伝統構法の家づくり…大阪の街中で!石場建て/木組み/土壁のマイホーム新築 -6ページ目

伝統構法の家づくり…大阪の街中で!石場建て/木組み/土壁のマイホーム新築

五十代も後半、自宅を新築…新建材は怖い!
行き着いたのは地元の工務店。
で、棟梁がつぶやいた。
「ホンマは石場建てがエエんやけどなぁ・・・。」
「石場建てってなんですのん?!」・・・

昨日1/25(土)は、石場建て伝統構法の我が家を建てていただいた

日伸建設​の工房に、文字どおりお邪魔してきました。
 

「工房見学希望の方、大歓迎」という​facebook​の投稿を真に受けてのこと。

こうして工房を訪ねたり、事務所に上がりこんでおしゃべりしたり、

我が家の竣工後もずっとお付き合いが続いています。


工房では、次のプロジェクトに向けて、

地松の丸太を梁にする加工が行なわれていました。


この材​(☟写真は日伸建設facebookより)​は、日伸建設の皆さんが飛騨高山の山に自ら分け入り、

立ち木の状態で「この木」と見定めて伐採し、

工房に運び込んで数年寝かせていた天然乾燥材。


秋にいい木を探しに行って、木が休眠している冬に伐ってくるんだそうです。

その手間を思えば材木商から買い付けた方が安くつくけれど、

本当に良い木を手に入れるには手間を惜しんではいけないとのこと。


丸太は、重心を見極めながら、八角形にハツっていきます。

昔はヨキ(斧)を使ってコーンコーンコーンとやっていた作業、

今はさすがに電動工具を使います。


最初にチェーンソーで大雑把に面取りします。

この写真☝は、1/14の作業を日伸建設関係の​facebook​からいただいたものですが、

縦引き用のチェーンソーの刃は意外と珍しいんだそうです。


昨日お伺いしたときの作業は、

チェーンソーで大雑把に平面にした部分に、

さらに電動カンナを荒掛けするところでした。



丸太にベルトを巻いて、チェーンで吊り上げて転がします。
 

昔はこの道具(立てかけてある物)を引掛けて転がしていたんだそうですが、

丸太は曲がりによる偏芯で、重心が合わないとゴロン!といってしまいます。


そして、この電動カンナで削っていきます。

見ていると、やすやすとどんどん削られていきます。


 

けれど、これを持たせてもらいましたが、かなり重い!

手を止めると、この回転する刃の分、あっと言う間に掘れてしまうので、

少し浮かしながらの作業は、かなりの重労働。しかも水平をとりながら・・・すごい技です。


削られた面は薄っすらピンクがかって見えます。

かなり「浅い」材だとのこと・・・切り口を見ると、

周囲の白太が薄く、芯の赤身が大きい木です。


積んである丸太を見ると、赤身の大きさがかなり違います。

下のは信州産、上のは飛騨産。産地によって特色があるそうです。


これらを使う場所に必要な長さに切って、

さらに使われる場所に応じてもう少し電動工具で整形して、

最後は手掛け鉋で仕上げるそうです。


電動工具で仕上げてもいいんだけど、

手鉋だとキメが全然違い、それは経年変化でさらに顕著になってくるそうです。


「お宅も、こうして下ごしらえしたんやで」と親方。

我が家の分の加工は見に来られなかったので、

こうして手間をかけてくれていたのを直に見せていただいて、感慨無量です。


第三倉庫の工房から第一倉庫の工房に移動。

そちらでは我が棟梁たちが、別のプロジェクトのために、

角材を準備していました。


 

日伸建設では、こうして自社倉庫で天然乾燥させてある材木を、

ほとんどの場合プレカットではなく手刻みで刻んでいきます。


ここに積んであるのは、ヒノキ2種とヒバとアカマツ。

同じヒノキでも下側のものは木目が素直で、価格が全然違うんだそうです。


これは出雲産で、それはどこ産で・・・と。見たら、ある程度分かるんだとか!

関西は赤い木が好まれ、関東は黄色い木が好まれがちというような、

おおまかな傾向があることなんかも教えていただきました。


日伸建設​に出会っていなければ、一生こんな加工場は見ることがなかったでしょう。

集成材か無垢材か、機械乾燥か天然乾燥か、プレカットか手刻みかなど、

何も知らないまま何の興味もないまま、我が家が建っていたことでしょう。


こうして引渡し後も親しくお付き合いが続けられる、

そしてまだまだ学びがある!

大手住宅メーカーでは決してあり得ない、地場の大工直営工務店の醍醐味です。


フと見ると、丸太を削り取った端材が袋に突っ込まれています。

なんか、素敵です!・・・聞けば燃やしてしまうってんで、じゃあ!と、

2~3枚いただいて帰りました。さて、何に使おう・・・。

♪年の始めの例とて 終なき世のめでたさを

 松竹たてて門ごとに 祝う今日こそ楽しけれ


『一月一日』​文部唱歌(1893=明治26年)

この歌、「いちげついちじつ」と読むんですってね! 初めて知りました。

格調高い歌詞の言葉を聞くと、あたかも伝統構法の木組みを見るようです。


そんなお正月もあっという間に過ぎて松の内も明けました。

その松の内、関東では1月7日迄とされているそうですが、

大阪では伝統的には1月15日迄なので、ウチではしめ飾りはまだ下げていません。


とはいえ、明日からは本格的に1年が始まります。
そしてこの家にとっては、2年目が始まります。

1年前、入居はまだでしたが、1月11日に遷仏法要(仏壇の引越し)をしました。



妻が言います…「みんなが集まってくれたんは、もう一週間以上も前やねんなぁ。」

1/1稿​「年頭にあたり・・・」​の最後に触れたんですが、

元旦には親族が11人集まり、狭い我が家に私たち夫婦とで13人・・・tha実家でした。


そこでそのために、ちょっとだけ我が家に手を入れました。
 

まずは、この階段ホールにも座卓を置いて居室として利用したんで、

階段の下に置いてあるものが見えないように、簾で目隠ししました。


居間は、洗面所の出入口の前の床に座ると、そこだけ少し寒さを感じるので、

洗面所の高窓を少し空かして、ガスファンヒーターを入れました。

ガスストーブもあるのですが、幼児も集まるのでファンヒーターにしました。


普段はエアコンしか使わないのですが、

外出帰りなど局所的に暖をとりたいときや、早朝など一気に室温を上げたいときのために、

前の家で使っていたガス暖房器具を使えるようにガス栓を設置しておいたんです。
 

それと、とりあえず前の家から持ち込んだテレビ台。

・・・というか、二十年以上仏壇の下台に使っていた合板の組み立て家具なんですが、

本体はそのまま利用して、とりあえず天板と脚板だけ無垢材を取り付けてみました。


天板は息子が岐阜の原木市で仕入れてきてくれた栓の木に息子が鉋掛けしたもの、

脚板は私がホームセンターで買ってきてコーヒーの出がらしで染めたもの。

テレビボードは棟梁に造作を頼もうと思っていたんですが、予算切れで・・・!



2階。冬には普段は使わないエアコン。

壁付けエアコンを部屋の梁の上に設置してあって、壁までの配管が無粋なので、

とりあえず手拭いを掛けてみました・・・よけい目立ってブサイクか?!


大勢が集まって飲み食いするのに、冷蔵庫が全然たりません!

そこで、インナーバルコニーが臨時冷蔵庫に。

最高気温は10℃に満たず、最低気温も5℃に満たないので、食品保管にピッタリ。


子どもたちは、2階で遊びます。

たかが6畳と4畳半の2部屋ですが、開け放つと子どもが走り回るには十分。

畳敷きの続き間なんで、裸足でも転んでも大丈夫!


そして、その孫たちと次男夫婦は、遠いのでお泊り。

間仕切りを閉めてしまえば、個室の寝間に早変わり。

こんなフレキシブルさが、畳の和室のいいところです。


そして、こんな木組みを眺めながら、おやすみなさい。



朝の2階の洗面所の小窓、北向きなのに隣家が白っぽいせいか、意外と眩しい。

そこで、私の今は亡き父がデイサービスで作った百均(?)竹簾工作を掛けてみると、

大きさピッタリ! いい具合に納まりました。


ついでに、ウォークインクローゼットの小窓にも、

お節料理の伊達巻に巻いてあった巻簾が天然葦製だったもんで、

網戸に挟んでみました。これもいい具合にピッタリ!

 

こんなふうに毎年お正月には、親族が一堂に会する・・・
文字どおり年の初めの例(タメシ)とて・・・になればいいなぁ、
そんな家であればいいなぁと思います。



ところで・・・。


KBS京都テレビを見てたら、1月2日には、昨年中止になっていた

「釿(チョウナ)始め」​が、今年は千本釈迦堂に会場を移して催行されたそうです。

「釿始め/木遣音頭」​(広隆寺2016年)​

我が家の玄関式台はチョウナでハツった名栗ですが、
こういう伝統の技の継承に関心が向くようになったのも、

石場建て伝統構法で建てることになった​日伸建設​の親方・棟梁のお陰です。

この石場建て伝統構法、木と竹と土と紙の新居に、

昨年の正月明けから暮らし始めてほぼ1年。

初めてのお正月を迎えました。



 

玄関先には「​ことほき​」の創作しめ飾り、

庭先にあるものを足してアレンジ。


​(掛けるときに南天の赤い実がポロポロ落ちてしまい、万両の赤い実を付け足しました。)​


9時をまわって、ようやく朝陽が射してきました。

今朝は冷え込んでまだ3℃台、でも風もなく晴れて、穏やかなお正月日和。

良い年明けを迎えることができました。


さて、昨年1年間、このブログに投稿すること52回。

今どきの新建材で密閉し機械換気に頼った高性能高気密高断熱住宅とは敢えて逆をいく、

日本古来の現代的建築手法による家の四季を通した実際の住み心地を綴ってきました。


書くに当たっては、集め読みあさった百冊を超える関連書籍もですが、

それ以上にたくさんのインターネットの情報から学ばせてもらいました。

なかでもfacebookやYouTubeはとても役に立ちました。


そういえばテレビは、地上波もBSも放送はあんまり見なくなりました。

どのチャンネルも芸のないタレントのバラエティ番組を垂れ流しているテレビ放送。


番組は「制作」するもんだと思っていましたが、

放送局は今や「製作」しているだけなんじゃ?

そんなものを見ている時間があったら、YouTubeの方がよほどためになる。


YouTubeもピンキリではありますが、「制作」している思いが伝わる。

それらのなかで昨年とってもおもしろかったのは、

職人がつくる木の家ネット​の​「職人リレートーク」​でした。


我が家と同じような家を真摯に建てている

大工・職人や建築士や会社が、全国にこんなにたくさん!

「そんなん今どきできまへんでぇ!」・・・住宅メーカーの営業はウソ。


住宅メーカーは、家を「製作」してるんですよね。

家を「制作」「創作」している大工さん職人さん建築士さんの思い、

実際暮らしている体験が、​「職人リレートーク」​からは生々しく伝わってきます。


 

そして、我が家のような家を、本来の日本の家をつくっている大工・職人や建築士や会社は、

木の家ネット​以外にも、全国的に見れば意外とたくさんあるということも知りました。

我が石場建て伝統構法、木と竹と土と紙の家を建てた​日伸建設​もその一つ。



天然乾燥の無垢材を手刻みして伝統的工法で建てられる工務店は、

大阪府に何社あるでしょうか・・・5社に満たないかも?

それでも、無いわけじゃない!・・・そんなにあるんですよ!施主にとっての選択肢が。
 


家づくりに興味がわいたら、

ぜひそんな工務店や建築事例を検索してみましょう。

知らなかった素晴らしい世界が広がります!



そして、あと昨年のトピックスといえば、

その​日伸建設​から12月にインタビューを受けたことです。

今月末ごろにはHP​「お施主様の声」​に載るんじゃないかと思います。


いや、とてもその1ページに納まりきる話しじゃないんです。

今日まで52稿書いてきて、まだまだ語り尽くせないんですから・・・!


てなわけで、まだまだこのブログは続きますので、

今年もどうぞよろしくお願いします。
 


今日はこの家での初正月ということで、

長男夫婦、次男夫婦と孫3人、妹夫婦と甥姪が大集合!・・・まさにthe実家。

30坪ほどの敷地に30坪ほどの家が建っていて余地はあまり無いんですが、
車を奥に詰めて、なんとかあと2台分の駐車スペースを確保。


引っ張り出してきた折りたたみ机をズラッと並べて、the実家仕様に。

狭い家ですが、こんなシーンを想定して奥行を生かした間取り。

玄関/階段ホールも続き間の一部として。
 

小さな家でもみんなが集まってくる家ができて、本当にありがたいこと。
さあ、そろそろみんなが来始めるころです。
夫婦二人だけの静かな元旦は、にわかに賑やかになります!

 

今日12/26(日)は、
石場建て伝統構法の新築@大阪・ひらかたの我が家の、引渡し1周年記念日でした。
実際に住み始めたのは明けて1月からですが、居住環境をここに綴り始めて早くも1年・・・!
(参照:2020.12.26稿「竣工・引渡し ・・・ 初めて過ごした実感 ~ 温熱環境など」)

そして今日は、天気予報どおり数年に一度という大寒波襲来。

その前にと昨日は、それでもけっこう冷え込むなか、

信楽(滋賀・甲賀市)の​土鍋専業の窯元​に、土鍋を買いに妻と行ってきました。


信楽の旧市街地にある​古民家ギャラリーカフェ​で昼食。

築百年に迫ろうか(?)という建物は傷みがひどく、断熱も気密もあったもんじゃない!

それでも、石油ストーブの懐かしい匂い。このほんわか温かさにとっても寛ぎました。

こんな室内環境が当たり前で育った私には、これはこれでエエやん!と思えてしまいます。
いやいや、アカンね。チコちゃんに叱られてしまいそうです。



明けて今日。朝から天気予報では、電気に頼らない暖房器具の用意を!との呼びかけ。

実際、日本海側はかなりの積雪で、滋賀・高島市では雪による倒木で停電。

これが長期に渡る大災害だったら、電気仕掛けだけに頼る現代の家はどうなるんでしょう・・・。


そんな大寒波で、我がまち枚方にも初雪がほんの少し舞いました。

けれど、だいたい京都・亀岡と大阪・高槻との間、丹波と摂津の国境の山地で

雪はほとんど堰き止められ、その南側の河内の国・枚方への影響は限定的です。


とはいえ、今日の最高気温は5.3℃。

我が家はいつもどおりエアコン22℃設定で室温20℃ほどで過ごせましたが、

朝とお出かけ帰りには、ガスストーブの直火で温まりました。


お出かけ・・・今日は寒いのでずっと家にいるつもりだったんですが、

妻が玄関ホールで片づけ物をしていて、ふと言うんです・・・

玄関土間と玄関ホールとの間の引戸の下から、隙間風を感じる!と。



これは、前の冬には気付かなかったこと・・・いかんいかん!ってんで、​モヘア​を買いに。

1軒目のホームセンターにはスポンジの隙間テープしかなく、

2軒目に行く前に立ち寄った百均ショップで見つけてゲット。


百均だと品質は劣るかもしれませんが、

高4mm幅6mm長2000mmというのがピッタリだったんで、ま、お試しにと。



帰宅してさっそく貼ってみると、
見事に隙間風は止まりました。


ただ問題が!・・・隙間4mmは測って買いに行ったんですが、部分的に微妙に狭いようで、
開閉がかなり重くなってしまいました・・・失敗失敗! なんとか工夫せねば(※追記☟)。


外気温4℃ほど、玄関土間10℃ほど、玄関ホール18℃ほど。

この家はC値は実測5ほどですが、これで少しは向上するのかな?
(参照:2020.12.29稿「気密測定/C値~石場建て伝統構法の新築で?…予想どおり!」)

ところで、我が家は伝統構法とはいえ、ほぼ家じゅうをエアコン1台で暖房しています。

そこで気になるのは乾燥・・・湿度計はだいたいいつも湿度40%前後を表示しています。

1年前の冬はエアコン暖房してて50%前後でしたから、
土壁の乾燥が進んできたということなんでしょうね。
・・・ということで、本当はもう少し加湿したいところです。


それでエアコンの上の梁に、家にあったミンサー柄のベルトと竹の棒を吊って、

室内干しを仮設してみました。

濡れタオルを掛けておくといいかも。
・・・なんか、どんどん生活感が丸出しになってきます!



それと、12/18稿​「寒波襲来!…この冷え込みをどう乗り切るか?」​で紹介した風炉釜。

そのときはロウソクで火を入れてみたんですが、さすがに火力が弱すぎて湯が沸きません。


そこで、最小クラスの電熱器を仕込んでみました。

 



茶釜の底全面を加熱しているんで、
写真には写りませんが、これでかなり湯気が上がっています。

とはいえ、300wでも電気は電気。本来は炭火にしたいところなんですが、

C値5の家で、高気密とはいえなくても低気密というわけでもないこの家で、

空気は大丈夫なんでしょうか・・・。どなたかアドバイスください!

ま、こんなので湿度計の数値が上がったりはしそうにないですけど、
加湿器を買う気もしないし、気休めに遊んでるってところです。

 

 

※追記:引戸の下にモヘアを貼って開閉が重くなってしまった件、
     モヘアにシリコンオイルを滲みこませたら、支障ない程度にスムーズになりました。)​

一年前を振り返ってみれば、ちょうど外構工事が終わって、屋内の最終洗いの頃。

この寒い時季、職人さんたち、本当によく頑張ってくださいました。
(参照:2020/12/19稿「外構工事ひと段落~最初から最後まで大活躍の左官職人」)



そして今朝12/18、昨夜からの急激な寒波襲来に一気に冷え込み、​枚方の最低気温は0.2℃ (07:05)​。

朝8時半、山側で陽が当たらない東側にとめてある車のボンネットには、霜が残っていました。


 

そこで各部屋の温度計を見に行くと、

外気は6℃台で湿度16%。

1階は20℃台で40%、2階は18℃台で43%でした。

(一晩中1階の床置きエアコンだけを20℃設定で稼働し続けた朝8時半)


特筆すべきは、障子の断熱効果です。

そのときの障子の外側はLow-E複層断熱ガラスでも13℃台、室内との温度差7℃ほど!


東側の玄関も、障子が断熱に功を奏しています。

この時季は朝からずっとまったく陽が当たらず、三和土の土間は16℃台46%でしたが、

室内と土間を障子で仕切ってあるので、お陰で土間の冷えが室内に伝わりにくいのが分かります。


11月中頃からは、1階の床置きエアコンだけを点けっぱなしです。

朝起きたら22℃設定にし、寝る前に20℃設定におとしています。


それで家じゅう毎日ほぼどこでも設定温度ぐらいの室温なんですが、

寝起きの1時間半ほどだけはガスストーブの直火で、一日の気合を入れています。

C値は実測5c㎡/㎡なんで、換気扇なしで点けっぱなしというわけにはいきませんが。
(参照:2020.12.29稿「気密測定/C値~石場建て伝統構法の新築で?…予想どおり!」)


昨日までは最高15℃ほどだったのに、

今日は​9.1℃ (13:41)​までしか上がりませんでしたが、

それでも屋内はいつもどおりにしていて特段冷え込むことはありません。


そんなこの家の温熱環境のことについては、一年近く前の冬まっ盛り1/13稿

「木組み土壁の家の快適性~冬季…室温の連続性と日射取得」

でも述べたところでもあります。


寒波襲来といっても​省エネ基準地域区分6地域​のここ枚方の市街地はその程度だし、

断熱材は屋根と床だけで杉板外張り土壁外壁は断熱材無しの伝統構法の我が家はそれで十分なんで、

ZEH!とか国は喧伝していますが、全国一律の義務化には本当に疑問を感じます。

(参照:11/26稿「第6次エネルギー基本計画…なんか変?~ZEH・太陽光自家発電一辺倒の政策に違和感!」)



これでもっと直射日光が当たればさらに暖かいのですが、

さすがに住宅密集地、南側の隣家に遮られて1階には、
午前中の2時間半ほどしか日光が当たりません。


それでも建物を北側に寄せて南側をできるだけ空けたので、2階にはずっと陽が射します。

昼過ぎ、南側の窓。

夏場には日陰をつくってくれていた長い軒の下から、
冬場は日光が浅い角度で部屋の奥まで深く射すのがはっきり見て取れます。



そのお陰で、2階南側の窓の下のちょっとした格子吹抜けの下、

陽の射さない1階にも光が届いています。


昼下がりには、北側の階段奥にまで日光が射します。

こんなに奥まで届く陽射しは冬には暖かい恵み! 設計の工夫で、ぜひ採り入れたいもの。

(☟東側の部屋の南面の窓)​

夏の暑い日射を防いでくれていた深い軒よりも下に、​

暖かい太陽を望むことができます。

​(☝西側の部屋の南面の窓)

午後の西からの陽射しも、冬場はできるだけ採り入れたいものです。

​(西側の部屋の西面の出窓☝)
日本では西側に窓を極力設けないのがセオリーですが、私は

夏場の西日の熱射は簾や​アウターシェード​で遮ってでも、西側に窓を開けたい派です。


付け加えるならば、我が家の北側の隣家は外壁が白っっぽい色なので、

その反射光もバカにできません。暗い北側でも、窓を見上げると眩しいぐらい!

細長いハイサイドライトにしたんですが、こんなことならもっと大きめでもよかったぐらい。


こんな日射取得ができるのは、隣家のお陰でもあるんですよね!

南側の隣家が北側斜線を守って傾斜屋根になっていること・・・敷地一杯の陸屋根だとガッカリ!

北側の隣家の外壁の色が明るいこと・・・黒い家だとガッカリ!



ところで、冬場に暖かくというのには、「採暖」と「暖房」があるんだそうです。
 

日本は古来より夏場を旨とした開放的な家だったので、
火鉢や石油ストーブなどの「採暖」で寒さをしのぎ、

部屋や屋内全体を暖める「暖房」はなかなか発達しなかったとのこと。


我が家はそういう意味では、伝統構法といえども現代のエアコン「暖房」の家です。

省エネ性、エネルギー効率で言えば、断熱性能と気密性能が一定あれば、

エアコンは圧倒的なんだそうです。

エアコンだと過乾燥が気になるところですが、
24時間点けっぱなしにしていても、
無垢材と土壁のこの家はずっと湿度40%ほどを保っています。


それでも、薪ストーブにはかなわない!・・・街中でははばかられる。

(参照:11/9稿「伝統構法に薪ストーブ…じゃない!わけ~住宅地には向かない?」)

火鉢も憧れるけど!・・・それなりに気密性はあるのに換気装置に頼らないので、
空気の汚れが気になる。


そこで・・・。

母の形見の風炉釜にロウソクで火を入れてみました。


 

それと、ティーウォーマーなるものを買ってみました。

 

どちらもロウソクの炎の揺らぎが、暖かみを目から感じさせてくれます。

 

余談ですが、この杉の間伐材製のKIZARAに盛った・・・

​​・・・千葉県産の落花生、美味すぎてどんどん食べてしまいます!


たかがロウソクですが、茶釜や鉄瓶の熱で手を温めることもできますし、

中で穏やかに沸いているお茶が、ほのかな香りと湯気を漂わせます。

この程度では室温にも湿度にも全くと言っていいほど役には立っていませんし、

ただの演出と言ってしまえばそれまでですが、費用もとりたててかからないし、

こんなささやかな気持ちのゆとりがあってもいいかな・・・って。


こうした冬ならではの温かい楽しみを思いつくのも、

新建材で密閉された高断熱高気密性能一点張りの現代の家とは違った、

木と竹と土と草と紙の家ならではなのかもしれません。

昨日12/11(土)午後からは、久しぶりの来客予定。

こんなことでもないと、なかなか掃除も十分じゃないので、

朝からは年末の大掃除を兼ねてきちんとお掃除。


まずおみえになったのは、いつもの​日伸建設​の小西社長、田中棟梁、森田さん。

そしてメインゲスト、ホームページ制作会社​オニオンウェブ​の江川さん。


 

その日は、一年点検も兼ねて、

日伸建設​の​「お施主様の声」​​​のページに我が家を掲載するための、

インタビューを受ける日だったんです。

 

 

さて、何を話そうか?

掲載されている​「お施主様の声」​・・・。



『思ってたことをいっぱい叶えてくれました』​の、

「棟梁とは親戚のおっちゃんと話しているみたいに何でも相談に乗ってくれた」・・・そのとおり!

 


『壁の中まで見せてくれる家づくり』​の

「一緒に家を建てているという感覚がある」・・・そのとおり!


『自然の空気に包まれた贅沢な暮らし』​の

「作業場にも、現場にも通い、家づくりの一部始終を見せてくれた」・・・そのとおり!


『人生を楽しみ自然を楽しむ家づくり』​の

「細かいところを見ても手を抜いた形跡がない、棟梁の家は100年だって残ってる」・・・そのとおり!


『家に対する価値観が高まりました』​の

「和風の家もいいんですが、老舗のうどんやさんみたな家にはしたくなかった」・・・そのとおり!


・・・もう、思ってること、言いたいことは出尽くしてるやん!

日伸建設で我が家を手に入れた皆さん、感じてることはみんな同じだなと、あらためて思いました。



じゃあ私たちは、何を話す?

やっぱり皆さんと同じことを繰り返すことになりますが、

それらを言わずして日伸の家は語れません。

 

 

そして我が家ならではの話しといえば、何と言っても

「石場建て伝統構法」にまつわるエピソードでしょう。


それなら、​このブログ​にずっと掲載してきたことです。

また、​私のYouTubeチャンネル​を見てもらいながら話すこともできます。

とはいえ、こうしてカメラを向けられると、緊張します。

思いつくまましゃべっていると、もう何を話しているのやら・・・。

このカメラで録音もされているそうですが、これは文字おこしが大変そうです!

でも、田中棟梁(中)と小西社長(右)としゃべりだすと、

やっぱりどんどん勢いがついてきます・・・まさに親戚が集まってる感覚!

それにしても大の大人がこうして集うと、あらためて小さい家です。


日伸建設のプロカメラマンが写すと、


どうしてこう広く見えるんでしょう!

 

日伸建設に決めた経緯、石場建てに至った経緯、

伝統構法の設計のこと、木組みや土壁のこと、建築中のエピソードなど、

入居後の住み心地や、家づくりを通して学んだことなど、話しは多岐にわたります。


造作キッチンのこだわりについては、妻が語ります。

2020.10.21稿​「オーダー造作キッチン据付…総無垢材木組み~家具職人の技が光る」​に掲載した、

我が家の見どころのひとつ!


日が暮れる前にと、外回りの取材。

石場建ての石場建てたる所以、デッキの下から床下を撮影する江川さん。

・・・いろいろガラクタが置いてあるんですよね! 片付けとけばよかった。


日没頃、江川さんには2階のこれが目にとまりました。

確かにこれも、我が家の見どころです。



 

取材が始まって、あっと言う間の2時間半!
私たちも話しているうちにあれやこれや次々とあの頃のことが思い出されて、

お陰で本当に楽しいひと時になりました。


それにしても、たくさんのとりとめもない話しと、たくさんの写真。

これはまとめるのに一苦労も二苦労もありそうです!



1か月後ぐらいには​日伸建設のHP​に掲載されるそうです。

その節はここでご報告しますので、ぜひご覧ください。

先週までの小春日和はどこへやら・・・。

今週に入ってから一気に12月並みの冷え込み。


最高気温が15℃前後、最低気温が10℃に届かないの日が続くと、

さすがに1階の床置きエアコンだけでは、22℃設定にしても、

2階は20℃に届かず19℃台。



それでも、家じゅうの室温が連続していて、

階段も2階も、エアコンが届かないトイレも、そんなに寒くは感じません。

もしかしたら土壁がホンワリ蓄熱していて、その輻射があるのかもしれません。



さて、そんな木と竹と土と紙でできた我が家。


じゃあ、隙間風の吹く昔の古民家の如しかというと、

伝統的な構法であっても現代の知見をしっかり盛り込んだ造り。


とはいえ、断熱材は屋根と床以外は入っていないし、

気密テープなどで目張りしているわけでもないし、

石場建てなんで基礎断熱もなにもあったもんじゃありません。


国が進めるいわゆる​ZEH​(ゼッチ:ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)とは、

縁もゆかりもない構造です。

 

(参照:経産省資源エネルギー庁「​ZEHに関する情報公開について​」​☜click​​​)



実は私は、石場建て伝統構法で自宅を新築することになって以来、

いろいろ調べれば調べるほど、

ZEHや太陽光自家発電に少なからず違和感をもち、矛盾を感じているんです。


そのことをなんとか書き綴っておきたいと思っていた矢先、

こんなメルマガ記事が届きました。


「​アレルギーと住宅を考える会​」の会報(メルマガ)2021.11.20。


この会は、曖昧にされている住宅とアレルギーの関係の解明に努め、

自然と共生する住宅と暮らし、免疫力が最大限発揮される住宅を研究し、

情報発信・啓発活動を行なっているネットワーク。


私も個人名で大阪・北河内支部とさせていただいているところです。


そのメルマガ11/20のテーマは、2021年10月22日に閣議決定された、

経済産業省「​第6次エネルギー基本計画​」について。


それを読んでみて、まさに我が意を得たり!・・・浅学の私が言うよりと、

会長の川田季彦氏(​川田建築設計事務所​:山形・酒田市)による発信を、

ご本人の承諾を得てここに転載させていただくことにしました。


~~~~~<以下引用>~~~~~


「エネルギー基本計画」が発表された。

日本は温室効果ガスを46%削減(2013年比)すると宣言した。


その中で、家庭部門における温室効果ガス排出量を1/3にするという目標が示された。

66%減らせというのだから、無理難題を押し付けられたものだ。

我慢してエネルギーを使わないで暮らすか、再生可能エネルギーで賄うか? である。


計画書によると、建築物の省エネ化、ZEHの普及が不可欠である。

2030年には新築住宅の6割をZEHにすると言う。

既存の住宅をどんどん建て替え、2050年にはZEHを標準にしたいらしい。


ZEHは一般住宅より約400万円は高額になる。

富裕層しか買えない住宅である。

経済格差はさらに拡大することは明らかである。


さらに、設備機器は故障するし、寿命がある。メンテナンスや維持費がかかる。

そして、常に最新の機器を購入することに追われまくる。廃棄処分費はバカ高い。


ZEHには、太陽光や風力など、創エネ設備機器が必要になる。

ソーラーパネルであるが、製造元の多くが中国製である。

しかも、中国製の半分は新疆ウイグル自治区で製造されたものだと言われている。


中国の温室効果ガス排出量は世界一であり、

2025年までは排出量は増加して良いと決められている。

さらに、日本政府は人権問題に対して、見て見ぬふりである。


超安い人件費とエネルギーで製作しているのだから、

国産のソーラーに勝ち目がない。


今後ますます、世界中における中国製品のシェアは拡大していく。

やがて、日本中どこに行っても中国製ソーラー屋根の街並みに

変わっていくことを国は求めているということだ。


ZEHの購入には、100万円の補助金を支給して、普及を誘導している。

私たちの税金を使って、中国を支援しているのである。


中国が経済成長するわけだ。

軍事費が潤沢になり、その後、どうなるか???


SDGs、だれ一人取り残さない、、、と言うのは簡単。

本質を追究してから、語っているのだろうか?

SDGsは戦争がある限り、実現できるわけがない!


さて、「エネルギー計画書」は立派だが、、、

「建築物省エネ法」は法律として正しいのか?

ZEHは本当にエコなのか?


ライフ・サイクル・アセスメント(製造から処分までのCO2排出量)の

視点からの理解できる説明がないのが不思議である。

都合が悪いことも公表しなければ、取り返しがつかなくなる。


~~~~~<引用終>~~~~~


「中国製パネルに強制労働の疑い 新疆ウイグル問題が太陽光発電に落とす影」

 ​日経ESG 2021.07.05


4/22稿「​設置義務化は憲法違反…財産権の侵害?~太陽光パネル!なら24時間換気装置も?​」で、

小泉前環境相が住宅への太陽光パネル設置義務化を視野に入れて考えるべきと言ったことに対し、

バカ言うなよ!って異論を述べました。


気密テープで目張りしてビニルクロスで包んで24時間機械換気する高気密住宅についても、

私のブログではずっと異論を唱えてきました。


これらの問題については、川田氏が指摘するように、

ライフ・サイクル・アセスメント(製造から処分までのCO2排出量)の

視点からの理解できる説明が見当たりません。


いや、説明できないから! 大局的な見地から巨視的な視野で見ると、

ZEHは理論としては破綻しているのは明らかで、政府はそれを知ったうえで、

大企業への利益誘導策としてCO2削減やSDGsを騙っているのでしょう。


資源エネルギー庁によれば、ZEHとは以下のように説明されています。

「外皮の断熱性能等を大幅に向上させるとともに、

高効率な設備システムの導入により、

室内環境の質を維持しつつ大幅な省エネルギーを実現した上で、

再生可能エネルギーを導入することにより、

年間の一次エネルギー消費量の収支がゼロとすることを目指した住宅。」

​​
 

けれどこれって、それはそれでいいとしても、結局は理論遊びでしかない。

新エネルギー基本計画はスクラップ&ビルドを進めることが前提である時点で、

本質的なエコとはかけ離れているんですよね。


高効率な設備システムの導入が前提となっている限り、

それはサステナブル(持続可能)じゃない。

しかも、新建材で覆われた家づくりが前提となっている限り、
そこに住まう人の健康は観点にない。


再生可能エネルギーを導入することよりも、

そもそも人工的エネルギーを極力使わないで済むことが本来のエコ。


それで言うなら、日本の気候風土に根差した日本古来の建築手法をベースにした

伝統的工法・・・現代の木と竹と土と紙でできた家は、

その求める性能を十分満たすことができます。
 



産業振興を第一義としたZEH推進一辺倒ではなく、

国民の健康で豊かな暮らしを第一義とした本来の家づくりも含めた、

ライフスタイルに合わせた多様な選択肢が、今求められると思うのです。


ここ数十年の省エネルギーの観点のない住宅は論外としても、

ZEHにするとチープな素材でもコストが上がる。

ZEHにしなくても木組み自然素材の家もコストは上がる。


住宅の高品質化でコストが上がるのは当然のこと。

それを受け入れた上で、どうせ上がるコストなら、

その分を我が国の気候風土と歴史と匠の技に支えられた伝統構法に!


そんな選択肢も、国が推奨するべきだと思うのです。

ZEHだけが省エネ・脱炭素の答えではない。
 


 

憲法第25条に謳う「健康で文化的な生活」。

その最低限度の保障を越え、本来の健康的な暮らし、文化的に豊かな暮らしの実現を。

それは、木組み自然素材による伝統構法の家にこそある!


そんな住まいの哲学も、推奨されてしかるべきだと思います。


 

今朝(11/26)のNHKニュース・・・


コストアップ分を補助金でというのもいいけれど、

人権問題を抱える中国製の太陽光発電に税金を投入するより、

ウッドショックのいま国産材の活用に税金を投入する方が大切なんじゃないかなぁ。
 

脱炭素・省エネ・サステナブル・・・共通の目標に向けて、

いろんな住まいの哲学が共存する、そんな多様性を認め合うことが、

政策として必要なんじゃないかと思います。​

昨日今日(11/13㊏14㊐)は、削ろう会第36回全国大会。

昨年京都・亀岡で開催される予定がコロナ禍で延期になっていたもの。

第37回愛知・西尾大会(7/24㊏25㊐)より後になっていました。


「削ろう会」​とは、極限まで薄い鉋屑を出すことをとおして、

手道具や伝統技術の可能性を追求する会。

大工や木工関係の職人のほか工具を作る鍛冶などが集まって、

競い、楽しみながら交流をする会なんだそうです。

 

毎回出場している我が​日伸建設​の大工さんたち。

西尾大会では、若手の二宮くんが一般の部で史上最年少で優勝!!

わが棟梁の田中さんは五寸鉋の部で3位!・・・さて、今回は?


 

ということで、亀岡は枚方から車で1時間と近いこともあり、

初めて削ろう会を見に妻と行ってきました。


会場の亀岡運動公園体育館の入口前では、丸太ハツリの実演。


コーンコーンと心地いい音と斧を振り下ろす迫力に、

ワクワク感が高まります。


会場に入ると、わりとすぐに我が棟梁のブースを発見。

我が石場建て伝統構法の家を建ててくださった日伸建設に関わる

大工さんや建具職人さんたちが「大阪の人」というグループ名で削っていました。



二宮くんが削ります。

先輩の田中さんにじっと見られていて、手が震えないのはサスガです。


 

こうして一定の長さをもって、μ(ミクロン)で測ります。

薄過ぎて空気になびくだけで裂けそうですが、裂けてたらアウト。

永六輔氏が「削り華」と呼んだ、まさにその名にふさわしいもの。


自分で納得のいくまで鉋を引き、納得の鉋屑ができたら計測場へ。

3回まで公式に計測してもらうことができ、それが記録とされます。


我が田中棟梁も、我が家の建具を手掛けてくれた職人さんと息を合わせて、

す~っと鉋を滑らせていきます。

・・・削っているというより、力もなく滑らせる感じ。


田中棟梁の1回目の記録。わぁ、3μ(3.6.6)を出してる!

他の人(8.7.8とか11.10.8とか)の半分に近い。


何度も何度も鉋がけをしてみて、

いけたかな?と思ったら自分で測ってみます。

・・・う~ん、まだまだ!


 

この大会、全国大会ですから、大工さんたちは家族づれで来ているようです。

私たちのような素人が来ても、いろいろ楽しめます。

 

五寸鉋なんて、初めて見ました。

残念ながら実演は見損ねましたが・・・。


槍鉋の体験コーナーもあります。

なんと、誰でも使わせてもらえます。


京都産の材木利用促進のブースもあるし、

大工道具や亀岡の名産品や軽食の屋台など、いろんな出店もあります。



併設の会場では、​「木育キャラバン」​が開催されていて、木のおもちゃがいっぱい!

子どもたちが大勢遊んでいます。

できるだけプラスチックじゃなくて、無垢の木に親しんでほしいものです。


これは、フランス産の松(スプルース)製。
何千個も積んで遊びます。

そしてこの面白さは、実は崩すことにあるそうで、

この木で作ってあることで、いい音が鳴るんだそうです。

子ども3人で1本ずつ抜くと、カラカラカラ・・・と気持ちよく崩れていきました。



さて、私たちは午後からは、亀岡の向こうの園部に孫に会いに行ったので、

結果発表はお預け。

・・・う~ん、気がかりです。



夕方、インスタグラムやフェイスブックなどSNSで、

結果が伝わってきました・・・



おっ! 真ん中で表彰されているのは、我が棟梁?!


何と今回は、一般の部で優勝!!!

やったぁ~! おめでとうございます。


こんな棟梁と仲間の皆さんに我が家を建てていただいて、

本当に誇らしく思います。

家を建てるのに、現実的にはこんなに薄く鉋をかけられる必要はないでしょう。

実際、大手住宅メーカーの下請け大工さんは、鉋をかける場面がまずありません。

伝統的工法、手刻みの大工や棟梁でも、鉋かけは仕事の一部でしかありません。


そういう意味では、・・・だから、どやねん?!の世界です。


でも、こうして日々研鑽し、それを楽しんでいる。

こうして全国の同業・関係の人たちと交流し、情報交換している。


大会の成績じゃない、そういう日ごろからの取り組みが、

明日の伝統の技を支え、伝えていくんだと思います。


今日はお陰で、いい日になりました。

今日(11/9)からまた急に寒さがぶり返してきました!


10/24稿「​こんなところにも木組みの技・・・​」の冒頭で、


​> 最高気温18~19℃の日が続き、最高気温が20℃に達しない日は、
> 1階の床置きエアコン1台だけ20℃設定にして、暖房を入れることに・・・



・・・と書いて以降、また最高気温21~22℃の日が続き、

昼も夜も暖房なしで過ごせる日もありました。

そんな暖かめの日とはいえ最低気温は12~13℃にまで下がるんですが、

昨日までは土壁の室内は、暖房なしにした日でもずっと20℃台を保っていました。


土壁は蓄熱性が高いので、温度が下がっていくのがゆっくりなんです。

ただ、冷え切ってしまうと逆に温めるのに時間がかかるので、

最高気温が20℃に達しない日はエアコンを使って室温を20℃台に保っています。


今日からは、そんな最高気温が20℃に達しない日々が続くという天気予報。

最低気温も10℃を切り始めると、やはり直火が恋しくなります。



我が家はここで言うまでもなく、石場建て伝統構法、木と竹と土と紙の家。

・・・なのに暖房はエアコン? 当然、薪ストーブなんじゃないの?

・・・そんな声が聞こえてきそうです。
 


確かに自然志向のこの家には薪ストーブが似合うし、ふさわしいと思います。

我が家にも、できることなら欲しい! もちろん薪ストーブの設置も考えました。

けれど、それは単に憧れ。

早々に諦めました・・・というより、敢えてやめました!


はじめにお断りしておきますが、ここでは薪ストーブについて、

否定的な論調で述べています。けれど、薪ストーブを否定したり、

薪ストーブを使ってらっしゃる方々を否定的に見るものではありません。


薪ストーブは、素敵です。

その魅力については私が言わなくてもWEB上にもいくらでもありますから、

そちらに譲りたいと思います。


(大磯町HPより)☝

で、この家に薪ストーブを導入しなかった、その理由・・・。


第一に、我が家は狭くて部屋の幅が2間しかありません。

なので、炉台(耐熱床/壁)や煙突の配管と、家具の配置などの兼ね合いを考えると、

薪ストーブを設置する余地がありません。
​​​​
第二に、燃料の薪が気軽に手に入らないだけでなく、​

薪をストックする場所も、薪を割る場所も、

燃えカスを処分する場所もありません。


第三に、薪ストーブは着火や消火に手間がかかります。

また、煙がほとんど出ないように燃焼させるのも、手間がかかります。

たびたび外出する家庭には、不向きだと思ったからです。


第四に、薪ストーブはメンテナンスに手間がかかります。

手間を惜しまない暮らしには憧れますが、

我が家のライフスタイルには不向きです。


第五に、薪ストーブは暖房器具としては高価すぎるということもあります。

買ってきて置くというわけにはいかず、専門家による施工も必要なので、

安いものでも数十万円から、まともな性能を考えると百万円以上かかるとのこと。


第六に、しかも耐用年数は10年~30年といわれているそうで、

そのつど買い替えるか大規模オーバーホールをするというのも、

経済的には厳しいところです。


第七に、排煙や臭いによる近隣への迷惑の問題が大きいです。

我が家には、隣家の台所の換気扇からの排気が毎日のように匂います。

調理は短時間ですが、暖房だと長時間に及び、事実上日中は使えません。




さて、薪ストーブによる排煙や臭いによる近隣への迷惑の問題・・・。

こんな切実な訴えがブログに挙がっていたので、ご紹介しておきましょう。

​[参照↓click]​​

「湘南で薪ストーブ、臭い。煙い。迷惑。焚くのを即刻やめなさい。」


また「薪ストーブ ご注意」で検索すると、

たくさんの市町村HPの注意喚起のページが挙がってきます。

​それだけ苦情も多いということでしょう。

(苫小牧市HPより☟)
​​
​​​
「薪ストーブノート」​というサイトによると、
 

> 薪ストーブは適切に使用していれば、煙はほとんど出ません。

> 着火時には少し白い煙は出ますが、焚き付けが終われば煙は出ません。

> ※出たとしても透明な煙です。


なんだそうですが、煙が出ないように完全燃焼させるのは、

それなりの焚き方をする必要があります。

蒸気機関車が煙を力強く上げているのは、実は不完全燃焼の状態です。


​↑完全燃焼の場合 : 不完全燃焼の場合↗​

私には、燃焼具合を確認しながら適切に使用する自信がありません。



そして、燃料の薪について・・・。


その薪の樹種についてですが、

​一般的には薪として針葉樹は不向きだとされています。
​[参照↓click]​
「広葉樹と針葉樹の薪燃料としての特徴は? 針葉樹は薪ストーブに使用してOKなの?」
​​

じゃあ、都市部では薪は何をどうやって手に入れるのでしょう。


我が国の場合、あり余っている(ハズ)の木は、杉など針葉樹の間伐材です。

つまり燃料として利用促進したい木は、

一般的な薪ストーブに向いていないことになります。


それなら、大量に捨てられている建築廃材を工務店から譲ってもらえば?

けれどそれも、無垢材でもほとんど針葉樹。

というより、今や多くが合板や集成材。


合板や集成材は合成化学接着剤を用いているので、

薪として燃やすことは絶対にいけません!


ということは、日本に薪ストーブは、一般論として向いていない?


建築廃材や人工林から手軽に針葉樹の薪が手に入るなら、

針葉樹に適合している機種を選ばないといけません。


日本に適した針葉樹の薪を遠慮なくくべられる薪ストーブを扱っている、

伝統構法にこだわって施工している工務店もあります。

大阪の近隣なら・・・


美山里山舎​(京都・美山)

トロワ建築​(兵庫・宍粟)

木造建築東風​(奈良・御所)

全国的には、​(一社)職人がつくる木の家ネット​に

問い合わせてみるといいかもしれません。
 


そんな薪ですが、1~2年の自然乾燥が必要なんだそうです。

そして自宅で長期間湿らさずにストックしておく必要があるということ。

都市部の家で、そんな場所がどこにあるというんでしょう?


少なくとも敷地が30坪ほどの都市近郊地域で標準的な広さの我が家には、

そんな余地はありませんし、

そんな自然乾燥の薪の生産者は、近くにはありません。


じゃあ、機械乾燥の市販の薪を買ってくる?

遠くの山の生産者から買ってくる?


石油を燃やす機械乾燥に頼るのは本末転倒だし、

遠い産地から石油を燃やして走る自動車で運んでくるというのも、

薪という燃料の性格の本質から言うと、本末転倒ではないか。


なんか、薪ストーブについて、

いろんなことが腑に落ちないんです。


隣家と十分距離をとれる農地や山林などの立地、

裏山でいくらでもタダで薪を集めてこられる立地などには向いていますが、

我が家のような都市近郊の住宅地のようなところには不向きじゃないか。


そんなことを考えながら検索していると、

薪ストーブを愛用している方が薪ストーブに関する情報を紹介している

「魅惑のアンコール」​というサイトがありました。


そこでは、

「薪ストーブの煙が迷惑!ご近所のストレスはピークに達しています」と題して、

以下のように結んでらっしゃいます。


> 薪ストーブには良いところもたくさんありますが、

> 周りへの影響を考えることは後回しにしてしまいがち。

> 手放しで導入をおすすめできる地域ばかりではないことを十分に理解して、

> 薪ストーブで迷惑を被る方がいる事も伝えていかなければいけませんね。


薪ストーブは、とっても素敵な暖房器具だと思います。

遠赤外線による輻射熱なので、体の芯から温まり、血流も代謝も良くなります。

炎を見ることによるリラックス効果も期待できます。


これらは、空気を温めているだけのエアコンにない大きな利点。

しかも、うまくいけば地産地消。災害時にも強い。


一方で、好ましく思っていない人もいることを知ったうえで、

お互いが納得し理解し合えるような普及が図れるといいなと思います。



我が家の場合は、薪ストーブを導入しなかったのは、

要は立地の問題とコストパフォーマンスの問題。

結局、必要性を感じなかったんです。



(プロカメラマンが撮ると、広角レンズで実際以上に広く見えますが・・・)


実は我が家の、家じゅうを一つの部屋のように暖房する間取りは、

薪ストーブ向きではあるのですが、

ここは比較的温暖な「​地域区分6​」だし、エアコン1台で十分。


とは言いながら、

真冬は直火に当たりたいこともありますけどね!


​​​​(一気に手をかざして暖まりたいときは、ガスストーブを短時間!)​​​​

 

 

 

昨日(10/23日)大阪管区気象台は、近畿地方で「木枯らし1号」が吹いたと発表しました。

記録が残る1955年以降で最も早い(昨年と同じ)​木枯らし1号​となりました。


10/20稿「​秋本番…急激な冷え込み!~寒冷順化@木と土の家​」で、

家の中は一日じゅう外の最高気温20℃前後を維持しているから暖房はまだ・・・

などと大見得を切ってはみたものの・・・。


ところがその翌日から最高気温18~19℃の日が続き、北風が冷たく、

いくら室温を保てる家でも最高外気温よりは上がらないわけで、

さすがにそれでは寒い。

 

で、結局は舌の根も乾かぬうちから、最高気温が20℃に達しない日は…と、
1階の床置きエアコン1台だけ20℃設定にして、暖房を入れることにしました。

そんな日は、室内では病気がちな老犬を飼っているので、
家を空けるときもエアコンは入れっぱなし。

それで家じゅうまんべんなく21℃弱、エアコンなしのトイレは19℃ほど。


夏の西陽を遮ってくれていた西の窓の簾を外して、

日射を積極的に取り入れるようにしました。


 

そんな寒さの昨日の土曜日。

昼下がり、久しぶりに我が日伸建設の棟梁が訪ねて来てくれました。

棟梁に手作りをお願いしていた本棚が届けられたのです。


我が家は当初、何も収納家具を置かなくていいよう、

造り付けの造作家具をお願いするつもりでいました。

けれど計画が石場建て伝統構法に変わって費用がかさみ、それは断念しました。


結局は前の家のマシな家具をとりあえずいくつか持ち込むことにしたのですが、

今となってはそれは良かったと思っています。

造作家具だとライフスタイルが変わっても、交換がそうそうできません。


三百年(?)住宅、世代が移り住む人が変わり価値観が変わっても、

造作家具ではなく置き家具の方が時代に合わせ対応できるからです。


ということで、前の家からいくつか家具を持ち込んだものの、
本棚はこんな合板の古びて表面の突板が剥がれかけているようなのしかなく・・・、

 

・・・さすがに石場建て伝統構法の家にこんなのは持ち込めません。


じゃあ、大量の蔵書をどうするか?! 古本屋や図書館で半分に減らすにしても・・・。

そこで、国産無垢材のこんなのを買おうかと思いました。

けれどこれでは、我が家にピッタリのサイズのものがありません。


なら、DIYか?

前の家なら迷わずホームセンターで集成材を買ってきて、自分で作ったと思います。

けど、この石場建て伝統構法の家に・・・う~ん、困ったぁ。


そこで思い切って、我が棟梁にオーダーメイドをお願いすることにしたんです。

自分で置き場を決めて、採寸して、こんなふうにパソコンのペイントで作図して、

棟梁に直に現場を見に来てもらって、略図を渡して説明して、あと詳細はお任せ。


こんなことにも対応してくれるのが、地場の直属大工のいる工務店の強み!

この家を建て、この家のことを熟知した大工さんとの、引渡し後も続くお付き合い。

本当に頼り甲斐があって、ありがたいことです。

ここ、小上がり書斎、カウンターデスクの背面の壁にひとつ。


リビングのテレビの横の壁面に2つ目。


3つ目は2階の窓、全開放できる障子/遮光引戸の大きなレール枠の下に1間幅で。

3台も発注しました。


とはいえ、​日伸建設​には次々と途切れることなく新築案件が入ってきて、

大工さんは日々設計したり手刻みしたり建てたりしているわけで、

その合間の作業になるので、それなりに時間はかかります。

寸法などは私が考えて略図は渡してあったものの、

どうやって作るか考えるのは棟梁、詳細設計も棟梁、材料を見繕うのも棟梁、刻むのも棟梁。

で、何か月か気長に待って…急ぐものでもなし…キター!のが昨日。


トラックから降ろされる3台の本棚。

最終工程は、現場で。

1つ目、小上がり書斎の。

おお~! 天然乾燥檜の無垢材。節穴がいい味出してます。

一本の木材から切り出した板なので、木目も節穴が連続しています。
 

この小上り書斎の分は、底板を少し浮かして、畳を跨いで両隣りの畳の縁に置き、

間の床下収納の蓋になっている畳をハネ上げて引き抜けるようにしました。


棟梁、曰く「木組みでつくりました!」

おお~っ! ダボでも、だだの組接ぎでもなく、
蟻組みやホゾ接ぎを駆使してる!


木ネジなど金物も使わず、本物の木組みで組み立ててあります。

接着剤を使ってなくてもビクともしません。なのに分解することもできます。
(参照:​図解「指物の継手と仕口」​)
 

2つ目、リビングのテレビの横の。

太い柱と真壁の段差の間に、スッポリとピッタリと納まっています。

そして3つ目。2階の窓下、可動棚の。

3つとも柱間にピタッと納まって、さも初めからそこにあるよう。さすが誂え!

可動棚は、ダボに載せる式でいいと思っていたのですが、

棟梁、ここもこだわって、刻みを入れてピタッと納まっています!

棟梁、サラっと「せっかくですから・・・。」


この間、新築の建て前が入ったりしてすごく忙しかったのに、

棟梁、メチャメチャ手間をかけてくれたのね!!・・・ほんとうに感謝です。


ブッチャケ、それなりの値段はします。

でも「お値段以上」は、ニトリの比じゃぁありません!
手間に対する正当な対価の軽視・・・。今のそんな風潮は、政府が率先したのでは?

 

背板は土壁を覆いたくなかったので、張っていません。

本が土壁に当たらないように、杉板で止まるようにだけしてあります。


いやぁ、出来が良過ぎて、本を入れられない・・・。

全くの無塗装、白木ですから、色も変わっていくでしょう。シミも付くでしょう。
でもそうして、古本に本棚がしっくり馴染んでいくことでしょう。


手間ひまかけた本当に良いものを、手入れしながら長く永く使い続ける。
日本人が昔から大切にしてきた暮らしの哲学。

家も家具も・・・。

安く良さそうなものを使い捨てして消費を煽る、
現代のスタンダードへのアンチテーゼ。
 

檜の香る百年もののこの家だけの手作り本棚。
またひとつ、この家に魅力が加わりました。

【追記】

来週の日曜10/31は、衆議院選挙。
この失われた十年で​韓国より所得も購買力も下がってしまった​日本。
働きに見合った対価が得られ、
高くても本当に良いものやサービスを買える社会に変えることができるかの試金石。