歌手MAYAの新レーベルANVIVALENCEの1stアルバム『and alone』を聴く
Jazz&Latin歌手・・・という枠からはもうとっくに離れてしまっている歌手MAYAが立ち上げたレーベル『ANVIVALENCE』の1stアルバム、MAYAの育ての親でもあるドラマー松尾明さんの『and alone』を聴いている。

and alone / Akira Matsuo
もう何回聴いたか分からない。
MAYAと言えば、松尾明さんのプロデュースでインディーズレーベル「Jazzfreak Records」でデビューし、アルバム3作目にしてコロムビアからメジャーデビューを果たした。私がMAYAのライブに通い出したのはこのメジャーデビュー直前からだった。
その後、コロムビアの事業縮小に伴いベスト盤を含む5作をリリースした後、寺島靖国さんがプロデューサーのインディーズレーベル「寺島レコード」で6作品をリリースした。
ただ、レーベル主の寺島さんとは楽曲の方向性、音への方向性が異なっていた。酒が入ると寺島さんも良くこぼしていた。
その後、「THINK!」「CRAFTMAN RECORDS」から作品を発表し、ついに自らの音を求めたレーベル『ANVIVALENCE』を立ち上げた。
一聴して寺島さんの音の世界観とは全く異なることが分かる。
前述の通り、MAYAのレーベルの第一作目はドラマーの松尾明さんのアルバムになった。
松尾明さんのドラマーとしての集大成となる意欲的なアルバムで、ドラムとビブラフォン、トランペット、ベースのデュオまたはドラムのソロという非常に変則的な構成になっており、小細工や誤魔化しの利かない作品になっている。
松尾さんの演奏と音は、旧「MEG」でドラムとの距離20cmの超近距離で幾度となく浴びてきた。
本作でその松尾さんの演奏、音をどれだけ浴びることが出来るのか、発売が待ち遠しく楽しみで仕方が無かった。
松尾さん以外の参加メンバーは、ビブラフォンの山本玲子さん、トランペットの牧原正洋さん、ベースの仲石裕介さん。
収録曲毎のメンバーは以下の通り。
1、Sonora (Hampton Hawes) 松尾明/山本玲子
2、Fragile (Sting) 松尾明/山本玲子
3、St.James Infirmary (Joe Primrose) 松尾明/牧原正洋
4、Nigerian Walk (Ed Shaughnessy) 松尾明/牧原正洋
5、Seven Times Around (Akira Matsuo) 松尾明
6、Marcellina (Akira Matsuo) 松尾明/仲石裕介
7、I Surrender Dear (Harry Barris) 松尾明/仲石裕介
8、Rim Stone (Akira Matsuo) 松尾明
収録時間は37分と、時間だけ見ると物足りなさがあるが非常に密度の高い重厚な演奏で聴き応えがある。
1曲目の「Sonora」で山本さんのビブラフォンの音が出る直前の瞬間から音が余韻をもって消えていく瞬間までが非常に静寂を感じる音で、「濁り」という概念が消えていくよう。
ブルーノートや、よもや寺島レコードの様な「重厚さ」ではなく、とにかく「リアル」で空間の透明度が尋常では無い。
張り詰めた空気がビブラフォンの鉄琴が振動、シンバルの揺らめきで動いているのが見えるような誇張の無いリアルを衝撃を冒頭の数秒で感じた。
2曲目の「Fragile」では、1曲目では山本さんのビブラフォンを優しくスネアとシンバルで支えていた松尾さんのドラムから、曲の中盤以降の山本さんとの掛け合いで華々しい力強さを見せ始め、思わず拳を握りしめて聴き入ってしまう。
曲の冒頭から中盤にかけてはタムで山本さんの演奏に心地良いリズムを与えているが、そのタムの響きも皮の振動が見えるような生々しさがあり、透明度が高いのに湿度も感じるようなタムならではの音の説得感が素晴らしい。
3曲目の「St. James Infirmary」では冒頭の牧原さんのトランペットの澄んだ音に吃驚したのも束の間、松尾さんの熱を帯びたドラムの波状攻撃に更に吃驚した。バトル要素の強い演奏で思わずニヤッとしてしまう。
牧原さんと松尾さんの掛け合い、音の応酬がこの曲の聴き所。思わずボリュームを更に上げて聴き入ってしまったが、ボリュームを上げてもうるさくならないのは録音、マスタリングの賜物だ。
そんな松尾さんの怒濤のドラムを聴きながらも、最前列で牧原さんの演奏を聴き口元が見えるようなトランペットの音にもゾクッとした。
4曲目の「Nigerian Walk」も牧原さんとのデュオだが、先ほどの「St. James Infirmary」とは異なりバトル要素は薄まって牧原さんの演奏を引き立てている。
しかし、ただバックでリズムを刻んでいるわけでは無い。
牧原さんとの演奏は両者熱が高い。
5曲目の「Seven Times Around」は松尾さんのオリジナル曲でドラムソロ。
ここに来て更にボリュームを上げて身を乗り出して聴いてしまう。
ライブで何度も聴いた松尾さんのドラムが本当にリアルに眼前に出現する。
一切団子にならないドラムの音の鮮度の高さに改めて驚かされた。
6曲目の「Marcellina」は松尾さんのオリジナル曲でベースの仲石裕介さんとのデュオだが、1分53秒は仲石さんのベースソロ。
このベースソロが素晴らしい。
じっくり聴かせる演奏であることはもちろん、やはりここでもベースの生々しい音に感動してしまう。
指で弾かれた弦の揺れ、胴鳴りしている空気の揺れが、まさにライブで、目の前で演奏を聴いているような錯覚に陥る。
そして合流してきた松尾さんのドラムにハッとする。
松尾さんの書く曲はベースのメロディーラインが美しく、思わず酔いしれてしまうが、本曲の様にデュオでの演奏はライブでも滅多に聴く機会が無かったので非常に嬉しくなる。
7曲目の「I Surrender Dear」では松尾さんが先行して演奏し、そこに仲石さんのメロディーが合流してくるが、先ほどの演奏よりも緊張が緩和され、ゆったりとドラム(ハイハットやブラシ)とベースの奏でるメロディーに浸ることができる。
この曲では松尾さんは仲石さんの深みのある演奏をしっかりと支えている。
しかし、なぜだろう、決して音量としては大きくないはずのブラシで刻むスネアの存在感が際立っている。
最後の8曲目「Rim Stone」は再び松尾さんのオリジナルでドラムソロだ。
先ほどのしっとりと聴かせる演奏とは真逆。
約2分40秒間、松尾さんらしいドラム演奏が繰り広げられるが、奇をてらった演奏手法は取り入れずひたすらドラムを叩き、アッという間に終わってしまう。
非常にあっさりと、「あ、もう終わった!?」と余韻を感じる間もなく演奏が終わる。
松尾さんの美学を感じた。
このアルバムは間違いなく、我が家のリファレンスの一枚に加わった。
本作ではドラムの松尾明さんの魅力がたっぷりと詰め込まれたが、このレーベルの音に対する探究心、そして磨き込まれた音によって更に開花するミュージシャンの表現力を目の当たりにし、次はどんな作品で吃驚させてくれるのか、非常に楽しみだ。
次はボーカル?
ピアノトリオ?
はたまたTAKE TENの様な大編成作品?
夢はどこまでも広がっていく。
こんな時世だがピアニスト坂田尚子の凱旋ライブがはじまる
コロナウィルスで世界中がパニックに近い状態になっているこのご時世ですが、スウェーデンで活躍するピアニスト、坂田尚子さんの凱旋ライブが3月22日から4月5日まで、各地で開催されます。
日本政府は日寄って(というか、後々糾弾されることを恐れて)国民の移動の自由等を制限する「封鎖」は行わず、大規模イベント等の中止や延期、縮小を「要請」するだけで、最終的には主催者の判断に委ねるという責任回避の場当たり対応しかしない為、多くのイベントは中止や延期などの対応をしつつも、多くの小規模イベントは主催者と参加者の自己判断の上で開催されています。
中止を強制されないのであれば主催者は経営面や必要性、安全対策等を検討した上で開催の判断をするケースも多いでしょう。
機会の少ないイベントであればあるほど、開催されるのであればファンとしては行くわけです。
本気でコロナウィルスの国内封じ込めをする決意があるんだったら、無駄な国家予算全てを凍結して国民に現金(日常生活を制限する対価)をばらまいた上で国民全員の移動制限(航空・鉄道を含む全ての公共交通機関の停止や外出禁止命令)や経済活動の制限(企業や商店の営業停止命令)をしてみろ馬鹿野郎・・・等と思うわけですが、結局国内でコロナウィルスが居なくなったところで、海外からまた持ち込まれたら同じなわけです。
であれば、健康に留意しつつ通常の日常生活(満員電車に乗って会社に行くとか)を送らなければならず、イベントに参加したりライブに行くのだって日常生活なわけで、非難をするなら主催者や参加者ではなく、政治に向けてくれ。
と、昨今の一方的に法的根拠の無い自粛を強制される現状に不満を抱きつつ、私としても国内では滅多に聴けない坂田さんの生演奏を聴きたくて仕方が無いので、期間中、あの日とこの日に予約をしております。
だって、前回、坂田さんのライブを聴いたのっていつだっけ?と、確認をしたら2013年の2月でした。
7年ぶりですよ、ライブ。
行かなきゃでしょ!?
と、いうわけで、改めて坂田さんのアルバム『Flower Clouds』を聴いて復習。
うん、やっぱりこの坂田さん独特のリズム感、メロディー展開がものすごく格好イイ。
ただ、このCDでもライブでも、考えたらベースとドラムの入ったトリオの演奏しか聴いていないんだった・・・(ライブで少しピアノソロを聴いたけど)
と、なると・・・ピアノソロだとどこまで自由な坂田さんの世界を堪能できるのか・・・ウキウキが止まりません。
こんなご時世ですがライブが待ち遠しくワクワクしています。
皆さんも是非、日程と体調を調整し、ウィルス対策の上、坂田ワールドに触れて頂ければ!!
ただ・・・体調不良の方はもちろん、高齢の方や持病のある方はお出かけで新型コロナウイルス感染症や影を潜めているインフルエンザに罹患されないようお気を付けください。
オーディオ部屋の窓に内窓(二重窓)を取り付けました
数週間前からお隣の敷地でアパートの建設が始まりました。
以前は高齢のご夫婦がお住まいでしたが、おじさんの方が数年前に亡くなっておばさん一人になり、そのおばさんも亡くなってしまい、息子さんたちはもう別に居を構えていることから、売却が決まったそうなのですが、まさかアパートが建つとは・・・
で、2階のオーディオ部屋とがっつり接した部屋は無さそうなのですが、とは言えオーディオは当たり前ですが「音を出す」趣味のため、できるだけご近所迷惑にならないように楽しまなければなりません。
元の家屋の撤去工事が終わり、基礎工事が進んできてしまった状況を見て、改めて「オーディオ部屋の音ができるだけ漏れないようにしなきゃなぁ」と思い、部屋から外に音が漏れる一番の原因「窓」を何とかしようと。
オーディオ部屋になる前、一番大きな窓があったスピーカー後ろは、オーディオ部屋にすることを決めた時に埋めてしまいました。
さすがに隣の敷地側の窓は埋めてしまうと光取りも換気もできなくなってしまうため、大工さんを呼んで内窓を付けてもらおうかと考えましたが、費用もそこそこかかる上に、工事中はオーディオラックをどこかに撤去しなければならず、ネットで内窓を取り寄せて自分で設置してしまおう・・・という事になりました。
で、色々ネットショッピングサイトを比較、検討した結果、楽天市場でLIXILのIN-PLUSを注文することに。
防音と断熱効果の高い複層ガラス仕様にして、更に断熱性を高めるためにガラスも断熱ガラスを選択します。
注文前に窓枠の幅を上部、中央、下部の3か所測ってそれぞれの長さを確認し、高さも3か所、奥行きも調べてふかし枠の有無なども確認をして申し込みフォームに記載をして発注です。
ここで幅や高さ、奥行きのサイズを測り間違えると見事ハマらない内窓が届いて転用も効かずににっちもさっちも否無くなってしまいます。
サイズの計測が不安な方はお勧めしません。
ちゃんと業者の方に来てもらって工事をしてもらう事をお勧めします。
で、発注後2週間程度で、メーカー側でサイズ通りにカット・加工された内枠上下左右の4本としっかりガラスがはめ込まれた窓が2枚宅急便で送られてきます。
さすが複層ガラスの窓、めっちゃ重いです。
で、1月31日(金)が明けた2月1日の深夜、緊急地震速報が落ち着いてから設置作業をしてみることにしました。
用意した工具はプラスドライバーだけ。
本当は電動ドライバーがあるのですが、真夜中にどこにしまったか覚えていないヤツを探すのが面倒くさいし、電動ドライバーでネジを締める際に、一定以上のテンションをかかると空回りするあの音が深夜作業には向かないな・・・と、ドライバー1本で設置を進めてみることにしたわけです。
で、届いた段ボールから内枠4本と内枠上部用のアジャスター枠を取り出し、説明書通りアジャスター枠を内窓上部に取り付けてから左右の内枠をネジ止めし、内枠下側をネジ止め、最後に内枠上部をアジャスターを噛ませながらネジ止めして内枠の取り付けは完了です。
合計で何か所ネジ止めしたかな・・・後半はドライバーを回す腕が怠くなりましたが、でもまぁ、電動ドライバーなしでもなんとかなりました。
最後に窓を段ボールから慎重に取り出してパッキンを外し、枠にハメ込めば作業完了です。
作業中の写真も撮らず、休憩らしい休憩も入れずに作業をしたら1時間程度で完了しました。
案外楽勝です。
なるほど、内窓の取り付けがこんなに簡単にできるとは。
夜中の冷たい冷気も外窓と内窓の間で止まって、内窓を触っても冷気を感じません。
これまでは外を通る車の音や緊急車両のサイレンの音が窓を通して聴こえてきましたが、その音量も非常に小さくなり大満足です。
「俺はちゃんと窓枠のサイズくらい測れるぜ!」という自信のある方は検討をしてみてはいかがでしょうか?
あとは自主規制として、「原則夜10時以降はオーディオを聴かない(聴く場合は極めて小音量で)」を今まで以上に徹底するしかないかな・・・。
どうか変な人が入居しませんように。