PCのエアフロー強化(ARGBファン選びと増設・交換) | kingmanの模型製作記Ⓐ

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カーモデル・戦車模型を中心にバイク、艦船、飛行機、ガンプラ等々いろんなプラモデルの製作日記をゆっくり書いてます。

今回はPCのケースファンを増設、交換してエアフロー(PCの排熱)を強化したことについての投稿。
今販売されているARGBファン(LEDの光り方を細かく制御できるケースファン)を一通り調べてから購入したので、選び方や各ファンの特徴、おススメのファン、実際に購入したファンのレビュー等色々書いていきます。
光るファンに特化した記事になってます。

 

 

ケースファンを交換した理由

買ったばかりのゲーミングPC(パソコンSHOPアークのArkhive)ですが、全体的には大満足なものの唯一の不満点がありました。
それはPCのケースファン「Antec AX-90」に付属しているファンの性能が低い事です。
このケースにはフロントに3つ、リアに1つの12cm ARGBファンが搭載されているのですが、ファンの具体的なスペックは公開されていないものの、ASUSのファン制御ソフトFanXpertで確認すると回転数は1200回転まで。FanXpertによる自動調整でも冷却性能が低いからか、温度が低い状態でも50%ぐらいの回転数になっていてちょっと温度が上がると100%の回転数になってしまいます。

これから夏場を迎えるし、各パーツへの熱によるダメージ軽減させPCの寿命を延ばすには冷えるに越したことはありません。
それにケースファンは一つ1000円以下から高くても3000円ぐらいなのでお手軽に購入できます。
光るケースファンがカッコよくて意外に満足度高かったので、もうちょっと増やしたいっていうドレスアップ的な理由もあったりします。PCも車やバイクと一緒でちょっとカスタムしたい欲も出てきちゃいますね。

 

増設・交換したファンの位置


今回ケースファンの増設、交換対象にしたのは上記画像の①から③の3か所です。

まずは①の底面(電源シュラウドの上)。現状では上面に水冷CPUクーラーの12cmファンが3つ排気方向で付いていますが、底面に吸気ファンを増設して下から上方向のエアフローを強化する狙いです。
ここにファンを増設すればグラボに直接風が当たるので、グラボの冷却効率をアップさせる狙いもあります。
ただ、ケースの作り上は底面に12cmファンを2つ搭載できるのですが前面寄りの部分はSATAポートやビデオカードホルダーと干渉するので1つしか増設できません。
また、すぐ真下に電源ユニットがあって隙間が無いので効果は限定的かもしれません。
あとはここにARGBファンを増設するとファンが丸見えでよく見える(目立つ)のでドレスアップにもなるっていう理由も。なので底面に増設するファンは見た目もファン選びのポイントです。

続いて②の前面ファン。前面ファンは外気を吸い込むメインのファンになるので強力なものにしたいところ。かつ、この部分のファンはケース前面のメッシュ越しに見えるようになっているので見た目にも拘りたい。
またPCケース(Antec AX-90)が前面ファンは14cmまで対応しているので、どうせだったら12cmより風量の大きい14cmファンに交換したい。

最後に③の背面ファン。前面のファンを強いものにするのでその空気の流れをスムーズに排気できるよう、背面のファンも強力なものに交換。背面には1つしかファンを搭載できないので、なるべく性能が良いものを選択したい。
見た目的には目立つ箇所ではないのでデザインは普通でOK。

あとはPC全体のファンのバランスとして、ケース内の圧力が正圧か負圧か、というものもあります。
吸気ファンの方が強い(吸い込む力の方が強い)場合はケース内部が正圧(ケース内部に空気が溜め込まれている状態)になり、内部の空気が隙間などから出ていきやすくなるので埃が溜りにくくなるというメリットがあります。
逆に排気ファンの方が強いと負圧になり、ケース内部に隙間から外気が吸い込まれるので冷却性能が若干上がるというメリットがあります。

 

120mmARGBファン比較・選択

というわけで、まずは底面と背面に搭載する12cmのARGBファンを選びます。

現在発売されている120mmARGBファンを一通り確認して性能が高いものをリストアップしました。
PC用のファンのスペック表上の数値としては流量、静圧、最低・最高回転数、ノイズレベル、MTBF、消費電力等があり、それらを記載しています。ソート順は流量の降順です。

流量(CFM)は一定時間内にファンが移動させる空気の体積を示していて、吸気であればPC内にどれだけの量の空気を流し込めるか、排気であればPC内の空気をどれだけ排出できるかを表すのでケースファンには大事な数値です。
流量の隣に静圧(mmH2O)も記載していますが、これもファンには大事な数値です。静圧はファンが空気を押し出すまたは吸い出す力を表していて、この数値が大きい程ファンの近くに障害物があっても空気を移動できます。PCの場合はファンの真後ろにラジエーターやヒートシンクがある場合やファンの前にダストフィルターがある場合に影響する数値です。
なのでファンの周りに何も無い箇所であれば流量が重要で、ファンの周囲に何かあるなら静圧が重要になります。

最高回転数については高ければ高い方が良いというわけでも無いし、流量や静圧に直結するわけでも無いので低すぎなければあまり気にしなくても良いと思ってます。
マザーボード側での回転数制御の幅が広がるという意味では高い方が良いですが、2000回転前後であればさほど変わらないですね。
最低回転数の方はどれだけ低い回転数まで安定して動作するかを表していて、最低回転数が0であれば停止状態に近い低速回転まで安定して動作できる事をうたっているのでしょう。
これも低ければ低い方が回転数制御の幅が広がりますが、自分のPCでは下げても500回転ぐらいまでだし、それ以下だと回ってる意味もあまり無いと思うので最低回転数が500前後であれば良いかなと思います。

ノイズレベルについては基本的には最高回転数の時の騒音の大きさを表しています。
どのファンもだいたい30デシベル前後で一般的には静かな音量ですが、最高回転数で回ったらだいたいうるさいしファンの数にもよるし、製品ごとに音質も違い、環境やPCケースや人によっても感じ方が違うので、結局使ってみないと分からないと思います。

MTBFは故障するまでの平均時間を表していますが、明記されていない製品もあったりMTBFが一番低い製品でも4万時間あり、1日10時間PCを使ったとしても10年故障しない事になるので十分ですね。高い方が良いとは思いますが。

消費電力についてもどの製品も似たり寄ったりでほとんど変わりません。
だいたいファン単体の消費電力が2~3W、LEDの消費電力が2Wぐらいで合計5W。それも最高回転数のときの消費電力なので、通常使用時はもっと下がるので気にするような値ではありませんね。

 

そんな感じで各ファンのスペックを見比べると、一番性能が良いのがSilverStoneの「Shark Force 120 ARGB 120mm PWM ARGBファン」(SST-SF120B-ARGB)です。流量は100CFM、静圧は4.7mmH2Oと調べた限りのARGBファンの中では最強です。ただその分スペック表上のノイズレベルも41.2dBAと一番大きな数値になっています。見た目上のデザインや光り方は普通ですが、ファンブレードの表面に鮫肌のようなモールドがあり低ノイズと高パフォーマンスを実現しているそうです。お値段はちょっとお高めの3600円前後。

 

SCYTHE(サイズ)の「KAZE FLEX II 120 ARGB」(KFS1225FD20AR-P)は流量90.28CFM、静圧2.7mmH2Oとファンの性能は高く、それでいて価格は1500円前後とコスパが良いのが魅力的。

 

ASUSの「TUF GAMING TF120 ARGB」は流量76CFM、静圧2.5mmH2Oとファンの性能はそこそこ高く値段は2500円前後と安くはありませんが、MTBF(平均故障時間)が25万時間となっていて最長です。故障率の低さが魅力か。

 

同様にMTBFが20万時間で保証期間が最長の5年もあるのがCooler Masterの「Mobius 120P ARGBケースファン」。
このファンも故障しにくいから保証期間を5年に出来るんでしょう。
流量75.2、静圧3.6mmH2Oなので静圧が強いです。

 

性能以外にLEDの光り方を含めてデザインが特徴的でカッコいいのはこれらのファン。
Cooler Master「MasterFan MF120 Halo2 120mm ARGB Gen2 PCケースファン ブラック」(MFL-B2DN-21NP2-R2 FN1893)は、円筒形のファンの外周にもLEDが配置されていて側面からもライティングが見えるのが綺麗。
流量52CFM、静圧2.5mmH2Oで流量が若干低いのが難点。
あと、実はこのファンを1度ヨドバシで取り寄せ注文したんですが、生産の目途が経っていないとのことでいつ手に入るか分からなかった(結局キャンセルしました)のも難点。価格は2200円前後。

 

Halo2と似たようなデザイン&価格なのがADATAの「XPG HURRICANE ケースファン ARGB 120mm」(HURRICANE120ARGBPWM-BKCWW)です。
Halo2との違いは側面から見た時のLEDの光り方が若干違うのと、HURRICANEは流量61.5CFM、静圧1.42mmH2OなのでHalo2より流量は大きいが静圧は弱いというところです。
ファンブレードが1枚の羽根ではなく内側外側で違う形状になっていて、2種類のファンを1つに合体させたような形状が特徴的です。F1カーのフロントウィングにも似ています。
この形状により流量と静圧、静音性を両立しているそうです。

 

デザインで外せないのはLianliの「UNI FAN SL-INF」。SF映画に出てきそうな未来的なデザインとライティングです。ファンの中心と側面が無限鏡のようになっているのもカッコいい。そしてLianliのUNI FANシリーズはファン同士をケーブルを使わず直接連結できるのが大きな特徴です。PCへの取り付けやケーブルの取り回しが楽に出来ます。
性能的には流量65.4CFM、静圧2.2mmH2Oと十分。
ただ、ファン1つで5000円近くするのがネック。

 

コスパが良いのはGELID Solutionsの「Stella Infinity FN-STELLA-03」。
形状はHalo2に似たようなタイプでファンの中心がインフィニティミラー。
流量70CFM、静圧1.3mmH2Oで静圧は低いけど流量は充分。
価格はリストアップした中では最安の1100円。お買い得です。

これらの中から今回採用したのはこのファン。

背面のファン用に流量、静圧が120mmARGBファンの中で一番強いSilverStoneの「Shark Force 120 ARGB」を採用。
背面ファンは前面の14cmファン3個が吸気した空気を1個で後方に排気しないといけないしあまり見えないので、デザインよりも排気性能重視でとにかく強いファンを選択しました。


底面のファン用にはデザイン重視でADATAの「XPG HURRICANE ケースファン ARGB 120mm」を採用。
底面ファンは下に電源もあるのでそこまで効果は期待できず補助的なものになるので、見た目重視で選びました。余白の無い形状と円周まで光る派手なライティングがカッコいいです。
とは言え流量は61.5CFMあるので十分でしょう。

 

140mmARGBファン比較・選択

続いてフロントに搭載する為の14cmファンを選びます。

120mmファンと同様に140mmARGBファンの中で性能が高いものをリストアップ。
3つ買わないといけないので3個パックの製品もありますが、リスト上の価格はファン1個あたりの価格に統一してあります。
120mmファンに比べると製品数は少なくなりますが、だいたい120mmファンと同じ製品の140mm版がリストに上がります。
同じ製品の120mmファンと比較して流量と価格が20~30%ぐらい上がり、最高回転数は下がる。静圧とノイズレベルは上がるものもあれば低くなるものもあります。

 

140mmファンの中でも最強は120mmと同じくSILVER STONEの「Shark Force 140 ARGB」(SST-SF140B-ARGB)です。
流量120CFM、静圧4.0mmH2Oは圧倒的な性能。
その分価格は1個4500円で3つ買うのはちょっと躊躇するお値段。

 

底面ファンに採用したADATAのXPG HURRICANEの140mm版(HURRICANE140ARGBPWM-BKCWW)は120mmに比べて流量が62CFMから91CFM、静圧が1.4mmH2Oから2.2mmH2Oと大幅アップ。それでいて価格は2800円とお手頃。
120mmと同様のデザインでカッコいいのも魅力。

 

 

THERMALTAKEの「SWAFAN EX14 ARGB TT Premium Edition」(CL-F168-PL14SW-A)は流量81.6CFM、静圧3.17mmH2Oというなかなかの性能に加え、複数のファンをマグネットで連結できファン同士の接続にはケーブル不要。

さらにファンを逆回転用のファンも付属していて付け替え可能。これらのギミックが魅力です。

価格は3個パックで1万円。

120mm版と同じデザインのLianLiの「LIAN LI UNI FAN SL-INFINITY 140」やCooler Masterの「MasterFan MF140 Halo2 140mm」もカッコよくて良いんですが、どちらも120mm版と性能がそれほど変わらず他の140mmファンに比べると低いのが難点。


性能が高いSILVER STONE Shark Forceか、性能はそこそこ高くコスパとデザインが良いADATA XPG HURRICANEの2択で迷いましたが、最終的にはADATA XPG HURRICANEを購入しました。
フロントファンは外から見えるのでデザインも大事だし、Shark Forceほどの性能が無くても今のファンに比べれば十分な性能なので。

 

ケースファンの増設・交換作業


ケースファンを増設、交換していきます。
これは作業前の状態。

まずは簡単な底面ファンの増設から。

ADATA XPG HURRICANE 120mmを電源シュラウドの上に増設します。
底面から空気を吸い込む吸気ファンとして取り付けるので、ファンを裏返した状態で設置します。
逆回転ファンではない限り、表側から吸気して裏側(ケーブルが見えてたり支柱がある方)に空気が吐き出されます。
本当はこの箇所に逆回転ファンを取り付けると見た目が良いんですが、リストアップした高性能なARGBファンの中では逆回転ファンはLianLiしか無かったので諦めました。
でもこのXPG HURRICANEは裏側も綺麗に光るので問題なし!

XPG HURRICANE 120mmの4-1ピンARGBコネクタをケースのARGBコントローラーに接続し、4ピンPWMコネクタをマザーボードのファンヘッダに接続します。
その後、ファンをケースに固定するんですが、通常ケースファンに付属している固定ネジのサイズはM3.5(3.5mm)なんですが、PCケース(Antec AX-90)の電源シュラウド上のケースファン用固定穴のサイズがM3(3mm)だったので手持ちのM3のネジで固定してます。

裏返し状態ですが綺麗に光ります。

続いて前面ファン3つをXPG HURRICANE 140mmに交換。


左が表面で右が裏面(120mmの方はあまり写真撮ってなかった)。
ファンの形状が独特で、外周にもLEDが配置されているのが特徴。


フロントパネルを外してケース付属の12cmファンを取り外します。

この既存のケースファンはARGBコネクタがデイジーチェーンではないのでそれぞれのファンのケーブルが別々のルートでARGBコントローラーに繋がっています。
なのでパソコンSHOPアークさんが綺麗に組んでくれた裏配線を一旦全部ばらさないといけません(SSD周りとか一部汚いところは自分が後からやった配線です)。

ファンを外すだけだけど、ほとんどの結束バンドを切る必要がありました。

あとはフロントパネルの裏側から留めネジを外せばファンを取り外せます。

Antec AX-90付属のケースファンです。
電源ケーブルはPWM制御に対応していない3ピンです。
弱いファンなのでもういらないんですが、PCが故障したときにアークさんの保証を使う場合は購入時のパーツ構成に戻さないといけないので保管しておきます(戻すのめんどくさいから故障しても保証使わない気もするけど)。

フロントファンが無いまっさらな状態になりました。



まずは下と上のファンを仮止めします。
下と上のファンはいきなり所定の場所に取り付けるとネジ留めがしにくいので、仮止めしてからスライドさせて位置決めします。なので取り付けしやすい真ん中のファンが最後。


最上段のネジは天面のラジエーターを外さないと裏側からネジ留めできないので、(横着して)表側から親和産業の20~25mm厚小型ファン用固定ネジ(SS-NEJI-05)を使って留めてます。

14cmファン3個の装着が終わりました。当たり前だけど隙間なくピッタリです。

付属ファンと違ってARGBコネクタもデイジーチェーン出来る(今販売されているものはほとんど出来る)ので、ARGBコントローラーとマザーボートのファンヘッダにそれぞれ1本ずつケーブルを挿して接続完了。




ファン自体が一回り大きくなったのとHURRICANEはファン外周も光るので派手ですね。
フロントパネルをはめた状態でもメッシュ越しにそのライティングが見えてカッコいいです。
ネオジオングのサイコシャードみたい。


最後にバックパネル上方の背面ファンをSilverStone Shark Force 120 ARGBに交換。
ブレードの鮫肌のようなモールドが特徴です。
ケーブルを抜き差し出来るようになっているので、別のケーブルに交換する事やLED不要の場合はARGBケーブルを接続しないことも出来ます。

ケース付属ファンを取り外し、Shark Forceを取り付けます。
ARGBコントローラーがすぐ近くにあるのでARGBコネクタの接続は簡単。
ファンヘッダはマザーボードの真ん中あたりにあるので、VRMヒートシンクの間を這わせて目立たないように配線。


最後に裏配線を結束バンドでまとめ直して完成です。
それなりに綺麗に戻せたかな。


最終的にはこんな感じになりました。
良い感じです。

 

結果

ケースファン交換後にベンチマークを回してみました。
CINEBENCH R23のスコアは特に変化なし。

3D Mark Time Spyもスコアには変化は無いんですが、ベンチマーク中の平均CPU温度が85℃から77℃まで8℃も下がっているので、かなり効果が出ていると言えるんじゃないでしょうか。
また平常時のCPUやGPU、マザーボードの温度も3~5度ぐらい下がってます。


高回転や大径のファンに変えたのでファンのノイズが気になるようになるかもしれないと思っていましたが、ファンの性能が良くなったおかげで回転数が上がりにくくなり、通常使用では逆に静かになりました。
さすがに高負荷時はうるさくなりましたけどね。

今回はドレスアップも兼ねてケースファンを増設、交換しましたが、全体的に温度が下がりノイズもそんなに大きくはならなかったので満足です。

最近PC関連の記事ばかりでしたが、そろそろ製作記に戻ります。

ではまた!