桜が満開になった3月下旬から、ピンクの花びらから緑の葉へと衣替えを済ませ、青々とした葉が生い茂る頃、今年も川越織物市場を発信するイベントの季節がやって来ました。
2018年4月22日(日)蓮馨寺で開催されたのが、「手づくり食市+めきき市@立門前」。
蓮馨寺境内に、川越の人気飲食店やセレクトショップを中心に、各地の人気店が集結した質の高い雰囲気のイベントは、毎回楽しみにして来ている人も多いイベントです。
楽しみの奥にあるもの。このイベントは、旧川越織物市場という場所が発端となって開催が続けられていることは川越ではお馴染みでしょう。出店者も、川越織物市場の保存・活用提案の趣旨に賛同して出店し、まさにオール川越で織物市場を遺していこうとする運動です。そう、イベントと言うより運動と言った方が適しています。
■出店セレクトショップ
ソコノワ
tenori
ベトナム小粋雑貨サニーサイドテラス
HAMANO-YA
Utakata
サーカス
はるりKINUMO
Greencraft
KIKONO
■出店フード
COUCOU
café tango
RAGCAFE
やき菓子野里
デイリースタンドコポリ
ACROSS THE RIVER
パン工房Bare Bread
BOULANGERIE WACCI
株式会社備前屋
TOSHINO COFFEE
野々山養蜂園
ブーランジェリーリュネット
sai kasumiごはん
食堂カフェ ラパン
テロワール
川越の人気セレクトショップが一堂に会するのは、2018年1月の「くらしをいろどるFarmer’s Market」以来。夢の光景に境内お店巡りに胸躍らせていた来場者。
アートクラフト手づくり市、めきき市ともに縁の下で支えるソコノワさん、ファーマーズお馴染みのtenoriさん、一番街周辺の路地道カルチャーを形成しているベトナム小粋雑貨サニーサイドテラス、HAMANO-YAさん、はるりKINUMOさん、KIKONOさん、川越のイベントではなかなかお目にかかれないUtakataさん、アトレ川越の人気店サーカスさん、それにGreencraftさんはかつて川越にお店を構えていたことは知られていることで、久しぶりにサニーサイドテラスさんとの競演。
近年の川越の新しい個人店文化は、サニーサイドテラスさんとGreencraftさんあたりから始まったものです。二人の初遭遇は、かつて新所沢駅近くにあったAsian Dining Bar REN REN。その話しをし出すと壮大になるので別の記事にまとめています。
(「サニーサイドテラス」佐々木彰子さんストーリー
https://ameblo.jp/korokoro0105/entry-11799004874.html)
今回会場が蓮馨寺でありながら、タイトルに「立門前」が入っているのが、立門前通りにある川越織物市場の存在があるからです。
蓮馨寺山門から横断歩道を渡り川越街道までの通りが、立門前(たつもんぜん)通り。
通りには昔から続くお店に、近年になって新しくオープンしたお店も続々と増えて、今と昔が混然となっているのが魅力的な通り。
大正浪漫夢通りと越えて進むと左手に見えるのが、旧川越織物市場です。
今は更地になっているので、かつて在った時に行われていたイベントで当時の姿を振り返ります。
さらに、この数ヶ月の川越織物市場周辺の動きも伝えるので、川越の現場で起こっていることに触れてください。
(「手づくり食市+めきき市in織物市場2016」2016年4月17日川越織物市場
https://ameblo.jp/korokoro0105/entry-12151799067.html)
川越織物市場は、明治43年(1910年)に建てられました。川越はもとより、埼玉県における近代織物産業を飾る重要な遺産です。明治期の地域再生のプロジェクトとして、川越の総力を結集して作られました。その際には、八王子、桐生、足利など先行する関東各地の織物市場を視察に行っています。かつては関東各地にあった織物市場ですが、この建物のみがほぼ完全な形で残されました。川越のみならず、関東全域の織物産業を記念する文化財としての価値がここにあります。
この織物市場は、大正後期に市場として使用されなくなった後も、長らく住居として残されてきましたが、2001年11月、取り壊して、マンションを建設する計画が持ち上がりました。それに対し、私たちは、保全のための取り組みをし、2002年12月には、川越市開発公社が業者から土地を買い取り、建物は川越市が寄贈を受け、保存が決まりました。
2005年3月31日には、隣接する、栄養食配給所とともに、川越市文化財として指定されました。
数多くのイベントが開催される川越の中でも、市民に人気にあるものとして、川越Farmer's Marketと並んで評される川越織物市場の「アートクラフト手づくり市」や「手づくり食市+めきき市」。
アートクラフト手づくり市と今回の手づくり食市+めきき市は、これまで共に川越織物市場で開催され続けてきました。
建物が醸す独特な雰囲気の中で錚々たる人気店が集結するイベントは、他のイベントとは比べようがない独自のポジションを確立。使われなくなった建物の「こんな使い方ができるのでは?」と活用提案をするというのが第一のコンセプトであり、それはずっと変わりません。単に賑やかなイベントを開催しているのとは違うもの。故に、川越織物市場という織物を扱った施設であった歴史から、アートクラフト手づくり市では各地の作家さんの出店を、めきき市では川越のセレクトショップが出店することにこだわってきました。そこに、滞在型として食の要素も組み合わせ、時に音楽も、イベントの形を作ってきました。
川越織物市場の活用提案として開催していたイベントが、結果として川越内でも特に雰囲気の良いイベントとして人気になっていた現象がなんとも面白い。建物の活用提案はきっと、学術的な切り口でイベントが行われていたら、この場所にこんなに人が来ていなかったでしょう。この場所に今の感覚の川越の個人飲食店や個人セレクトショップ、作家を呼んだという方向が絶妙で、功を奏し、古さと新しさの相乗効果が川越で唯一無二のイベントとして育っていました。出店者も織物市場という場に出店することを楽しんでいて、今会場が蓮馨寺になっていても引き続き出店するお店が多いことからも、織物市場の想いが伝わってくる。お店の人はお店を構えている、という川越の地に根を張る人たちであるので、川越に対する気持ちは次元が違うものがあります。
手づくり食市お馴染みのCOUCOUさん、RAGCAFEさん、やき菓子野里さん、デイリースタンドコポリさん、パン工房Bare Breadさん、BOULANGERIE WACCIさん、TOSHINO COFFEEさん、野々山養蜂園さん、ブーランジェリーリュネット、久しぶりの川越凱旋テロワールさん、初出店のACROSS THE RIVERさんや食堂カフェ ラパンさん、株式会社備前屋さんといった顔触れ。
それにtangoさんとsai kasumiごはんさんが川越のイベントで競演したことも、サニーサイドテラスーGreencraftと同じような川越ストーリーがあります。
(「Sai Kasumiごはん」 珈琲Tangoから繋がって 六軒町のごはんカフェ
https://ameblo.jp/korokoro0105/entry-12328830352.html)
青梅のシフォンケーキのお店、ちゃんちき堂さんは、なんと青梅からリヤカーを曳いて川越までやって来たという強者。当日朝5時に青梅を発って、午前11時過ぎに蓮馨寺到着という6時間かけてやって来ました。境内に姿を現した時には待ちかねた人たちからどよめきが起こりました。
「アートクラフト手づくり市」と「手づくり食市+めきき市」による活用提案も踏まえ、織物市場活用の方向が決まり、2017年度から川越市が織物市場の全面修復工事にかかりました。
織物市場の立ち入りができなくなっても織物市場の機運を維持するためにイベントは開催続け、2017年は4月に蓮馨寺で「手づくり食市+めきき市」、11月に熊野神社・連雀町繁栄会通りで「アートクラフト手づくり市」が開催されました。
蓮馨寺・熊野神社・連雀町繁栄会通りという場所が選ばれたのは、川越織物市場から近いということが大きな要因。織物市場は使えなくても、織物市場の近くで活用提案を続けていこうというものでした。
「手づくり食市+めきき市2017in織物市場」2017年4月16日 蓮馨寺に場所を移しての開催
https://ameblo.jp/korokoro0105/entry-12267297427.html
(川越style「アートクラフト手づくり市 in 織物市場@連雀町」2017年11月4日、5日
https://ameblo.jp/korokoro0105/entry-12328248388.html)
現在、川越織物市場の工事は中の様子を見ることはできませんが、修復工事の様子については、川越市のサイトに詳しく掲載されています。
■川越市「旧川越織物市場保存整備事業」
http://www.city.kawagoe.saitama.jp/shisei/toshi_machizukuri/machizukuri/orimonoshijo.html
『今後は、再生活用を前提とした文化財としての保存修理と外構整備を実施するとともに、施設の運営管理の検討を実施する予定となっています。
活用方策は、平成27年度に策定した「川越市・まち・ひと・しごと創生総合戦略」に位置づけ、文化創造インキュベーション施設とする方針が決定し、アーティストやクリエイターの活動拠点として活用を図るとともに、インキュベーション支援を行うことになっています。』
・旧川越織物市場の施設と事業概要(PDF:497KB)
http://www.city.kawagoe.saitama.jp/shisei/toshi_machizukuri/machizukuri/orimonoshijo.files/ichiba.gaiyou.h30.4.pdf
・平成26年度 旧栄養食配給所等修復調査結果の概要(PDF:345KB)
http://www.city.kawagoe.saitama.jp/shisei/toshi_machizukuri/machizukuri/orimonoshijo.files/h26.eiyoushoku28.pdf
・平成29年度 旧川越織物市場解体調査報告(PDF:12,717KB)
http://www.city.kawagoe.saitama.jp/shisei/toshi_machizukuri/machizukuri/orimonoshijo.files/ichiba.kaitaichousa.h29_.pdf
そして、民間サイドからも織物市場をもとにした発信も活発に続けられています。川越は、川越の財産を遺そうとする市民のマグマのように熱い熱気が渦まいています。市民が街を動かしている側面も見逃せない。(一社)川越織物市場の会主催による、「織物市場サロン vol,1」が、2018年1月28日(日)松江町二丁目にある小島家住宅にて行われていました。
NPO法人川越きもの散歩協力
講演:「外国人から見たきもの。ファッション、テキスタイル、江戸文化」。
講師は、十文字学園女子大学のシーラ・クリフ先生。
川越で見かけることも多いシーラ・クリフ先生。この日は会場には30人ほどの参加者が詰めかけ、着物姿の人も多数いました。日本人とは違う感性で着物の魅力を発信する先生、着物のファッション性の話しに着物のこれからの可能性を感じさせました。
「Kawagoe Speech」
1、外からくると見える
2、私の役割
a) Myth buster
b) Trend hunter
3、今現在のMyth
a) ファッションはユローパのものである
b) Getty image kimono
4、江戸からファッションを習う
a) 社会
b) 政治
c) 農業
d) 出版
e) 技術
5、ファッションの流れ
top down
bottom up
6、現代と未来の着物を考える
7、箪笥開き
8、アキラタイムズ
川越織物市場の会としては今後も織物市場サロンを予定していて、次回は、
日時 平成30年5月20日(日)午後2時30分から午後4時まで
場所 小島家住宅(松江町2丁目3番地3)tel 222-5914
講演者 山田禎久(よしひさ)さん(川越氷川神社宮司)
『演題「地域振興・観光と神社」 神社と地域の関係、お父様の突然のご逝去で宮司となった禎久氏がどのような思いでその職を受け入れていったか、神社にとっての「あらたまり」の意味、祭りの意味、川越まつりなどについてお話しいただきます。』
今回の「手づくり食市+めきき市@立門前」を主催していた、アルテクルブ。
1998年12月3日に始まった、アートとまちづくりを企画支援する「アルテクルブ」の活動が、20年目をむかえるのを期に、2018年2月末にNPO法人設立の申請をおこない、3月29日付けで認証されました。
アルテクルブが織物市場で積み重ねてきた活動も触れないわけにいかない。
(アルテクルブの草野さん)
イベント開催のみならず、織物市場の可能性を探るトークセッションも定期的に開催し続けています。
旧川越織物市場が若手アーティスト・クリエイターのためのインキュベーション施設を軸にした複合施設に生まれ変わろうとしている。今後この場所をどのように活かし、どのような視点をもって川越の街にアートとクラフトを根付かせていくのかを考える機会として様々な人と行っているトークセッション。
《川越アーツ&クラフツのこれから》連続トークセッションの第1回が、2017年10月8日(日)川越駅近くの三番町ギャラリーにて開催されました。
Ⅰ『旧川越織物市場の現状』
講師:川越市都市景観課 担当者
Ⅱ『レジデンス経験者は今』
講師:康 舜香(かん すにゃん)さん
アーティスト ジュエリー作家
http://www.soonhyang.com/index.html
台東デザイナーズビレッジ卒業生
2002 東京藝術大学美術学部工芸科入学
2006.3 サロンドプランタン賞 受賞
東京藝術大学美術学部工芸科卒業
2006.4 東京藝術大学大学院入学
2007.9 ドイツ
Burg Giebichenstein Hochschule fur Kunst
und Design Halle ジュエリーコースに留学
2009.3 東京藝術大学大学院美術研究科鍛金研究室 修了
(文化創造インキュベーション施設として生まれ変わる川越織物市場)
市の担当者からは、川越織物市場の現状とこれからの話し、若手アーティストを育てるインキュベーション施設としての概要が示されました。
「文化創造インキュベーション施設」とは、アーティスト・クリエイターが創業支援を受けながら一定期間(最長3年程度)制作活動を行うための施設です。
運用ルールなどはまだ白紙でこれから詰めていく段階。
予定としては二年後の平成31年秋に入居者募集、平成32年春に共用スタートというスケジュール。作家さんには織物市場に3年ほどアトリエを構えてもらい、その後は市内の空き店舗を借りて引き続きアトリエを構えてもらえたら理想的で、まさに織物市場が作家を育てるインキュベーション(ふ化)施設になる。
では、作家目線ではどう思うのか、台東デザイナーズビレッジ卒業生の康さんの話しに一同惹き込まれました。作家としてどういう場なら作家活動がしやすいのか、広さ、音の問題、他の作家との交流、話しが具体的で真に迫り、市の担当者も真剣な表情で聴いていました。
市民が参加し考える川越織物市場の運動はもう始まっている。こうした一つ一つの回の積み重ねが、川越織物市場の運営の確固とした土台になっていくものと思います。
《川越アーツ&クラフツのこれから》連続トークセッション第2回が、2017年11月26日(日)川越市立美術館アートホールにて開催。
テーマは、「アーツ&クラフトで飯を食う」。
講師:坂井直樹さん/金沢卯辰山工芸工房専門員
講師:田村香織さん/衣装家 パタンナー
主催:SMF(サイタマミューズフォーラム)
協力:アルテクルブ
★坂井直樹さんのプロフィール
2003年 東京藝術大学大学院博士後期課程鍛金研究室修了
2003~2005年 同大学にて非常勤講師
2005~2008年 金沢卯辰山工芸工房にて研修
2010~2012年 金沢大学非常勤講師
2011~2012年 金沢美術工芸大学非常勤講師
2012年 美術工藝振興佐藤基金淡水翁賞
2012、2015年 日本伝統工芸金工展 宗桂会賞
2013年 世界工芸コンペティション 準大賞
2016年 テーブルウェア大賞 大賞
2017年 日本伝統工芸金工展 朝日新聞社賞
現在、金沢卯辰山工芸工房専門員(2013年~)
金沢市内にて制作活動を行う
★田村香織プロフィール
筑波大学芸術専門学群 総合造形分野卒。アパレル企業パタンナーを経て、舞台衣装を中心とした一点ものの衣服、着る人こころとからだをハレにする『HAReGI』を作る。
これまでに制作した衣装は、国内外のコンペティション、招聘作品など多様な場で使われている。2014年写真家の浅見俊哉とアーティストユニットSeeSewを結成 2015年「時間のきものプロジェクト」(文化庁 地域の核となる美術館・歴史博物館支援事業)企画・実施 2016年独立し、舞台、Music video、映像作品内の衣装の他、衣服の枠にとらわれないものづくりを展開している。
各地・作家の具体的事例を知ることが、川越における織物市場のあるべき姿、活用方法の参考になり、ぼんやりとイメージが醸成されて街の中で議論し合っていくことが大事。
これまで登壇した作家さんの話しを聞きながら、さらに、他の地のインキュベーション施設に入居している作家たちのリアルな日常の話しのトークセッションや、これから織物市場にアトリエを構えたいという気持ちを持っている作家の意見が聞きたいところ。
織物市場に期待するのは、極力制約を設けず、自由に制作できるアトリエに、それとアトリエ卒業後の作家が引き続き川越にアトリエを構えてくれるよう地域との連携を進めていくことでしょうか。
《川越アーツ&クラフツのこれから》連続トークセッション第3回。2018年1月27日(土)に三番町ギャラリーにて開催。
テーマは、「作家の領域について」。
講師:
竹内 稔さん(PROOF OB GUILD店主)
大治 将典さん(手工業デザイナー)
第3回は愛知でジュエリー作家としてデビュー後、木工轆轤を使った作品やバッグや日用品をデザイン・製作し、ジャンルレスな活動をされている竹内稔氏と川越在住で全国の地域産業メーカーとブランディングも含めた製品デザインを手がける大治将典氏を招いて、作家やプロダクトデザイナーの既存の領域を超えた仕事のお話を聞きながら、現代社会において作りてが社会に求められている職能や作りての未来について聞きました。
川越在住の世界的プロダクトデザイナー大治将典さんと名古屋からジュエリー作家でありながらジャンルを越えた仕事をしている竹内稔さんの夢のコラボ。
転ばぬ先の手を打ち、リスク回避を徹底し、案件ごとの基本軸を見失わない厳しい目をもつ大治さんと、自身が作りたいものや面白そうな仕事は、何でもやってみると言う姿勢の竹内さん。個性の違うお二人のお話しは刺激的でした。
大治さんは、仕事(プロダクトデザイン)は、使い手とつくり手をつなぐ仕事であり、「売れるものをつくるのが目的ではない」、地域の地場産業メーカーとブランディングも含めた製品デザインを手がけるなかで派生する、「問題は解決せず、問題を魅力にするパラダイムシフト」が必要と説きます。
そして、デザインの原点は、小さい頃の書道の先生にあるよう。書をどのような装丁にしたら、どのように見えるかをよく考えていたようです。見る人の目を意識したことから使う人の目・手を自然と意識したデザインとなっています。
竹内さんは、モックアップから完成品まで、ご自分で手がけるものが多い。手を動かし、作っていくのが本当に好きな人。メジャーになる過程では、たくさんのチャンスに恵まれていたようですが、それは竹内さんが引き寄せたものなのでしょう。名古屋にもインキュベーション施設があるようですが、川越で始まろうとしている育成施設への助言は、運営を続けるなかでレベルを保つことが大事であり、入所者の審査、レベルのコントロール、育成期間中のジャッジなど、運営のプログラムの充実が求められるという意見でした。
また、伝統的に美しいものを生活のなかで楽しんできた日本ですが、住環境の変化によって、どのように使えば良いのか分からない世代に、使い方楽しみ方を伝える手法、気づかせ方、見えない使い手に良さを伝える伝え方の戦略が要るというお話しでした。
《川越アーツ&クラフツのこれから》連続トークセッション第4回。2018年4月7日(土)に三番町ギャラリーにて開催。
テーマは、「アプリュス芝園スタジオの取り組み」。
川口より、廃校になった旧芝園中学校を利用して共同アトリエを運営している「アプリュス芝園スタジオ」より、代表の髙田さん、アートツァーやオープンスタジオ担当の水野さん、WC担当の奥村さんのお話しを聞きしました。
「一般社団法人アプリュス」とは、「A(アート)+」新しいアートを見出すと言うビジョン。「アートを生み出す場所をつくること」「アートを通した交流をはかること」を目的として活動しています。2008年より荒川区より始まったシェアスタジオの活動は移転を経て現在は朝霞市と川口市にあります。
「アプリュス芝園スタジオ」の開設は、2013年、アーティスト募集は2014年より。2015年からは、美大卒業生支援事業を開始。現在は40名のアーティストが居ます。
廃校とは言え、公共施設の利用となるので様々な制約がありますが、工作機械を設置したシェアスタジオやレジデンスの存在はめずらしいそうです。
地域との交流を考え、オープンスタジオやワークショップ、マルシェなどを開催したところ、地域の企業や公民館、近くのUR団地からのワークショップの依頼が増えて2016年からは、地域の小学校との共同企画で授業の一環としてのワークショップを開催しています。
アート拠点の様々な活動を通して生まれたつながりが、またそれぞれに地域の企業、商店街、小学校や団地との交流を生み出していく場となっています。
前回2017年11月の熊野神社・連雀町繁栄会通りの「アートクラフト手づくり市 in 織物市場@連雀町」からの5ヶ月の間にも、織物市場周辺の動きは活発。こうして活動を経た先に、その一部に、今回の「手づくり食市+めきき市@立門前」があることをちらりと考えたい。ただ、がちがちの啓発ではなく、楽しみながらみんなで意識を共有しようというスタイルが、このイベントが人気を博している所以でもあります。
織物市場の持つ潜在力は一体どこまであるだろう。
川越駅・本川越駅周辺の商業ゾーンに、一番街周辺の歴史ゾーン、その間を繋ぐゾーンとして昭和の街や大正浪漫夢通りがあり、文化を感じさせる個人店が軒を連ねていることは知られています。
川越織物市場が二年後に共用スタートすれば、まさに文化の発信拠点になることは間違いなく、一帯が文化ゾーンとなることで、商業・文化・歴史ゾーンが縦横に広がることになります。
その時の川越はどんなに魅力的でしょう。
今後の動きにも注目してください。