2013年2月9日 Naoko Sakata Trio in 新宿PIT INN
3連休の初日、9日の土曜日に新宿PIT INNの坂田尚子Trioのライブに行ってきました。
1作目のCD「Kaleidoscope」が出たとき、澤野工房の石井さんから「スウェーデンで活躍してる日本人のピアニストで、とにかく凄いんですよ!ウチは基本的に日本人の作品は扱わないんだけど、日本人には無いリズムを持ってる。とにかく聴いてみて下さいよ!」と力説され、試聴機で聴いた演奏に圧倒。その場でCDを購入しました。
で、先日の「メグの紅白ジャズ合戦」で石井さんにお会いした際に、坂田尚子さんの帰国ライブが有る事を聞き、「東京は新宿のPIT INNだけなんだけど、後藤さんには聴いて欲しいんですよ!2月9日、4000円なんだけど、とにかく席は取っておきますから!」と、今回も力説され、オイラもあのCDで聴いた演奏を生で体験できるのかと思うと居ても立ってもいられず、席を確保して貰う事に。
そんなわけで、吉祥寺MEGでの女子オーディオ前日で、しかも明日は昼間のイベントにも参加しなきゃいけないので色々と準備しなきゃいけないのに、ウキウキと新宿へ出かけて参りました。
PIT INNに到着すると、澤野工房の石井さんが居たので早速ご挨拶。
で、席を探してきょろきょろしていると、久しぶりにお会いするMOONKSの白澤さんとお会いしたので白澤さんと相席しようかな・・・と思ったところ、最前列の席に見知った顔が・・・
MAYAファン仲間のI氏が一番前の、しかもピアノの真ん前の席に座っているではありませんか!
しかも、どうやら隣の席は空いている様子。
白澤さんにご挨拶してイソイソとI氏の隣の席へ・・・。
すると、後ろの席にはMEG仲間の人妻Aさんとそのご主人、さらにJazzCab藤田さん!!
なんと、ここだけ空気がMEGになっている感じです。
で、色々お話ししているとライブの開始時間も近くなってきたのでトイレに行く事に。
すると、さっきは気付かなかったけれど・・・・おぉぉ、石井さんが「ライブまで間に合わないかも知れない」と心配していた坂田尚子トリオの新作「Flower Clouds」が並んでいるではありませんか!
「いやぁ・・・ホント、ぎりぎりまで分からなかったんだけど、何とか間に合いました。」とニッコリしている石井さん。
トイレから戻ってくるときに早速1枚購入させていただきました。
そんなわけで、間もなくライブが始まりました・・・
しっかりと入った黒いアイラインに長さが左右非対称の赤髪、そして真っ黒のドレスを纏った坂田さんが席のすぐ横を通って目の前のピアノに座ります。
そしてBassのAnton Blomgren、DrumsのJohan Birgeniusも続いて登場。
・・・3人が楽器を手にした瞬間、それまで和気藹々としていた周囲の雰囲気がスーッと変わっていきます。
色で言うと・・・深い青。
そして演奏が始まった瞬間・・・会場の空気がピンと張り詰め、3人が活躍している冬のスウェーデンの景色が浮かんでくるような錯覚に陥ります。
スウィングをしない、同じ旋律を繰り返さない、フリースタイルのようなこの演奏は、観ては絶景、聴いては戦慄。
恐らく、ほかに当てはめられる音楽のジャンルが無いので「ジャズ」と言う事になっているのかも知れないけれど、これは「坂田尚子トリオ」というジャンルの音楽です。
そう感じました。
後に人妻Aさんが「殺気を感じた」と言われたのが良く分かるような、矛盾をしているようですが3人の絶対零度のような熱気がズシーン・・・と刺さってくるのです。
坂田さんのピアノは、弦を直接指で弾く、押さえる、鍵盤を叩き付けるなど様々なテクニックを駆使しているのですが、ただ見せる為だけのテクニックではなく、坂田尚子トリオの世界観を表現する音を出す為のテクニック。
しかも、上記の文字面だけ見ると「山下洋輔的な?」と思われるかも知れませんが、これが全然違うんです。
山下洋輔さんの演奏も好きなのですが、やはりあの人の演奏を聴くと根底に日本人を感じるのですが、坂田さんの演奏にはそれが全くない。
リズムも、繰り出す旋律も、引き算の様な独特な「間」を感じます。
さらに、左右非対称の髪を左右に振り乱しながら演奏している様はまさに狂気を感じる瞬間です。
ちなみに、休憩時間中に坂田さんの新譜のライナーを書いた前泊さんが感動のあまり満面の笑顔で我々のところに来て、「いや、やっぱりこのトリオはスゴイ!最後(1ステージ目の)に演奏をした曲、2ndアルバムに入ってるんだけど、そのまんまなんだよ!普通、あれだけフリー的な演奏をしていると、CDに入っている演奏とは違う演奏になるのが当たり前なんだけど、今聴いたまんまの演奏がCDに入ってるんだよ!こんな事あり得ない!!」と、解説してくれました。
もちろん、「フリーで」と、全くのフリーで3人が演奏した曲もありますが、その時の3人の緊張感、信頼感は、やはり観て感じて貰いたい・・・例えば、AntonとJohanがコール&レスポンスのように呼応しながら競り合っているのをピアノに前のめりになって寄りかかりながら笑顔で聴いている坂田さん、そんな坂田さんが入ってくるのを横目で確認しながら、入ってきたら目を瞑って、寡黙に坂田ワールド作りに勤しむAnton、そして裏でしっかりとリズムキープをしながらも演奏ではそれを感じさせずに不規則とも思えるリズムでピアノを支えているJohan。
この3人の一人でも欠けたらこの「世界」は成り立たないのではないか・・・と思えるような演奏でした。
ちなみに、そんな狂気の様な演奏を聴かせてくれる坂田さんですが、しゃべり出すと・・・可愛いんだなぁ・・・
優しい関西弁(坂田さんは奈良出身)で、可愛らしい声(個人的には安田美沙子のように感じました)でMCをするのですが、メンバーとはスウェーデン語、お客さんには日本語で・・・というのがここ5年日本語をほとんど使わない生活を送ってきた坂田さんにはなかなかハードルが高いそうで、「ご飯を食べに行ったら店員さんに英語で話しかけられたんです~。」と苦笑いしていました。
このホワ~ンとしたお喋りの雰囲気が・・・演奏になると180度変わるのが・・・さすがアーティストだ・・・
ライブ終了後、CDへのサインと写真撮影をお願いすると喜んで応じてくれました。

左から Anton Blomgren(Bass)、坂田尚子(Piano)、Johan Birgenius(Drums)
坂田尚子さん、Anton Blomgren、Johan Birgenius、素晴らしい演奏、ありがとうございました!!
坂田尚子さんのCD


Kaleidscope / Naoko Sakata Trio
HMVでの購入はコチラ
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Flower Clouds / Naoko Sakata Trio
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1作目のCD「Kaleidoscope」が出たとき、澤野工房の石井さんから「スウェーデンで活躍してる日本人のピアニストで、とにかく凄いんですよ!ウチは基本的に日本人の作品は扱わないんだけど、日本人には無いリズムを持ってる。とにかく聴いてみて下さいよ!」と力説され、試聴機で聴いた演奏に圧倒。その場でCDを購入しました。
で、先日の「メグの紅白ジャズ合戦」で石井さんにお会いした際に、坂田尚子さんの帰国ライブが有る事を聞き、「東京は新宿のPIT INNだけなんだけど、後藤さんには聴いて欲しいんですよ!2月9日、4000円なんだけど、とにかく席は取っておきますから!」と、今回も力説され、オイラもあのCDで聴いた演奏を生で体験できるのかと思うと居ても立ってもいられず、席を確保して貰う事に。
そんなわけで、吉祥寺MEGでの女子オーディオ前日で、しかも明日は昼間のイベントにも参加しなきゃいけないので色々と準備しなきゃいけないのに、ウキウキと新宿へ出かけて参りました。
PIT INNに到着すると、澤野工房の石井さんが居たので早速ご挨拶。
で、席を探してきょろきょろしていると、久しぶりにお会いするMOONKSの白澤さんとお会いしたので白澤さんと相席しようかな・・・と思ったところ、最前列の席に見知った顔が・・・
MAYAファン仲間のI氏が一番前の、しかもピアノの真ん前の席に座っているではありませんか!
しかも、どうやら隣の席は空いている様子。
白澤さんにご挨拶してイソイソとI氏の隣の席へ・・・。
すると、後ろの席にはMEG仲間の人妻Aさんとそのご主人、さらにJazzCab藤田さん!!
なんと、ここだけ空気がMEGになっている感じです。
で、色々お話ししているとライブの開始時間も近くなってきたのでトイレに行く事に。
すると、さっきは気付かなかったけれど・・・・おぉぉ、石井さんが「ライブまで間に合わないかも知れない」と心配していた坂田尚子トリオの新作「Flower Clouds」が並んでいるではありませんか!
「いやぁ・・・ホント、ぎりぎりまで分からなかったんだけど、何とか間に合いました。」とニッコリしている石井さん。
トイレから戻ってくるときに早速1枚購入させていただきました。
そんなわけで、間もなくライブが始まりました・・・
しっかりと入った黒いアイラインに長さが左右非対称の赤髪、そして真っ黒のドレスを纏った坂田さんが席のすぐ横を通って目の前のピアノに座ります。
そしてBassのAnton Blomgren、DrumsのJohan Birgeniusも続いて登場。
・・・3人が楽器を手にした瞬間、それまで和気藹々としていた周囲の雰囲気がスーッと変わっていきます。
色で言うと・・・深い青。
そして演奏が始まった瞬間・・・会場の空気がピンと張り詰め、3人が活躍している冬のスウェーデンの景色が浮かんでくるような錯覚に陥ります。
スウィングをしない、同じ旋律を繰り返さない、フリースタイルのようなこの演奏は、観ては絶景、聴いては戦慄。
恐らく、ほかに当てはめられる音楽のジャンルが無いので「ジャズ」と言う事になっているのかも知れないけれど、これは「坂田尚子トリオ」というジャンルの音楽です。
そう感じました。
後に人妻Aさんが「殺気を感じた」と言われたのが良く分かるような、矛盾をしているようですが3人の絶対零度のような熱気がズシーン・・・と刺さってくるのです。
坂田さんのピアノは、弦を直接指で弾く、押さえる、鍵盤を叩き付けるなど様々なテクニックを駆使しているのですが、ただ見せる為だけのテクニックではなく、坂田尚子トリオの世界観を表現する音を出す為のテクニック。
しかも、上記の文字面だけ見ると「山下洋輔的な?」と思われるかも知れませんが、これが全然違うんです。
山下洋輔さんの演奏も好きなのですが、やはりあの人の演奏を聴くと根底に日本人を感じるのですが、坂田さんの演奏にはそれが全くない。
リズムも、繰り出す旋律も、引き算の様な独特な「間」を感じます。
さらに、左右非対称の髪を左右に振り乱しながら演奏している様はまさに狂気を感じる瞬間です。
ちなみに、休憩時間中に坂田さんの新譜のライナーを書いた前泊さんが感動のあまり満面の笑顔で我々のところに来て、「いや、やっぱりこのトリオはスゴイ!最後(1ステージ目の)に演奏をした曲、2ndアルバムに入ってるんだけど、そのまんまなんだよ!普通、あれだけフリー的な演奏をしていると、CDに入っている演奏とは違う演奏になるのが当たり前なんだけど、今聴いたまんまの演奏がCDに入ってるんだよ!こんな事あり得ない!!」と、解説してくれました。
もちろん、「フリーで」と、全くのフリーで3人が演奏した曲もありますが、その時の3人の緊張感、信頼感は、やはり観て感じて貰いたい・・・例えば、AntonとJohanがコール&レスポンスのように呼応しながら競り合っているのをピアノに前のめりになって寄りかかりながら笑顔で聴いている坂田さん、そんな坂田さんが入ってくるのを横目で確認しながら、入ってきたら目を瞑って、寡黙に坂田ワールド作りに勤しむAnton、そして裏でしっかりとリズムキープをしながらも演奏ではそれを感じさせずに不規則とも思えるリズムでピアノを支えているJohan。
この3人の一人でも欠けたらこの「世界」は成り立たないのではないか・・・と思えるような演奏でした。
ちなみに、そんな狂気の様な演奏を聴かせてくれる坂田さんですが、しゃべり出すと・・・可愛いんだなぁ・・・
優しい関西弁(坂田さんは奈良出身)で、可愛らしい声(個人的には安田美沙子のように感じました)でMCをするのですが、メンバーとはスウェーデン語、お客さんには日本語で・・・というのがここ5年日本語をほとんど使わない生活を送ってきた坂田さんにはなかなかハードルが高いそうで、「ご飯を食べに行ったら店員さんに英語で話しかけられたんです~。」と苦笑いしていました。
このホワ~ンとしたお喋りの雰囲気が・・・演奏になると180度変わるのが・・・さすがアーティストだ・・・
ライブ終了後、CDへのサインと写真撮影をお願いすると喜んで応じてくれました。

左から Anton Blomgren(Bass)、坂田尚子(Piano)、Johan Birgenius(Drums)
坂田尚子さん、Anton Blomgren、Johan Birgenius、素晴らしい演奏、ありがとうございました!!

Kaleidscope / Naoko Sakata Trio
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Flower Clouds / Naoko Sakata Trio
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