プロのアスリートは自らが商品だから、オファーの価格がすなわち、その価値だろう。当然、需要が多ければ価格は上がる訳で、大谷翔平の移籍に関連した米メディアの「総額6億㌦(約880億円)」との推定は、あながち法外な金額ではなく、素直にそれだけの値打ちがあるとみて差し支えないかもしれない。
その大谷の移籍先がいよいよ決まるかもしれない。今、テキサス州ナッシュビルで開かれているウインターミーティングに熱い視線が送られている。
マルチ契約というのは複雑、多岐にわたるだろうけど、基本的に先行投資だからその選手の実績を踏まえた可能性が今後、どのくらいあるかということの”値踏み”が極めて重要になる。では野球選手のアスリートとしてのピークは年齢的にどのくらいか。大谷に絡めてそれを推測してみる。例えば、イチローは30歳でメジャー最高打率を記録し、36歳まで3割超える打率を残し続けた。例えば、松井秀喜は33歳と37歳でメジャー最多本塁打を放った。例えば、野茂英雄は34、35歳の両年で16勝の自己最多勝利を記録した。もちろん、個人差が出て多少、ピークの幅は異なるが、概ね、一流選手の残した軌跡をたどると20歳台で一流たる実績を刻み、30歳台の前半にそのピークを迎えるということになる。これにならえば、来季で30歳を迎える大谷はいよいよ選手としての円熟期に入っていくことになる。その価値が総額約880億円に見合うかどうか。
いずれにしてもファンの立場から言えば、大谷の選手としてのピークがこの先にやってきて、過去3シーズンで見せたパフォーマンスを超える成績を残してくれることをひたする祈る。こんなにワクワクすることはめったにない。夢のような金額が、この男には似合う。(12月8日)