一年前を振り返ってみれば、ちょうど外構工事が終わって、屋内の最終洗いの頃。
この寒い時季、職人さんたち、本当によく頑張ってくださいました。
(参照:2020/12/19稿「外構工事ひと段落~最初から最後まで大活躍の左官職人」)
そして今朝12/18、昨夜からの急激な寒波襲来に一気に冷え込み、枚方の最低気温は0.2℃ (07:05)。
朝8時半、山側で陽が当たらない東側にとめてある車のボンネットには、霜が残っていました。
そこで各部屋の温度計を見に行くと、
外気は6℃台で湿度16%。
1階は20℃台で40%、2階は18℃台で43%でした。
(一晩中1階の床置きエアコンだけを20℃設定で稼働し続けた朝8時半)
特筆すべきは、障子の断熱効果です。
そのときの障子の外側はLow-E複層断熱ガラスでも13℃台、室内との温度差7℃ほど!
東側の玄関も、障子が断熱に功を奏しています。
この時季は朝からずっとまったく陽が当たらず、三和土の土間は16℃台46%でしたが、
室内と土間を障子で仕切ってあるので、お陰で土間の冷えが室内に伝わりにくいのが分かります。
11月中頃からは、1階の床置きエアコンだけを点けっぱなしです。
朝起きたら22℃設定にし、寝る前に20℃設定におとしています。
それで家じゅう毎日ほぼどこでも設定温度ぐらいの室温なんですが、
寝起きの1時間半ほどだけはガスストーブの直火で、一日の気合を入れています。
C値は実測5c㎡/㎡なんで、換気扇なしで点けっぱなしというわけにはいきませんが。
(参照:2020.12.29稿「気密測定/C値~石場建て伝統構法の新築で?…予想どおり!」)
昨日までは最高15℃ほどだったのに、
今日は9.1℃ (13:41)までしか上がりませんでしたが、
それでも屋内はいつもどおりにしていて特段冷え込むことはありません。
そんなこの家の温熱環境のことについては、一年近く前の冬まっ盛り1/13稿
「木組み土壁の家の快適性~冬季…室温の連続性と日射取得」
でも述べたところでもあります。
寒波襲来といっても省エネ基準地域区分6地域のここ枚方の市街地はその程度だし、
断熱材は屋根と床だけで杉板外張り土壁外壁は断熱材無しの伝統構法の我が家はそれで十分なんで、
ZEH!とか国は喧伝していますが、全国一律の義務化には本当に疑問を感じます。
(参照:11/26稿「第6次エネルギー基本計画…なんか変?~ZEH・太陽光自家発電一辺倒の政策に違和感!」)
これでもっと直射日光が当たればさらに暖かいのですが、
さすがに住宅密集地、南側の隣家に遮られて1階には、
午前中の2時間半ほどしか日光が当たりません。
それでも建物を北側に寄せて南側をできるだけ空けたので、2階にはずっと陽が射します。
昼過ぎ、南側の窓。
夏場には日陰をつくってくれていた長い軒の下から、
冬場は日光が浅い角度で部屋の奥まで深く射すのがはっきり見て取れます。
そのお陰で、2階南側の窓の下のちょっとした格子吹抜けの下、
陽の射さない1階にも光が届いています。
昼下がりには、北側の階段奥にまで日光が射します。
こんなに奥まで届く陽射しは冬には暖かい恵み! 設計の工夫で、ぜひ採り入れたいもの。
(☟東側の部屋の南面の窓)
夏の暑い日射を防いでくれていた深い軒よりも下に、
暖かい太陽を望むことができます。
(☝西側の部屋の南面の窓)
午後の西からの陽射しも、冬場はできるだけ採り入れたいものです。
(西側の部屋の西面の出窓☝)
日本では西側に窓を極力設けないのがセオリーですが、私は
夏場の西日の熱射は簾やアウターシェードで遮ってでも、西側に窓を開けたい派です。
付け加えるならば、我が家の北側の隣家は外壁が白っっぽい色なので、
その反射光もバカにできません。暗い北側でも、窓を見上げると眩しいぐらい!
細長いハイサイドライトにしたんですが、こんなことならもっと大きめでもよかったぐらい。
こんな日射取得ができるのは、隣家のお陰でもあるんですよね!
南側の隣家が北側斜線を守って傾斜屋根になっていること・・・敷地一杯の陸屋根だとガッカリ!
北側の隣家の外壁の色が明るいこと・・・黒い家だとガッカリ!
ところで、冬場に暖かくというのには、「採暖」と「暖房」があるんだそうです。
日本は古来より夏場を旨とした開放的な家だったので、
火鉢や石油ストーブなどの「採暖」で寒さをしのぎ、
部屋や屋内全体を暖める「暖房」はなかなか発達しなかったとのこと。
我が家はそういう意味では、伝統構法といえども現代のエアコン「暖房」の家です。
省エネ性、エネルギー効率で言えば、断熱性能と気密性能が一定あれば、
エアコンは圧倒的なんだそうです。
エアコンだと過乾燥が気になるところですが、
24時間点けっぱなしにしていても、
無垢材と土壁のこの家はずっと湿度40%ほどを保っています。
それでも、薪ストーブにはかなわない!・・・街中でははばかられる。
(参照:11/9稿「伝統構法に薪ストーブ…じゃない!わけ~住宅地には向かない?」)
火鉢も憧れるけど!・・・それなりに気密性はあるのに換気装置に頼らないので、
空気の汚れが気になる。
そこで・・・。
母の形見の風炉釜にロウソクで火を入れてみました。
それと、ティーウォーマーなるものを買ってみました。
どちらもロウソクの炎の揺らぎが、暖かみを目から感じさせてくれます。
余談ですが、この杉の間伐材製のKIZARAに盛った・・・
・・・千葉県産の落花生、美味すぎてどんどん食べてしまいます!
たかがロウソクですが、茶釜や鉄瓶の熱で手を温めることもできますし、
中で穏やかに沸いているお茶が、ほのかな香りと湯気を漂わせます。
この程度では室温にも湿度にも全くと言っていいほど役には立っていませんし、
ただの演出と言ってしまえばそれまでですが、費用もとりたててかからないし、
こんなささやかな気持ちのゆとりがあってもいいかな・・・って。
こうした冬ならではの温かい楽しみを思いつくのも、
新建材で密閉された高断熱高気密性能一点張りの現代の家とは違った、
木と竹と土と草と紙の家ならではなのかもしれません。