鏡作麻気神社
(かがみつくりまけじんじゃ)


大和国城下郡
奈良県磯城郡田原本町小阪244
(P無し、社前は車進入できず近くの川沿いや国道沿いの商業施設等にて)

■延喜式神名帳
鏡作麻氣神社の比定社

■旧社格
村社

■祭神



かつての城下郡「鏡作郷」に鎮座する社。一帯は鏡作社が密集しており、総本社である鏡作坐天照御魂神社は「寺川」の対岸に、他にも鏡作伊多神社(保津)鏡作伊多神社(宮古)鏡作神社(石見)が見られます。
◎ご祭神の天麻比止都彌命は天目一箇神(アメノマヒトツノカミ)のこと。鍛治氏族の祖神であり、「古語拾遺」には「斎部氏をして石凝姥神(イシコリドメノカミ)が裔 天目一箇神が裔の二氏を率い 更に鏡 剣を造らしめて護の御璽(まもりのみしるし)と為す」と天岩戸の段にあります。この剣がどの剣を指すのかは不明。
鏡作坐天照御魂神社にもあるように、鏡作麻気神はおそらく天糠戸命(アメノヌカドノミコト、石凝姥神の親神)であり、どこかで錯誤があったのだろうと。これは神名帳の頭注に「鏡作麻氣神ハ天糠戸命」とあることから。また「和漢三才図絵」にもそのように記されます。
◎社名の「麻気」というのが留意されるところ。「神社覈録」は「假字(仮字)也」としていますが果たしてそうなのか。丹波国船井郡鎮座の摩氣神社はご祭神を大御饌津彦命とし、「御饌(みけ)」は「ま」と「み」は通音であるからというもの。他に近江国高島郡に麻希神社、越前国丹生郡に麻気神社が鎮座します(いずれも未参拝)。いずれも鍛冶と関わりがありそうな地。「麻気」と「鉄」とは何らかの関係があるのかもしれません。

◎ご本殿は東向きであり、穴師の兵主神の方を向いているとも言われています。こちらもまた鍛冶神であるアメノヒボコ神と関わりの深い社ですが、「大倭注進状裏書」にはご祭神は「御食津神(ミケツノカミ)」であり、御神体は「鈴鏡をつけた日矛」とあります。
また「大倭本紀」に「天照大神の始めて天降りし時 護斎鏡三面のうちの一面の鏡並びに鈴子を御食津神と称え奉り…要するに鏡に鈴を付けたいわゆる日矛を以て御食津神の霊代としている」と。つまり八咫鏡は三面作られ、うち一面が当社に有り、その鏡と鈴子が御食津神であるとしています。どうやら「マケ(ミケ)」は鍛冶と大いに関連するものではないかと考える次第。

*写真は2018年4月と2019年4月、2022年10月撮影のものとが混在しています。


アクセスはこの細い路地からのみ。