■表記
紀 … 磐長姫
記 … 石長比売


■概要
絶世の美女とされる妹の木花咲耶姫(コノハナサクヤヒメ)に対し、姉の磐長姫の容姿は醜態。かたや華やかな「木花」と称されるのに対し、かたや「磐」。あらゆる面において対象的に描かれる姉妹。
◎「笠沙の岬」で出会った美女に天孫ニニギ神は求婚します。すると父神の大山祇神は、姉の磐長姫と妹のサクヤ姫とをセットで送り出しました。ニニギ神は美しいサクヤ姫のみを娶り、醜い磐長姫は送り返されてしまいます。
そして磐長姫の呪いが始まります。美しいが花のように短命とならず、磐のように長い命をもたせるためにセットで送られたのにと。そしてサクヤ姫との間に生まれる子は必ず短命になると。この呪いにより「寿命」というものができ、人の命は短くなったとされています。
◎謎であるのは同じ大山祇神の娘神である木花知流比売神(コノハナチルヒメノカミ)。「咲く」と「散る」で対になっているのは明らかで、サクヤ姫と同一神とみる、あるいは磐長姫と同一神とみるといった説が出されています。
◎日向国児湯郡の銀鏡神社(しろみじんじゃ)には、鏡に映った自身の醜い容姿を忌み、放り投げたとされる鏡が御神体とされています。また姉のサクヤ姫が「富士山」に例えられたために、伊豆の大室山や筑波などでも対峙して祀られていますが、これらは修験道の影響が強く、歴史は浅いかと思います。


■系譜
父神は大山祇神であるが母神は不明。神話ではニニギ神に送り返された後は、どこにも嫁ぐことができず孤独なままに。仮に木花知流比売と同一神とするなら、八島士奴美神(ヤシマジヌミノカミ)と結ばれ布波能母遅久奴須奴神(フワノモヂクヌスヌノカミ)を産んでいます。


■祀られる神社(参拝済み社のみ)

[山城国] 西賀茂大将軍神社(記事未作成)

*相殿・配祀、主な境内社など
[伊勢国] 伊奈冨神社 … 境内社 豊御崎神社

[備後国] 足高神社(倉敷市、記事未作成)

*その他
[丹後国加佐郡] 岩長姫命社(皇大神社内) … 皇大神社の境内に入り込んだ新興宗教団体の社か
[大和国宇陀郡] 岩神社(大宇陀)