↑前回からつづく↑

 

旅2日目を迎えた年越し北海道旅行は、東室蘭→長万部→札幌と移動し、この日の行程は「ライラック」への乗車を残すのみとなりました

もう少し上手く行程が組めればよかったのですが、キハ183系やキハ283系への乗車を考慮し、なおかつ年末の帰省ラッシュの最中で空席を見つけながらの移動のため、こればかりは致し方ありません

 

 

乗車路線:函館本線

乗車区間:札幌1500発→旭川1625着

乗車列車:ライラック23号(3023M)

乗車車両:札サウ789系0番台HE-102編成(1号車5番A席)

座席種別:グリーン車指定席

 

 

789系0番台が登場したのは、1982年の部分開業時以来、ずっと盛岡止まりだった東北新幹線が八戸まで延伸開業した2002年12月のダイヤ改正時でした

それまで、青函トンネルを介して北東北~道南を連絡する列車としては、485系による特急「はつかり」が4往復と50系による快速「海峡」が7往復運行されていました(99年3月時点)

 

青函特急時代は遂に乗車する機会に恵まれませんでしたが、登場から20年の時を経て、ようやく念願の初乗車となりました

素人目からは、塗装を除くとキハ261系0番台と同様の車体コンタが採用されているようにも見えますが、灯具類が縦配置に変更されているほか、同車にあった車体側面のビード加工は姿を消して、ツルんとした平滑な仕上がりになっています

 

一応、キハ261系0番台に準じて、車体傾斜装置も準備工事だけは行わているそうです

そういえば、遠く離れた四国の地に「レトロフューチャー」をコンセプトにした親戚がいますねぇ

 

 

青函特急から道央圏への転用に際して、ヘッドマークがロール幕式からフルカラーLEDへ変更されており、

781系時代のヘッドマークが忠実に再現されています

なお、最高速度については青函特急時代の140km/hから120km/hへ引き下げられています

 

貫通扉はまだ使えそうですが、増結用のHE-300編成が2編成共に函館で保留車扱いになっているため、活用される機会はなさそうです

そういえば、青函特急時代は785系300番台という変わりダネの増結用編成もありましたね

 

 

▲/▲▲旭川到着後に撮影

 

青函特急時代は、キハ281から譲り受けたHEAT789…Hokkaido Express Adovanced Train…のロゴを掲出していましたが、いまは各編成に沿線の観光地や特産品をイメージしたイラストに取って代わっています

道東方面から転用されたキハ283系も同じテイストのロゴに変更されましたね

 

 

行先表示器は青函時代の三色LEDから、視認性に優れたフルカラーLEDへ変更されています

キハ261系5次車以降に採用されているのと同じものですね

 

 

本日お世話になるのは、クロハ789-102を先頭にしたHE-102編成です

789系0番台で面白いのは、同じ1本の編成に見えても、簡易運転台を装備している3号車のサハ789形100番台と4号車のモハ789形100番台車を境にして編成番号が異なる点です

 

 

乗降ドアはJR北海道のコーポレートカラーである萌黄色に彩られています

登場当初は、本州へお客様を迎えに行くにあたって、北海道の鉄道車両であることをささやかながらにアピールする役目もあったことでしょう

 

 

それでは、旭川までまったりとグリーン車の旅を楽しみたいと思います

後席に気兼ねなくリクライニングできる進行方向左側の最後列を確保することができました

 

管理人がえきねっとから予約した時はハザ・ロザ共にまだまだ空席があったのですが、札幌発車時点でロザは見事に満員御礼でした

美唄の前後で普通車の様子を見に行くと、おそらく閑散期は持て余し気味であろう6両編成が自由席に立客も見られるほど混雑しています

 

ちなみに、札幌~旭川間は1時間半に満たない乗車時間ですが、距離は100㎞を少し超える136.8㎞なので、グリーン料金は200㎞未満の2,800円となります

これを高いと見るか、それとも安いと見るかは利用者の主観に依るところですが、はるばる北海道までやって来た身としては割安に感じました

 

 

 

岩見沢を過ぎると、どこまでも広がる雄大な大雪原が車窓に広がります

グリーン車のふかふかの座席に身を委ねながら、サッポロクラシックを一思いに流し込めば、至福のひとときが流れていきます
 

 

まだ16時前ですが、早くも車内には西日がさしてきました

これは789系1000番台にもいえることですが、同車の静粛性は非常に高く、レールの上を駆るように走っていく様は一度体験してみる価値ありでしょう

 

789系の場合、スラブ軌道で騒音が大きくなりがちな青函トンネル区間の走行を念頭に、ステンレス鋼体の板厚を増したり、乗降ドアの気密性を強化したりしていることが功を奏しているようです

北海道を旅していると、否応なく気動車ばかりに乗ることになってしまうので、余計に静かに感じてしまう側面もあるのかもしれません

 

 

客室ドア鴨居部にはLED表示板があるのですが、なぜか表面が少し曇っています

昔の鉄道雑誌などを見ても、なぜかデビュー当時からこのような仕様になっている模様

 

 

終点・旭川に到着したところで、クロハ789形のグリーン”室”全景を見てみましょう

さきほど、ついうっかりグリーン”車”と表現してしまいましたが、厳密には合造車なので、グリーン”室”となります

 

蒼天の夜空を想起させる深々としたブルーの天井に覆われた空間には、3アブレスト配置の座席が5列並んでおり、定員は15名となっております

JR北海道の在来線電車特急のグリーン車としては、登場時から現在にいたるまで唯一の存在です

 

 

JR北海道のグリーン席は、各形式ごとに搭載されている座席が異なるといっても過言ではない状況が長らく続いてきました

革張りで同じように見えるキハ261系と789系のグリーン席であっても、バックレストの形状が大きく異なっていたほどです

 

その後、JR北海道のお家事情もご多分に影響していたのか、2011年からキハ183・281・283系のグリーン車で共通の座席が導入されるようになりました

789系0番台に対しても2019年秋頃から、グリーン席については改座が行われ、上記のDC特急シリーズと同じ”リニューアル腰掛”が搭載されています

 

 

DC特急シリーズとは異なり、シートモケットは茶色系ではなく青色系で、キハ261系7次車のそれとほぼ同じ外観となっています

しかし、キハ261系ではヘッドレスト部分に設置されている読書灯は、従前から網棚にあるため省略されているほか、コンセントも壁面にあることから、座席にはありません

 

レザーシートだった前作に引き続き、製作元はコイト電工です

ヘッドレストピローが可動するギミックも引き継がれており、上の写真では分かりやすいように向かって右側の座席だけヘッドレストピローを折り曲げています

 

ちなみに、同じくコイト電工製の「ひのとり」や「スペーシアX」のプレミアムシートにも同じギミックが実装されています

 

 

 

フットレストは土足面と素足面の二面展開となるグリーン車ではよく見かけるタイプで、右側に付いているペダルで角度を変えることができるのが嬉しい気遣いですね

N700系のフットレストと非常によく似たデザインですが、所々異なるパーツが見受けられます

 

 

グリーン席では、各席につき1個コンセントが用意されていますが、アームレストではなく窓側にまとめて設置されているので、通路側の人は窓側の人に遠慮しながら使うことになりそうです

なお、クロハ789形に限ってハザにもコンセントが設置されていますが、そちらもロザと同じく窓側に固めて配置されているので、気兼ねなくコンセントを使おうと思うと、窓側を購入した方がいいかもしれません

 

 

 

「ライラック」が登場した2017年春のダイヤ改正では、キハ183系の車両数が厳しいことから、これまで札幌~網走間で4往復設定されていた「オホーツク」のうち2往復を旭川回転として、新たに「大雪」が登場しました

旭川駅では「ライラック」と同一ホームで対面乗換ができるほか、改札を出なければ特急料金・グリーン料金は通算される特例が設けられました

 

 

稚内からの「サロベツ」4号が到着しました

こちらも2017年改正時に、車両がキハ183系からキハ261系へ、運行区間が札幌~稚内から旭川~稚内へと改められ、「ライラック」からバトンを受ける形で最北へのアクセスを担っています

 

 

四代目となる旭川駅舎は、2011年秋のグランドオープンから、ちょうどこの年で丸10年を迎えました

木材を多用した内装は、外のマイナス10℃に近い気温を感じさせない暖かみに溢れています

 

 

雪がちらつくマイナス10℃に近い外気温とはいえ、きちんと人の歩くところはロードヒーティングで融雪されているので、歩きにくいことはありません

 

~年越し北海道旅行記2021-2022⑦~キハ183系「オホーツク」号グリーン車乗車記~へつづく