普通の暮らし57

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小説、普通の暮らし~過去の話はここから見て下さい。

http://ameblo.jp/kitakyu-mamoru/theme-10100828412.html

この作品はフィクションです。実在の人物、団体、事件などにはいっさい関係ありません。
ーー普通の暮らしを持続させるためには、相当の努力が必要である。

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逮捕劇

がれきを積んだトラック搬入の舞台、西港は凄い騒ぎになっているのに、14時過ぎても町田や外山、鈴木弁護士は西港にいなかった。

真子は水野に、

Γみんなここには来ないんですか?」

と聞いたら、

Γいや、もうすぐ来るよ。」

と言った。

ふと真子が遠くを見るとΓ駐車禁止の標識」を持った警察官が何人か歩いていた。

真子が朝西港に来た時、道路に駐車禁止の標識はなかった。駐車禁止の標識がどこにもないのを確認して車を停めたのだから覚えている。

真子もそうだが、ここに集まった人の多くは自動車かスクーターで来ていた。

駐車禁止の標識を持った警察官が次々、標識を道路に置いていた。

Γあ、これ、駐車違反で人払いするんだ」とわかった。

真子は、一旦仕切り直し、車を自宅に置いてタクシーで西港に来ることにした。

朝からずーっとカエルコールしてる子どものひなんママにΓ今なら、車で自宅の近くまで送るけど、どうする?」と聞いたら、Γ帰ります。」と言うので、西港から15分位の所まで送って自宅に戻った。

もう、子どもが帰って来る時間なので、突然始まった誰かが流している配信動画(ネットの実況生放送みたいなやつ)を見ながら、子どものおやつを用意してタクシーを呼んだ。

タクシーを待っていると、配信動画では凄い騒ぎになっている。

真子が西港を出た時にはいなかった町田の声が聞こえる。鈴木弁護士の声もする。

Γあ、みんな来たんだ。」

朝から昼過ぎても反対運動の主要メンバーがずっと来なかったから、おかしいと思っていたのでホッとした。

時刻はだいたい午後3時過ぎていた。

やっとタクシーが着いて乗り込んだ。

行き先を告げ、タクシーが出発。

すると、配信動画は一層凄い騒ぎに。

え、何?何?何?

配信動画から町田の叫び声が聞こえた。

その叫び声をちゃんと聞くと、人が逮捕されたようだった。

この配信動画は町田がやってるのか?町田の叫び声ばかり聞こえてくる。

真子が車を置いてタクシーで駆けつけるまでの間に、西港ではこんなことになっていた。

やっと西港に到着した真子が見たのは

黒いサングラスに黒いつば広の帽子にボディコンワンピースに黒のピンヒール姿の町田が大勢の前で演説している姿だった。

昨日まで、Γ夫が某国営放送のディレクターだから、私はマスコミに顔出し出来ない」と言っていた町田の突然の顔出し。

しかも、警察に逮捕される場面に鈴木弁護士を従えての登場(タクシーで駆けつけたらしい)に、みんなが町田を救世主だと思った。

がれきトラック搬入逮捕劇の中で、町田の登場場面は、本当に凄かった。

真子を含む、西港にいた多くの人が

今まで顔出しNGだった町田さんが、こんな公衆の面前で顔出ししてくれた!

と喜んだ。


そして、実際は何一つ成功してないのに、みんなが町田を反対運動の救世主、女神、主導者と思った瞬間だった。

この逮捕劇の後、ひなん者お話会のアイデアを出し、黒川と一緒にがれき反対運動を引っ張っていた外山の影は突然薄くなった。

それまで、避難者外山が草の根活動で徐々に認識されてきたΓひなん者お話会」が町田の会になったのだ。

女神町田誕生の次の日、
あっさりがれきの試験焼却は行われた。

当時の報道はこうだったと思う。

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5月23日 石巻市から搬入されたがれき試験焼却当日も日明焼却場前 約20人の市民が座り込んだ。

震災がれきの受け入れを検討している北九州市は23日、試験焼却用のがれきを同市小倉北区の焼却場に搬入、焼却処理を始めた。25日までに焼却場2カ所で計80トンを処理する。同市は試験焼却で放射線量などを測定し、受け入れの可否を判断する。試験焼却は西日本で初めて。

試験焼却するのは放射性セシウム濃度が1キログラム当たり100ベクレル以下の木くずを中心とする可燃物。23日午前9時ごろ、小倉北区の日明工場にがれきを積載したトラック3台が到着した。一般の可燃ごみに10%混ぜ、午後0時20分に焼却を始めた。午後5時ごろまで計32トンをトラックで順次運び入れる。

工場周辺では、受け入れに反対する市民団体メンバーら20人が抗議行動。福岡県警の機動隊員ら約150人が警戒に当たった。搬入開始時には、おとりのトラック1台が反対派をひき付け、その隙にがれきを積んだトラックが別ルートから運び入れる一幕もあった。

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試験焼却が始まり、日明焼却場(西港)に行けない人たち(やはり放射能汚染のあるがれきを燃やしている場所に子どもを連れて行けない)は市役所に集まり、市長への手紙を秘書課、環境局へ提出した。