微笑シリーズ。ヒーローと夏
「いやあ、7月ですよ」
『知ってるよそんくらい!。バカにしてんの!?』
「バカにしてないよ。話の入り口だろ」
『なに?。月の名前言うのが話の入り口なの?』
「まあ」
『月の名前を、皆が知ってる月の名前をはじめに言うのが、お前の、話の入り口なの?』
「おれのって強調すんなよ。なんとなく季節の話から話しはじめるパターンあるだろ」
『なんとなく、なんとなくこの微笑シリーズはじめないでくれる!?』
「いやそれは」
『なんとなくってあなた。なんとなく語りかけられたおれの気持ちはどうなの!?。考えたことあんの!?』
「めんどくせえなあ」
『なんとなく、あなたはいっつもそればっかり。タカシの進路だってなんとこっちにした方がいいんじゃないかって』
「タカシって誰だよ」
『あなたは一度でも家族のことを真剣に考えて答えを出したことあるの!?、なんとなくなんとなくってあなた、家庭はそんなクリスタルみたいなこと言ってたらやっていけないんですからね!。なんとなく今日は外で食べたいってあなた、なんであなたはその日の帰宅直後に言い出すの!?。なんとなくってなに!?。外で食べなくても可ってことなの!?。タカシの将来どうすんの!?。家庭はどうなの!?。昨日なんかタカシに弟が欲しいって言われたのよ!?。ねえあなた!?、ねえあなた!?、もっと乳首を責めなさい。もっと右の乳首を責めなさい。なんとなく右の乳首を責められると、男の子ができる気がする。もっと乳首を責めなさい。もっとブブゼラ吹きなさい。私のブブゼラ吹き鳴らしなさい』
「ああもう、ほんとめんどくせえ。自己完結しちゃってるし」
『タカシはねえ!、タカシはねえ!、すし食いねえ!、ほーらすし食いねえ!、たーんとすし食いねえ!』
「…………」
『ああ、なんとなく家族。なんとなくなんとなく家庭円満。………あのさあ、7月ですねってフレーズから話をはじめるお前は、来月になったら、8月ですね、って言うわけ?』
「まあ、8月ですねって」
『じゃあ9月10月でもそう言うんだ』
「11月12月でも言うだろな」
『一年中ずっと言うんだ』
「まあ、なあ。」
『…変な人生!』
「うるせえ」
『変な人生だろそれ。なんだよ。毎月毎月言うわけでしょ。なにそれ。カレンダーおじさんじゃん。巷で話題のカレンダーおじさんじゃん』
「カレンダーおじさんなんか巷で話題になってねえよ。どこの巷だよ」
『ああわかった。お前の前世は毎年田植えの前に村にやってきて日付を教えてくれる昔の暦屋さんなんだ』
「どうやらおれの前世が日本人らしいってだけでよかったよ!」
『ところで』
「なんだよ」
『夏ですね』
「お前も変わらねえじゃねえか!」
『夏といえばと言われたら、あなたはなんと答えますか?』
「そうだな、スイカかな」
『まあ………そうでしょうね』
「なんなんだよその間は」
『割愛したんだよ』
「何を、というか、どうして割愛したんだよ。話せばいいだろ」
『割愛した方がスムーズに話進むから割愛したんだろが』
「もう駄目だよ。気になっちゃってしょうがない」
『はあ、あのな、おれの母さんがおれを妊娠中無性にスイカが食いたくなってな。というより、妊娠中スイカぐらいしか食指が動かない状態になったんだ』
「はあ、まあ妊婦にはそういった類いの話はつきものだな」
『そうでしょうね。おれは夏といえば』
「なるほどな。割愛したのは納得の判断だ」
『夏といえば、やっぱりヒーローですよ』
「ヒーロー?」
『夏はヒーローの季節です』
「ああ、なるほど。確かに、夏休みだからな。ヒーローショーとか」
『後楽園に行って握手したなあ。ほんとは行ってないけど』
「…ドラゴンボールとかの劇場版とか」
『うん、オマケが欲しくてよく連れてってと親にせがんで観に行ったものだよ。ほんとはせがんでないし観てもないけど』
「…家族とキャンプに出かけたりしてね。普段お母さんの尻にひかれてるお父さんがテキパキとキャンプ設営の段取りして、かっこよく見えたり」
『炭なんかじっと見つめてるとさ。炭をおこすのはこうやるんだぞって、おれの肩を叩くと、手際良くあっという間に炭おこすんだ。わあって言うと、お父さん嬉しそうな顔してね。男はこれぐらいできなきゃ駄目だぞっておれの頭をポンポンしながら笑うんだ。かっこいいなあって思ったものだよ。我が家のヒーローだね。ほんとは家族でキャンプなんか行ったことないけど』
「…なんなの!?」
『なにが?』
「えっと、ヒーローショーには行ったことあるんだっけ?」
『ないよ』
「劇場版も観に行ったことは」
『ないよ』
「キャンプにも行ったことは」
『だから、ないって言ってるだろ』
「じゃあなんで変な嘘ついた!?」
『ちゃんとそのあと、ほんとは違うよって言っただろ!。すぐに撤回しただろ。地続きで前言撤回しただろ』
「お前は一体何がしたかったんだよ…というか、お前は子供の頃夏休みになにしてたんだよ」
『おれ?、おれは、セミを捕ってた』
「セミを…」
『ずっとセミを捕ってた。毎年ね』
「…そうか」
『ああ、セミを捕ってたな』
「夏といえばヒーローだな」
『そうだよ。夏といえばヒーローの季節だよ。イベントが多いからヒーローが生まれる季節でもあるよな。海水浴で溺れた人を助けたとかさ。迷子を助けたとか。おれだってセミ捕りで』
「セミ捕りはもういいんだ…」
『いや、おれはセミを捕って』
「セミ捕りはもう、いいんだよ」
『………』
「………」
一旦、終わり。
『知ってるよそんくらい!。バカにしてんの!?』
「バカにしてないよ。話の入り口だろ」
『なに?。月の名前言うのが話の入り口なの?』
「まあ」
『月の名前を、皆が知ってる月の名前をはじめに言うのが、お前の、話の入り口なの?』
「おれのって強調すんなよ。なんとなく季節の話から話しはじめるパターンあるだろ」
『なんとなく、なんとなくこの微笑シリーズはじめないでくれる!?』
「いやそれは」
『なんとなくってあなた。なんとなく語りかけられたおれの気持ちはどうなの!?。考えたことあんの!?』
「めんどくせえなあ」
『なんとなく、あなたはいっつもそればっかり。タカシの進路だってなんとこっちにした方がいいんじゃないかって』
「タカシって誰だよ」
『あなたは一度でも家族のことを真剣に考えて答えを出したことあるの!?、なんとなくなんとなくってあなた、家庭はそんなクリスタルみたいなこと言ってたらやっていけないんですからね!。なんとなく今日は外で食べたいってあなた、なんであなたはその日の帰宅直後に言い出すの!?。なんとなくってなに!?。外で食べなくても可ってことなの!?。タカシの将来どうすんの!?。家庭はどうなの!?。昨日なんかタカシに弟が欲しいって言われたのよ!?。ねえあなた!?、ねえあなた!?、もっと乳首を責めなさい。もっと右の乳首を責めなさい。なんとなく右の乳首を責められると、男の子ができる気がする。もっと乳首を責めなさい。もっとブブゼラ吹きなさい。私のブブゼラ吹き鳴らしなさい』
「ああもう、ほんとめんどくせえ。自己完結しちゃってるし」
『タカシはねえ!、タカシはねえ!、すし食いねえ!、ほーらすし食いねえ!、たーんとすし食いねえ!』
「…………」
『ああ、なんとなく家族。なんとなくなんとなく家庭円満。………あのさあ、7月ですねってフレーズから話をはじめるお前は、来月になったら、8月ですね、って言うわけ?』
「まあ、8月ですねって」
『じゃあ9月10月でもそう言うんだ』
「11月12月でも言うだろな」
『一年中ずっと言うんだ』
「まあ、なあ。」
『…変な人生!』
「うるせえ」
『変な人生だろそれ。なんだよ。毎月毎月言うわけでしょ。なにそれ。カレンダーおじさんじゃん。巷で話題のカレンダーおじさんじゃん』
「カレンダーおじさんなんか巷で話題になってねえよ。どこの巷だよ」
『ああわかった。お前の前世は毎年田植えの前に村にやってきて日付を教えてくれる昔の暦屋さんなんだ』
「どうやらおれの前世が日本人らしいってだけでよかったよ!」
『ところで』
「なんだよ」
『夏ですね』
「お前も変わらねえじゃねえか!」
『夏といえばと言われたら、あなたはなんと答えますか?』
「そうだな、スイカかな」
『まあ………そうでしょうね』
「なんなんだよその間は」
『割愛したんだよ』
「何を、というか、どうして割愛したんだよ。話せばいいだろ」
『割愛した方がスムーズに話進むから割愛したんだろが』
「もう駄目だよ。気になっちゃってしょうがない」
『はあ、あのな、おれの母さんがおれを妊娠中無性にスイカが食いたくなってな。というより、妊娠中スイカぐらいしか食指が動かない状態になったんだ』
「はあ、まあ妊婦にはそういった類いの話はつきものだな」
『そうでしょうね。おれは夏といえば』
「なるほどな。割愛したのは納得の判断だ」
『夏といえば、やっぱりヒーローですよ』
「ヒーロー?」
『夏はヒーローの季節です』
「ああ、なるほど。確かに、夏休みだからな。ヒーローショーとか」
『後楽園に行って握手したなあ。ほんとは行ってないけど』
「…ドラゴンボールとかの劇場版とか」
『うん、オマケが欲しくてよく連れてってと親にせがんで観に行ったものだよ。ほんとはせがんでないし観てもないけど』
「…家族とキャンプに出かけたりしてね。普段お母さんの尻にひかれてるお父さんがテキパキとキャンプ設営の段取りして、かっこよく見えたり」
『炭なんかじっと見つめてるとさ。炭をおこすのはこうやるんだぞって、おれの肩を叩くと、手際良くあっという間に炭おこすんだ。わあって言うと、お父さん嬉しそうな顔してね。男はこれぐらいできなきゃ駄目だぞっておれの頭をポンポンしながら笑うんだ。かっこいいなあって思ったものだよ。我が家のヒーローだね。ほんとは家族でキャンプなんか行ったことないけど』
「…なんなの!?」
『なにが?』
「えっと、ヒーローショーには行ったことあるんだっけ?」
『ないよ』
「劇場版も観に行ったことは」
『ないよ』
「キャンプにも行ったことは」
『だから、ないって言ってるだろ』
「じゃあなんで変な嘘ついた!?」
『ちゃんとそのあと、ほんとは違うよって言っただろ!。すぐに撤回しただろ。地続きで前言撤回しただろ』
「お前は一体何がしたかったんだよ…というか、お前は子供の頃夏休みになにしてたんだよ」
『おれ?、おれは、セミを捕ってた』
「セミを…」
『ずっとセミを捕ってた。毎年ね』
「…そうか」
『ああ、セミを捕ってたな』
「夏といえばヒーローだな」
『そうだよ。夏といえばヒーローの季節だよ。イベントが多いからヒーローが生まれる季節でもあるよな。海水浴で溺れた人を助けたとかさ。迷子を助けたとか。おれだってセミ捕りで』
「セミ捕りはもういいんだ…」
『いや、おれはセミを捕って』
「セミ捕りはもう、いいんだよ」
『………』
「………」
一旦、終わり。