KURI of the DEAD -2ページ目

セル

スティーヴン・キングの同名ベストセラーをジョン・キューザックとサミュエル・L・ジャクソンの共演で映画化。監督は『パラノーマル・アクティビティ2』のトッド・ウィリアムズ。

 

【STORY】

空港で別居中の妻子に電話をかけるコミック作家のクレイ。バッテリー切れで通話を終えるが、直後に携帯電話で話していた人々が一斉に凶暴化する。地下鉄に逃げ込んだクレイは、車掌のトムと自宅マンションの上階に住む少女アリスとともに妻と子どものいるニューハンプシャーに向かうが…

 

【REVIEW】

スティーヴン・キング作品。なおかつキング自身が脚本を手がけた作品である。

ちなみに原作小説は文庫本で上下巻あるが、上巻だけ読んで別の本が読みたくなって下巻を読まなかったという失態を犯している。言い訳をすれば、だんだんグズグズの展開になっていったからである。はたして映画はどうか?

 

コミック作家のクレイ。出張先の商談がうまくいったらしく、上機嫌で別居中の妻と子どもに電話。携帯電話から。

場所は空港。今や、いい大人なら誰もが持っている携帯電話。通話している人や操作している人がごった返している場所である。

クレイと家族の会話は、残念ながらバッテリー切れで中断。充電できる場所を探そうと辺りを見回していると、突如苦しみだし、凶暴化する人々。みんな携帯電話を手にしている。そして次々に人を襲っている。

襲う人々と逃げ惑う人々で空港はパニック。包丁で刺しまくるシェフ。連れていた犬を喰らう警備員。通信機器を使っていたパイロットもおかしくなったのか、ロビーに突っ込む飛行機。地獄絵図である。

 

クレイは冷静に対処し、空港と連結している地下鉄の駅に逃げ込む。同じく避難していた人々に出会う。そのなかに地下鉄の車掌トムがいたが、非常ブレーキが作動して運転できないとのこと。

ここにずっといると地下水で水浸しになるそうで、トムはここから立ち去るように提言するが、ほとんどの人が危険を恐れて残ることに。結局、クレイとトム、そしてもう一人通称DJリキッドことマイクの3人で地下を線路伝いに歩くことに。

3人の逃避行が始まると思ったのも束の間、出口付近で凶暴化した人々に襲われたDJリキッドがあっさりアウト。2人はハシゴを上って地上へ。地上も戦地のように荒れ、大勢の人が倒れているのであった。

クレイとトムは、クレイの自宅マンションへ。ここで上階に住む若い女性アリスが合流。凶暴化した母親を殺害して逃げてきたらしい。

 

どうやら突如凶暴化した人々は携帯電話で通話中という共通点があった。彼らは通話中に発する電波か何かで脳を冒され凶暴化してしまったようである。

携帯によってゾンビのような状態に。

 

そう、携帯人になってしまったのである。

 

コミュニケーションの重要な手段である携帯電話は使えない。携帯電話を冷蔵庫にしまうクレイ。電池が長持ちするらしい。ホントかな。

 

その後3人は、クレイの家族が住むニューハンプシャーのとある街へ向かうことに。

道中、携帯人たちに襲われる人々を目撃。襲った後、携帯人たちは集団で円を描くようにグルグル回るという奇妙な行動に。一体どうしたというのか。

途中、民家に押し入り銃を調達する3人。銃社会。

しかし携帯人が襲ってくる。銃で応戦しながら森の中へ逃げる3人。しかし目前には川で絶体絶命。3人は裏返した手漕ぎボートの下に隠れてやり過ごそうとする。

ここで日没。携帯人たちは動きを止めて突如奇妙な声を出し始める。電波障害のような音。そして静かに引き返していくのであった。

どうやら携帯人たちは、電波か何かで精神的につながっているようである。

 

その後も歩き続ける3人。そこへ、ガイデン・アカデミーへようこそと言いながら現れる老人と少年。

ここは学校らしい。迎えたのは校長と寄宿舎に身を置く生徒だった。

そして広大なグラウンドには、多数の携帯人が横になって静かにしている不気味な光景。夜間は音楽を聴きながら活動を停止するらしい。

 

だがしかし、いつ活動を始めるかわかったものではないと、クレイたちは芝生用の散水車でガソリンを撒いて携帯人たちを火だるまにしようと目論む。

作戦はほぼ成功したかに見えたが、散水車にも火が移り爆発。その破片の直撃をくらった校長がアウトという事態に。生徒号泣。

 

学校を後にするクレイたち4人。

途中どこかの店舗内で仮眠をとるが、全員が同じ赤いフードをかぶった男の夢を見たことが判明。クレイ曰く、その人物は自身のコミック作品「闇夜の旅人」に出てきた終末を予言するキャラクターらしい。一体どういうことか?

この場所を離れ、さらに進む4人。

途中のバーで休憩。バーには主人と客2人がいた。散々飲み倒して就寝。

翌朝、客の一人がなぜか凶暴化。どうやらこの客は、外の様子を窺うためにドアを耳に当てた際、ドアの向こうから電波のようなものを放出され、携帯人になってしまったようである。

携帯人の増殖方法は、噛むのではなく、相手の耳に向かって電波を放出することらしい。

バーに流れ込んできた何人かの携帯人とのバトルの末、鉄パイプで頭をど突かれたアリスがアウトに。紅一点だったのに・・・。

 

再び旅立つ残り3人。途中で車を拝借し、ようやくクレイの自宅へ到着する。

家の中へ入るクレイ。呼んでも応答無し。しかしボードに息子からメッセージが。母親は携帯人になったが、息子は圏外地帯と噂されるカシュワクに向かったとのこと。

どうやら携帯の電波が届かないエリアでは携帯人は活動できないらしい。そしてカシュワクとはキングおなじみのミクマク族の居留地である。

一行は、携帯の電波が届かないエリアがあり、そこに向かった人がいるという噂を耳にしていた。しかし道中で出会った男に、カシュワクが電波の届かない安全地帯であることはデマで、1年前にカジノができた際に巨大な受信アンテナが設置されたことを聞いていたのであった。そこへ行った人々は、飛んで火にいるアレのごとく携帯人に変わり果てるのである。はたして息子はどうなったのか。

ここで屋根裏から物音が。上がってみると赤いフードを来た人物が現れる。何とか銃撃して倒すが、その人物はよく見るとクレイの妻であった。

 

クレイは息子を捜すために一行と別れカシュワクへ向かうことに。なお、ここまでクレイたちが乗ってきた車には、道中に出会った男に託されたかなりの破壊力を持つ爆弾が積まれている。

 

カシュワクに到着。そこでクレイは、巨大な電波塔を中心に無数の携帯人が円を描くように行進している不気味な光景を目にする。

この作品のタイトル『セル』は、「Cell Phone(携帯電話)」を意味すると思われるが、電波に冒された携帯人が単一の集合意識でひとつの生物のように行動しており、一人ひとりの携帯人はそれを構成する細胞(Cell)であることを表しているのかもしれない。

 

クレイは円を描く携帯人の中心に赤いフードの姿を発見。車を衝突させる。その後、男を銃で乱射。やったか。

そして息子を捜すために携帯人の列の中に潜り込むが見つからず。とうとうクレイは最終手段に。それは、爆弾を託された男にもらった携帯電話。旅の終わりを迎えたときに使用しろと言われていた。

 

 

実はここから3通りのエンディングを迎える。そしてどれが本当のラストかわからないまま幕切れとなるのである。

 

(1)

携帯電話を手にしたクレイの目の前に息子が現れる。息子は携帯人になっていた。クレイは息子を抱きしめながら携帯電話のボタンを押す。それは爆弾の起爆装置だった。あたり一面爆破。おしまい。

 

(2)

森の中、息子と2人で線路沿いを歩く。別れた仲間が残したサインを頼りにカナダへ向かう。おしまい。

 

(3)

巨大な電波塔を中心に無数の携帯人が円を描いているシーン。その列の中には、携帯人と同じく無表情のクレイの姿が。携帯電話使ったから?おしまい。

 

一番最後のエンディングが流れ的に正解か。

いや、どれが正解かというよりは、この物語自体がクレイの創作(もしくは夢オチ)では?という説がやはり有力か。

でなければ、クレイ自身が創り出した赤いフードの男との関係が説明できない。

 

冒頭の衝撃から前半部分は最高だったが、中盤からラストにかけての尻つぼみ感は否めない。救いのないラストも『ミスト』のようにはスッキリしない。

個人的には嫌いではないけど。

 

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【MARKING】

オススメ度:★★★★★★6

えげつない度:★★★3

ランキングも圏外度:★★★★★★6

禍々しい度:★★★★★★6

 

【INFORMATION】

・原題:CELL

・製作年:2016年

・製作国:アメリカ

・監督:トッド・ウィリアムズ

・製作:リチャード・サパースタイン、マイケル・ベナローヤ、ブライアン・ウィッテン、シャラ・ケイ

・製作総指揮:ジョン・キューザック、スティーヴン・ヘイズ、ピーター・グレアム、ベン・サックス、パディ・カレン、エドワード・モクタリアン、アルメン・アゲアン、ローレンス・フリード、タイラー・ホーズ、ブライアン・ポープ、ジェノ・タッツィオーリ、ザヴィエ・ジャン、マリーナ・グラシック、ジャン・コルベリン

・原作:スティーヴン・キング

・脚本:スティーヴン・キング

・出演:ジョン・キューザック、サミュエル・L・ジャクソン、イザベル・ファーマン、オーウェン・ティーグ、クラーク・サルーロ、アンソニー・レイノルズ、エリン・エリザベス・バーンズ、ステイシー・キーチ

 

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Rest in Peace, George A Romero.

ズーンビ

広大な動物テーマパークを舞台に、動物たちが次々とゾンビ化して人々を襲うゾンビパニック作品。大ヒット海外ドラマ『Zネーション』のスタッフが手掛ける。

 

【STORY】

絶滅危惧種の保護を目的とした広大なテーマパーク・エデン野生動物園。一般公開を控えるなか、原因不明の病に冒された猿が診療所で死亡する。その後、蘇った猿は獣医に襲い掛かり、駆け付けた警備員も殺して逃げ出してしまう…。

 

【REVIEW】

さて、さまざまな原因や設定で雨後の筍のごとくゾンビ映画が世に送り出されている昨今。今回は動物テーマパークの動物たちがゾンビ化するという、わりと斬新な設定である。

生き返った動物をゾンビと呼ぶべきかどうかは意見の分かれるところであろうが。

CGがチープというくだりは他のレビューで散々見たので、ここでは割愛することにしよう。

 

舞台は、間もなく一般公開される予定のエデン野生動物園。絶滅危惧種の保護を目的とした、意識高い系の動物テーマパークである。

園内ではオープンに備え、新人スタッフの研修が行われている。

ここの責任者はエレン。創始者の孫で、シングルマザー。娘のシーアも職場に一緒にいる。シーアは生まれたときからこのテーマパークで過ごしているようで、一緒に育ったというゴリラのキフォとは身振り手振りで会話もできるようである。ゴリラは完全な着ぐるみだが。

 

この日、園内の診療施設に原因不明の病に冒されたと見られる猿が運び込まれる。医師の処置もむなしく死亡。しかし医師は、小動物には禁じられている何かの薬品を投与。間もなく猿は蘇生するが、様子がおかしい。突然凶暴化し、どこにそんな力があるのか、スチール製の棚を倒すなど大暴れ。さらに女性医師に襲いかかり、両目をくりぬくという暴挙も。残された医師は命からがら警報スイッチを押すのであった。

 

警報をキャッチした警備チーム。診療所へ5人で向かう。現場では、先ほどの女性医師と先に向かっていた警備員の死体が転がっている。

そして警報スイッチを押した医師も瀕死。ドアを封鎖しろと叫んだ直後に、体内からチェストバスター、じゃなかった猿が飛び出すのであった。

 

その後、同じ診療所内で感染した複数の猿に襲われ、警備員2名がアウト。辛くも3名が生き延びるが、猿も診療所を脱走。3名の警備員は猿を探すために車で出発する。

報告を受けた責任者のエレンは、直ちに園を閉鎖。クローズドサークルのできあがり。園内各所で働くスタッフに向けて施錠できる施設に避難するように呼びかけるのである。なかなか対応が早い。

 

そんななか、逃げ遅れたイボイノシシ担当と数名の実習生。いつの間にか感染していたイボイノシシに襲われ、木の上へ避難。だがしかし、そこへ感染したキリンが2頭登場。木の上の実習生に難なく噛みつき、振り落としてアウト。

ここで警備員が到着して銃撃。頭を撃ち抜いてようやく倒す。

実習生の女性1名が救助されるが、パニクった彼女はあろうことか警備員が負傷者の介助をしている隙に車を強奪して逃走するのであった。武器などを一切合切持って行かれるのである。

 

ここでようやく通報を受けた警察が介入。特殊部隊が投入される。だがしかし、百獣の王ライオンに真っ先に遭遇して即刻壊滅状態に。なんたること。

車を奪って逃げた実習生は、出入口ゲートにたどり着く。柵を登って脱出を図るが、メスライオンらしき猛獣に襲われてしまうのであった。あーあ。

 

エレンがいる管理棟。ここは安全かに思われたが、プレイルームで遊んでいる娘シーアにコアラが襲いかかる。史上稀に見る凶暴なコアラ。ドアラよりも恐ろしい存在である。

悲鳴を聞いてエレンが駆け付ける。するとなんと、娘がコアラを惨殺した後であった。娘、強し。

 

一方、車を奪われ取り残された3人の警備員の元に、合成感丸出しのゾウ3頭登場。ゾウには天敵がいないため、襲われることはなく感染していないらしい。ふーん。3人はゾウに乗って移動することに成功したのである。

だがしかし、しばらくして木の上にいる猿の集団にビビったゾウは3人を振り落として走り去っていくのであった。ぷぷっ。

 

ここでゴリラ担当と実習生が合流。ロケット花火のようなもので猿の集団を追い払う。一行はゴリラ研究所の中へ避難。

監視モニターにゴリラのキフォが倒れているのを発見したゴリラ担当。周囲の制止を振り切って様子を見に行くがキフォは案の定、感染。ゴリラ担当襲われアウト。キフォは研究所内に侵入。警備員のリーダーが大きなナタで挑むも、あっさり頭を潰されアウト。その間に逃げる残りのメンバー。追いかけてくるキフォ。

ここで瀕死の状態ながら車を運転して戻ってきた実習生に遭遇。生きていた。だが出会ったとたん絶命。車を持ってきてくれる役割終了。

しかし、知らない間に4頭のライオンに囲まれていた。車とライオンの追いかけっこ。ライオンを振り切った直後に車は木に激突しておシャカ。再び走って逃げることに。

そして一行は流行のジップライン(ターザンみたいなやつ)を利用して一気に管理棟をめざすことに。だがしかし、このジップラインはまだ未完成だったようで、ワイヤーが切れかける予定調和が発生。1人が落下して全身をしたたかに打ちつけてアウト。ぐちゃっという効果音。

残り2名は無事、管理棟へ。

 

エレンと合流した一行は、何に使われているのかわからないガスタンクを大量に積んで車で出発。鳥ゾーンヘ向かう。

鳥は感染して檻を飛び出してしまったら瞬く間に感染が広がるので、断腸の思いで焼き払ってしまおうというのである。

鳥ゾーンに到着。鳥担当と実習生はアウト。どうやら鳥たちも感染済。鳥担当の方はお腹の中に巣を作られている始末。

エレンはガスタンクを使って巨大な鳥ゲージを焼き払う。しかし火が回るよりも早く鳥が逃げ出そうとしている。

ここで車をゲージに近づけて銃撃。車を爆破させて何とか間に合う。火の鳥が1羽脱走するが銃撃。

 

一行が出口の柵をよじ登っているところへ、ラスボスのゴリラのキフォ登場。愛する動物を殺すことに躊躇していたエレンだが、キフォに銃を向け介錯。一行はヘリで救助される。

ラストは死んだはずのキフォが目を開いて、おしまい。

 

エレンの娘シーアとゴリラのキフォは意思疎通ができるほどの関係であり、心通わせる何かで解決に導くのかと思ったが、特になし。冒頭のシーンは何だったのか。

学者でもあるエレンが感染したコアラの血液を顕微鏡で調べていたが、それによる解決策も特になし。このシーンは何だったのか。

 

園内に客がいたらもう少し話が広がったかもしれないが、それだとジュラってしまうので、致し方ないか。

ジュラほどのスケールを期待しないで観れば、それなりに新鮮な設定なので、ある程度楽しめる作品である。

 

最後に、動物たちはゾンビ化したのではなく、凶暴化しただけでは?

 

 

【MARKING】

オススメ度:★★★★★5

えげつない度:★★★★4

クマゾンビ出なかった度:★★★3

禍々しい度:★★★★★★6

 

【INFORMATION】

・原題:ZOOMBIES

・製作年:2016年

・製作国:アメリカ

・監督:グレン・R・ミラー

・製作:デヴィッド・マイケル・ラット

・製作総指揮:デヴィッド・リマゥイー

・脚本:スコッティ・マレン

・出演:マーカス・アンダーソン、カイウィ・ライマン、キム・ニールセン、アイオン・バトラー、アンドリュー・アスパー

 

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