モヤモヤシリーズ。わたしは足のつった女風?
彼女はとてもみじめな娘でしたが、明るい娘でした。ある日彼女は出会い系サイトで出逢った無職の青年と海に出かけました。娘はその無職の青年のことが好きでしたので、この日、告白することを決めていました。一番の服に、一番の下着。ドキドキしていたら、あっという間、車は高速を出て海岸線。車を駐車場に停めて二人は砂浜を歩きます。天気は曇りでも、砂浜がどぶ臭くても、トンビに狙われても、娘は幸せを感じていました。砂浜が岩場に変わっても歩きます。転んだ拍子に服がすこし破れました。でもそれくらいの不幸など娘は慣れっこですので、しょうがないなぁ、と思ったけれど幸せが色褪せることはありません。人がいないところに来ました。青年は磯の陰に娘を誘いました。娘は誘われるまま青年に近づきました。青年は娘に手を差し伸べると、突然雰囲気が変わり、荒々しく娘の口を塞ぎ、服を脱がしにかかっています。一番の服も下着も磯溜まりに落ちました。娘ははじめ、あぁ私ってどうしていつもこうなんだろう、と思いましたが、普段の不幸に比べれば、青年のことも好きだし、いいかな、いいんじゃないかな、と思うことにしました。その時です。青年は足を滑らして転び頭を岩場に打ちつけたのです。磯溜まりに浮かぶ青年。うつぶせ。ぴくりとも動きません。血が海水を赤く染めていきます。娘はおそろしくなって逃げました。家に帰ると、両親が娘の異常を気にかけました。服はびりびりで、泣きながら帰ってきたのですから当然です。しかし娘はなにも語らずただ一人部屋で泣いていました。しばらくすると警察が家にやってきました。親が夕方のニュースで見た海岸線に浮かぶ死体と娘の異常、磯臭さを結びつけた結果でした。そして娘は連行されました。両親も警察も誰もかも娘の言うことを信じませんでした。二十年後、娘は釈放されました。両親は死んでしまったので行く場所も帰る場所もありません。出来れば幸せ者になりたいなぁ、娘、中年の女はつぶやいて、コホコホと咳をしました。一年後、風邪をこじらせて女は死にました。死体は誰にも発見されず白骨化するまで静かに布団にくるまれていました。