さて、前回までの年越し北海道旅行記2021-2022から話題は逸れますが、今回は引退が迫る”ノースレインボーエクスプレス”に乗車した時の記録をお届けします

これを先に書くとネタバレになってしまいますが、2022年の元旦は悪天候で新千歳空港発着の飛行機が欠航し、酷い目に遭いました

 

にもかかわらず、性懲りもなく管理人は仕事納めが終わるや否や、KIXからエアバスA320に飛び乗り、2022年の年末に再び北の大地へ降り立ちました

何しろ、年が明けたら長期休暇はGWまで取れないので、23年春ダイヤ改正で引退するキハ183系、651系、キハ85系の3車種に乗車する計画を管理人は立てました

 

まずは、キハ183系「オホーツク」のグリーン車に札幌から網走まで乗車して、釧網本線で釧路へ抜けたのち、空路で羽田へ向かうつもりだったのです

ところがどっこい、札幌へ着いた後にTwitterを見ていると、キハ261系0番台が車両不具合により、「宗谷」「サロベツ」の運用に”ノースレインボーエクスプレス”が駆り出されていることが判明しました

 

9月の「ニセコ」や11月の道内各方面へのメモリアル運行は、えきねっとの事前申込を活用したものの、かすりともしませんでした

えきねっとを見ていると、極稀に通路側に空席がありましたが、わざわざ北海道まで出向いて、通路側に座るのは何だか受け入れられない自分がいたわけです

 

ところが、今回は「宗谷」の代走ということで、えきねっとでシートマップを出してみると、窓側にも空席が多数見受けられました

稼働率が極めて低い同車が、たまたま北海道に滞在しているタイミングで動いており、しかも空席多数とあっては、見過ごすわけにはいかず、急遽予定を変更して、”ノースレインボーエクスプレス”に乗車することにしました

 

とはいえ、稚内まで向かうほどの時間的余裕もなかったので、札幌から旭川へ「オホーツク」で向かい、「宗谷」に乗って戻ってくることにしました

651系とキハ85系への乗車を考えないのであれば、躊躇なく稚内まで向かっていたことでしょう

 

 

気温マイナス10℃…くらいだったと思います

札幌駅から「オホーツク」3号に揺られ、1年ぶりに旭川駅へ降り立ちました

 

相変わらず木質系の素材を活かした暖色系のインテリアは、旅人の心を癒してくれます

駅から一歩出れば酷寒の世界ですが…

 

どこか晩ごはんを食べることのできるお店がないものかと駅周辺を一頻り散策しましたが、年の瀬も迫った12月30日ということもあって、営業していない店が多く、営業していたとしても予約客限定の店ばかりでした

仕方なく夕食を駅前のイオンで調達しましたが、厚岸産の焼き牡蠣をアテにサッポロクラシックが飲みたかったですね

 

 

しずしずと駅へ戻ってくると、代走やらシカの出現やらが原因で、「宗谷」に30分ほどの遅れが発生していました

ホームで待っていると凍えてしまうので、暖房の効いたイオンのフードコートと改札口を行ったり来たりして「宗谷」の到着を待ちます

 

 

 

22時頃になって、ようやく旭川駅に”ノースレインボーエクスプレス”がやって来ました

もう見れないと思っていた、ましてや乗れるとさえ思ってもみなかった車両との対面をようやく果たしました

 

ここで乗り損なったら、また1つ後悔のタネが増えていたところですが、念願叶って”ノースレインボーエクスプレス”の旅を楽しみたいと思います

それでは車内へ乗り込みましょう

 

 

今回、管理人が予約したのは4号車5番D席だったのですが、車内をあちこち見学していたので、自席に座って寛いでいた時間はそれほど多くはありません

ちなみに、この4号車には走行用機関とは別に、発電用機関が搭載されており、かつてED79牽引で青函トンネルを通過する時には、スハネフ14形のような雰囲気だったそうな

 

 

 

客室内全体を見渡してみました

3号車にダブルデッカー車が連結されているのを除くと、”ノースレインボーエクスプレス”の車両はすべてがハイデッカー車で構成されています

 

眺望性は抜群なはずですが、外はどっぷり日が暮れており、大きく開放的な側窓の恩恵に与かれないのが残念です

客室ドア付近の少し下がった場所から撮影しているので、ガラガラに見えますが、編成全体を均すと50%ほどの乗車率でしょうか?

 

デッキ~客室間のアプローチ部分に階段が並ぶ構造は「タンゴエクスプローラー」に似通っています

思い返せば、この車両が登場した90年前後は空前の好景気を背景に、”グランドひかり”やHiSE車に代表されるダブルデッカー車やハイデッカー車が次から次へと登場しました

 

時代は変わり、バリアフリー対応が必須となった現代では、いずれも採用例が減ってしまいました

251系「スーパービュー踊り子」の後継として華々しい活躍を見せるE261系「サフィール踊り子」も全車平屋構造ですし、キハ85系の後継であるHC85系もセミハイデッキ構造は採用されていません

 

唯一、気を吐いているのは「しまかぜ」や「ひのとり」を送り出している近鉄くらいでしょうか?

ダブルデッカー車やハイデッカー車を連ねた”ノースレインボーエクスプレス”の後継が、ラウンジを1両連結しただけのキハ261系というのも物寂しい気がします

 

 

客室内には960㎜ピッチで横4列の回転リクライニングシートが配されています

以前はもう少し明るいパステルピンクのシートモケットだったようですが、経年劣化のせいなのか随分くすんでいます

 

 

車体上方側面まで大きく湾曲した側窓と天窓のおかげで圧倒的な開放感を演出している客室ですが、座席周りはごくごく普通です

 

フットレストがあるわけでもなく、ヘッドレストピローがあるわけでもなく、インアームテーブルが装備されているだけです

リクライニング角度は控えめですが、座面のクッション材がふかふかに効いていて座り心地は良好です

 

 

この座席の一番の注目点は、中央のアームレストに装着されたオーディオパネルかもしれません

かつて、新幹線や在来線特急列車を問わず、「イケてる最先端のグリーン車=オーディオサービス」という時代があったのです

 

時代が下がり、iPodの登場に象徴されるように、手持ちの端末で好きな音楽を好きなだけ再生できるようになったことで、こうした座席に装着されていたオーディオパネルは次から次へと姿を消しました

一番最後まで残っていた東海道・山陽新幹線系統のグリーン車でも2010年代前半にはサービスを停止し、オーディオパネルは撤去されています

 

この車両に装着されているのは、かつて681系やHOT7000系にあったのと同じタイプで妙な懐かしさを覚えた次第

しかも、きちんと電源が入っているので、もしかしたらイヤホンを挿せば何かしらの音楽が聞けたのかもしれません

 

 

編成の中ほど、3号車はダブルデッカーとなっており、1階部分は乗客なら誰でも使えるラウンジになっています

この車両だけは付随車なので、この階段付近に立っていると、空気ブレーキの作動音がよく聞こえます

 

 

 

編成中ほどの3号車はダブルデッカー車となっており、1階は乗客なら誰でも利用できるラウンジとなっています

片側には10名程度が座れるソファが配され、通路側には壁にもたれることができるようにクッションバーが設置されています

 

22年9月の「ニセコ」や同年11月の道内各地へのメモリアル運行では、ラウンジの治安がずいぶん悪かったようですが、さすがにこの日は乗客がそれほど多くないこともあって平和でした

登場年次が近いこともあって、室内の様子はかつて寝台特急「北斗星」に連結されていたスハネ25形500番台車の半室ロビーを想起させてくれるものです

 

 

キハ183系の一派となる”ノースレインボーエクスプレス”ですが、番台区分としては5200番台が与えられており、3号車はキサハ182形5200番台車となります

気動車では異色ともいえるダブルデッカー車の連結ですが、先鞭をつけたのは先輩格にあたる”クリスタルエクスプレス トマム&サホロ”に90年12月から連結されたキサロハ182形5100番台です

 

国内の気動車列車としては史上初のダブルデッカー車だった同車に続き、91年夏には「スーパーとかち」用に1階を2人用普通個室、2階をグリーン車としたキサロハ182形550番台もお目見えしました

好景気とそれを背景としたリゾートブームに支えられて華々しく登場したこれらのダブルデッカー車ですが、550番台は特急列車高速化の波に乗れず、短命に終わりました

 

5100番台の方は2019年に引退した”クリスタルエクスプレス トマム&サホロ”と命運を共にする形で解体され、現存しません

キサハ182形5200番台車がJR北海道に最後まで残ったダブルデッカー車な訳ですが、こちらも引退まで残り2ヶ月を切りました

 

 

札幌駅に到着すると、さっそく編成全体がカメラの放列に取り囲まれました

 

 

 

「流氷特急オホーツクの風」や「さくらエクスプレス」で運行していた頃に1度乗ってみたかったですね

とはいえ、念願叶ってずっと前から乗りたかった車両に乗れたので、これ以上にない形で2022年の鉄道趣味を締めくくることができました

 

いつかは、遠く離れた九州の地を走る兄弟…「あそぼーい!」…にも乗りに行きたいですね

JR北海道に所属するキハ183系とは、大きく出で立ちが異なりますが、キハ183系であることは紛れもない事実です

 

明日はCTSからSDJへ飛んで、上野から高崎まで651系「あかぎ」号に乗ります

その様子は、「関東鉄旅」のコーナーで取り上げる予定です