からだに恥をかく体操〜えんぴつみがき〜 -36ページ目

微笑シリーズ。新しいケータイ機能を考える会

「今日はね、携帯電話の新しい機能について」
『と、とり返しのつかないことをしてしまった…』
「…今日は、新しいケータイ機能を考えようと。これだけ日常生活に入り込んでるもので、ましてや昨今のスマートフォンなんか凄いハイテクですから、ということで、ここいらで今後必要になるであろう、新機軸になるであろうケータイ機能を考えていこうと」
『とり返しのつかないことをしてしまったあ!』
「………」
『とり返しの…つかない…ことを…し…て…しま』
「もう、なんだよ!、何をしたんだよ!」
『聞いてくれるかい?』
「聞かざるをえない状況に追い込んどいてそれかよ!」
『聞いてくれるのかい?』
「いいから早く言えよ!、ひっさしぶりにわりかしクリエイティブなことしようとしてんだから」
『ところで、お前ほんとに20代か?。何かと言葉選びが古臭い気がするんだが』
「20代だよ!。若者だ!。ほっとけ」
『ハンガーのこと衣紋かけって言っちゃう人だ』
「言わねえけど」
『JRのこと省線って言っちゃう人だ』
「おれどんだけ年齢差あるんだよお前と」
『じゃあE電と』
「言わねえから」
『干支は?』
「きりがねえな!。もう疑うなよ!。お前と同じだよ」
『なん回り上になるんですか』
「つまんねえこと言ってんじゃねえよ。で、とり返しのつかないことをしてしまったってなにをしたんだよ」
『聞いてくれるかい?』
「めんどくせえんだよ、お前はほんとめんどくせえんだよ。とっとと言えよ」
『…そんなことよりケータイの新機能考えちゃおうぜ』
「…特になんもなかったんだろ」
『いいから新機能考えちゃおうぜ。考えちゃおうぜ』
「まあいいや。じゃあ早速だけどなんかアイデアある?」
『新機能だろ。こんな機能が欲しいとか、こんな機能あったらいいなって』
「うん」
『新機能、新機軸ねえ……………』
「………」
『………』
「………こっちもないのかよ!。無駄なやりとりしてる間に考えとけよ!。何か考え中だからあんな無駄なやりとりしたんじゃないのかよ!」
『おれ、いつもひとつのことに本気だから。目の前にある二兎を追わないから、一兎を確実に仕留めにかかるから』
「仕留めきれてねえよ!!。逃がしてんじゃねえか!。一兎を追って何も得ずだよ!。最悪だな!。最悪じゃねえか!」
『ケータイ機能もだけどさ』
「なんだ?」
『便利ってのは、今まで一兎しか追えなかったものを二兎を追うことができるような機能が便利なものなんだろ?』
「まあ、そうだな。単純に便利だよな。二兎追って二兎捕まえられたら」
『スマートフォンなんかさ。今までのケータイ機能とパソコンの機能の二兎を捕まえてるわけだ』
「そう、なる、のかな?」
『じゃあ他に何になるんだよ』
「そうなるな!。じゃあ、お前はケータイの新機能に何を求める?」
『だから、要するに、今までそれがないと出来なかったものがケータイでも手軽に出来るようになればいいんだろ?』
「まあな」
『だからあれだよ。…………』
「考えつかねえのかよ!。ボケもしねえで何やってんだよ!」
『だからおれは一兎を確実に仕留めにかかるんだって』
「クソ真面目なくせに使えない奴っているよな!」
『ひどいこと言うなあ。消去法で人を判別しないでくれる?』
「は?」
『真面目な奴だよとかさ、優しい奴とか、結局あれ消去法で導き出したその人の利点だろ?。もっとプラスプラスしていかなきゃ。日本人はね、物や人を判別するときに減点方式に頼り過ぎなんだよ。100点満点から減らしてくの。あれはここがダメあれがダメ、あの人はここがダメあれがダメ。で、減点してったらほとんどのものが結局40点ぐらいに落ち着くの。実はそれって最初から50点で満点ぐらいのものなのに、100点満点から減らしていったもんだから、それがひどくダメなものに感じちゃう。そんな思考回路じゃ疲れちゃうよ。足してこう。加算していこう。ゼロから加算していこうよ。そうすれば物事の平均点が違って見えるようになるんだから。過度な期待や完璧なものを求める心をね、もう捨ててしまおう。加算していこう。加えていこう。これはあれだからダメと言う前に、いいところを加算していこう。ゼロから、ゼロから加算していこう。なあに、0点の奴なんかこの世にいないさ。加算していこう。加算していってから、満点に届かないとこを見直そうよ。そうすればこの世の見方が変わるから。きっと変わるから。そうして』
「なげえよ!。なんなんだよ!。話に関係ないことを突然」
『医療かな』
「うわ、新機能のこと考えてた。しかも真面目方向の回答だ」
『医療器具としての携帯電話が出てくるよ。買う時に保険きくやつ』
「保険きくの!?」
『どんなケータイかっていうと、まずね、片方の手首をケータイショップで切り落とします』
「ダメだろ。色々とダメだろ」
『どうせ人の片手なんてケータイ用だろ?』
「いやまあ、ケータイを片時も手放せない人もいるけど」
『そんで、切り落とした先にケータイを装着します。血管通します。これで脈拍や血糖値など様々なことが調べられる』
「いやそうかもしれないけど、不便だろ?」
『なにが?』
「いや、わざわざ片手を切り落としたらさ」
『バカだなあ』
「いやいやいや」
『ケータイ依存に陥った人たちのリストカットも防止出来るんだぜ?』
「いやいやいやいや」
『投薬も血管に直に入れられるし、点滴で痛い思いもしなくてすむ。また、献血のハードルも大幅に下がる。病気の早期発見率が上がって医療費も下がる。ついでに電話にメール、ネットができるし、エロ動画も観れる。なんなら、日々の健康状態を記録したものをどっかに送信すれば減税になる、健康減税みたいなことも実施可能。国民の健康意識が高まってさらに医療費下がる。最高じゃないですか。今の時代ならできます』
「出来るんだろうけど、やっぱり不便だろ」
『なんで?』
「ギタリストとか、困るだろ」
『ああ、でも、ギターのアプリあるからな』
「そういう問題なのか!?。食事の時とか困るだろ」
『お前は一体どんな形で手首に装着されてると思ってるんだ?』
「え?、手首の先がこう、フック船長みたいに、フック船長の鉤手が」
『んなわけあるか!!』
「怒られた」
『そんなもん不便だろ。人類の進化の過程を否定する気ですか!?。あなたファンダメンタリストですか!?。わたしは以前思いっきり猿顔した奴が進化論を否定していたとこを見たことがある。お前はまず鏡を見ろと言ってやりましたがね。お前が生ける証拠だと、お前はミッシングリンクだと、早く京大に自首してこいと言ってやりましたがね。まあ、彼は自分が猿顔だということを否定したいが為に、進化論を否定するという自己解答に辿り着くしかなかったかわいそうな奴かもしれませんがね』
「なんなんだよ。じゃあ手首から先どうなってるんだよ」
『んなもん、便利な形になってるにきまってるだろ』
「ロボット工学的なあれで、切り落とす前の手と変わらないとかか?」
『手なんか不便だろ。せっかく手を切り落として、手に入れた新しい手が以前の手と同じ程度のものだったらそれは不便だろって』
「相対的な問題か?」
『おなほーるぐらいついてるって』
「結局エロかよ!!、おれやだよ、手に常時おなほーるついてるの」
『健康管理も電話もメールもネットもできるおなほーる』
「新しいおなほーるになっちゃったよ」



『だいたいその時代はセックスを手首でやる時代だからね。お互いの手首の先についてるもんでやる時代』
「話は終わったと思ったのにな」
『避妊がすごい楽。電話代も定額制か無料になってるだろうから、なんなら、人類の口の役目も手首に移行する。手から声が出て会話する。もちろん声はアプリかなんかで選べる。となると、耳も手に移行だな』
「未来世紀だな。食事は口から取るだろ」
『味覚もだいぶ研究がされてるからね。手から取ればいいじゃん。味付きの点滴だよ。目も、ケータイにカメラついてるし。便利だよ目カメラ。狭いとこも見れるし、ライトついてるし、暗視も可能。老眼にもならない』
「頭がいらなくなっちゃうじゃん」
『それほど便利な世の中になると、体は衰弱する一方だから、その手ケータイに脚の機能もつく。ていうか、手ケータイがロボットになって自立する。本体は背虫みたいにひっついてる。法律に反することはできない仕様になってるから犯罪が起こらない。記憶がメモリされるから、実質死なない。それに手軽に莫大な知識を共有できる』
「それまんまロボットじゃん」
『…これがガラパゴスケータイか』
「違うよ?」



終わり。なんかモヤモヤしてる。前フリもなく、ただただ妄想を垂れ流す人。いっそ僕は機械の体になってしまいたい。機械の体が欲しい。僕は機械の体が………はっ、帽子宇宙お爺さんが裁判の準備を始めたようです。

いつかのためしてガッテンで見ておれがためしてないためしてガッテン情報

目玉焼きを作る際には、玉子をフライパンに落とす時に出来るだけ玉子とフライパンの距離を近づけてそっと優しく落とすこと。そうすると落下の衝撃により黄身の組織が壊れることがなくなり、よりおいしく焼けるよ!!

藍染の文学少女と高窓の宿

どうも偽ハウスマヌカンです。その店の品位を貶めるようなファッションで来店しては接客します。

眼か底の「か(あな)」がどうやっても携帯で変換できません。よって私娼を意味する「私か子」も変換できません。だからなんだと問われても、僕には「へいわな世の中ですね」としか言えません。むろん、僕は何時も何も考えちゃいないのですから、へいわな世の中と言って見たところで相づち以上の心はありません。

ああ、今日も僕の血を吸った蚊を丁寧に丁寧にペンチで潰す夜です。プチプチと蚊の体が金属で潰されてゆく音を聴いていると、僕はほんのりとだけ心持ちがよくなっていく気がするのです。小さな蚊の生命に僕はとてもとても倫理など感じることもなく云々、つうか腰がよお、持病の腰痛が…。家の中を四つんばいで移動してる。直立二足歩行ができないわけじゃない。大して痛くない。何をいわん、腰痛を機にナックルウォークをものにしてやろうという、転んでもただじゃ起きない精神のあらわれだ。

微笑シリーズ。せっかくの仮面舞踏会

「会場は、こっちか。パーティーは、はじまっちまってるな。遅刻したもんな。…どれ様子は、なんだよ、せっかくの仮面舞踏会だってのにみんなアクロバットみたくバラバラに踊りやがって。まったく、仮面舞踏会をわかってないな。まあおれも初めてだけど。………ちぇ、ダンスの相手も見つからないぜ。どこかに誰か余ってないかなあ………。あ、あそこで壁の花してる…ふふ、どれ、さっそく声をかけさせてもらおうかな。やあ、お嬢さん」
『………』
「返答なし、か。それでもおれはめげないぜ。なぜならば今日は仮面舞踏会だからな。やあ、お嬢さん。ひょっとしてお暇かな?。よければ私と踊りませんか?」
『………』
「ふっ、おれとしたことが、少し無粋な声をかけちまったようだぜ。ここはひとつ、みなが踊り狂っている中ひとり取り残され壁に立つ彼女のやさぐれた心を、ストレスフリーな環境で贅沢にも俗世間の苦痛や憎悪を知ることなく育った手垢のついてない上品なグースの高級なダウン100パーセントの羽毛布団のように優しくほぐさなければ」
『………』
「お嬢さん、これは私の希望だが、もしかしたらお嬢さんにあるべきパートナーは、少し前にお腹が痛くなってうちに帰っていたらいいのだが」
『………』
「いやあ、何を隠そう実は私のパートナーも、お腹が痛くなってこれなくなったんだ。うちを出るときあれほど、水槽の中にいる熱帯魚は観賞用だから食べちゃいけないよと言ったのにね」
『………』
「ああ、しかし、どうかな。君を赤い絨毯と壁に添える観賞用の花にしておくのはもったいない。ひょっとして君を踊りに誘ったら、私のお腹が痛くなるのかな?」
『……フフ』
「…素敵なマスクだね」『おもしろい人ね』
「そうかい?」
『そうよ。私を誘うなんて、物好きな人』
「そんなことはないさ。みんなパートナーに気をつかって君に話しかけられないだけだよ」
『フフフ』
「ふふ、では、私と踊って」
『このマスクはね、あなたがやって来る前に対戦相手を血祭りに上げて剥いだマスクだよ!!』
カン。ゴングの音。
「えっ、なに!?」
『お前を火炙りの刑にしてやろうか!!』
「権力者!?。君、権力者なの!?。火炙りの刑って、怖っ!」
『この私に挑んでくるバカな闘士がまだいたとはな』
「いや、ダンスに誘っただけ、ていうかおれ闘士じゃないし」
『お前の生首を巨大な赤いカラスにつつかせてやろうか!!』
「やだよ!。なんだよその巨大な赤いカラスって!」
『この仮面武闘会のトップに君臨する私のかわいいペットだよ!』
「ペットかよ。ていうか今しれっとありがちな漢字誤変換したろ!」
『猛りに猛る、滴るままに流れ落ちる強者どものたぎる血を踏みしめ闘う。阿鼻叫喚つんざくこの仮面武闘会に足を踏み入れて生きて帰れると思うな!』
「わけわかんねえよ」
『なに!?。お前をドルゴルスレンにしてやろうか!!』
「朝青龍一族!?」
『さあ、どのように始末して欲しいんだい?』
「厄介な奴に声かけちまったな」
『ほほう、私の言葉を宇宙からの怪電波を受信した娘の妄言と捉えるか』
「まあ、はい」
『よく、よおく周りを見てみな』
「はあ、………え!?。た、闘っている!?。一目見た時は踊っていると思っていた他のみんなが闘っている!?。そ、そうか、こいつらみんな実力者同士、こいつらの闘いはまるで一流のダンサーのように、もはや見る者に極めて高い芸術性を植え付けるからそう誤解したんだ!!」
『いや、単にお前の目が節穴だったからだ』
「言うなよ!。わかってるから、ほんとはおれそれわかってるから言わなくていいだろ!。取り繕わせろよ!」
『お前の目が節穴だからだ』
「だから言わなくていいだろって」
『お前のデンジャーゾーンがワイルドシングだからだ』
「わけわかんねえよ。なんだよ、トム・クルーズとチャーリー・シーンのファンなのか!?」
『いや、渕正信と大仁田厚のファンだ。二人が若手の頃からのファンだ』
「わかりづらいこと言うな!。若手の頃からってお前何歳だよ!」
『ワイルドシング♪』
「歌うな!。お前いま口ずさみたくなっただけだろ!」
『タラララッラー♪』
「続き知らねえのかよ」
『ふっ、人だけではないぞ。この赤い絨毯、この赤い壁、フフフ、元は純白だったのだ』
「なに!?、ということはこの仮面武闘会で闘う闘士から流れ出たおびただしい量の真っ赤な血が純白の絨毯や壁を赤に染めたというのか!?」
『いや、これは昔、大量に運ばれた赤のペンキ缶が爆発した名残だ』
「なにがあったんだよ!」
『なあに、ただのご近所トラブルさ』
「だからなにがあったんだよ!」
『ふっ、余裕だな』
「え!?」
『忘れてないか?。既にゴングは鳴らされているのを!』
「そういえば…」
『さあ、さあ!。フフフ、ハハハハハ!』
「怖いよ!」
『もう泣き言は待たんぞ!』
「ちょ、ちょっと待ってくれ」
『なんだ?』
「待ってくれたよ!」
『早くしろ』
「お前この仮面武闘会のチャンピオンなんだろ?」
『その通り、絶対王者だ』
「お、おれは素人なんだよ絶対王者さん。おれにハンデをく」
『いいだろう』
「かぶせ気味即答してくれた!。こいつあ気前がよくっていいや!」
『言ってみろ。そのハンデとやらを!。さあ!、さあ!』
「じゃ、じゃあ、ジャンケンで勝負を決めるってこ」
『いいよ』
「いいのかよ!。ダメ元で言って見るもんだ」
『ふっ、真の王者とは天命すら己の支配下に』
「ジャンケンポン」
『あ』
「あ、勝った」
『………』
「………じゃあ、勝負はついたってことで、帰りますね」
『待て!!』
「な、なんですか、帰らせてください!」
『ふっ………負けたよ。これが敗北ってやつか』
「ど、どうも」
『さあ、私のマスクを剥ぎな』
「いや、いいですよ。とにかく帰らせてください」
『ふっ、ここでは他人の首を持たぬ者は外に出られぬ決まり。敗者に情けはいらぬ。さあ剥ぎな』
「そうなんですか。………じゃあ、ちょっと失礼して」
『時にお前』
「は」
『初めてあった時、お前は私とダンスを所望したな』
「いや、まあ、はい」
『いいだろう』
「は?」
『初めて私のマスクを剥いだ男よ』
「あ、マスク取れた」
『私とダンスをしてくれまいか』
「うわ超ブサイク!。超ブサイク!。超ブサイクじゃん!。なんだよその顔!。このマスクあれば帰れるんですよね。じゃあさようならお元気で」
『………………ふっ、そのマスクは敗者から剥いだものだと言うたものを…早とちりめ』
超ブサイク少女はおもむろに、“自前の”マスクを脱いだ。
『まってえー』
チャンピオンの素顔は、そこそこであったという。


終わり。わけわかんねえ。

微笑シリーズ。ヒーローと夏と転んでもタダじゃ起きない気になる。

『やっぱヒーローってのはさ、転んでも立ち上がることに意義があるんだよ』
「まあ、挫折から立ち直らなかったらヒーロー失格だもんな」
『そうだよ。悪党からいじめられ続けるヒーローなんてきいたことない』
「まあでも、ある意味ヒーローは悪党から嫌がらせをされ続ける存在でもあるよな」
『えっ!?、無視されたり?』
「そんなヒーローと悪党の関係ないだろ!。なんだよ無視って」
『無視だよ。集団でヒーローのことハブんの。悪党だぜ』
「いやまあ、恣意的に無視を決め込むのはいじめだけど」
『ヒーローが必殺技だしても、こう、ハエを払うような仕草で』
「つええなその悪党」
『やめてくれる?、とか言ってさ』
「そいつ普通に強いだろ」
『でもヒーローには無視決め込んでるから手を出さない。なんならあれだから。別のヒーローと戦ってるから』
「なんなんだよその状況は」
『そのヒーローにはちゃんとやられるからね』
「立つ瀬ないな」
『だから元ヒーローは』
「元ついちゃったよ」
『悪党の気をひこうとさ、髪を金髪に染めてみたり』
「そんな自己アピールすんなよヒーロー!」
『万引きしてみたり』
「もうヒーローじゃねえじゃん!、ただの小悪党じゃん!」
『お前はヒーローが味わう絶対的な孤独がわからないんだよ』
「いやいやいや、なんかもう、行動パターンが中学生じゃんそいつ!」
『そんなね、万引きとかをさ、悪党に自慢するわけ。わざと聞こえる距離でさ、警察沙汰になっちまったよ、とか独り言ね』
「いるよなそんな奴」
『そんなこんなで悪党にすり寄ろうとするんだけど、悪党はほんとの悪党だから。万引きやら恰好やら、そんなせこいこと自慢されてもねえ』
「されてもねえじゃねえよ」
『結局、無視、だよな』
「まだ無視されるんだ」
『どんどん元ヒーローのヒーロー設計が狂ってく』
「ヒーロー設計ってお前、人生設計的なあれな」
『ヒーロー活動がないと基本無職だしな』
「そうなんだ」
『でも、そんな元ヒーローにも転んでも立ち上がるヒーロー属性は持ってるんだよ』
「持ってるんだ一応」
『だから、既存の悪党に無視されるなら、新しい悪党を作ればいい、というヒーローにとってはコペルニクス的転回の着想に至る』
「禁断の着想だな」
『一人二役だよ』
「マッチポンプかよ!。消防士が放火するような!?。どうしようもねえな!!」
『お前最近忙しいらしいな、なんてちゃんとしたヒーローから言われてね。まあヒーローだからね。悪の真砂が尽きるまで戦うのみさ、なんて答えたり』
「哀れ過ぎるヒーローだよ!」
『自作自演の活躍は一時の満足を与えてくれるけど、内心、これでいいのか?、と辛くて辛くて』
「これでいいのかじゃねえよ」
『お前はヒーローの葛藤や苦悩がわからねえんだよ』
「そんなんじゃねえだろ!」
『何をやっても悪党共から無視され続けるヒーローの気持ちわかんのかよ!!』
「わかるよ!。わかりすぎるわ!」
『はあ!?』
「おれも、おれも、学生時代、無視され続けた時期があったからな…」
『あっそう。やっぱりヒーローは転んでも立ち上がるってのがかっこいいポイントでさ、まあおれなんかも、転んでも立ち上がる、まではいかなくても、転んでもタダじゃ起き上がらないぞと、そんな気持ちは持つように心がけてるんだよね。そうです。今日のお話は転んでもタダじゃ起き上がらないというお話です』
「今から本題はじまんのかよ!?、なげえよ前置きが。ていうかおれのちょっとしたカミングアウトはどこにいった!?」
『ああ、無視され続けたんだっけ?』
「そうだよ」
『ざまあ』
「おい!、ひどすぎるだろおい!。泣くぞ」
『まったくよお、お前って奴は、なんもわかってねえ』
「なんだよ」
『お前はもう無視されないよ。なぜならお前にはおれがいるからな』
「お、お前…」
『お前との受け答え一回につき、100円でどうだ?』
「偽装!?、友情偽装!?」
『お前みたいな奴とつるんでるとなると、こちとら人生の汚点なんだよ』
「………ひどいだろ」
『おれは転んでもタダじゃ起き上がらねえ。おら、金を出せ。とりあえず今までの分含めて、100万円で手をうとうか』
「…払えねえよバカヤロー」
『払えねえ!?、払えねえだと!?』
「払えるわけあるか!!、なんなんだよちくしょう!!」
『………』
「…なんだよ」
『払えねえなら仕方ねえ』
「あ?」
『だったら体で払ってもらうしかないな』
「…は?」
『お前はこれから一生、おれの相方として働いてもらうということさ』
「…いつか、払うぜ」
『あ?』
「いつか、お前に大爆笑を支払ってみせるぜ」
『えっほんと?、うわやった!。じゃあほら、まずほら、全裸になってアナルにケータイ突っ込んで着信者別のリアクションをとって見せてくれよ!!』
「OKわかった。まず全裸になって、ってバカ!。できるか!。なんだよ急に雰囲気一変させやがって」
『できないの?』
「できねえよ!」
『じゃあコンビ解散だ』
「早っ、前言撤回早っ。あの誓いはなんだったんだ。しかもしょうもないことで」
『おれは転んでもタダじゃ起き上がらねえからな。お前と別れて渡辺謙と組んでみせる』
「あれ入ってないからね!?」





終わり。残念。肛門にケータイはいつか友達がやったこと。折りたたみじゃないやつで。びっくりしたけど、そんなに笑えなかった。人生ジャックインだね。

微笑シリーズ。ヒーローと夏

「いやあ、7月ですよ」
『知ってるよそんくらい!。バカにしてんの!?』
「バカにしてないよ。話の入り口だろ」
『なに?。月の名前言うのが話の入り口なの?』
「まあ」
『月の名前を、皆が知ってる月の名前をはじめに言うのが、お前の、話の入り口なの?』
「おれのって強調すんなよ。なんとなく季節の話から話しはじめるパターンあるだろ」
『なんとなく、なんとなくこの微笑シリーズはじめないでくれる!?』
「いやそれは」
『なんとなくってあなた。なんとなく語りかけられたおれの気持ちはどうなの!?。考えたことあんの!?』
「めんどくせえなあ」
『なんとなく、あなたはいっつもそればっかり。タカシの進路だってなんとこっちにした方がいいんじゃないかって』
「タカシって誰だよ」
『あなたは一度でも家族のことを真剣に考えて答えを出したことあるの!?、なんとなくなんとなくってあなた、家庭はそんなクリスタルみたいなこと言ってたらやっていけないんですからね!。なんとなく今日は外で食べたいってあなた、なんであなたはその日の帰宅直後に言い出すの!?。なんとなくってなに!?。外で食べなくても可ってことなの!?。タカシの将来どうすんの!?。家庭はどうなの!?。昨日なんかタカシに弟が欲しいって言われたのよ!?。ねえあなた!?、ねえあなた!?、もっと乳首を責めなさい。もっと右の乳首を責めなさい。なんとなく右の乳首を責められると、男の子ができる気がする。もっと乳首を責めなさい。もっとブブゼラ吹きなさい。私のブブゼラ吹き鳴らしなさい』
「ああもう、ほんとめんどくせえ。自己完結しちゃってるし」
『タカシはねえ!、タカシはねえ!、すし食いねえ!、ほーらすし食いねえ!、たーんとすし食いねえ!』
「…………」
『ああ、なんとなく家族。なんとなくなんとなく家庭円満。………あのさあ、7月ですねってフレーズから話をはじめるお前は、来月になったら、8月ですね、って言うわけ?』
「まあ、8月ですねって」
『じゃあ9月10月でもそう言うんだ』
「11月12月でも言うだろな」
『一年中ずっと言うんだ』
「まあ、なあ。」
『…変な人生!』
「うるせえ」
『変な人生だろそれ。なんだよ。毎月毎月言うわけでしょ。なにそれ。カレンダーおじさんじゃん。巷で話題のカレンダーおじさんじゃん』
「カレンダーおじさんなんか巷で話題になってねえよ。どこの巷だよ」
『ああわかった。お前の前世は毎年田植えの前に村にやってきて日付を教えてくれる昔の暦屋さんなんだ』
「どうやらおれの前世が日本人らしいってだけでよかったよ!」
『ところで』
「なんだよ」
『夏ですね』
「お前も変わらねえじゃねえか!」
『夏といえばと言われたら、あなたはなんと答えますか?』
「そうだな、スイカかな」
『まあ………そうでしょうね』
「なんなんだよその間は」
『割愛したんだよ』
「何を、というか、どうして割愛したんだよ。話せばいいだろ」
『割愛した方がスムーズに話進むから割愛したんだろが』
「もう駄目だよ。気になっちゃってしょうがない」
『はあ、あのな、おれの母さんがおれを妊娠中無性にスイカが食いたくなってな。というより、妊娠中スイカぐらいしか食指が動かない状態になったんだ』
「はあ、まあ妊婦にはそういった類いの話はつきものだな」
『そうでしょうね。おれは夏といえば』
「なるほどな。割愛したのは納得の判断だ」
『夏といえば、やっぱりヒーローですよ』
「ヒーロー?」
『夏はヒーローの季節です』
「ああ、なるほど。確かに、夏休みだからな。ヒーローショーとか」
『後楽園に行って握手したなあ。ほんとは行ってないけど』
「…ドラゴンボールとかの劇場版とか」
『うん、オマケが欲しくてよく連れてってと親にせがんで観に行ったものだよ。ほんとはせがんでないし観てもないけど』
「…家族とキャンプに出かけたりしてね。普段お母さんの尻にひかれてるお父さんがテキパキとキャンプ設営の段取りして、かっこよく見えたり」
『炭なんかじっと見つめてるとさ。炭をおこすのはこうやるんだぞって、おれの肩を叩くと、手際良くあっという間に炭おこすんだ。わあって言うと、お父さん嬉しそうな顔してね。男はこれぐらいできなきゃ駄目だぞっておれの頭をポンポンしながら笑うんだ。かっこいいなあって思ったものだよ。我が家のヒーローだね。ほんとは家族でキャンプなんか行ったことないけど』
「…なんなの!?」
『なにが?』
「えっと、ヒーローショーには行ったことあるんだっけ?」
『ないよ』
「劇場版も観に行ったことは」
『ないよ』
「キャンプにも行ったことは」
『だから、ないって言ってるだろ』
「じゃあなんで変な嘘ついた!?」
『ちゃんとそのあと、ほんとは違うよって言っただろ!。すぐに撤回しただろ。地続きで前言撤回しただろ』
「お前は一体何がしたかったんだよ…というか、お前は子供の頃夏休みになにしてたんだよ」
『おれ?、おれは、セミを捕ってた』
「セミを…」
『ずっとセミを捕ってた。毎年ね』
「…そうか」
『ああ、セミを捕ってたな』
「夏といえばヒーローだな」
『そうだよ。夏といえばヒーローの季節だよ。イベントが多いからヒーローが生まれる季節でもあるよな。海水浴で溺れた人を助けたとかさ。迷子を助けたとか。おれだってセミ捕りで』
「セミ捕りはもういいんだ…」
『いや、おれはセミを捕って』
「セミ捕りはもう、いいんだよ」
『………』
「………」




一旦、終わり。