からだに恥をかく体操〜えんぴつみがき〜 -269ページ目

モヤモヤシリーズ。彼のトラウマ風?

小学校高学年の時だったと思う。野ウサギ君(仮名)は給食の時間、困っていた。元々食が細く、一秒でも早く口の中に詰め込んで校庭の土地を確保しようとするタイプではない。その日、給食のおかずにシシャモがあった。野ウサギ君は苦手だったのだろう、箸をつけられず呆然としている。次々と給食を食べ終わるクラス。凸凹の凹のように、または高気圧から低気圧のほうへ流れる空気のように、クラスは段々と野ウサギ君に注目していった。詳細は覚えてないが、その様子を見ていた担任がことを治めようと出て来た。最初は、頑張って食べてみよう、とかを言っていたと思う。今はどうか知らないが、当時は給食を残すことは許されていない。体調が悪かったり、嫌いなものが出た場合、担任にバレぬよう、給仕係に金を握らせてうまいことやるのだ。嘘だ。嫌いだから少なめに、出来るだけ小さいやつで、とかを告げて鼻をつまみながら食うのだ。クラスに、~は~が嫌い、ということがバレると、その日はちょっとしたイベントが発生して、そこで食いきれば、よく食った、ということで一件落着。野ウサギ君はこのイベントをスルーしてしまったから担任の登場になったのだ。担任の説得をも頑なに拒否し続ける野ウサギ君、担任はついに奥の手を出した。連帯責任。野ウサギ君が食べ終わるまでクラス全員外出禁止、を告げたのだ。野ウサギ君は泣いていた。それでも野ウサギ君はシシャモに箸をつけなかった。クラスは段々、昼休みを満喫すべく教室内で遊びだし、野ウサギ君は一人ぽつんとシシャモと格闘していた。そしてやっとのこと野ウサギ君はシシャモに箸をつけ始めた。でもクラスは気付いていた。しばらくして野ウサギ君が給食を片づけようとした。またクラスの視線が野ウサギ君に集まる。給仕係が野ウサギ君の皿を見て少し驚いた。それを見ていぶかしんだのだろう担任が、それでも笑顔で野ウサギ君に近付く。野ウサギ君の皿を見た瞬間、担任の顔が変わり、野ウサギ君を殴り飛ばした。激しく吹っ飛び、給食の台車にぶつかる野ウサギ君。野ウサギ君はシシャモを食べることが出来ず、ただ箸でバラバラに解体しただけだった。担任は野ウサギ君に怒号する。なんについて怒っていたのかは覚えていない。食物を大事にしないこととか、約束を守らなかったこととか、そんなことだったような気がする。野ウサギ君はもちろん号泣。騒然とするクラス。そのあとどうなったかも覚えていない。
その担任は普段から生徒を殴るような人ではなかった。多分これと他にあったすこぶる大きな事件の二件だけだ。
野ウサギ君はきっとこの今考えればまだ若い、ラグビー馬鹿体育会系金八憧れな担任のことを一生許さないだろう。それとシシャモは一生食えないだろう。

ボツ台本たくさんのやさしさ

「たくさんのやさしさ」我ながらめまいがしてくる。


A「はあ、最近いいことないなぁ」
B『いいことがない?………お前が?』
「お前がってなんだよ、はぁ、最近ついてないんだよ…」
『お前如きが?』
「おれ如きって、どっちの意味だよ、おれが運のいい人間なのか悪いのか」
『大した実力もなく小さな運だけで生き抜いてきたお前が?』
「ますますわかんねーけど、バカにされてることはわかってるからな!なんだよ!はあ、ただでさえ最近ついてないのによぉ」
『というと?』
「あぁ、例えば最近あったことでいうと、ジュース買おうとして自販機に100円入れたら無反応でさ、レバーガチャガチャしても戻ってこねえんだよ。夜中だったから誰にも文句言えず泣き寝入りだよ」
『他には?』
「他にも大事な約束に電車が止まって遅刻したり、財布落としたり、友達の結婚式が、まあこれはめでたいことなんだけど、だけど立て続けに3回あったり、もう散々だよ」
『なんだそんなもんか』
「そんなもんって、おれの身にもなってくれよ」
『そんなもんなんだよ!おれなんてそのくらい毎日だからね』
「毎日!?本当かよ」
『本当だよ!今日だって結婚式を途中退席してここに来てんだからな!しかもこれ終わりでもう一件あるし』
「本当かよ!?」
『本当だって言ってんだろ!おれなんかお前なぁ、ジュース買おうとして500円入れたら横から知らない人に買われて持ってかれるんだぞ!毎回』
「毎回!?それどういうことだよ!?」
『わかんねーよそんなこと!しかもお釣りも我が物顔で持ってかれるからね』
「そんなの犯罪行為だろ!お前その時どうしてんだよ!?」
『無視だね』
「無視ってお前、警察かなんかに言えよ!」
『もう毎回のことだからさ、毎日5回はやられてるから』
「5回も!?毎日5回も!?学習能力ないなお前」
『あるよ!ばか!おれにだって学習能力のひとつやふたつ。最近じゃ1,000円札で買うようにしてんだから!』
「結局買えてないんだろ!?お釣りも持ってかれるんなら、お前、より損してるじゃねえか!」
『そうだよ』
「そうだよって、わかってるならなんでそんなことするんだよ!?」
『わかってねえなぁ』
「ええ!?」
『お釣りをとられるだろ?大体800円ぐらいはお客様の手元にいくわけ』
「お客様って、お釣りをとってく奴だろ!?ただの泥棒じゃねえか」
『なんだよお客様っつっちゃ悪いのかよ』
「いや悪くはないけど」
『お得意様だよ?いつも贔屓にしてくれてるんだから』
「鴨にされてんだよ!まあいいや、で?800円が相手に渡るとどうなるのよ?」
『わかんないの?』
「わかるか」
『いいか?800円がお客様に渡ると、そいつは2、3日小銭に困らねえんだよ』
「まあそうだな」
『だから2、3日はそのお客様はおれのジュース代を横取りしなくてもいいわけ。わかる?』
「ああ、わかるけど、要は2、3日分の小銭を先渡ししてるだけじゃないの?」
『そうだよ』
「ああ、それでいいんだ」
『これを始めたお陰で毎日5回あった被害が3回に減ったからね』
「まだ3回あるんだ。大人気だな」
『まあでもおれはそれでいいんだ』
「いやよくないだろ!」
『いいんだよ!おれのなにかしらの行為によって誰かが少し幸せになる。そんないいことないだろ!?』
「まあそれでお前がいいってんなら………いやいや、やっぱ駄目だろ、そいつら別に金に困ってるわけじゃないんだろ!?」
『そんなの関係ないんだよ!金があろうが無かろうが道で100円拾ったら嬉しいだろ!?』
「まあなぁ」
『それと同じだよ!』
「うーん、でもなぁ」
『大体あれだよ!お前幸せになりたいと思ってんの!?』
「まあ出来れば」
『なりたいんだろ!?なら幸せになるためになにかやってんのかよ!?』
「なにかやってるって、まあ仕事してお金を稼ぐことじゃないの?」
『ああだからお前はついてないんだよ!』
「お前に言われたくねーよ!」
『いいか?幸せってのは、運てのはバランスなんだよバランス』
「ああ、よくそういう風に言うよね」
『プラスマイナスで動くわけ。でも基本的に自然界ではプラスマイナスってのは安定してるわけ』
「なんかややこしくなってきたな」
『いいから聞けよ!いいか、人間の運ってのは玉で決まるわけ』
「玉?」
『プラスの玉マイナスの玉、人間なら誰でもその人に決まった数のプラスマイナスの玉を持ってる。プラスマイナスは安定してるからそう簡単にプラスの玉が増えてプラスが優位に、要するに幸せな幸運状態にはなれない』
「うーんそんで?」
『手っ取り早くプラスの玉優位になりたいんなら自分をマイナスの玉優位の状態におくことがいいんだよ』
「え?なんで?駄目じゃん」
『マイナスの玉優位にするっつってもただ単に不幸を積み重ねても、それはただ不幸になるだけ』
「だろ?駄目じゃん」
『マイナスを強くすることだけが自分をマイナスの玉優位におくことじゃねえんだ』
「もうなに言ってんのかわかんねーよ」
『他にもあるだろ。マイナスの足し算ではなくプラスの引き算だよ!』
「はあ…」
『要するに自分のプラスの玉を他人に送ることによって自分を仮のマイナスの玉優位な状態するわけ』
「まあなんとなく、要するに人間ってのは例えばプラスの玉一個マイナスの玉一個プラスマイナス合わせてゼロの状態でバランスをとっていて、不幸になる時ってのはマイナスの玉一個がなんかの拍子に二個になっちゃって、プラスの玉一個と合わせてもマイナスの玉が一個多い、すなわちマイナスの玉優位だから不幸になっているってこと?」
『まあ簡単に説明するとな』
「お、おお。でもなんでプラスの玉を他人にあげてマイナスの玉優位の状態になると幸せになるのよ?」
『いいか?プラスマイナスの玉ってのは基本的に一人一人一定の数しか持ってない。ここまではいいか?』
「おお」
『だから不幸の状態ってのは、さっきお前が説明したマイナスの玉が二個プラスの玉が一個で合わせてマイナスの玉一個ってわけじゃなくて、不幸の状態ってのはなんらかの要因でプラスの玉がマイナスに引っ張られた状態なんだ。要するにマイナスの玉二個プラスの玉ゼロな状態。まああくまでさっきのお前のたとえを引き合いに出しただけだからな。本当はもっと複雑なんだ』
「はあ」
『で、マイナスから脱却するにはマイナスの玉二個の状態からプラスを一個引っ張ってこないといけないんだけど、これが難しい。なんてたってプラスの玉がゼロなわけだからそんなマイナスをプラスに引っ張るような出来事は起こりにくい。といってもプラスマイナスは本来バランスを取りたがるものだからいずれバランスはとれる。だけどそれには時間がかかるんだ。よく不幸ってのは連続してやってくるだろ?実はこういうわけだったんだ』
「はあ」
『さあそこでおれが幸せになるために実践してる方法の登場だ。幸せになるにはプラスの玉優位にすればいいんだけど、さっき言ったみたいにバランスだから勝手に増えたりはなかなかしないわけ』
「はあ」
『そこで玉突き理論を使うわけ』
「玉突き………」
『そう、増えたり減ったりはしないけど、玉を誰かにあげることは割と簡単に出来る。それは例えば誰かの幸福を祈ったりなんらかの奉仕活動を通じて誰かにあげるの』
「はあ、でもそれならマイナスの玉を誰かに送ったほうが早いんじゃねえの?」
『お前人を呪わば穴二つって言葉知ってるか?』
「ああ」
『これもプラスマイナス玉突き理論で説明出来る。誰かにマイナスの玉を送る行為ってのは、いわゆる呪いだよ。確かに相手はマイナスの玉が増えるわけだからマイナスの玉優位状態になる。だけどそううまくことは運ばない。誰かにマイナスの玉を送るとそのマイナスの玉を送った勢いにプラスの玉が引っ張られて自分もマイナスの玉優位になっちゃうんだ。これが玉突き理論』
「ああなるほど」
『こうなっちゃうと自分のプラスの玉を補完するのは大変なんだ。なんせ玉が一個しかなくてしかもその一個はもう移動することはない。ひたすら自然界から余ってるプラスの玉が送られてくるまで待つしかない。送ったほうの相手は一個余分にあるだけだから結構簡単にとれちゃうんだよね。だから呪いってのは百害あって一利なしなわけよ』
「ほう、良くできてるね。なるほどじゃあプラスの玉を誰かに送ると」
『そう!マイナスの玉がプラスに引っ張られてプラスにおさまる』
「ということは長い間プラス優位になるってことだな」
『その通り!まあ実際は自然界を取り巻く複雑な玉の流れがあるからなかなか難しいんだけど、根本的にはこうなってるんだ』
「だからお前は他人にジュース代をおごりまくることによって幸せになろうとしてるんだな」
『まさしく!』
「うーん、でも実際問題お前かなり不幸じゃん」
『ああ、それがおれにはわからない』
「駄目じゃん!もういいよ、どうもありがとうございましたぁ」

『よくない!』
「へっ?」
『この話全然おもしろくなかったろ?』
「もういいよ、今回はしょうがないってことで」
『わかってねえなぁ、こんだけおもしろくなかったんだよ?』
「っていうと、まさか!」
『そう!もうそろそろ大爆笑がくる!』
「ま、まじで!?」

…………………

『あれ?おかしいな』
「ってなんかしろよ!もういいよ、どうもありがとうございましたぁ」
『おかしいおかしい』
「どうもありがとうございましたぁ」
『そんな…プラスマイナス玉突き理論は完璧なはず…ブツブツ』
「なんかすいませんでした」


終わり

ボツ台本自動車教習所

「自動車教習所」


男A車に乗り込む。
「よろしくお願いします」
教官Bむすっとした表情。無言。
「うわぁ、怖ぇ、ただでさえ今日が初めての路上教習なのに…」
『………………手帳』小声
「え?」
『……………………手帳』同じく
「??はい?」
『手帳だよ手帳!教習手帳!早く出せおら』
「あ、は、はい」
「うわぁちょー怖ぇー」小声(心の声風)
B渡された手帳をめくり、見る。
『なんだよ、今日が初めての路上かよ』
「は、はい」
『たくよぉ、おれぁガキのお守りなんてしたくねぇんだよ』
「えぇ!?あんた教官だろ」心の声風
『なんか言ったか?』
「いえ、なにも」
しばし無言。
「…………あの」
『なんだ!?』
「え?いやあの、もう教習始まっている時間じゃないですか?」
『ああ!?なんだあんた、おれに文句あんのか?』
「いや、文句ってわけじゃないですけど」
『ああもういいよ、ったく近頃のガキは、はいじゃあ走らせて』
「は、はい」
Aシートベルトやミラー位置の確認をしてエンジンをかける。
車発進。ブイーン。
『先に言っておくがな』
「は、はい」
『おれの教習中一回でもエンストしたら…』
「エンストしたら…」
『田中さんの頭の上に鳩の糞が落ちると思え!』
「え?」
Aわけがわからず。エンストする。
『おい!ああ、もう』
「す、すいません」
『おれに謝るな。謝るんなら田中さんに謝れ!!』
「えぇ!?」
『おら早く謝れよこのボケ!』
「す、すいません。…田中さん」
「なんなんだよこいつ…」心の声風
『うん?』
「あ、いや」
『ほら早くエンジンかけなおせよ、時間なくなっちゃうよ。あんたが好きな時間がさ』
「あ、はい」
「あーもうこいつむかつく」心の声風
ブイーン。
『デデンデンデデン』ターミネーターのテーマ
「え?…あ、あはは」苦笑い
『デデンデンデデン』
「はは…」
『テレレ~テ~(急に大声になって)ババババババババ』B、Aの頭を機関銃のようなもので撃つフリ。かなり大袈裟に動く。
「うわぁ!」
エンスト。
『ああ、ああ、またやったよもう』
「あ、あんたが突然変なことするからでしょうが!」
『…なにかい?おれのせいだというのかい?』
「そうだろうが!!あーもう最悪だよ」
『………お前、免許とったらまずなにをする?』
「は?」
『免許とったらどうすんだって聞いてんだよぉ!』
「なんだよ、もう別に怖くねえよ」
『うるせえ、いいから答えろガキぃ』
「あーはいはい、答えます答えます。免許とったらね。そうだな、まあ友達誘ってどっかドライブにでも行くんじゃないですかね!」
『ほーう。そいつは楽しそうだな』
「そうでしょうね!」
『しつもーん。あなたが運転中、助手席の友達がおもしろいギャグを言いました。あなたはどうしますか?』
「はあ?」
『つべこべ言わずに答えろや!』
「あーもう、笑うよ。ギャグがおもしろいんならね」
『もう想像以上におもしろくて、ツボにはまりました。どうしますか?』
「だから、笑うっつってんだろ」
『ものすごくおもしろいのに、それだけ?』
「ああ!?…もうわかったよ、はいはい、そんなにおもしろいんなら腹を抱えて大爆笑するでしょうね!」
『その間、運転はどうする?』
「え?……はっまさか」
『そうだ。運転をする者はたとえ同乗者が突然大爆笑ギャグを言ったとしても常に冷静にハンドルを握らなくてはならない。その点さっきのお前はどうだ?冷静だったか?違うだろ?あんな程度のギャグで』
「あれギャグだったんだ」
Bニラむ。
「す、すいません」
『あんな程度のギャグでお前は取り乱してエンストさせちまった。果たしてお前に運転する資格はあるのかね?』
「…変なやつだけど言ってることは確かにその通りだ…すいませんでした!おれが間違ってました。しかもあんなしょうもないギャグで」
『しょうもない言うなあぁ!』
「あ、すいません。とにかくおれが間違ってました」
『だろ?』
「はい」
『じゃあ続けて』
「はい」
ブイーン。
ターミネーターアゲイン
『ババババババババ』
A苦笑いで乗り切る。
『ババババババババ』
「はは」
『ババババババババ』
「へへへ」
『………………そんなにおれのギャグつまらないか?』
「え?うわ」
Bニラむ。
「あ、あぶねぇ…」
………ブイーン。
『あ、田中さんだ』
「え?ああー」
エンスト。
『おい!』
「す、すいません。だけど田中さんは卑怯…ああー田中さんの頭上に鳩が……あ、あー…やられた」
『……………わかったか?』
「はい…本当だったのか…すいません田中さん」
『よしじゃあ続けて』
ブイーン。教習終了。
「ふぅ。あの、今日は本当にありがとうございました。おれ運転甘くみてました」
『……………』
B無言で車をおりる。数歩行ったところで、
『もう田中さんに恥かかすなよ』
「は、はい!」
『へ、良い声だすようになったじゃねえか』
「ありがとうございます!」
『…………今度は素直におれのギャグで笑わせたいものだな』
「それは無理」


(了)

モヤモヤシリーズ。わたしは足のつった女風?

彼女はとてもみじめな娘でしたが、明るい娘でした。ある日彼女は出会い系サイトで出逢った無職の青年と海に出かけました。娘はその無職の青年のことが好きでしたので、この日、告白することを決めていました。一番の服に、一番の下着。ドキドキしていたら、あっという間、車は高速を出て海岸線。車を駐車場に停めて二人は砂浜を歩きます。天気は曇りでも、砂浜がどぶ臭くても、トンビに狙われても、娘は幸せを感じていました。砂浜が岩場に変わっても歩きます。転んだ拍子に服がすこし破れました。でもそれくらいの不幸など娘は慣れっこですので、しょうがないなぁ、と思ったけれど幸せが色褪せることはありません。人がいないところに来ました。青年は磯の陰に娘を誘いました。娘は誘われるまま青年に近づきました。青年は娘に手を差し伸べると、突然雰囲気が変わり、荒々しく娘の口を塞ぎ、服を脱がしにかかっています。一番の服も下着も磯溜まりに落ちました。娘ははじめ、あぁ私ってどうしていつもこうなんだろう、と思いましたが、普段の不幸に比べれば、青年のことも好きだし、いいかな、いいんじゃないかな、と思うことにしました。その時です。青年は足を滑らして転び頭を岩場に打ちつけたのです。磯溜まりに浮かぶ青年。うつぶせ。ぴくりとも動きません。血が海水を赤く染めていきます。娘はおそろしくなって逃げました。家に帰ると、両親が娘の異常を気にかけました。服はびりびりで、泣きながら帰ってきたのですから当然です。しかし娘はなにも語らずただ一人部屋で泣いていました。しばらくすると警察が家にやってきました。親が夕方のニュースで見た海岸線に浮かぶ死体と娘の異常、磯臭さを結びつけた結果でした。そして娘は連行されました。両親も警察も誰もかも娘の言うことを信じませんでした。二十年後、娘は釈放されました。両親は死んでしまったので行く場所も帰る場所もありません。出来れば幸せ者になりたいなぁ、娘、中年の女はつぶやいて、コホコホと咳をしました。一年後、風邪をこじらせて女は死にました。死体は誰にも発見されず白骨化するまで静かに布団にくるまれていました。

正解

正解は













老人の性格