日本語の書き言葉には敬体(「です、ます」調)と常体(「だ、である」調)があります。学校での日本語作文では一般に小学校4年生までは敬体、5年生以降は常体で書いていきます。私が現在海外(カナダ)講師を務める言葉の森(http://www.mori7.com/ )でもそのように指導しています。作文は敬体、小論文は常体で書くというふうに思われている方もいらっしゃるかもしれませんが、小学校5年生以降は通常、作文でも常体で書きます。小学校5年生以降で常体で書くことは中学入試作文の練習にもなります。
私は日本、アメリカ、カナダで小学校4年生~専門学校生兼通信大学生の日本語作文、小論文、レポートの指導、作文入試の作成・採点を20年以上してきましたが、毎年必ず一つの作文・小論文に敬体と常体を混ぜて書く生徒・学生に出会いました。敬体・常体混交文を普段の作文はもちろん、入試や大学レポート等で書くと評価が下がるだけでなく、その生徒・学生のそれまでの読書量不足まで推し量られてしまいます。なぜなら、国語の教科書に取上げられている文章、文学作品も会話文、感動を表す一文といった例外を除き、必ず敬体または常体に統一して表記されているので、それまで適度に読書をしてきた生徒・学生が敬体・常体混交文を書くのは考えにくいからです。つまり、良い作文・小論文を書くには普段の読書も欠かせません。
さて、当ブログのバイリンガルになるのにふさわしい街(その2)にも記載しましたが、私たち家族の住むカナダ・オンタリオ州ウィンザー市には日本人は他に2、3人しか住んでいません。わが娘が生まれる前の年(今から10年前)に公立図書館で見つけた日本語童話を借りようと、今年の冬に訪ねたところ、1冊も見当たりません。そこで職員に尋ねて言われた本棚に行ってみると、そこには中国語の本だけがずらっと並んでいました。あまりにも日本人が少なすぎて誰も借りに来ないので、日本語図書は処分されていたのです!
これではここから一番近い、日本人がたくさん住んでいるアメリカ・ミシガン州ノバイ市(ウィンザー市から車で1時間未満)かシカゴのミツワ(車で5時間)まで買いに行くか、日本から本を取り寄せるかしかありません。残念ながらノバイ市では本の数そのものが少なすぎて選択の余地があまりなく、シカゴは遠すぎます。アマゾンは発送方法として船便が選択できなくなり、発送代の方が本代より高くつくようになりました(たとえば2冊で計約2000円の本の注文に海外発送料が加えられて約5000円)。クラブジャパンなら発送方法として船便が選択できるので海外発送料込みでも3000円代で済みますが、本が届くまでに約2ヶ月かかります。
ところが最近、とても便利なサイトを発見しました。児童書、小説、育児書、語学・学習参考書、ビジネス書等を取り扱っている古本屋さん「にほん書店」(http://nihonsyoten.shop-pro.jp/ )で、何と海外へは送料無料(ただし船便の場合)です。ここなら発送日数が約2ヶ月かかっても、安くてお得です。さらに便利なのは、送料無料、発送日数0日の青空文庫(http://www.aozora.gr.jp/ )です。青空文庫では宮沢賢治、芥川龍之介、夏目漱石などの文学作品をインターネットがつながる環境ならいつでもどこでも無料で読めます。
ぜひみなさんもお子様の作文・小論文の筆記力向上、またはお子様、ご自身の読書のためにこれらの便利なサイトを利用されてはいかがでしょうか。ちょうど読書の秋も近づきましたね。