↑前回からつづく↑

 

札幌から789系「ライラック」号に乗車し、旭川駅前のホテルで一夜を過ごした管理人

年越し北海道旅行も3日目を迎え、本日で2021年も終了となる本日は、まず旭川駅から「オホーツク」2号に乗り込み、札幌駅で小休止してから「おおぞら」9号で帯広駅まで向かう予定です

 

 

ホテルの自室のカーテンを開けると、旭川の街並みは一面の銀世界でした

 

 

それでは、旭川駅から旅を再開することにしましょう

 

 

乗車路線:函館本線

乗車区間:旭川0947発→札幌1119着

乗車列車:オホーツク2号(72D)

乗車車両:札ナホ183系気動車キハ182-505(2号車6番A席)

座席種別:グリーン車指定席

 

 

 

旭川のホームに滑り込んでくる「オホーツク」号の写真があればよかったのですが、生憎ながら下手くそな動画しか撮れていないので、昨晩撮っておいた「大雪」の写真を載せておきます

 

 

「オホーツク」の走行区間を短縮する形で「大雪」が登場したのが2017年3月のダイヤ改正時ですが、管理人が旭川を訪れるのは2015年6月以来、実に6年半ぶりのことなので、「大雪」のヘッドマークを直接この目で見るのは初めてなのです

 

 

もともと「大雪」の愛称は石北本線を走る急行列車に用いられてましたが、特急格上げで徐々にその本数を減らしていき、最後まで残った夜行便も1992年3月のダイヤ改正時に「オホーツク」9・10号へと変更され、「大雪」の愛称は消滅しました

 

それから四半世紀の時を経て「大雪」は復活を遂げたわけですが、用意されたヘッドマークは急行時代と変わらない凛とした大雪山系をモチーフにしたものでした

 

 

HET色のキハ183系といえば、まだまだ「北斗」のイメージが強いのですが、同列車からは2018年3月改正で撤退し、余剰となった車両が「オホーツク」「大雪」へ投入されています

 

 

これまでキハ183系へは2回乗車したことがありますが、キロハ182形を含めてグリーン車は未乗車でした

ということで、札幌駅まで約1時間半となりますが、人生初のハイデッカーグリーン車の旅を楽しみたいと思います

 

▲/▲▲札幌駅到着後に撮影

 

 

 

それではさっそくキロ182形500番台車の車内を紹介していきましょう

この車両の特徴は、何と言っても天井まで回り込んだ大きな側窓から北海道の雄大な車窓を堪能できることにあります

 

メジャーを持ち込んできちんと計測したわけではないのですが、眺望性と開放感でこれと勝負できる車両はJR東日本の251系「スーパービュー踊り子」か、「トワイライトエクスプレス」の”サロン・デュ・ノール”くらいかと思われます

 

 

グレー系の化粧板だった妻壁は、座席の交換に合わせて明るい木目調に交換されています

LEDによる情報案内板のような気の利いたものはなく、昔ながらのサボで号車や座席種別を乗客に伝えています

 

 

座席そのものは、昨日乗車した789系「ライラック」と同じものです

789系がブルー系のシートモケットなのに対して、こちらはブラウン系のシートモケットとなっており、同じ座席ながらも、こちらの方がアッパークラスらしい重厚感に溢れています

 

フットレストやアームレストに見覚えのあるパーツが見え隠れしますが、座り心地そのものは「オホーツク」のように5時間超えの乗車にも耐えうる上々の出来栄えで、文句の付けどころがない完成度の高いものです

特に、バックレストの背中を受け止める部分…ちょうどモケットの色が変わっている部分…が柔らかくなっていて、着座時に感動を覚えるほどです

 

強いて欠点らしい欠点を挙げるとすれば、プライバシー性を考慮して大きく張り出したヘッドレストが車窓を遮ってしまうことでしょうか?

ヘッドレストピローに頭を預けた状態で、視線を窓の方へ向けると、否応なく視界にヘッドレストの張り出しが飛び込んでくるんですよね

 


キハ261系の7次車に搭載されている座席では、ヘッドレスト部分に面一で埋め込まれている読書灯ですが、こちらの座席ではぴょこんとヘッドレストから飛び出すようにして設置されています

 

まるで後付けされたような外観ですが、登場時からこんな余所余所しい見た目をしています

もしかしたら、ひょっとしてこれは青函連絡船に搭載されていたグリーン席へのオマージュなのではないだろうかと勘ぐってしまうわけです

 

さすがにバカバカしい妄想かもしれませんが、摩周丸のグリーン席と読書灯周りの佇まいが近似しているんですよね

 

【参考】青函連絡船摩周丸のグリーン席

 

 

話が横道に逸れてしまいましたが、ここでキハ183系へ話を戻して、引き続き座席紹介を続けます

上の写真は、座席のリクライニングを目一杯倒した状態で撮影しており、写真では伝わりにくいですが、体感ではかなり傾いています

 

付帯設備としては、先述した読書灯と背面テーブル、ドリンクホルダー、フットレストが設置されていますが、かつてキハ281系などで見られたオーディオユニットはありません

いつでも自分のスマホで好きな音楽を聴ける時代なので、これは”退化”ではなく、時流を捉えた”変化”といえるでしょう

 

 

背面テーブルは、N700系やE5系など近年の新幹線車両のグリーン車でよく見かける前後にスライドするギミックが仕込まれたものです

 

 

アームレスト内にテーブルは収納されておらず、その代わりにドリンクホルダーがあります

ドリンクホルダーは、JR西日本が手掛けたN700系S・R編成の指定席やE/W7のグリーン車で見かけるのと同じパーツですね

 

 

グリーン車では各座席に1個ずつコンセントが設置されており、長距離・長時間乗車が多いであろう北海道において、普通車に対するアドバンテージが確保されています

一通り座席の周りの紹介が済んだところで、今度はデッキへ出てみましょう

 

 

本日、乗車しているキロ182‐505は1986年に富士重工で製造された車両です

 

最後まで現役で残っていたキハ183系は、国鉄末期の1986年に登場したN183系とJR移行後に製造されたNN183系と呼ばれるグループで、スラントノーズ車を含む初期車は2017年までに全て廃車となりました

国鉄の置き土産ともいえるN183系ですが、いま乗っているハイデッカーグリーン車に象徴されるように、接客設備は大きく改善されました

 

搭載するエンジンについては、キハ183系0番台と同じく排気量30L/V型12気筒のDML30系が搭載されていますが、500番台では予燃焼室から直噴式に改良されたDML30HSJが搭載されています

NN183系では、さらに出力の向上を図ったDML30HZが搭載されましたが、2013年7月に発生した出火事故を受けて、キハ261系と同じN-DMF13HZKへ換装されました

 

しかしながら、500番台の搭載するDML30HSJは換装工事の対象とはならず、いまもキハ181系譲りのV型12気筒サウンドを楽しめるというわけです

「オホーツク」「大雪」で運用されるキロ182形は全部で5両ありますが、キロ182-504と505の2両だけが該当します

 

そして、この日の管理人は見事に2/5の確率でDML30HSJ搭載車両を引き当てたわけです

どうやら、この旅行の運をここで全て使い果たしてしまったらしく、翌日新千歳空港で災難に見舞われることになります

 

ところで、これまで管理人はDML30系エンジンのことをずっと水平対向12気筒だと思い込んでいたのですが、実際はバンク角180°のV型12気筒エンジンなんですね

ただ、シリンダーが水平方向へ動くことには変わりないので、ノッチを入れた時に車体がぐらりと横方向へ動く挙動は、他の直列エンジン搭載車では決して体感できません

 

深川駅を発車してから加速する様子をデッキのエンジン直上で車窓と共に収録しましたので、是非イヤホンでDML30系の12気筒サウンドをお楽しみください

 

 

 

 

キハ183系では、当時の特急型車両としては珍しく、食堂車が製造されませんでした

 

とはいえ、自ずと長距離・長時間の移動が多い道内を走る優等列車において、供食設備が皆無なのはさすがにマズいと当時の国鉄関係者は踏んだのか、キロ182形の車端部にそこそこの面積を割いて、簡易的な調理スペースを設けた車販準備室があります

 

我々の想像する車販準備室は、車販のカートを収納したり、飲食物を保管しておくケースがあったりするような簡素なイメージですが、この車両では炊飯器もあって、炊き立てホカホカの白米を乗客に提供できたそうです

 

 

そして、ここへ飲食物を買いに来た利用客が待ち時間に座れるように壁にはジャンプシートがあります

ここだけ切り取ると、ブルトレの通路にあったイスのようで、ついついノスタルジックな感情で心が満たされます

 

 

車販準備室と反対側にあるデッキには、客室へと続くなだらかなスロープの脇にトイレと洗面所が配されています

これまで251系やKTR001系など、客室がハイデッカー構造になっている車両にはいくつか乗ってきましたが、客室へアプローチするスロープの横にトイレがある車両は初めて見ました

 

 

 

洗面台は自動水栓ではなく、レバーを捻ると温水と冷水が分かれて出てくるタイプです

寒冷地を走る車両だからなのか、洗面所にはご覧のようにヒーターが剝き出しで設置されていますが、14系や24系の洗面所にも同じようなヒーターがありましたよね

 

先述したようにN183系と呼ばれるグループが登場したのは1986年のことで、JR東海が生み出したキハ85系の量産先行車と僅か2年の違いしかありませんが、そこかしこに国鉄っぽさが漂います

 

 

この流れでいくとトイレも国鉄テイスト全開かと思いきや、こちらはきちんと改装の手が入っており、JR世代の車両と比べても古臭さは感じません

 

 

今度は普通車の方へお邪魔してみましょう

キハ183系はJR北海道の特急車両としては、リゾート車両群を除くと、唯一前面展望が可能でした

 

かつては、キハ281系なんかでも運転席下の貫通扉から前面展望を眺めることができましたが、踏切事故の影響で現在は立ち入り禁止になっています

 

 

 

キハ183系でも普通車の座席の多くは”グレードアップ指定席”へ改座されていますが、一部の車両にR55型座席も残存しています

シートモケットはかつての僚友であるキハ281系と同じもので、極力「北斗」系統でイメージを揃えるようにしています

 

 

 

そしてこちらは普通車の洗面台です

グリーン車は手動水栓なのに、こちらは自動水栓で、しかも照明だって何だかゴージャスな雰囲気です

 

 

DML30系の図太い12気筒サウンドに耳を傾けたり、キロ182形のデッキでブルトレ気分に浸ったりしていたら、あっという間に札幌駅へ到着しました

キハ183系の引退と共に、DML30系エンジンを搭載した車両は国内から消滅し、これでキハ181系の幻影をキハ183系に重ね合わせることも叶わなくなりました

 

引退前にもう1回ハイデッカーグリーン車に乗りたくなった管理人は、2022年12月に再び札幌駅を訪れたわけですが、上の号車札の写真はその時に撮影したものです

既に「オホーツク」「大雪」へキハ283系が投入されると、モノクラス化されることが発表されていたので、グリーン車の号車案内を記録しておいたのです

 

知っての通り、「オホーツク」は「宗谷」と並んで、道内でも屈指の長時間乗車を強いられる列車であり、今回のモノクラス化は疑問に感じざるを得ません

キロ282形の老朽化が他車よりも深刻だったのかもしれませんが、半室でもいいので「オホーツク」「大雪」にグリーン車の再設定を望みたいところです

 

 

ところで、「オホーツク」のヘッドマークは22年1月29日から国鉄時代のデザインが復活したのですが、21年の年末に訪れた時は変更前でした

22年の年末に渡道した時は、オホーツク海に浮かぶ流氷と能取岬をモチーフにしたヘッドマークを確とファインダーに収めることができました

 

札幌駅~網走駅間の全区間に乗車することは遂に叶いませんでしたが、DML30系エンジンの咆哮を堪能できたのでよしとしましょう

この後、札幌駅で小休止した後、「おおぞら」9号で帯広駅まで向かいます

 

 

年越し北海道旅行記2021-2022⑧~キハ283系「おおぞら」号グリーン車乗車記~へつづく

 

↑前回からつづく↑

 

旅2日目を迎えた年越し北海道旅行は、東室蘭→長万部→札幌と移動し、この日の行程は「ライラック」への乗車を残すのみとなりました

もう少し上手く行程が組めればよかったのですが、キハ183系やキハ283系への乗車を考慮し、なおかつ年末の帰省ラッシュの最中で空席を見つけながらの移動のため、こればかりは致し方ありません

 

 

乗車路線:函館本線

乗車区間:札幌1500発→旭川1625着

乗車列車:ライラック23号(3023M)

乗車車両:札サウ789系0番台HE-102編成(1号車5番A席)

座席種別:グリーン車指定席

 

 

789系0番台が登場したのは、1982年の部分開業時以来、ずっと盛岡止まりだった東北新幹線が八戸まで延伸開業した2002年12月のダイヤ改正時でした

それまで、青函トンネルを介して北東北~道南を連絡する列車としては、485系による特急「はつかり」が4往復と50系による快速「海峡」が7往復運行されていました(99年3月時点)

 

青函特急時代は遂に乗車する機会に恵まれませんでしたが、登場から20年の時を経て、ようやく念願の初乗車となりました

素人目からは、塗装を除くとキハ261系0番台と同様の車体コンタが採用されているようにも見えますが、灯具類が縦配置に変更されているほか、同車にあった車体側面のビード加工は姿を消して、ツルんとした平滑な仕上がりになっています

 

一応、キハ261系0番台に準じて、車体傾斜装置も準備工事だけは行わているそうです

そういえば、遠く離れた四国の地に「レトロフューチャー」をコンセプトにした親戚がいますねぇ

 

 

青函特急から道央圏への転用に際して、ヘッドマークがロール幕式からフルカラーLEDへ変更されており、

781系時代のヘッドマークが忠実に再現されています

なお、最高速度については青函特急時代の140km/hから120km/hへ引き下げられています

 

貫通扉はまだ使えそうですが、増結用のHE-300編成が2編成共に函館で保留車扱いになっているため、活用される機会はなさそうです

そういえば、青函特急時代は785系300番台という変わりダネの増結用編成もありましたね

 

 

▲/▲▲旭川到着後に撮影

 

青函特急時代は、キハ281から譲り受けたHEAT789…Hokkaido Express Adovanced Train…のロゴを掲出していましたが、いまは各編成に沿線の観光地や特産品をイメージしたイラストに取って代わっています

道東方面から転用されたキハ283系も同じテイストのロゴに変更されましたね

 

 

行先表示器は青函時代の三色LEDから、視認性に優れたフルカラーLEDへ変更されています

キハ261系5次車以降に採用されているのと同じものですね

 

 

本日お世話になるのは、クロハ789-102を先頭にしたHE-102編成です

789系0番台で面白いのは、同じ1本の編成に見えても、簡易運転台を装備している3号車のサハ789形100番台と4号車のモハ789形100番台車を境にして編成番号が異なる点です

 

 

乗降ドアはJR北海道のコーポレートカラーである萌黄色に彩られています

登場当初は、本州へお客様を迎えに行くにあたって、北海道の鉄道車両であることをささやかながらにアピールする役目もあったことでしょう

 

 

それでは、旭川までまったりとグリーン車の旅を楽しみたいと思います

後席に気兼ねなくリクライニングできる進行方向左側の最後列を確保することができました

 

管理人がえきねっとから予約した時はハザ・ロザ共にまだまだ空席があったのですが、札幌発車時点でロザは見事に満員御礼でした

美唄の前後で普通車の様子を見に行くと、おそらく閑散期は持て余し気味であろう6両編成が自由席に立客も見られるほど混雑しています

 

ちなみに、札幌~旭川間は1時間半に満たない乗車時間ですが、距離は100㎞を少し超える136.8㎞なので、グリーン料金は200㎞未満の2,800円となります

これを高いと見るか、それとも安いと見るかは利用者の主観に依るところですが、はるばる北海道までやって来た身としては割安に感じました

 

 

 

岩見沢を過ぎると、どこまでも広がる雄大な大雪原が車窓に広がります

グリーン車のふかふかの座席に身を委ねながら、サッポロクラシックを一思いに流し込めば、至福のひとときが流れていきます
 

 

まだ16時前ですが、早くも車内には西日がさしてきました

これは789系1000番台にもいえることですが、同車の静粛性は非常に高く、レールの上を駆るように走っていく様は一度体験してみる価値ありでしょう

 

789系の場合、スラブ軌道で騒音が大きくなりがちな青函トンネル区間の走行を念頭に、ステンレス鋼体の板厚を増したり、乗降ドアの気密性を強化したりしていることが功を奏しているようです

北海道を旅していると、否応なく気動車ばかりに乗ることになってしまうので、余計に静かに感じてしまう側面もあるのかもしれません

 

 

客室ドア鴨居部にはLED表示板があるのですが、なぜか表面が少し曇っています

昔の鉄道雑誌などを見ても、なぜかデビュー当時からこのような仕様になっている模様

 

 

終点・旭川に到着したところで、クロハ789形のグリーン”室”全景を見てみましょう

さきほど、ついうっかりグリーン”車”と表現してしまいましたが、厳密には合造車なので、グリーン”室”となります

 

蒼天の夜空を想起させる深々としたブルーの天井に覆われた空間には、3アブレスト配置の座席が5列並んでおり、定員は15名となっております

JR北海道の在来線電車特急のグリーン車としては、登場時から現在にいたるまで唯一の存在です

 

 

JR北海道のグリーン席は、各形式ごとに搭載されている座席が異なるといっても過言ではない状況が長らく続いてきました

革張りで同じように見えるキハ261系と789系のグリーン席であっても、バックレストの形状が大きく異なっていたほどです

 

その後、JR北海道のお家事情もご多分に影響していたのか、2011年からキハ183・281・283系のグリーン車で共通の座席が導入されるようになりました

789系0番台に対しても2019年秋頃から、グリーン席については改座が行われ、上記のDC特急シリーズと同じ”リニューアル腰掛”が搭載されています

 

 

DC特急シリーズとは異なり、シートモケットは茶色系ではなく青色系で、キハ261系7次車のそれとほぼ同じ外観となっています

しかし、キハ261系ではヘッドレスト部分に設置されている読書灯は、従前から網棚にあるため省略されているほか、コンセントも壁面にあることから、座席にはありません

 

レザーシートだった前作に引き続き、製作元はコイト電工です

ヘッドレストピローが可動するギミックも引き継がれており、上の写真では分かりやすいように向かって右側の座席だけヘッドレストピローを折り曲げています

 

ちなみに、同じくコイト電工製の「ひのとり」や「スペーシアX」のプレミアムシートにも同じギミックが実装されています

 

 

 

フットレストは土足面と素足面の二面展開となるグリーン車ではよく見かけるタイプで、右側に付いているペダルで角度を変えることができるのが嬉しい気遣いですね

N700系のフットレストと非常によく似たデザインですが、所々異なるパーツが見受けられます

 

 

グリーン席では、各席につき1個コンセントが用意されていますが、アームレストではなく窓側にまとめて設置されているので、通路側の人は窓側の人に遠慮しながら使うことになりそうです

なお、クロハ789形に限ってハザにもコンセントが設置されていますが、そちらもロザと同じく窓側に固めて配置されているので、気兼ねなくコンセントを使おうと思うと、窓側を購入した方がいいかもしれません

 

 

 

「ライラック」が登場した2017年春のダイヤ改正では、キハ183系の車両数が厳しいことから、これまで札幌~網走間で4往復設定されていた「オホーツク」のうち2往復を旭川回転として、新たに「大雪」が登場しました

旭川駅では「ライラック」と同一ホームで対面乗換ができるほか、改札を出なければ特急料金・グリーン料金は通算される特例が設けられました

 

 

稚内からの「サロベツ」4号が到着しました

こちらも2017年改正時に、車両がキハ183系からキハ261系へ、運行区間が札幌~稚内から旭川~稚内へと改められ、「ライラック」からバトンを受ける形で最北へのアクセスを担っています

 

 

四代目となる旭川駅舎は、2011年秋のグランドオープンから、ちょうどこの年で丸10年を迎えました

木材を多用した内装は、外のマイナス10℃に近い気温を感じさせない暖かみに溢れています

 

 

雪がちらつくマイナス10℃に近い外気温とはいえ、きちんと人の歩くところはロードヒーティングで融雪されているので、歩きにくいことはありません

 

~年越し北海道旅行記2021-2022⑦~キハ183系「オホーツク」号グリーン車乗車記~へつづく

既に1週間前の話題となってしまいましたが、JR四国の保有する8000系電車に二度目のリニューアル工事が実施されることになりました

8000系電車の量産車がお目見えしたのは、いまからちょうど30年前の1993年のことでした

 

8600系という後輩が既に存在していることや、車齢を考えると、あと5~6年は8000系を継続使用して、全面的に置き換えるものかと思っていましたが、JR四国が下した判断は8000系の再リニューアルでした

以前からJR四国のプレスリリースを読んでいると、このことを”匂わせる”文脈が散見されたので、さほど驚きはしませんでした

 

以下、8000系の第二次リニューアルについて、気になったポイントを挙げていきます

 

①エクステリアデザインの刷新

 

▲8000系電車の松山方先頭車両は鮮烈な赤が印象的

 

現行の8000系に施された塗装は、座席種別をカラーリングによって表現するというこれまでの鉄道車両にありそうでなかった手法が用いられています

利用者にどれだけ浸透しているかどうかは別にして、グリーン車=赤、指定席=オレンジ、自由席=青となっているため、ホームや車両の号車表示を見ることなく、座席種別を確認することができます

 

今回の第二次リニューアルでは、同じ区間を走行する8600系と同様の塗装へ変更することで、予讃線を走る電車特急として統一感を打ち出し、同車のコンセプトである「瀬戸の疾風」をより進化させたものになります

愛媛県の特産品である柑橘類をイメージしたオレンジ色と、香川県のオリーブをイメージしたグリーンを配色したデザインとなるわけですが、流線形の先頭車両はどことなくレールスターっぽさが感じられますね

 

②インテリアの全面的リニューアル

グリーン車指定席と普通車指定席については、2700系気動車で採用されている座席に交換され、コンセントも全ての座席に設置されます

現在は、普通車指定席の車端部にしか設置されていない…グリーン車でさえ一切見当たらない…ことを考えると、大幅に増設されることになります

 

普通車自由席については、今回の第二次リニューアルで予算の都合があったのか、イメージ図を見る限り、座席の交換は見送られることになったようです

L編成の4・5号車は、現行の普通車指定席に設置されているS-Seatが流用され、S編成の6・7号車はモケットの交換のみ行われます

 

これが災いして、自由席車では全座席にコンセントを用意することができず、窓側席だけの設置となります

コンセントについては、指定席と自由席で格差が生じることになりますが、同僚である8600系は全座席に設置されているので、せっかくのリニューアルなのに、この点が残念に思えてなりません

 

照明については、全車LEDによる間接照明となり、網棚にも灯具が埋め込まれ、近鉄の22600・16600系に近い仕上がりになりそうです

なお、L編成とS編成に1ヶ所ずつ残っていた和式トイレが洋式化されます

 

▲まさかのまさか自由席へ移設されることになったS-Seat

 

▲古さが目立つ自由席車も内装が刷新されることになった

 

③工事完了予定は2027年度

2027年度までには、すべての車両で工事を終える予定となっています

第一次リニューアルの時は、2004年から始まって2006年11月には工事を終えていたので、それと比べるとずいぶん気の長い話のような気もします

 

8600系の登場で少しはマシになったとはいえ、8000系は予備車が少ないことで有名なので、全般検査施工時に順次第二次リニューアルを施行していくことになるのでしょうね

「いしづち」用のS編成は今年の12月、「しおかぜ」用のL編成は来年の8月に、私たちの眼前にその生まれ変わった姿を披露してくれる予定です

 

進化した”SETOUCHI STREAM EXPRESS”の登場が楽しみですね

先月行われた鉄道各社恒例のダイヤ改正では、651系やキハ183系といった鉄路の名優たちが去って行きました

関西では、大阪駅地下ホーム(うめきた新駅)の開業が話題を呼びましたが、その一方でダイヤ改正の翌日に和田岬線を走るスカイブルーの103系が引退しました

 

そして、京滋エリアで活躍していた113・117系についても4月1日をもって引退し、221系や223系に置き換えられました

ダイヤ改正以降、湖西線や嵯峨野線で運用を始めた223系の中には、元ヒネ車である0・2500番台が含まれており、さっそく221系や223系2000・5500番台と併結運用に就くこれまでにないシーンが展開されています

 

一昔前はというと、嵯峨野線や湖西線、それに草津線を走る車両は国鉄型車両ばかりでしたが、4月2日以降はJR型車両100%を達成しました

ということで、ここでは京滋エリアで活躍していた113系や117系の雄姿を振り返りたいと思います

 

 

京都に配置されていた113・117系が纏っていたのは、通称”抹茶色”と呼ばれる緑一色で塗りつぶされたものでした

リーマンショック後に、経営状況のガタガタになったJR西日本が苦し紛れに生み出した施策で、塗装費用の節減が第一目標だったようですが、やはりクリームに茶色の帯を巻いた姿が一番似合っていると思います

 

 

大津京駅の近江塩津方でカメラを構えると、カーブを曲がって来る列車を迫力ある構図で捉えることができます

どうしても、抹茶色になってから撮影意欲はあまり湧かず、何度カフェオレ色に戻して欲しいと思ったことでしょうか?

 

 

2017年より、L6編成に忍者のイラストをラッピングした”SHINOBI-TRAIN”が登場しました

草津線沿線が甲賀忍者ゆかりの地であることをPRするために登場しましたが、固定運用ではなかったため、湖西線を走る機会も少なくありませんでした

 

 

完全に他の車両の記録の副産物になりますが、転落防止幌未設置の221系もたまたま偶然撮影していました

安全上仕方のないことですが、あんなものをくっ付けたら、せっかくの流線形のデザインが台無しですよねぇ
 

 

実は、この時大津京駅へ足を運んだのは、113・117系が目的だったわけではなく、リフレッシュ工事に伴い旧塗装が数を減らしつつあった「サンダーバード」の撮影がメインでした

 

 

奈良線を走る103系は、22年ダイヤ改正時に引退し、いまはもう見ることができません

一体いつまで走り続けるのだろうかといつも思っていましたが、思いのほか呆気ない引き際でした

 

 

こちらは、昨年の11月下旬に草津駅を訪れた際の一コマです

西口の方に117系の撮影パネルが設置されており、左側の説明文には「近く引退の声が聞かれるようになりました」と書かれており、終焉が間近に迫っていることを否応なく気付かされました

 

 

2ドア転換クロスシートという構造が災いして、通勤客の間では評判は芳しくありませんでしたが、小旅行で乗車する時は優雅な気分に浸れる117系が管理人は好きでした

 

 

そして、117系といえば紀勢本線での活躍も忘れてはなりません

227系1000番台の投入により、2019年までに和歌山地区での営業運行は終了しました

 

かつて、紀勢本線和歌山口で113系が主力として活躍していた頃は、空気バネ台車の117系が来ると嬉しかったものです

明るいオーシャングリーンの塗装は新和歌山色と呼ばれていましたが、これも単色化政策により、晩年はくすんだ緑色に変更されてしまいました

 

 

岡山地区用の227系500番台”Urara”が続々と落成していることから、JR西日本管内で最後まで残りそうな国鉄型車両は播但線や加古川線を走る103系や下関車両センターの115系あたりになりそうですね

2022年の暮れも押し迫った大晦日のこと、この日はお昼過ぎまで札幌に滞在していました

新千歳空港から仙台空港を経由して、仙台駅からは東北新幹線「やまびこ・つばさ」154号に乗り込み、19時48分に上野駅へ降り立ちました

 

上野駅から今回の旅の目的の一つである651系に乗車して高崎駅まで向かい、大晦日の移動を

ちなみに、新千歳空港から直接羽田空港へ向かわずに一旦仙台空港に降り立ったのは、こちらも数年以内に引退が予想されるE2・E3系に乗っておきたかったからに他なりません

 

 

上野駅のコンコースにはJR東日本の新幹線各形式に彩られたポスターがありました

辛うじてE3系の姿は確認できるものの、既にそこにE2系の姿はありません

 

E2系が表記されていないのは、ただ単にスペースの都合なのかもしれませんが、同車の将来を暗示しているような気がしてなりません

E2系が「はやて」として活躍していたのも、ずいぶん昔の話になってしまいましたね

 

 

新幹線と比べて、世代交代のスピードが穏やかな在来線であっても、時の流れに抗うことはできません

1989年3月のダイヤ改正時に「タキシードボディのすごいヤツ」というキャッチコピーを引っ提げて、JR在来線初の130㎞/h運転を実現した651系も今度のダイヤ改正で引退することになりました

 

JR東日本から1月20日に発表された春の臨時列車の運行計画には、どこを探しても651系の文字は見当たらず、ダイヤ改正以降の651系の動きは不透明ですが、JR東日本初の特急形車両ということで、何らかのイベントが企画されてもよさそうなところです

 

なお、4月1・2日に東大宮操車場にて、651系を4編成並べた撮影会は開催されることになっています

詳細は下記URLからどうぞ

https://www.jreast.co.jp/press/2022/omiya/20230309_o01.pdf

 

 

ということで、例によって前置きが長くなってしまいましたが、上野駅14番のりばから旅のスタートです

 

651系のシンボルともいえる先頭車両のLEDヘッドマークですが、引退を前にご機嫌斜めなのか調子が悪く、1号車側のヘッドマークが”回送”表示なっており、7号車側もご覧の通り列車名が表示されるはずのスペースがぽっかり空いています

 

 

上野駅地平ホームに佇むシルキーホワイトの車体は凛としています

常磐線で活躍していた頃から内外装にほとんど手は加えられていませんが、高崎線系統への転用にあたって、窓下にオレンジのラインが追加されています

 

なお、転用に際して、パンタグラフがシングルアーム式に交換されているほか、直流区間のみの走行となることから、交流機器については使用停止とする措置がとられています

このため、従来の同車とは異なり、交流区間を走行することはできないことから、高崎線系統で活躍する651系は1000番台として区分されています

 

ちなみに、651系は交直流電車でありながら、分割民営化後の登場ということもあって、60Hzには対応しておらず、当初から50Hz専用車として誕生しました

 

 

本日お世話になる編成は、1989年(平成元年)に川崎重工で製造されたOM207編成(元K102編成)です

元号が昭和から平成へと移り行く中で登場した651系は、新時代を象徴する役目と常磐線特急の重責を背負っての船出となりました

 

JR東日本初の特急形車両として生を受けた651系の歩みは、即ちJR東日本の歩みと軌を一にするといっても過言ではないでしょう

 

 

ロール幕式の行先表示器も最近ではめっきり数を減らしました

風の噂では、幕を回すモーターの製造が終わったらしく、その多くはLEDへの換装が進んでおり、JR東日本の特急形車両に限れば185系と651系でしか見ることはできません

 

 

E257系の投入により、グリーン車も無くなるので、号車札も記録しておきました

23年春のダイヤ改正では、651系が撤退すると同時に「スワローあかぎ」が「あかぎ」へ統合され、「草津」は「草津・四万」へ愛称が変更となります

 

せっかくなので、列車名が変更となる「スワローあかぎ」か、もしくは「草津」に乗りたかったところです

ただ、生憎ながら大晦日は休日ダイヤなので、そもそも「スワローあかぎ」は運行しておらず、温泉へ向かう行楽客が主眼となる「草津」は夜間帯の設定がありません

 

ということで、必然的に「あかぎ」への乗車となりますが、引退前にもう1度651系へ乗れたことに感謝せねばなりません

 

乗降ドア横には、赤字に白抜き文字で”特急 Limited Express”と書かれたステッカーが誇らしげに掲出されています

その色合いは、偉大な先輩である485系のサボを彷彿とさせるものです

 

 

 

651系への最後の乗車ということで、迷わずにグリーン車を選びました

実は、651系への乗車は今回が初めてではなく、19年3月に赤羽から高崎まで「草津」のグリーン車に乗ったことがありますが、ブログで紹介するのをサボっていたので、記事として登場するのは今回が初めてです

 

 

 

それでは、魅惑のグリーン車へ

電球色の照明に彩られた空間に、大型のハイバックシートが3アブレストで並ぶ室内は、思わず息を吞む美しさです

 

直系の後輩であるE657系の「普通車との差異を見つけるのが難しい」グリーン車と比べると、JR東日本は進むべき道をどこで踏み外してしまったのだろうかと思わずにはいられません

 

 

グリーン車のシートピッチは国鉄~JRの車両では標準ともいえる1,160㎜で、これは従来の485系から変わりありませんが、3アブレスト配置の採用により、居住性は大幅に改善されています

 

登場当初は、オーディオパネルが設置されていたほか、アームレスト内には衛星放送を受信できる小型の液晶テレビが格納されていましたが、現在はいずれも撤去されています

 

 

同社のグリーン車にしては珍しく、非常に電球色の強い照明が使われているので、WBの設定を変えて撮影してみました

昼間に乗車した場合は、こちらのイメージに近いかと思われます

 

 

2001年頃に行われた改造の結果、登場当初とは座席のフォルムがずいぶんと変わってしまいましたが、もともとはJR四国の2000系気動車に搭載されていた座席の親戚筋にあたります

2000系気動車はいまも現役バリバリで四国の鉄路を爆走していますが、グリーン車は一足早く姿を消しました

 

 

登場当初からデチューンされたとはいえ、重厚感たっぷりの座り心地は健在で、実際に着座してみると、見た目を裏切らない寛ぎが約束されています

バックレストの形状…特にランバーサポート部分…が優れており、きちんと背中に迫ってきます

 

そして、日除けがブラインドではなく、プリーツカーテンなのも泣けてくるではありませんか

やはり、グリーン車たるもの、こうでなくてはと認識させてくれます

 

グリーン料金を裏切らない完成度の高いアコモデーションで、きっとあなたも虜になるに違いありません

そう書いたところで、おそらくこの座席に乗れる機会はもう無さそうですが…

 

N700系やE5系といった最近の車両と比べても、座面のクッション材をケチっている印象はなく、適度にフカフカで臀部を優しく受け止めてくれます

JR発足直後で、なおかつバブル景気という時代背景があるにせよ、30年以上前に設計された座席でありながら、現代の車両に負けるとも劣らない快適性です

 

651系の引退により、JR東日本の在来線特急列車のグリーン車で3アブレスト配置なのは、「サフィール踊り子」と「いなほ」の2列車をだけになりました

 

 

フットレストは固定式で、角度を変えることはできませんが、靴を脱いでリラックスできるようにきちんとモケット面が用意されています

こちらもE657系やE353系では、貧相なバー型に退化しています

 

 

網棚には読書灯も設置されており、不足しがちな照度を補っています

JR東日本の在来線特急では、2000年代前半に登場したE257系やE751系以降、グリーン車であっても読書灯は省略されているので、付いているだけでも偉大です

 

 

客室内が従来の485系から大幅にグレードアップしている一方で、デッキ周辺はそこはかとなく昭和テイストが漂っています

腐食しているのか、それとも長年の活躍で汚れているのか、ずいぶん床が黒ずんでいます

 

 

デッキにぽっかりと空いたいかにも”らしい”スペースは、かつてカード式公衆電話が鎮座していました

 

 

洗面台は温度調整が可能な自動水栓が採用されています

今では当たり前ですが、デビュー当時は「手をかざせば水が出てくる」は画期的だったことでしょう

 

 

 

651系では、基本編成(7両編成)にトイレ・洗面所が4ヶ所ずつ設置されています

同車のトイレで何と言って特筆されるのは、普通車も含めてすべてのトイレに洋式が採用されていることと、在来線特急列車では初めて男性用小便所が設置されたことではないでしょうか?

 

同世代に当たるキハ85系はグリーン車のみ洋式トイレで、東武100系も半数が和式トイレだった時代背景を考えると、ずいぶん思い切った判断だったといえます

 

ただし、ステンレス製の便器で足踏みペダル式水洗装置の組み合わせに時代を感じずにはいられません

もちろん、ウォシュレットのような気の利いたものは望むべくもなく、便座に座るとひんやりとした感触がダイレクトにお尻に伝わってきます

 

 

グリーン車だけではなく、ここで普通車の車内も紹介しておきます

普通車であっても読書灯が設置されているのは、やはりバブルという時代背景の為せる技でしょうか?

 

上野を発車後、終始乗客が管理人を含めて2名だけだったグリーン車とは違い、普通車は自由席を中心に50%ほどの乗車率でした

 

 

 

常磐道を走るライバルの高速バスを念頭に置き、シートピッチは485系の910㎜から970㎜に大きく拡大されましたが、さすがにフットレストは省略されています

E653系では910㎜に先祖帰りしてしまいましたが、ようやくE657系で960㎜に戻りましたね

 

 

上野駅を出発してから1時間24分で、終点の高崎駅に到着しました

新幹線であれば、上野~高崎間を45分で走り切ってしまう上に、本数も「あかぎ」「スワローあかぎ」と比べ物にならないくらい高頻度に運行されています

 

高崎線に馴染みの薄い関西人からすると、一体どういった人たちが「あかぎ」を利用しているのか気になるところですが、おそらく上野と新幹線の停まらない主要駅間のニッチな需要に支えられているのでしょう

 

それにしても、651系然り、キハ85系然り、管理人と同年代に生まれたの車両が姿を消していくは辛いものです

それどころか、キハ281系やE351系のように、年下の車両も引退していくわけで、JR黎明期を彩った花型車両が姿を消していくことに一抹の寂しさを覚えます

 

ブルトレの廃止がひと段落したかと思えば、今度はJR第一世代特急形車両の引退ラッシュが始まった印象を受けますね

キハ85系が「ひだ」の定期運用から撤退するのと時を同じくして651系の引退であり、奇しくも両車ともにTDOの松本哲夫氏の手により生まれた作品です

 

JR東日本の第一世代在来線特急列車群では、既に251系とE351系は現存せず、253系も内外装を大きく変えた1000番台車が僅かに残るのみです

そして、651系も引退となると、自ずと次に”怪しい”のが255系であることは明白です

 

 

隣のホームには211系の上越線・普通水上行きが停車していました

651系の足回りは211系をベースにしており、界磁添加励磁制御により直流モーターを駆動する方式が採用されています

 

よくよく考えてみれば、「VVVFインバータ制御ではない特急形車両」に揺られるのもずいぶん久しぶりなような気がしました

651系については、現時点でラストランイベントなどは予定されていない上に、春臨でも充当列車が見当たりません

 

もしかしたら、このまま全編成廃車になりそうですが、1両くらいは大宮の鉄博に収蔵されてもいいような気がします

さて、前回までの年越し北海道旅行記2021-2022から話題は逸れますが、今回は引退が迫る”ノースレインボーエクスプレス”に乗車した時の記録をお届けします

これを先に書くとネタバレになってしまいますが、2022年の元旦は悪天候で新千歳空港発着の飛行機が欠航し、酷い目に遭いました

 

にもかかわらず、性懲りもなく管理人は仕事納めが終わるや否や、KIXからエアバスA320に飛び乗り、2022年の年末に再び北の大地へ降り立ちました

何しろ、年が明けたら長期休暇はGWまで取れないので、23年春ダイヤ改正で引退するキハ183系、651系、キハ85系の3車種に乗車する計画を管理人は立てました

 

まずは、キハ183系「オホーツク」のグリーン車に札幌から網走まで乗車して、釧網本線で釧路へ抜けたのち、空路で羽田へ向かうつもりだったのです

ところがどっこい、札幌へ着いた後にTwitterを見ていると、キハ261系0番台が車両不具合により、「宗谷」「サロベツ」の運用に”ノースレインボーエクスプレス”が駆り出されていることが判明しました

 

9月の「ニセコ」や11月の道内各方面へのメモリアル運行は、えきねっとの事前申込を活用したものの、かすりともしませんでした

えきねっとを見ていると、極稀に通路側に空席がありましたが、わざわざ北海道まで出向いて、通路側に座るのは何だか受け入れられない自分がいたわけです

 

ところが、今回は「宗谷」の代走ということで、えきねっとでシートマップを出してみると、窓側にも空席が多数見受けられました

稼働率が極めて低い同車が、たまたま北海道に滞在しているタイミングで動いており、しかも空席多数とあっては、見過ごすわけにはいかず、急遽予定を変更して、”ノースレインボーエクスプレス”に乗車することにしました

 

とはいえ、稚内まで向かうほどの時間的余裕もなかったので、札幌から旭川へ「オホーツク」で向かい、「宗谷」に乗って戻ってくることにしました

651系とキハ85系への乗車を考えないのであれば、躊躇なく稚内まで向かっていたことでしょう

 

 

気温マイナス10℃…くらいだったと思います

札幌駅から「オホーツク」3号に揺られ、1年ぶりに旭川駅へ降り立ちました

 

相変わらず木質系の素材を活かした暖色系のインテリアは、旅人の心を癒してくれます

駅から一歩出れば酷寒の世界ですが…

 

どこか晩ごはんを食べることのできるお店がないものかと駅周辺を一頻り散策しましたが、年の瀬も迫った12月30日ということもあって、営業していない店が多く、営業していたとしても予約客限定の店ばかりでした

仕方なく夕食を駅前のイオンで調達しましたが、厚岸産の焼き牡蠣をアテにサッポロクラシックが飲みたかったですね

 

 

しずしずと駅へ戻ってくると、代走やらシカの出現やらが原因で、「宗谷」に30分ほどの遅れが発生していました

ホームで待っていると凍えてしまうので、暖房の効いたイオンのフードコートと改札口を行ったり来たりして「宗谷」の到着を待ちます

 

 

 

22時頃になって、ようやく旭川駅に”ノースレインボーエクスプレス”がやって来ました

もう見れないと思っていた、ましてや乗れるとさえ思ってもみなかった車両との対面をようやく果たしました

 

ここで乗り損なったら、また1つ後悔のタネが増えていたところですが、念願叶って”ノースレインボーエクスプレス”の旅を楽しみたいと思います

それでは車内へ乗り込みましょう

 

 

今回、管理人が予約したのは4号車5番D席だったのですが、車内をあちこち見学していたので、自席に座って寛いでいた時間はそれほど多くはありません

ちなみに、この4号車には走行用機関とは別に、発電用機関が搭載されており、かつてED79牽引で青函トンネルを通過する時には、スハネフ14形のような雰囲気だったそうな

 

 

 

客室内全体を見渡してみました

3号車にダブルデッカー車が連結されているのを除くと、”ノースレインボーエクスプレス”の車両はすべてがハイデッカー車で構成されています

 

眺望性は抜群なはずですが、外はどっぷり日が暮れており、大きく開放的な側窓の恩恵に与かれないのが残念です

客室ドア付近の少し下がった場所から撮影しているので、ガラガラに見えますが、編成全体を均すと50%ほどの乗車率でしょうか?

 

デッキ~客室間のアプローチ部分に階段が並ぶ構造は「タンゴエクスプローラー」に似通っています

思い返せば、この車両が登場した90年前後は空前の好景気を背景に、”グランドひかり”やHiSE車に代表されるダブルデッカー車やハイデッカー車が次から次へと登場しました

 

時代は変わり、バリアフリー対応が必須となった現代では、いずれも採用例が減ってしまいました

251系「スーパービュー踊り子」の後継として華々しい活躍を見せるE261系「サフィール踊り子」も全車平屋構造ですし、キハ85系の後継であるHC85系もセミハイデッキ構造は採用されていません

 

唯一、気を吐いているのは「しまかぜ」や「ひのとり」を送り出している近鉄くらいでしょうか?

ダブルデッカー車やハイデッカー車を連ねた”ノースレインボーエクスプレス”の後継が、ラウンジを1両連結しただけのキハ261系というのも物寂しい気がします

 

 

客室内には960㎜ピッチで横4列の回転リクライニングシートが配されています

以前はもう少し明るいパステルピンクのシートモケットだったようですが、経年劣化のせいなのか随分くすんでいます

 

 

車体上方側面まで大きく湾曲した側窓と天窓のおかげで圧倒的な開放感を演出している客室ですが、座席周りはごくごく普通です

 

フットレストがあるわけでもなく、ヘッドレストピローがあるわけでもなく、インアームテーブルが装備されているだけです

リクライニング角度は控えめですが、座面のクッション材がふかふかに効いていて座り心地は良好です

 

 

この座席の一番の注目点は、中央のアームレストに装着されたオーディオパネルかもしれません

かつて、新幹線や在来線特急列車を問わず、「イケてる最先端のグリーン車=オーディオサービス」という時代があったのです

 

時代が下がり、iPodの登場に象徴されるように、手持ちの端末で好きな音楽を好きなだけ再生できるようになったことで、こうした座席に装着されていたオーディオパネルは次から次へと姿を消しました

一番最後まで残っていた東海道・山陽新幹線系統のグリーン車でも2010年代前半にはサービスを停止し、オーディオパネルは撤去されています

 

この車両に装着されているのは、かつて681系やHOT7000系にあったのと同じタイプで妙な懐かしさを覚えた次第

しかも、きちんと電源が入っているので、もしかしたらイヤホンを挿せば何かしらの音楽が聞けたのかもしれません

 

 

編成の中ほど、3号車はダブルデッカーとなっており、1階部分は乗客なら誰でも使えるラウンジになっています

この車両だけは付随車なので、この階段付近に立っていると、空気ブレーキの作動音がよく聞こえます

 

 

 

編成中ほどの3号車はダブルデッカー車となっており、1階は乗客なら誰でも利用できるラウンジとなっています

片側には10名程度が座れるソファが配され、通路側には壁にもたれることができるようにクッションバーが設置されています

 

22年9月の「ニセコ」や同年11月の道内各地へのメモリアル運行では、ラウンジの治安がずいぶん悪かったようですが、さすがにこの日は乗客がそれほど多くないこともあって平和でした

登場年次が近いこともあって、室内の様子はかつて寝台特急「北斗星」に連結されていたスハネ25形500番台車の半室ロビーを想起させてくれるものです

 

 

キハ183系の一派となる”ノースレインボーエクスプレス”ですが、番台区分としては5200番台が与えられており、3号車はキサハ182形5200番台車となります

気動車では異色ともいえるダブルデッカー車の連結ですが、先鞭をつけたのは先輩格にあたる”クリスタルエクスプレス トマム&サホロ”に90年12月から連結されたキサロハ182形5100番台です

 

国内の気動車列車としては史上初のダブルデッカー車だった同車に続き、91年夏には「スーパーとかち」用に1階を2人用普通個室、2階をグリーン車としたキサロハ182形550番台もお目見えしました

好景気とそれを背景としたリゾートブームに支えられて華々しく登場したこれらのダブルデッカー車ですが、550番台は特急列車高速化の波に乗れず、短命に終わりました

 

5100番台の方は2019年に引退した”クリスタルエクスプレス トマム&サホロ”と命運を共にする形で解体され、現存しません

キサハ182形5200番台車がJR北海道に最後まで残ったダブルデッカー車な訳ですが、こちらも引退まで残り2ヶ月を切りました

 

 

札幌駅に到着すると、さっそく編成全体がカメラの放列に取り囲まれました

 

 

 

「流氷特急オホーツクの風」や「さくらエクスプレス」で運行していた頃に1度乗ってみたかったですね

とはいえ、念願叶ってずっと前から乗りたかった車両に乗れたので、これ以上にない形で2022年の鉄道趣味を締めくくることができました

 

いつかは、遠く離れた九州の地を走る兄弟…「あそぼーい!」…にも乗りに行きたいですね

JR北海道に所属するキハ183系とは、大きく出で立ちが異なりますが、キハ183系であることは紛れもない事実です

 

明日はCTSからSDJへ飛んで、上野から高崎まで651系「あかぎ」号に乗ります

その様子は、「関東鉄旅」のコーナーで取り上げる予定です

山形新幹線の車両としては、400系、E3系に次ぐ3世代目の車両となるE8系新幹線が本日仙台の地に上陸しました

先日、神戸の川崎重工兵庫工場より航走される姿が目撃され、2月末からはいよいよ試運転が始まります

 

試運転が始まるのとタイミングを同じくして、仙台市の新幹線総合車両センターで2月24日にお披露目会と撮影会が開催されます

E8系の営業運転開始は2024年春を予定しており、東北新幹線東京~福島間ではE5系と併結運転を行うことで、同区間の最高速度が275km/hから300km/hへ向上します

 

E8系の詳細についてJR東日本より発表がなされたわけですが、同じプレスリリースには度肝を抜かれる内容が含まれていました

なんと、E3系1000・2000番台が「つばさ」として運行を開始した当初の塗装を復活するというのです

 

ご存じの通り、「つばさ」に使用されている同車の塗装は山形新幹線新庄延伸時からのデザインで、シルバーをベースにグリーンのラインが入ったものでした

同時に、400系についても塗装が変更されましたが、シルバー×グリーンの基本的な組み合わせは踏襲されました

 

ところがどっこい、2014年の山形DCに合わせて、奥山清行氏の監修で山形県の県鳥であるオシドリと県花である紅花をモチーフにしたエクステリアデザインへ生まれ変わりました

山形新幹線=シルバーの図式が大きく崩れ去るデザインであったことから、賛否両論が渦巻きましたが、今回E8系への全面置き換えを前に、銀色の「つばさ」が復活を遂げることになりました

 

JR東日本によると、今回の塗装変更で山形新幹線の魅力を改めて全国へ発信し、同路線の利用促進に繋げたい狙いがあるようです

さてさて、以前管理人が大宮駅で撮影したE3系の写真を紹介して、結びに代えたいと思います

 

▲大宮駅に停車中のE3系2000番台旧塗装

400系置き換え用として、2007年より営業運行を開始しました

 

▲車体側面のロゴマーク

羽を広げた様子をモチーフにしたデザインは「つばさ」のシンボルでした

 

▲やはり「つばさ」にはシルバーがよく似合いますね

 

▲旧塗装から新塗装へ移行する過渡期には、大宮駅でこのような光景も見ることもできました

 

↑前回からつづく↑

 

長万部からキハ281系「北斗」に揺られて、札幌駅に到着しました

ここから「ライラック」に乗り換えて旭川へ向かいますが、1時間ほど待ち時間があるので、せっせと撮り鉄に励むことにしました

 

札幌駅でカメラを振り回すのは、2014年11月以来7年ぶりのことになります

7年前の機材はソニーのコンデジで、屋根に覆われた札幌駅での撮影は厳しいものがありましたが、今回はデジイチなので余すことなくJR北海道の魅力をお伝えできるかと思います

 

なお、機材が改善されても管理人の腕はさほど向上してないので、ありきたりなアングルばかりですが、その辺はご愛嬌ということで…

実は、次の日に札幌駅で撮影した写真もあるのですが、分量も少ないのでこの記事でまとめて紹介します

 

 

 

民営化後の北海道の鉄路を、そして道内主要幹線の速達化を象徴する振り子車同士の共演も過去のものになってしまいました

この1枚をファインダーに収められただけでも、今回渡道した甲斐がありました

 

 

傍らに立っているだけで、キハ283系の重低音で唸り続けるコマツ製直6E/gサウンドで耳が幸せになりますね

乗降ドア周りに配されたレッドが、側面のデザインをグッと引き締めています

 

 

キハ283系の列車名/号車表示は、横型と縦型のLEDを組み合わせた独特のスタイルとなっており、同社の他形式はもちろんのこと、日本全国を見回しても同車しか見られません

個人的には、独特のエンジン音や自己操舵台車と並んでキハ283系の萌えポイントの一つですね

 

 

 

 

JR北海道のイケメン気動車といえば、キハ281系も忘れていけません

2021年12月末時点では、まだキハ281系の引退日は発表されておらず、「おおぞら」からの撤退を間近に控えたキハ283系ばかりが注目されていました

本州在住の管理人としては、キハ281系を撮影するチャンスは滅多にないため、撮影に勤しんでおりました

 

 

先頭部や乗降ドア周りに配されたブルーは噴火湾をイメージしたもので、萌黄色はJR北海道のコーポレートカラーですね

台車は制御付き振り子機構が奢られたN-DT281形を装着しており、曲線通過速度はR≦600で本則+30㎞/hを実現しています

 

キハ281系のベースとなったJR四国の2000系気動車がコロ式の振り子台車なのに対して、当形式では冬季の雪対策として密閉性に優れるベアリングガイド式振り子台車が採用されました

後に、ベアリングガイド式振り子台車はJR東海の383系やJR西日本の283系・キハ187系など他社にも広がりを見せます

 

 

登場当初は幕式だったキハ281系の行先表示板は、2017年頃から順次フルカラーLEDに刷新されました

 

 

JR北海道の通勤形電車といえば、このスタイリングが定番でしたが、H100形に似た切妻型の737系がまもなく登場予定です

それにしても、道外在住の人間にとっては塗装以外のポイントで731系と733系と見分けるのは至難の業ですね

 

 

 

この日(12/31)の「すずらん」6号には、789系1000番台車のトップナンバー車HL-1001編成が充当されていました

心の中では、引退の迫る785系が来て欲しかったのですが、この日の「すずらん」は789系ばかりだったと記憶しています

 

 

同車もまだまだ新しい車両のように思えて、781系の後継車両として2007年の10月に営業運転開始からで既に15年以上が経過しています

萌黄色が印象的な0番台と比べると、カラーリングが大きく異なるほか、5両固定編成でドア数も違うため、識別は容易です

 

 

ライトケースの上部が鋭角になっているため、0番台よりも目つきがキリっとしています

ヘッドマークにフルカラーLEDを装着したのは、JR北海道の特急型車両で同車が初の採用例となります

 

 

キハ261系による「おおぞら」7号が入線してきました

所定の運用ではキハ283系が充当される運用なはずですが、車両トラブルの影響で急遽キハ261系が充当されていました

 

実は、この日この列車にもし空席があれば、これに乗って帯広か釧路まで向かう予定だったので、トラブルに巻き込まれずに済みました

しかし、私がそうであったように、せっかくキハ283系へ乗るためにわざわざ北海道までやって来た人も中にはいたはずで、冬の北海道はトラブルが付き物とはいえ、ガッカリした人もいたのではないでしょうか?

 

 

ヘッドマークのフルカラーLED化が進むキハ261系…6次車以降は登場時からフルカラーLED…ですが、まだまだロール幕式ヘッドマークが残る車両も少なくありません

ちょうど札幌駅に到着した車両の幕回しが始まったので、「スーパー北斗」「スーパーとかち」幕を記録しておきました

 

「北斗」のヘッドマークに関して言えば、赤文字の”SUPER”があった方がデザインにメリハリが効いていて、精彩に富んでいると思います

 

 

平成初期生まれの管理人としては、「スーパーとかち」と聞くと、真っ先にスラント顔にキサロハ182形550番台車が頭に思い浮かんでしまいます

現在の「とかち」は、そのルーツをたどると90年9月改正時に帯広発着の「おおぞら」を改称する形で登場しました

 

その後、何度か「スーパーとかち」へ統合される形で愛称が消滅したり復活したりを繰り返していましたが、20年3月改正より「スーパー北斗」や「スーパーおおぞら」と共に、”スーパー”の接頭辞が愛称から外されて現在に至ります

 

ひとしきり撮影を終えたところで、「ライラック」23号に乗り込んで旭川へ向かいますが、次回は番外編をお届けします

 

年越し北海道旅行記番外編~ノースレインボーエクスプレス乗車編~へつづく…