公的介護保険は要支援認定か要介護認定を受けた人が1割~3割の自己負担(所得によって何割かは決まる)を支払う事で介護サービスを受けられる(残額は保険者である市区町村が支払う)という制度ですが、その利用額には上限が設定されているものがあります。それは「在宅サービスや地域密着型サービス」「特定福祉用具の購入」「住宅改修費」です。今回はそれぞれを利用できる上限額について解説していきます。
前置きとして言っておきますが、この「上限額」とはあくまで「公的介護保険制度」を利用できる(1~3割の負担で利用できる)限度額です。なのでそれ以上のサービスを利用する事ができないという訳ではなく、「公的介護保険」を使わずに全額自己負担すれば、サービスの利用自体は可能という事をご理解下さい。
「在宅サービス等」の上限額の制度は少しだけ複雑なので、今回は「特定福祉用具の購入」と「住宅改修費」に絞って解説していきます。
「特定福祉用具の購入」の上限は全国共通で1年間(4月~翌3月)で10万円、「住宅改修費」の上限も全国共通ですが1年間の限度ではなく原則1人につき1回のみ(症状が進んでしまい介護認定の度合いが上がってしまった時等の例外あり)で20万円までです。
「特定福祉用具」とは「リクライニング機能のある入浴用の椅子」や「立ち上がり補助機能を有した腰掛便座」等の介護に必要な用具です。可能な限り自宅での自立した生活をしてもらう為の制度なので、施設に入所している人は原則対象にはなりません。当然何でもかんでも介護に使う物なら良いという訳ではなく、例えば「腰掛便座」ならどのような機能を持ったものしかダメといった指定がありますので、ちゃんと確認してから購入された方がいいと思います。一旦全額支払った後に市区町村に請求するか、自己負担額のみを支払い、残額を市区町村から支払ってもらう「受領委任払い」(市区町村に届け出のある業者のみが対象)があります。
「住宅改修費」とは「手すりの取り付け」「滑らない為の床材変更」「バリアフリー工事」等です。一旦全額を支払った後に市区町村に請求をします。必ず改修前に「申請書」「見積書」「理由書」等の必要書類(各市区町村に要確認!)をそろえて事前申請をする必要がありますので注意しましょう。工事完了後の請求の際にも「領収書」「支給請求書」「居宅サービス計画書」等の必要書類(市区町村に要確認!)をそろえて請求する必要があります。
また、自治体によっては介護リフォームに関する「助成制度」や「補助金」がありますので、そちらも確認しておいた方が良いですね。
どちらの制度も上限額は自己負担額の上限ではなく、元々の金額の上限設定ですので、例えば2割負担(何割負担かは所得によって異なります)の人が1年間で13万円の特定福祉用具を購入した場合の自己負担は、2万円(上限10万円の2割)+3万円(13万から上限10万を引いた残額)で5万円となります。
さて今回は以上です。次回は今回後回しにした「在宅サービス」等の上限について解説していきたいと思います。
公的介護保険の知識は民間保険を選ぶ際には絶対に知っておいてほしい知識です!賢く民間保険に加入する為、ちゃんと自分で考えて民間保険を選ぶ為、もしくは民間保険に入らないという選択肢を取る為にゆっくり学んでいきましょう!
それでは皆さん、良い週末を!ほなまた〜〜~~!
※今回の記事は2023年10月20日時点での情報です。御覧になるタイミングによっては最新の情報ではありませんので注意して下さい
【公的介護保険に関して~目次~】
(要介護(要支援)認定の仕組みおよび制度について・有効期限と更新について)
④公的介護保険の保険料について 第1号被保険者(65歳以上)の場合・第2号被保険者(40歳以上65歳未満)の場合