昨年7月にフルモデルチェンジが発表されたトヨタ・クラウン
国産乗用車モデルの中で最も長い歴史誇るブランドですが、16代目となるSH35型はこれまでの伝統をかなぐり捨てる形で登場しました
 
アウディに影響を受けたような大型のグリルを引っ提げて登場したS21、S22型であっても、頑なに駆動方式はFRを貫いてきましたが、今回のSH35型ではカムリなどと同様のGA-Kプラットフォームが採用され、全グレードがFFベースのAWDとなりました
 
現在、市販されているのはクロスオーバーのみですが、今年の秋頃にクラウンスポーツとセダンが追加され、さらにエステートがラインナップに加わる予定です
なお、クロスオーバーに限った話ではありませんが、S22型まで設定のあったピュアエンジンモデルは設定されていません
 
レクサスブランドやアルヴェルに押され気味とはいえ、一応トヨタブランドの最上級車種であり、その新型モデルとあっては試乗してみたいところ
ちょうど、自分の乗っているクルマにリコールがあり、ディーラーへ行く機会があったので、部品交換の時間を利用してクラウンクロスオーバーに乗ってみました
 

 
これまで、C-HRやRAV4といったカジュアルな車種を中心に設定のあったツートンのカラーリングが、今回からクラウンにも設定されました
公式サイトやCMなどでは、ブラック×プレシャスブロンズがよく登場しますが、今回の試乗車はブラック×プレシャスメタルです
 

 
近寄ってみると、プレシャスメタルは地味な色合いのグレーではなく、日本刀のように鋭い風合いのカラーリングです
フロントグリルは、先代、先々代に比べて小さくなりましたが、横一直線に光輝くデイタイムランニングランプを見るにつけ、「かなり攻めたデザインだな」と感じた次第
 

 
装着タイヤはミシュランのe・PRIMACYで、サイズは225/45R21です
アルミホイールそのものにもノイズを低減する機能を持たせています
 
最低地上高は全グレード共通で145㎜となっており、RAV4のそれが200㎜なのと比較すると、セダンに近いボディ形状故に控え目な数字になっています
ちなみに、サスペンションは、前輪がマクファーソンストラット式、後輪がマルチリンク式です
 

 

運転席の様子はこんな感じです

メーター画面は12.3インチのLCDで、これとは別にナビ・オーディオ用のマルチファンクションディスプレイがダッシュボード中央に鎮座しています

 

シフトノブは、ノア/ヴォクシーやシエンタのハイブリッド車で見られる電子制御方式のもので、パーキングブレーキはDレンジへ入れると自動で解除されるタイプです

写真では少し見切れていますが、2名分のドラポジ…ハンドル・シート・サイドミラー・ドア…をセットしておける機能があり、ドアハンドルの横にスイッチがあります

 

試乗したこの日は、汗ばむ陽気だったのですが、前席にはシートベンチレーションが仕込まれており、運転中に熱気がこもりがちな背中をひんやり冷やしてくれます

このグレードでは、シートベンチレーション以外にも前席シートヒーターが標準で装備されており、クラウンらしいおもてなしといえます

 

ということで、この後試乗の予約が入ってるそうなので、30分ほどで試乗を切り上げて、ディーラーへ戻ってきました

試乗してみた感想ですが、これまで私の乗ったことがあるトヨタのハイブリッド車は、代車で借りた初代アクアとタクシーで乗ったレクサスESくらいで、そもそも比較対象に乏しいのです

 

無論、コンパクトカーであるアクアと比べたら走りの質感は桁違いですが、レクサスESと比べてしまうと静粛性では太刀打ちできません

そもそも、今回新たに登場したクラウン・クロスオーバーはどういった層が購入するのでしょうか?

 

これまでのクラウンの伝統をかなぐり捨てて、セダンとSUVを融合させた目新しさ故に、クロスオーバーに対する注目度は低くありません

しかし、今年の秋にはショーファー需要向けとなるFR方式のセダンが販売予定で、クロスオーバーの立ち位置が曖昧になってしまことは避けられないように思えます

 

ちなみに、今回試乗したグレードは車両本体価格570万円なのですが、あと32万円出せば同じGA-KプラットフォームのレクサスESが買えてしまうわけです

静粛性や質感、どれをとってもレクサスESには敵わないわけで、決して悪いクルマではないものの、敢えてクラウン・クロスオーバーを選ぶ意味は希薄に感じられてしまうわけです