用した方がよさそうなケースも出てきそうです

 

▲安房鴨川駅に到着した255系「わかしお」

 

▲255系も自由席表示も見納めとなる

 

 

●JR東海

既に2ヶ月前に発表のあったことですが、24年春改正時に東海道・山陽・九州新幹線を走る車両に設置されている喫煙ルームが廃止されます

2020年に700系が引退して、新幹線から喫煙車が消滅したのは記憶に新しいところですが、今後は新幹線車内での喫煙が御法度になります

 

JR東海によると、近年の健康志向の高まりや喫煙率の低下を踏まえて判断したと報じられており、”全室禁煙”から”全車禁煙”への変化は愛煙家にとって厳しいものとなりそうです

JRグループで、車内でタバコが吸えるのは「サンライズ瀬戸・出雲」だけになりそうですね

 

●JR西日本

JR西日本では、北陸新幹線の敦賀延伸と「やくも」への273系投入が目玉になります

まず、北陸新幹線の金沢~敦賀間の延伸開業に伴い、最速の「かがやき」で東京~福井間を2時間51分、東京~敦賀間を3時間8分で結びます

 

東京~福井間に関しては、従前の「ひかり」+「しらさぎ」を米原駅で乗り継ぐ場合と比べて、30分以上短縮されます

しかし、東京~敦賀間に関していえば、米原経由の方が北陸新幹線利用よりも18分速いという残念な結果に

 

これも既報通りではありますが、七尾線を走る「能登かがり火」は運行を継続するほか、「花嫁のれん」についても2往復の運行が維持されます

「能登かがり火」については、和倉温泉発着の「サンダーバード」1往復が廃止される分を吸収し、定期5往復となり、臨時列車も1往復設定されます

 

3月16日のダイヤ改正から遅れること3週間後の4月6日に、いよいよ273系が「やくも」にお目見えします

日本初の「車上型制御付き自然振り子方式」を採用しており、381系と比べて大きく乗り心地が改善されるとあって、デビュー前から注目を集めています

 

4月6日の時点では、まず15往復中6往復に投入され、7月1日からは全面的に381系を置き換えることも併せて発表されました

これにより、国鉄色から始まった381系の各種リバイバル塗装は、まず4月5日に「スーパーやくも」塗装が運行を終えるほか、6月30日には国鉄色と緑やくも塗装が運行を終えます

 

なお、7月1日以降も繁忙期に381系を使用する可能性が示唆されています

アフターコロナで利用が回復しつつあるので、念のために381系を残しつつ、273系11編成で繁忙期を乗り切れるかどうか見極めて、もし戦力が不足するようであれば、同車の追加増備も考えているのではないでしょうか?

 

「やくも」と同じく山陰を発着する「スーパーはくと」でも、今回の改正で大きな動きがあります

96年春改正で関西側の始発駅は長らく京都駅とされてきましたが、同駅発着便を2往復に減らして、大阪発着便を6往復とする体系へシフトします

 

つまり、大阪~鳥取間で見れば7往復から8往復へ増発されることになりますが、京都からの利用は不便になりそうですね

 

この他に、アーバンネットワーク内では「らくラクはりま」の運行区間が姫路~新大阪間から網干~京都間へ変更されます

大阪~米原間を走る「びわこエクスプレス」については、運行区間はそのままに、列車名が「らくラクびわこ」へ変更され、683系が充当される米原行きの便は大阪駅発が21時36分から19時20分へ発車時刻が繰り上げられます

 

以上、2つの通勤特急は運行区間や列車名の変更だけですが、今回新たに新大阪~奈良間を天王寺経由で結ぶ「らくラクやまと」が設定され、快速「うれシート」も運行本数や設定日が拡大されます

 

 

▲リバイバル塗装第二弾の「スーパーやくも」塗装を纏う編成は24年4月5日限りで運用を離脱する

 

 

●JR四国

8000系の二次リニューアル車完成で話題が持ち切りのJR四国ですが、今度のダイヤ改正で土讃線高知~伊野間、高徳線高松~引田間でパターンダイヤが導入されます

 

徳島駅では高徳線、徳島線、鳴門線、牟岐線の各線同士を乗り継ぐ際の利便性を向上させるべく、”タクトダイヤ”が導入されます

パターンダイヤはよく聞く単語ですが、タクトダイヤは各路線のパターンダイヤを結合し、駅でまるで指揮者がタクトを振るように、各線の列車が上手く接続することを指します

 

その他、ものがたり列車については大きな変更はないようですね

 

▲二次リニューアルにより、順次現行の塗装は変更される

 

 

●JR九州

九州新幹線で新たに久留米駅に「みずほ」が停車するほか、都市間連絡特急では「リレーかもめ」の増発や一部の「かささぎ」「ひゅうが」の減便が行われます

また、D&S列車関連では、21年改正時より繁忙期に2往復運行されている「海幸山幸」が再び1往復のみの運行に変更されます