ボツ台本コンビニガール
「君の時給を僕が払ってあげるから僕の行く時間にいておくれ」
『コンビニでバイトしてる娘を好きになっちゃって』
「へー、どんな娘?」
『いやぁかわいいのよ、ちんちくりんでさ、なんていうか、ガソリンスタンドでバイトすることもブックオフでバイトすることもないだろうなって娘だよ』
「いや、よくわからねえよ?」
『ほら、あれだよ、コンビニでバイトしてそうな娘』
「うん、そうだろうね」
『かわいくてさぁ』
「まあ、かわいい娘ってだけでいいや、あ、ちなみに歳はどのくらい?」
『二十代前半と思われる』
「ああ、ボケないんだ、なんか、小学生!とか、百歳!って言ってもらえるとこちらとしては楽なんだけどな」
『つまらないくだらないことは言いたくないんだ。恋してるからね』
「…まあいいや、で、どうなの?」
『どうなのって何が?』
「いや、だから、なにかアプローチはしてるのか?」
『ああ、さっき言った彼女の年齢が推測に基づいてるように、会話らしい会話もしたことない』
「なるほどね」
『することといえばお釣りをもらうことぐらい。とってもプラトニックな恋』
「それをプラトニックというのか?相手はお前に気がないんだろ?」
『いや、脈ありだと思うね』
「本当かよ、根拠は?」
『おれに対して敬語を使う』
「当たり前だろ!接客なんだから!ていうか逆じゃねえか?」
『逆?』
「脈ありなら逆にくだけるんじゃないか?」
『たとえば?』
「たとえば、その、“いらっしゃいませー”と言うところを“あ、いらっしゃい”って言う的な」
『言ってみてどうだ?』
「うん、あんまりよくないな」
『だろ?丁寧な方が脈ありだと見るべきだろ?』
「そうかもな」
『そうだよ。相手のことを好きになればなるほど自身の職業意識を高める、そんなもんだよ恋愛なんてさ』
「言い切ったな。でもお前に丁寧な接客をするってどの程度なの?他の客と比べてさ」
『口で説明するのもなんだからちょっとやってみせるよ』
「わかった、じゃあおれが客な」
『いや、客はおれだろ』
「おれがその店員やっても違いを表現出来ないだろ!」
『ちょっと待って………………うん、その通りだね』
「なにを処理したんだよその数瞬の間に!」
『いいからいいから』
「ええ?まあいいけど」
『じゃあまずは普通の客の場合な』
「わかった……………プイーン」
『いらっしゃいませー』
「なるほどな」
『いや、レジ打ちまで通せよ、いらっしゃいませーの違いはさっきお前が見せた気持ち悪いたとえ話だろ!気持ち悪いわ!ふざけんな!おれの話だろ!どれだけ自分のいらっしゃいませーを気に入ってんだよ!』
「いや、気に入ってはいないけど、悪かったよ、じゃあ…………はいこれ」
『ピッピッと、120万円です』
「120万!?まあいいや、はい120万」
『……お客様、日本に120万円札なんておありだと思いますか?』
「悪かったよ!ペラ紙一枚出すみたいに120万円出して!ていうかお前が120万円とか、タバコ屋のおっちゃんが言う古臭いボケをかますからだろ!くだらねえこと言いやがってよ!つまらねえこと言いたくなかったんじゃないのかよ!」
『はい、9880万円のお返しです』
「おれなに!?結局一億円札出したの!?じゃあなんでさっき怒られたの!?しかもお釣り小銭感覚で渡されたしよ!札束どっさりじゃないのかよ!なんなんだよ!」
『ありがとうございましたー………まあ普通はこんな感じかな』
「相当なインフレが進まないと普通とは言えない内容だったけどな。でもまあ確かに接客自体は普通だったかな」
『そして気持ち悪いお前が元美少年のおれを演じた場合』
「…むかつく………プイーン」
『いらっしゃいませー』
「………はいこれ」
『ピッピッと、105円です』
「じゃあ110円、はい」
『5円のお返しです。ありがとうございましたぁ』
「うわあ!すっごく違う!安易なボケがないことを除いてもすごく違う!」
『だろ!?』
「これは脈がない方がおかしいよ!」
『だろ!?』
「イケるよ!やったな!」
『だろ!?』
「ただ残念なことに文字じゃ伝わらないな!」
『だろ!?』
「だろってお前」
『文字でも言葉でも伝わりきれないもの、それが恋愛じゃないかな』
「その通りだね!」
終わり いや、色々思いついてはいるんだよ?でもケータイをポチポチするのは面倒が臭いじゃない。
『コンビニでバイトしてる娘を好きになっちゃって』
「へー、どんな娘?」
『いやぁかわいいのよ、ちんちくりんでさ、なんていうか、ガソリンスタンドでバイトすることもブックオフでバイトすることもないだろうなって娘だよ』
「いや、よくわからねえよ?」
『ほら、あれだよ、コンビニでバイトしてそうな娘』
「うん、そうだろうね」
『かわいくてさぁ』
「まあ、かわいい娘ってだけでいいや、あ、ちなみに歳はどのくらい?」
『二十代前半と思われる』
「ああ、ボケないんだ、なんか、小学生!とか、百歳!って言ってもらえるとこちらとしては楽なんだけどな」
『つまらないくだらないことは言いたくないんだ。恋してるからね』
「…まあいいや、で、どうなの?」
『どうなのって何が?』
「いや、だから、なにかアプローチはしてるのか?」
『ああ、さっき言った彼女の年齢が推測に基づいてるように、会話らしい会話もしたことない』
「なるほどね」
『することといえばお釣りをもらうことぐらい。とってもプラトニックな恋』
「それをプラトニックというのか?相手はお前に気がないんだろ?」
『いや、脈ありだと思うね』
「本当かよ、根拠は?」
『おれに対して敬語を使う』
「当たり前だろ!接客なんだから!ていうか逆じゃねえか?」
『逆?』
「脈ありなら逆にくだけるんじゃないか?」
『たとえば?』
「たとえば、その、“いらっしゃいませー”と言うところを“あ、いらっしゃい”って言う的な」
『言ってみてどうだ?』
「うん、あんまりよくないな」
『だろ?丁寧な方が脈ありだと見るべきだろ?』
「そうかもな」
『そうだよ。相手のことを好きになればなるほど自身の職業意識を高める、そんなもんだよ恋愛なんてさ』
「言い切ったな。でもお前に丁寧な接客をするってどの程度なの?他の客と比べてさ」
『口で説明するのもなんだからちょっとやってみせるよ』
「わかった、じゃあおれが客な」
『いや、客はおれだろ』
「おれがその店員やっても違いを表現出来ないだろ!」
『ちょっと待って………………うん、その通りだね』
「なにを処理したんだよその数瞬の間に!」
『いいからいいから』
「ええ?まあいいけど」
『じゃあまずは普通の客の場合な』
「わかった……………プイーン」
『いらっしゃいませー』
「なるほどな」
『いや、レジ打ちまで通せよ、いらっしゃいませーの違いはさっきお前が見せた気持ち悪いたとえ話だろ!気持ち悪いわ!ふざけんな!おれの話だろ!どれだけ自分のいらっしゃいませーを気に入ってんだよ!』
「いや、気に入ってはいないけど、悪かったよ、じゃあ…………はいこれ」
『ピッピッと、120万円です』
「120万!?まあいいや、はい120万」
『……お客様、日本に120万円札なんておありだと思いますか?』
「悪かったよ!ペラ紙一枚出すみたいに120万円出して!ていうかお前が120万円とか、タバコ屋のおっちゃんが言う古臭いボケをかますからだろ!くだらねえこと言いやがってよ!つまらねえこと言いたくなかったんじゃないのかよ!」
『はい、9880万円のお返しです』
「おれなに!?結局一億円札出したの!?じゃあなんでさっき怒られたの!?しかもお釣り小銭感覚で渡されたしよ!札束どっさりじゃないのかよ!なんなんだよ!」
『ありがとうございましたー………まあ普通はこんな感じかな』
「相当なインフレが進まないと普通とは言えない内容だったけどな。でもまあ確かに接客自体は普通だったかな」
『そして気持ち悪いお前が元美少年のおれを演じた場合』
「…むかつく………プイーン」
『いらっしゃいませー』
「………はいこれ」
『ピッピッと、105円です』
「じゃあ110円、はい」
『5円のお返しです。ありがとうございましたぁ』
「うわあ!すっごく違う!安易なボケがないことを除いてもすごく違う!」
『だろ!?』
「これは脈がない方がおかしいよ!」
『だろ!?』
「イケるよ!やったな!」
『だろ!?』
「ただ残念なことに文字じゃ伝わらないな!」
『だろ!?』
「だろってお前」
『文字でも言葉でも伝わりきれないもの、それが恋愛じゃないかな』
「その通りだね!」
終わり いや、色々思いついてはいるんだよ?でもケータイをポチポチするのは面倒が臭いじゃない。
好きなもの
僕は至って普通の人間なんです。好きなものこそありはすれど、嫌いなものはありません。嘘です。嫌いなものはありはすれど、好きなものはありません。嘘です。好きなものはオリーブオイルとウスターソースに象徴されるような黄緑色と血の混じった便のような色とが混じり合って、逆撫でしあって、恋をするような、そんなつまらないくだらない、でも毎日がなんとなく楽しく、将来や近い未来が待ち遠しく、また、いつまでも若くありたいと願い、ながらも老人に憧れを抱き、歌を口ずさみ、四季折々の旬を満喫し、汗を流し、地球を食い物にして金を稼ぎ、新幹線に乗って、改札口を間違えて、真面目に取り組む姿勢を見せるのが上手くて、結局はダイエットなんてしてまで、ああ、金玉が蒸れる
読んだら損する「運命はテイクアウト」(23)
「いやぁ、やめてぇええぇぇぇえぇ」
時子は身をよじる。股から液体が流れ落ちる。
「漏らしやがって、おら、てめえのもんはてめえで始末しな」
権蔵の太い前腕、時子の後ろ髪を掴むと一気に時子の顔を小便と愛液まみれの床に押しつけた。
「舐めまわせ、飲み干せ」
権蔵は時子の後ろに回ると、秘壺に刺さる電動茎を縦に思いきり動かした。
「きぃいあぁ」
時子は声にならない声をあげ、尻を突き出したまま突っ伏し、液まみれになった。
…………………………。
焦った。少し焦った。道助…なにやってんだお前…。
ペラペラとノートめくり。そういや小学生の時分に道助とスカートめくりしたな。あいつは誰からもスカートをめくられないブスのクラス代表の酒田さんのスカートをめくってたっけ。官能小説?が続く。400字詰め原稿用紙にして10枚程のものが5~6作はあったろうか。ノートは日記に変わった。味気ない日記、ただ、その日の食事内容、買ったものと値段。たまに日記らしい独り言が一行程度。二年くらい前のものだった。
日記は一ヶ月程で終わり、今度はなんてことない落書き、人物画や風景画のコーナーの始まり。下手すぎる。小学生並、いや、それ以下かもしれない。ぷぷぷ、笑うしかない。
落書きコーナーが終わると、ぽつぽつとポエムのようなものがあり、ノートは役割を終えた。
ノートの裏表紙をポンと叩いた僕に小山さんが「どうだい?」と、聞いてきた。どうだい?そう聞かれても…。大いに返答に困る。
「うぅっと、…内容は、小説…かな、小説ですね、それが数作ありまして、そして日記、が、一ヶ月程、日付は二年前ですね、まあ大したことは書かれてませんでした。あと、落書きがあって、なんか詩のようなものがありました」
僕の簡易な報告を聞き終えた小山さん、コーヒーカップのわっかに怒張したちんこみたいな指をにゅるにゅると押し込み一息一服。
「そうかい。…で、健一君はどう思う?親族に見せてもいいものかどうか、どうだい?」
いや、だから、どうだい?と聞かれてもさ。
「…迷いますね。まず小説というのが全て官能小説なんですよ。別に官能小説を否定するわけじゃありませんが、ペラペラ見たところ内容もかなりどぎついものでしたし。他の内容も、大したことは書かれていませんでしたし、まあこんなものでもおじさん達にとっては道助の思い出の品になるのかもしれませんが…僕はこのまま闇に秘すのがいいのではないかと…そう思います。道助も家族には見られたくないのではないかとも思います。少なくとも僕は家族に見られたくない内容です」
「なるほどね、ははは、官能小説ときたか。確かに僕も見せるのはどうかと思うね。うん。ははは、闇に秘す、知らぬが仏と言うからね。ははは、ところで、ものは相談だけど、これ、健一君が引き取ってもらえないかな?闇に秘す、だね。処分しちゃってもいいし、持っていてもいい。ははははは、しかし官能小説とは」
笑う。笑うしかない?小山さんの重低音が店内にこだまする。
結局、断る理由も無いので、僕がノートを引き取ることでマル秘ノート問題は決着した。
カップケーキを食べ終えて僕達は店を出た。
店内ではあの事件のことを話さなかったが、僕はまだ安心してない。小山さんの車に乗り込み、目指すは僕んち、のはずが、やっぱり…そうは問屋はおろさない。小山さんはちょこちょことハンドルを切り、着いたのはあの公園。
時子は身をよじる。股から液体が流れ落ちる。
「漏らしやがって、おら、てめえのもんはてめえで始末しな」
権蔵の太い前腕、時子の後ろ髪を掴むと一気に時子の顔を小便と愛液まみれの床に押しつけた。
「舐めまわせ、飲み干せ」
権蔵は時子の後ろに回ると、秘壺に刺さる電動茎を縦に思いきり動かした。
「きぃいあぁ」
時子は声にならない声をあげ、尻を突き出したまま突っ伏し、液まみれになった。
…………………………。
焦った。少し焦った。道助…なにやってんだお前…。
ペラペラとノートめくり。そういや小学生の時分に道助とスカートめくりしたな。あいつは誰からもスカートをめくられないブスのクラス代表の酒田さんのスカートをめくってたっけ。官能小説?が続く。400字詰め原稿用紙にして10枚程のものが5~6作はあったろうか。ノートは日記に変わった。味気ない日記、ただ、その日の食事内容、買ったものと値段。たまに日記らしい独り言が一行程度。二年くらい前のものだった。
日記は一ヶ月程で終わり、今度はなんてことない落書き、人物画や風景画のコーナーの始まり。下手すぎる。小学生並、いや、それ以下かもしれない。ぷぷぷ、笑うしかない。
落書きコーナーが終わると、ぽつぽつとポエムのようなものがあり、ノートは役割を終えた。
ノートの裏表紙をポンと叩いた僕に小山さんが「どうだい?」と、聞いてきた。どうだい?そう聞かれても…。大いに返答に困る。
「うぅっと、…内容は、小説…かな、小説ですね、それが数作ありまして、そして日記、が、一ヶ月程、日付は二年前ですね、まあ大したことは書かれてませんでした。あと、落書きがあって、なんか詩のようなものがありました」
僕の簡易な報告を聞き終えた小山さん、コーヒーカップのわっかに怒張したちんこみたいな指をにゅるにゅると押し込み一息一服。
「そうかい。…で、健一君はどう思う?親族に見せてもいいものかどうか、どうだい?」
いや、だから、どうだい?と聞かれてもさ。
「…迷いますね。まず小説というのが全て官能小説なんですよ。別に官能小説を否定するわけじゃありませんが、ペラペラ見たところ内容もかなりどぎついものでしたし。他の内容も、大したことは書かれていませんでしたし、まあこんなものでもおじさん達にとっては道助の思い出の品になるのかもしれませんが…僕はこのまま闇に秘すのがいいのではないかと…そう思います。道助も家族には見られたくないのではないかとも思います。少なくとも僕は家族に見られたくない内容です」
「なるほどね、ははは、官能小説ときたか。確かに僕も見せるのはどうかと思うね。うん。ははは、闇に秘す、知らぬが仏と言うからね。ははは、ところで、ものは相談だけど、これ、健一君が引き取ってもらえないかな?闇に秘す、だね。処分しちゃってもいいし、持っていてもいい。ははははは、しかし官能小説とは」
笑う。笑うしかない?小山さんの重低音が店内にこだまする。
結局、断る理由も無いので、僕がノートを引き取ることでマル秘ノート問題は決着した。
カップケーキを食べ終えて僕達は店を出た。
店内ではあの事件のことを話さなかったが、僕はまだ安心してない。小山さんの車に乗り込み、目指すは僕んち、のはずが、やっぱり…そうは問屋はおろさない。小山さんはちょこちょことハンドルを切り、着いたのはあの公園。
ボツ台本ペリカン
「ペリカン人気」
『ウィスキーもってこい!』
「嫌だよ!なんだよいきなり」
『最近の若い奴は駄目だ!』
「お前も十分若い奴じゃねえか!」
『おれより若い奴なんてたくさんいるじゃねえか!』
「そりゃそうだろ!」
『まったく、雨後の筍の如くうじゃうじゃと』
「そんな言い方すんなよ、むしろ少子化って叫ばれてるのによ」
『最近の若い奴は駄目だね!』
「お前の言う若い奴って大体どのくらいの歳のやつらなんだよ!お前も含まれてるのか!?」
『若い奴って言ってんだからおれの世代を含めちゃ駄目だろ!』
「で、どのくらいの?」
『若人あきらぐらいの』
「若人あきらって名前に若い人ってついてるだけだろ!年上な上に若くねえよ!」
『さしあたって幼稚園ぐらい』
「なにがさしあたったのかわからないけど幼稚園ってお前若すぎるだろ!」
『いいや、駄目だ!』
「お前、あんな自我もロクにないやつらに怒ってんのか!?やめろ!」
『いいや、怒るね!もう駄目だよあんなやつら!』
「なんでだよ!まだ善し悪しもわからないようなやつらだよ!」
『数年前までペリカンの口の中にいたやつらだぜ?』
「ペリカンってお前」
『まあ、ペリカンていう間違った性教育のたとえをわざわざ出したわけだけども』
「わざわざ説明しなくていいだろいいよ!それに別に間違った性教育っていうわけじゃないだろ、子供に性を教えるのもどうかと思うし」
『ペリカンってなんだよな。ペリカンだぜ!?』
「いいじゃねえかよ別にペリカンでも!」
『よくねえだろ!考えてみろよ!ペリカンがどっかから赤ん坊持ってきたら大事件だぜ!?』
「…いいだろ、そういうこともあるよ」
『あるわけないだろ!バカか!?ペリカンってお前、たとえにもほどってもんがあるぜ!』
「いいから、ペリカンのことはいいから!」
『よくねえよ!ペリカンだぜ!?そんな間違った性教育でいいのかよ!下手したらトラウマになるぜ!?ただでさえ子供なんて、おれ本当はこの家の子供じゃないんだ、とか思いがちな年頃なのによ!なんだ!?ゆとり教育か!?ペリカン教育か!?』
「しつこいぞ!ペリカンはもういいんだ!」
『うるせえ!いくない!ペリカンにむかついてんだよ!ペリカンの奴め!鳥類のくせして人間様の精子と卵子を司り気取りか!でっかい口しやがってよぉ!おれがペリカン見つけたら、口の中にレスラー2人突っ込んで玉乗り仕込んだ末に鼻からくす玉出してやるよ!』
「やめろよ!ペリカンの悪口言うなよ!」
『なんだよ!やけに突っかかるじゃねえか、このペリカン野郎!』
「……………」
『どうしたどうしたペリカン野郎!』
「……………そうだよ」
『ああ!?声が小さい!やり直し!』
「そうだよ!おれはペリカン野郎だよ!」
『はあ?…てめえがわけわかんねえこと言ってんじゃねえ!人間には役割分担ってものがあってだな、栄えある人間様の栄光の歴史の影には常に役割分担があったという』
「うるせえ!おれはペリカン野郎だよ!」
『うるせえってなんだ!意味がわかんねえよ!』
「…おれはペリカンに運ばれてきた赤ん坊だったんだよ」
『…ジャストモーメント…3秒考えさせてくれる?1…2…3、うん、もう一度言ってくれるかな?』
「おれはペリカンさんに運ばれてきた赤ん坊だったんだよ!」
『さん付けになっちゃたぞ………今度はもう少し丁寧に言ってくれるかな?いいとも!なんつって』
「…………」
『ああ、いや、少し丁寧に言ってくれるかな?』
「おれは不妊に悩む両親のもとに、血の繋がってない両親のもとにペリカンさんが運んできた赤ん坊だったんだよ!」
『…………するってぇとなにかい?』
「なんだよ!」
『うん………するってぇとなにかい?』
「だからなんだよ!落研のむかつく奴みたく言うな!」
『…よーしよし、少しペースってもんを取り戻すことに成功したぞ。頑張れおれ。……するってぇとなにかい?』
「だからなんなんだよ!」
『お前さん、お前さんのおとっつぁんおかっつぁんのもとにペリカンが赤ん坊を運んできたと』
「そうだよ!」
『そいでその赤ん坊がお前さんだと?』
「その通りだよ!」
『本当かい?』
「本当だよ!いいか!ペリカンさんはおれの親も同然なんだ!ペリカンさんの悪口は金輪際言ってくれるな!」
『…………証拠は?』
「……証拠?…無いよ」
『お前さん、オイラも長いことボケという役割をやらせてもらってますとね、なかなかどうして、疑り深くなっちまう。てめえで嘘をつくもんで、人の言葉には幾重ものフィルターをかけちまうのが性分なんだ、ええ?、証拠も無いのにそんなオリンピック、もといロマンチックがとめどない話を信じられるかっつったら、そんなもの恐れ入谷の鬼子母神、どうして信じられよか』
「しょ、しょ、しょうがないだろ!な、無いものは無い!」
『おやおや、急に言葉に力がなくなりやがった。まるで嘘をついているようじゃないか、さてはなにかい?隠し事でもあるのかな?』
「どきっ」
『怪しい、ずばり今おれの鋭い尋問に、はっ、としてついつい手を当てたそのポケットの中が怪しい!』
「くっ」
『さあ、なにを隠しているのかなぁ?』
「な、なにもない!」
『ふ、まさかビスケットという歳でもあるまい』
「や、やめろ!近付くんじゃねえ!」
『法律はおれの味方だぜ』
「嘘つけ!どっちかっつったらおれの味方だ!」
『ほう、果たしておれはどんな罪になるのかな?強盗ってわけかい?ふふん、なにかを盗らなきゃただの暴行罪かな?傷害罪かな?さあ、隠すと為にならんぜ』
「うるせえ!」
『うるせえ、とな。ほう、隠す、ということは否定しないんだな』
「うっ、な、なんもねえよ」
『もうお前さんの言葉に耳を貸すのはイルカに乗った少年ぐらいだぜ?』
「わけわかんねえよ!イルカに乗ってるからって人のいい少年だとは限らないだろ!」
『ペリカン野郎が言うセリフかよ!』
「う、うるせえ!ペリカン野郎って言うな!や、やめろ!それ以上近付くんじゃねえ!」
『…………ふっ、それもせうだな。オイラとしたことが少しがさつに過ぎたようだぜ』
「…………」
『ふふ、いいってことよ、たとえお前さんがペリカンベイビーだとしても』
「ペリカンベイビー」
『ふふん、ペリカンキッドのほうがお気に召すかな?』
「…どっちでもいいけど」
『なればペリカンボーヤだとしても』
「どっちでもねえじゃねえか!」
『ふふ、良い声出すようになったじゃねえか、ふふふ、オイラ嬉しいぜ』
「いいから早く続き言えよ!ペリカンボーヤだとしても!?」
『ペリカンボーヤだとしても!今は、今のお前は!おれの相方じゃないか!おれのかけがえの無い相方じゃないか!過去なんて関係無いさ!今までだって過去なんか関係無かったじゃないか!』
「お前さん…」
『さあ、2人でお客さんを笑い死にさせてやろうぜ!』
「死なせちゃ駄目だろ!…こいつぅ!」
『ははは』
「へへへ」
『と、見せかけて、そりやあぁあ!』
「ああ!やめろ!ちくしょう!やめろ!」
『あった!なんだこれは!あ、あ、ああああああぁぁぁ!』
これ以降2人の姿を見たものはいない。渺々と吹き抜ける荒野の風がデラシネを乗せて、また、うんざりするような独り言があの丘の向こうから聴こえるのみ。
終わり
『ウィスキーもってこい!』
「嫌だよ!なんだよいきなり」
『最近の若い奴は駄目だ!』
「お前も十分若い奴じゃねえか!」
『おれより若い奴なんてたくさんいるじゃねえか!』
「そりゃそうだろ!」
『まったく、雨後の筍の如くうじゃうじゃと』
「そんな言い方すんなよ、むしろ少子化って叫ばれてるのによ」
『最近の若い奴は駄目だね!』
「お前の言う若い奴って大体どのくらいの歳のやつらなんだよ!お前も含まれてるのか!?」
『若い奴って言ってんだからおれの世代を含めちゃ駄目だろ!』
「で、どのくらいの?」
『若人あきらぐらいの』
「若人あきらって名前に若い人ってついてるだけだろ!年上な上に若くねえよ!」
『さしあたって幼稚園ぐらい』
「なにがさしあたったのかわからないけど幼稚園ってお前若すぎるだろ!」
『いいや、駄目だ!』
「お前、あんな自我もロクにないやつらに怒ってんのか!?やめろ!」
『いいや、怒るね!もう駄目だよあんなやつら!』
「なんでだよ!まだ善し悪しもわからないようなやつらだよ!」
『数年前までペリカンの口の中にいたやつらだぜ?』
「ペリカンってお前」
『まあ、ペリカンていう間違った性教育のたとえをわざわざ出したわけだけども』
「わざわざ説明しなくていいだろいいよ!それに別に間違った性教育っていうわけじゃないだろ、子供に性を教えるのもどうかと思うし」
『ペリカンってなんだよな。ペリカンだぜ!?』
「いいじゃねえかよ別にペリカンでも!」
『よくねえだろ!考えてみろよ!ペリカンがどっかから赤ん坊持ってきたら大事件だぜ!?』
「…いいだろ、そういうこともあるよ」
『あるわけないだろ!バカか!?ペリカンってお前、たとえにもほどってもんがあるぜ!』
「いいから、ペリカンのことはいいから!」
『よくねえよ!ペリカンだぜ!?そんな間違った性教育でいいのかよ!下手したらトラウマになるぜ!?ただでさえ子供なんて、おれ本当はこの家の子供じゃないんだ、とか思いがちな年頃なのによ!なんだ!?ゆとり教育か!?ペリカン教育か!?』
「しつこいぞ!ペリカンはもういいんだ!」
『うるせえ!いくない!ペリカンにむかついてんだよ!ペリカンの奴め!鳥類のくせして人間様の精子と卵子を司り気取りか!でっかい口しやがってよぉ!おれがペリカン見つけたら、口の中にレスラー2人突っ込んで玉乗り仕込んだ末に鼻からくす玉出してやるよ!』
「やめろよ!ペリカンの悪口言うなよ!」
『なんだよ!やけに突っかかるじゃねえか、このペリカン野郎!』
「……………」
『どうしたどうしたペリカン野郎!』
「……………そうだよ」
『ああ!?声が小さい!やり直し!』
「そうだよ!おれはペリカン野郎だよ!」
『はあ?…てめえがわけわかんねえこと言ってんじゃねえ!人間には役割分担ってものがあってだな、栄えある人間様の栄光の歴史の影には常に役割分担があったという』
「うるせえ!おれはペリカン野郎だよ!」
『うるせえってなんだ!意味がわかんねえよ!』
「…おれはペリカンに運ばれてきた赤ん坊だったんだよ」
『…ジャストモーメント…3秒考えさせてくれる?1…2…3、うん、もう一度言ってくれるかな?』
「おれはペリカンさんに運ばれてきた赤ん坊だったんだよ!」
『さん付けになっちゃたぞ………今度はもう少し丁寧に言ってくれるかな?いいとも!なんつって』
「…………」
『ああ、いや、少し丁寧に言ってくれるかな?』
「おれは不妊に悩む両親のもとに、血の繋がってない両親のもとにペリカンさんが運んできた赤ん坊だったんだよ!」
『…………するってぇとなにかい?』
「なんだよ!」
『うん………するってぇとなにかい?』
「だからなんだよ!落研のむかつく奴みたく言うな!」
『…よーしよし、少しペースってもんを取り戻すことに成功したぞ。頑張れおれ。……するってぇとなにかい?』
「だからなんなんだよ!」
『お前さん、お前さんのおとっつぁんおかっつぁんのもとにペリカンが赤ん坊を運んできたと』
「そうだよ!」
『そいでその赤ん坊がお前さんだと?』
「その通りだよ!」
『本当かい?』
「本当だよ!いいか!ペリカンさんはおれの親も同然なんだ!ペリカンさんの悪口は金輪際言ってくれるな!」
『…………証拠は?』
「……証拠?…無いよ」
『お前さん、オイラも長いことボケという役割をやらせてもらってますとね、なかなかどうして、疑り深くなっちまう。てめえで嘘をつくもんで、人の言葉には幾重ものフィルターをかけちまうのが性分なんだ、ええ?、証拠も無いのにそんなオリンピック、もといロマンチックがとめどない話を信じられるかっつったら、そんなもの恐れ入谷の鬼子母神、どうして信じられよか』
「しょ、しょ、しょうがないだろ!な、無いものは無い!」
『おやおや、急に言葉に力がなくなりやがった。まるで嘘をついているようじゃないか、さてはなにかい?隠し事でもあるのかな?』
「どきっ」
『怪しい、ずばり今おれの鋭い尋問に、はっ、としてついつい手を当てたそのポケットの中が怪しい!』
「くっ」
『さあ、なにを隠しているのかなぁ?』
「な、なにもない!」
『ふ、まさかビスケットという歳でもあるまい』
「や、やめろ!近付くんじゃねえ!」
『法律はおれの味方だぜ』
「嘘つけ!どっちかっつったらおれの味方だ!」
『ほう、果たしておれはどんな罪になるのかな?強盗ってわけかい?ふふん、なにかを盗らなきゃただの暴行罪かな?傷害罪かな?さあ、隠すと為にならんぜ』
「うるせえ!」
『うるせえ、とな。ほう、隠す、ということは否定しないんだな』
「うっ、な、なんもねえよ」
『もうお前さんの言葉に耳を貸すのはイルカに乗った少年ぐらいだぜ?』
「わけわかんねえよ!イルカに乗ってるからって人のいい少年だとは限らないだろ!」
『ペリカン野郎が言うセリフかよ!』
「う、うるせえ!ペリカン野郎って言うな!や、やめろ!それ以上近付くんじゃねえ!」
『…………ふっ、それもせうだな。オイラとしたことが少しがさつに過ぎたようだぜ』
「…………」
『ふふ、いいってことよ、たとえお前さんがペリカンベイビーだとしても』
「ペリカンベイビー」
『ふふん、ペリカンキッドのほうがお気に召すかな?』
「…どっちでもいいけど」
『なればペリカンボーヤだとしても』
「どっちでもねえじゃねえか!」
『ふふ、良い声出すようになったじゃねえか、ふふふ、オイラ嬉しいぜ』
「いいから早く続き言えよ!ペリカンボーヤだとしても!?」
『ペリカンボーヤだとしても!今は、今のお前は!おれの相方じゃないか!おれのかけがえの無い相方じゃないか!過去なんて関係無いさ!今までだって過去なんか関係無かったじゃないか!』
「お前さん…」
『さあ、2人でお客さんを笑い死にさせてやろうぜ!』
「死なせちゃ駄目だろ!…こいつぅ!」
『ははは』
「へへへ」
『と、見せかけて、そりやあぁあ!』
「ああ!やめろ!ちくしょう!やめろ!」
『あった!なんだこれは!あ、あ、ああああああぁぁぁ!』
これ以降2人の姿を見たものはいない。渺々と吹き抜ける荒野の風がデラシネを乗せて、また、うんざりするような独り言があの丘の向こうから聴こえるのみ。
終わり