7月20日にJR東海より、特急「しなの」に使用されている383系の後継車両として385系を製造することが発表されました

まずは、2026年度に量産先行車が登場し、長期試験に供された後、2029年度に量産車が登場する予定になっています

 

383系も登場から30年近くが経ち、何よりも同系に試験台車が装着されている姿が目撃されており、近々何らかの動きがあるのでは?と、否応なく気付かされたことかと思います

1988~1992年に製造されたキハ85系の置き換えが完了したことから、次に着手すべき懸案事項が383系の置き換えなことは明々白々なわけです

 

まず、形式についてですが、383系の後継車両ということで、順当に”385系”となりました

「しなの」の走る中央西線は、振り子車両である381系が初めて投入された路線であり、同車の血脈を受け継ぐ意志が感じられます

 

エクステリアについては、テーマを「アルプスを翔ける爽風」とし、アルプスの山並みのなかを颯爽と駆け抜けていく様子を表現したデザインになります

なお、現行の383系では長野方の先頭車両のみパノラマ型グリーン車ですが、385系では名古屋方の先頭車両でも前面展望が可能となります

 

キハ85系がHC85系へ置き換えられるにあたって、前面展望が可能な先頭車両はバッサリと切り捨てられてしまいましたが、385系では存続することになりました

この情報そのものは”吉報”として素直に喜びたいところですが、385系のイメージパースを見る限り、383系と比べて運転台の前面窓下端が高めの位置に設定されており、客室内からの眺望性に疑問が残ります

 

また、プレスリリースではホームドアへの対応から、中央西線を走る315系とドア位置と車両長を揃えることとが謳われており、先述の編成の両端がパノラマ型車両になるという情報を合わせると、どうやら385系は増解結を考慮しない8両固定編成で登場する可能性が高そうです

 

最後に振り子装置についてですが、現行の383系は制御付自然振り子方式で、予め車両側に記録された走行線区の情報に加え、ATS地上子を活用することで、位置補正を行い、振り子制御シリンダで車体傾斜を行います

これに対して、385系では車上に搭載されたジャイロセンサで曲線の位置検知を行い、よりスムースに車体傾斜を行うことで、383系に比べて曲線通過時の乗り心地が向上するようです

 

ところで、383系と世代的に近い373系の去就はどうなるのでしょうか?

さすがに、「ふじかわ」や「伊那路」を特急から快速へ格下げすることは考えにくいのですが、「しなの」や「ひだ」と比べて利用客数が多くないことから、JR東海としてはギリギリまで373系を使い倒す腹積もりなのかもしれません

 

▲名古屋駅で並ぶワイドビューしなの&ワイドビュー南紀