中編では、PX品やレプリカが極端に少ないor存在しないものばかりを紹介します(※追記しまくりのため再度UPします)。
*防暑靴
(防暑靴3型)
どこでどう使われていたのかは分かりませんが、2002~3年に戦闘靴2型が登場した際、戦闘靴2型の外観そのままに通気性などを改善した「防暑靴3型」が登場しました。
とはいえ外観に大きな違いがないので、コレを普通に隊員さんが履いていても写真に写っても、気づかれることはまずないと思います。
もちろんワシも見たことはありません。
ただ、本家のミドリ安全から、なぜかこの防暑靴3型のレプリカが市販されたことがありました。
2014年から一時期市販されていた、ミドリ安全の「ミリタリーブーツ」(3万円)。
なぜこれが防暑靴3型のレプリカなのか?と決めつけられるのかと言うと、ついているタグは「ミリタリーブーツ」なものの、箱には「防暑3型」という記載があったため。
RANGERさんでも「戦闘靴防暑3型」という名称で販売していました。
前述の通り、ぱっと見は戦闘靴2型と同じようですが、両足の内側に通気ハトメがある・側面のナイロンと防水内張りが戦闘靴より薄手・縫製が若干違うなど、後述の防暑靴4型と同じ造りになっています。
左が戦闘靴2型、右がこの防暑靴3型レプのミリタリーブーツ。
アキレス腱の辺りに横一文字に縫製が入っているのが、防暑靴の特徴です。
内部の素材も戦闘靴とは異なり、後述の防暑靴4型と同じ素材に見えます。
なぜ戦闘靴2型とちょっと違う縫製やナイロンに内張なのかずっと不思議だったのですが、当初は戦闘靴2型のレプリカを本家が出すなら官品と同じモノは出せないハズで、だから各部の仕様を変更したんだな…等と思っていたものでした。
それが「防暑靴3型の市販版」と思えば、合点が行きます。
ちなみにフィールドでコレを履いてる人を見ると、水抜きハトメがもげていることがけっこうあります。
絶版なのでもう新品購入できません。
また販売してくれないものか・・・。
(防暑靴4型)
2003年末からのイラク派遣で登場した茶色いブーツは、前述の防暑靴3型の革をスウェード地に変更したもので、防暑靴4型という名称になりました。
各部の縫製やハトメなど、防暑靴3型レプと同じことが分かります。
面白いのは、このりっくんらんどに展示されている2004年製のものは、かかと部の形状が2型でなく、まだ登場していないハズの2型改の形状なこと。
そのくせ2型同様、履き口後方のツマミは残っていたり…。
この頃はいろいろと模索していたのですね。
それと内側側面には、水抜きのハトメ穴があります。
側面のナイロンや内張は、防暑靴3型レプリカと似たようなものです。
撥水性は良く、また磨かなくていいために派遣隊員には歓迎されたという話もありますが、防水性能は通常の2型に劣るので、持っていても普通の演習で使う人はいないとか…。
それにハトメは割と取れやすいですが、取れても簡単にはつけなおすことができないのが難点。
レプリカとしてはどこにもないので、ミドリ安全さん作ってくれないものかしら。
*空挺用
空挺隊員用の半長靴は、特殊用途のためにあちこち仕様が異なっています。
(半長靴・空挺用)※名称は知らないのでテキトー
(タグなし官同品)
いつこの空挺用半長靴が登場したのか知らないのですが…。
一般用の茶色の半長靴に比べて、紐をひっかけるフックがなくなったのと引き換えにハトメが多くなり、ふつうの半長靴よりもしっかりと紐を結ぶことができるようになっています。
ただし降下をしないようなときには、ハトメを飛ばして靴紐を結んで足首を動きやすくするとか。
そして皮は、旧茶半と同じ革かと思ったらさにあらず、なぜかこのようにツルツルです。
なんでこうも必要以上にピカピカな革を使っているのか不明。
ソールは茶半と同じ。
当然ながら、脱ぎ履きはかなり大変。
そりゃあ一度履いたら脱ぐことを想定してないでしょうからね・・・
ちなみにレプリカは、現役当時はPX品の官品同等品がけっこう出回っていたので、今でも探せば見つかると思います。
とはいえかなりタマが少なくなってきてるので、お値段は高騰・・・。
(とあるところで撮影させてもらいました。わざわざ脱いでくださりありがとうございます)
戦闘靴が2002~3年頃に黒革の2型になったのと同時期に、空挺用の靴もリニューアルされました。
戦闘靴一般用の造りに近いですが、サイド部の布地がなく全革で、高さを高くし、ハトメを多くして足首を保護するような仕様になっているのは半長靴・空挺用と同じ理由ですね。
相当にムレそうです。
なお、内側の土踏まずの横には補強革がついています。
これはラペリング降下する際に、両足でロープを挟み込む際にロープが当たるため。
ソールや中も一般用の戦闘靴と同じ。
レプリカやPX品はありません、多分。
(戦闘靴2型(いわゆる改)・空挺用)
戦闘靴の一般用が若干改修されるのとおそらく同時に、空挺用も改修されました。
従来の空挺用のものと同様ハトメ・スピードレース金具が多いまま、一般用のように側面がナイロンになりました。
ただしこのタイプは、内側に補強の当て板がありません。
ラペリングの際に困らないのかな・・・と思ったのですが、実際には当て布がなくても問題ないことが分ったために当て布が廃止されたとか。
これもレプリカやPX品はありません。
(戦闘靴3型・空挺用)
戦闘靴一般用の3型への更新に伴い、空挺用も2023年から支給が始まりました。
それまでの空挺用とガラリと変わり、戦闘靴3型の形状そのまま、コヨーテタン色のスウェード革のものに。
履き心地がかなり柔らかいそうです。
それまでの空挺靴は「半長靴」というより「長靴」で、短くして降下の着地の際に大丈夫なのか?という点については、どうも研究によって「長いから衝撃に強いわけではない」という結論になり、特別に足首の補強をして対策したそうです。
でもそういうことは抜きにして、なんだかカッコいいですね。
おまけに磨かなくて済むので楽なのではないでしょうか(専用クリームとブラシでケバ立たせる)。
でも強く擦れたりするとスウェード地が剥げ、普通の革のように靴墨でごまかすようなことができないと思うのですが・・・
ちなみにこの3型空挺用、後述の水陸用2型と外観は同じです。
(2024年4月追記)
習志野駐屯地の創立記念行事で、かなりの隊員さんが新型戦闘靴を履いていました。
ものノフさんから画像を頂戴しました(ありがとうござます!)
ソールから見れば、「防暑靴か」と思ってしまいそう。
しかし昔のように新しい装備を徐々に…ではなく、ほとんど部隊まとめて更新してるっぽくて、良いことです。
*水陸一般用
(戦闘靴・水陸一般用)
2018年に発足した、西方普通科連隊の流れをくむ水陸機動団。
海に親しむことが多いため、これまでの戦闘靴2型改と同様の形状で、緑色の革が使われたちょっと異様な「戦闘靴・水陸一般用」が採用されました。
ずんだ餅の色みたいなので界隈では「ずんだ靴」と言われていましたね。
用途から当然水抜き穴は必要ですが、前述の防暑靴4型のような水抜きハトメではなく、水抜き小穴がいくつかあいています。
しかし水は抜けるけど「入ってもくる」そうで、でも入ってきた水を抜くことが先決だから仕方ないですかね。
しかしこの緑色、海での強烈な日差しに当てられるためか、退色してベージュ色になっている写真もよく見ます。
また、同じ色のちょうどいい靴墨が支給されていないそうで、普通の黒革戦闘靴のようにピカピカに保つのが難しいとかなんとか。
(戦闘靴・水陸一般用・フォローアップ)
水機団向け装備は水機団編成前に仕様が決定されたことから、実際の運用で実態に合っていないことも多々あるそうです。
前述の“ずんだ靴”もそのようで、2022年からはベージュ色スウェード革の「戦闘靴・水陸両用フォローアップ仕様」が支給されるようになりました。
(とある方からいただいた画像)
見た目は防暑靴4型っぽいですね。
(戦闘靴2型・水陸一般用)
一般用の戦闘靴が3型に移行し、その3型の裁断そのまま2023年に水陸用となったのがコレ。
一般用も空挺用も「3型」なのに、水陸用はもともと当初型しかなかったせいか、「戦闘靴2型の水陸一般用」という区分けになっているのがまたややこしいところ。
そしてコイツと外観が同じなのが、既述の戦闘靴3型の空挺用。
レプリカの登場が待ち遠しいです。
*装甲用
戦車や装甲車の乗員向けに、専用のブーツがあります。
(半長靴/戦闘靴・装甲用)
昔はこういう、長靴のような感じのものでした。
ソールは旧茶半と同じ。
昔…とはいうものの、実際には2000年代後半までコイツが支給されていたようです。
戦車靴は、車両乗車時に被弾したりして靴を何かに挟まれた際、迅速に救助するために靴を脱ぎやすくしています。
この靴は口がガバガバで、足を入れてからスネ部のベルトを絞って留めます。
万一靴が何かに挟まれたら、ベルトを開放して足だけ引き抜くという感じですね。
しかし実際にはコレが支給されず、普通の茶半のままの乗員さんも多かったとかなんとか・・・
昔は普通にPX品が売られていたので、今も探せばオクで見つかりますが、けっこう高値。
(戦闘靴2型・装甲用)
(某駐屯地表敬訪問の際に撮影)
2003年に茶革から黒革の戦闘靴2型に変わったのと同時に、戦車靴も戦闘靴同様の素材のものに変りました。
ただし靴紐による編み上げ式でなく、紐で締めて面ファスナーでとめるタイプになり、緊急時に脱がせやすくなっています。
同様に狭い車内でもサイズ調整もしやすくなっています。
しかし実際にはそのような状況下にないせいか、単に「脱ぎ履きしやすくて楽な半長靴」に成り下がっているという噂も…。
ソールは一般用の戦闘靴とは微妙にパターンが違っています。
理由は、戦闘靴一般用はミドリ安全製ですが、装甲用は青木安全製だからのようです。
しかし下車時の作業や警戒も多くあるためか、一般用の戦闘靴を履いている乗員さんの写真もよく見かけます。
ちなみに当然ながら、脱ぎ履きはとても簡単。
ただ、一般用の戦闘靴2型に比べると、履いた時の包まれ感がちょっとないかも。
また、面ファスナーが金具に引っかかって剝がれやすいという弱点があるそうです。
PX品は見かけないので、どこかが作ってくれないかなあ。
しかしそろそろ戦闘靴3型世代の新しい装甲靴が出てくるはずで、それを見るのが楽しみです。
(戦闘靴・水陸装甲用)
近年発足した水陸機動団の、AAV7などの車両の乗員用に採用された、戦闘靴と同様のずんだ餅色のもの。
(画像はとある方にいただいたもの)
ふつうの装甲用で、革が水陸用になり、また防暑靴4型のように水抜きハトメもついています。
とはいえ水抜きハトメはよく取れるそうで…
ソールパターンは既出の装甲用と同じで、やはりこれも青木安全製ですね。
ちなみにこの水陸装甲用、3型に更新される際には水陸一般用と同様にベージュ色のスウェード生地になるかもしれず、さらにひょっとするとベルクロ止めではなくサイドジッパー方式になるとかならないとか?
*防寒靴
防寒用途というより、雪山でスキーを履く用の半長靴です。
(以前のもの)
いつ頃からか知りませんが、1980年頃にはすでにこのようなものが使われていました。
当時は茶革の半長靴だったのですが、防寒靴は黒革だったのですね(
1970年頃にも同様の靴がありましたが、細かい部分が↑と異なっており、一応は進化しているもののようです)。
全てフックに紐をかけるようになっています。
この後部のくぼみが、自衛隊仕様スキーの専用のビンディングにひっかかるようです。
前の部分もソールが角ばって出っ張っていて、ここがビンディングにはまるのでしょうか。
ただ実際に履いてみると全体的に固くそして全然防寒にならない!とかなんとかで、隊員さんの評判はいまいちだったようです。
ソールは凸凹が薄いので、舗装路で歩いたらすぐツルツルになってしまいそうですね。
というか靴底が平べったいので、雪上はまだしも、普通の道を歩くときはペッタンペッタンとしてしまい、かなり歩きづらいです。
(防寒戦闘靴2型)
戦闘靴が茶半から黒い2型になった辺りから、防寒靴はこんなふうになっています。
造りはかなりガッチリしていて、やけに重いのも特徴。
旧来の防寒靴に比べると内部に柔らかさがあり、全体的に「包まれ感」がありますが、やはり靴底が平べったいので普通の道は歩きづらい。
紐は、一番前の部分だけ金属環に通し、あとはフックにひっかける方式。
一番前の金属環が弱そうでちょっと心配になります。
スキーのビンディングをはめる窪みや、ソール形状はほぼ従来品と同じです。
*中敷き
左のが、昔の茶色の半長靴に付属していた中敷き(インソール)。
ペラッペラでクッション性能ほぼなし。
コレ作ったメーカーはホントにこれが中敷きになると思っていたのでしょうか・・・
戦闘靴2型になってからは、真ん中のような中敷きになりました。
最近は右の黒赤のものになっているようです。
黒赤のものは帯電防止の機能が付加されてるっぽいのですね。
現行のインソールはまあそれなりなクッション性能になりましたが、それでもまだまだ。
なので官品インソールは温存して、私物で少しいいやつを使った方がいろいろといいようですね。
日頃の仕事やサバゲでも、インソールを少しだけでもいいものにすると、疲労感がまるで違います。
※ワシは↑のを愛用してます。そんなに耐久性ないけど。
*靴下
はあ?そんなん関係なくね?と思われそうですが・・・
入隊経験なくても一日サバゲをすれば分かると思いますが、靴下ひとつ工夫するだけで靴擦れを防ぐことができます。
こういう5本指の、いわゆる「軍足(ぐんそく)」はかなりオススメ。
これで指と指の間が擦れてズルむけになることが防げます。
この軍足を履き、そしてその上にさらに普通の靴下を履けば、靴擦れトラブルはかなり防げるのではないかと、。
後編に続きます。
【サバゲー用自衛隊装備紹介記事】
その1・自分的進化編