要介護(要支援)認定の仕組みおよび制度について | 四姉妹のパパは保険屋さん 〜保険は賢く活用しよう!〜

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長崎の保険代理店(有)ビッグ・ワンの代表取締役大木敬介のブログです。
2023年9月まではただの雑記ブログでしたが、今は賢く民間保険に入る為の周辺知識を頑張って発信しています。

今回は公的介護保険で給付を受ける為に必要な要介護および要支援の認定について解説します。

 

要介護(要支援)の認定は、その人がどれくらい介護サービスが必要かを判断するものです。病気がどれくらい重いかという判定ではなく、実際にどれくらいの補助や介護が必要かを判断する認定の制度になっています。なので要介護度が高い人の方が必ず重い病気だという訳でもありません。

 

例えば、「認知症の方で歩行に問題のない人」と、「認知症が更に進んだ上にその他の身体上の老化も進み運動能力が著しく低下した人」とを比べた場合、症状が重いのは後者ですが、前者の人に「徘徊等の問題行動」等があったりすると、逆に介護に要する手間が多くかかってしまいます。このような場合では、結果として前者の方が要介護度が高く判定されるという事もあります。

 

要介護(要支援)認定を受ける為には、先ず本人か家族が市区町村などに申請する事が必要です。申請の際には「申請書」「介護保険の被保険者証」「健康保険の保険証(第2号被保険者(65歳以下)の場合)」「マイナンバーカードもしくはマイナンバー通知カード(申請書に記入するため)」が必要になります。

申請すると、市区町村が主治医に依頼して意見書を作成してもらいます。主治医がいない場合は、市区町村の指定医の診察が必要です。

その後、市区町村の職員が自宅を訪問して調査を行います。調査には基本調査(74項目)と特記事項があります。その訪問調査の結果をもとにコンピューターで一次判定を行います。コンピューターによる一次判定は、「1分間タイムスタディ・データ(介護老人福祉施設や介護療養型医療施設等の施設に入所・入院されている3,500人の高齢者について、48時間にわたりどのような介護サービスがどれ位の時間にわたって行われたかを調査した結果)」というものから推計します。

 

このコンピューターによる推計は、「直接生活介助」「間接生活介助」「BPSD関連行為」「機能訓練関連行為」「医療関連行為」について、要介護認定等基準時間を算出し、その時間と認知症加算の合計をもとに判定します。段階は要支援が1~2段階、要介護が1~5段階で、要支援より要介護の方が、数字が少ないより多い方が、より介護の手間が必要という判定です。以下コンピューターによる一次判定の基準です。

 

要支援1:要介護認定等基準時間が25分以上32分未満又はこれに相当すると認められる状態

要支援2および要介護1:要介護認定等基準時間が32分以上50分未満又はこれに相当すると認められる状態

要介護2:要介護認定等基準時間が50分以上70分未満又はこれに相当すると認められる状態

要介護3:要介護認定等基準時間が70分以上90分未満又はこれに相当すると認められる状態

要介護4:要介護認定等基準時間が90分以上110分未満又はこれに相当すると認められる状態

要介護5:要介護認定等基準時間が110分以上又はこれに相当すると認められる状態

(要支援2と要介護1の違いについては今回の記事では割愛します。)

 

この一次判定は、要介護認定等基準時間にもとづいて行いますが、これはあくまで算定基準としての時間なので、実際に家庭で行われる介護時間とは異なります。あくまでも介護の必要性を量る「基準」なので、介護サービスを受けられる時間とも連動するわけではありません。

 

一次判定の結果が出たら、訪問調査の特記事項の結果、主治医意見書を考慮して「介護認定審査会」が最終どの段階になるかを、判定します。認定されたら通知がされますが、通常、介護認定申請から結果通知まで30日程度(地域によっては1~2か月)かかるようです。

 

ここでやっと介護サービスが受けられるようになりますが、その段階により受けられるサービスが異なってきます。ざっくり言うと、要支援1~2だと「介護予防給付」による介護予防サービスが、要介護1~5だと「介護給付」による介護保険サービスが利用できます。サービスの内容に関しては後日改めて解説しますね。

 

なんだかんだ書いてきましたが、結構複雑ですよね。実際申請してみないとどの段階なのかは解りません。しかし、ある程度どのような状態がどの判定になるのかという目安を「生命保険協会」が示してくれていますので、そちらも掲載しておきます。
要支援1:立ち上がりなど日常生活の動きの一部に支障をきたしている。
要支援2:身の回りのことなど日常生活の一部に何らかの支援が必要である。
要介護1:日常生活の動作、食事、排泄などに何らかの介助を必要とする。物忘れおよび理解の一部低下がみられることがある。
要介護2:日常生活の動作、食事、排泄などに何らかの介助や支えを必要とする。物忘れおよび理解の一部低下がみられる。
要介護3:日常生活の動作、食事、排泄などに介助や支えを必要とする。物忘れおよび直前の動作の理解に一部低下がみられる。
要介護4:食事、排泄を含む日常生活全般がひとりではほとんどできない。多くの問題行動や理解の低下がみられる。
要介護5:食事、排泄を含む日常生活全般がひとりではできない。多くの問題行動や全般的な理解の低下がみられる。
(出典:生命保険協会「生命保険大学 社会保障制度テキスト」)

 

さて今回は以上です。

 

公的介護保険の知識は民間保険を選ぶ際には絶対に知っておいてほしい知識です!賢く民間保険に加入する為、ちゃんと自分で考えて民間保険を選ぶ為、もしくは民間保険に入らないという選択肢を取る為にゆっくり学んでいきましょう!

 

それでは皆さん、ほなまた〜〜~!

 

※今回の記事は2023年10月19日時点での情報です。御覧になるタイミングによっては最新の情報ではありませんので注意して下さい!

 

【公的介護保険に関して~目次~】

公的介護保険制度ってどんな制度?

公的介護保険制度の対象年齢

公的介護保険の給付の要件

 (要介護(要支援)認定の仕組みおよび制度について有効期限と更新について

公的介護保険の保険料について 第1号被保険者(65歳以上)の場合第2号被保険者(40歳以上65歳未満)の場合

公的介護保険で受けられるサービスについて

 (特定福祉用具購入および住宅改修に関する利用上限額について在宅サービスの利用上限額について

公的介護保険の自己負担割合について

高額介護サービス費について