③ジャニーズ問題の衝撃

※この記事は常に新鮮なネタを提供すべく、随時、更新されています。

 

・ジャニー氏の性加害問題

参考動画

【ジャニーズ問題の戦犯はマスメディア】TV局の歪なガバナンス/芸能事務所と組

   みすぎ/客を失い続けるマスコミ/TVを見ない学生が6割/アマゾンが最強/誰で

   もマスメディア/国の責任【東工大 柳瀬×塩野誠】

   PIVOT 公式チャンネル  2023/10/06  22:26

   マスメディアの闇と学校教育の闇とは国民の洗脳という点において強い共犯関係にあると思われる。テレビ、ラジオ、新聞がSNSの発達によって顧客を失いつつあるということは、同時に学校もまた同じ理由で顧客(児童、生徒、学生)を失いつつつあるのではあるまいか。それは不登校児童生徒の増加が続いている現状が物語っているのではあるまいか。「一芸能事務所に忖度する程度のマスメディアに戦争反対をいう力は無い」との指摘は刺さるだろう。であるならば当然、イジメ、不登校、自殺に対して無力であり続ける学校という組織に戦争に反対する力は無いのだ。

【ジャニーズと日本企業】スタンフォード大学教授が見たジャニーズ問題【国際人

   権とは?】 ReHacQ−リハック【公式】  2023/10/04  53:38

 「国際人権」というキーワードからジャニーズ問題を論じている貴重な動画。日本の人権意識が欧米の標準に追いつく上で考えておくべき点が明確に示されており、大いに参考となる。性加害問題に限らず、人権問題全般を考える上で不可欠の土台となる内容。教師必見の動画。

【ひろゆきがジャニーズ問題追及!】見えているものが全てではない!隠された問

   題も切る!【ひろゆき 切り抜き 論破 ジャニーズ 東山 ジュリー ビッグモーター

    hiroyuki 】  2023/09/16 11:31

 多数決の危険性に鈍感な日本人を生み出しているのが、周囲の空気を読むことを優先する同調圧の強い日本の集団主義である、との指摘をどう思うか、ぜひ、生徒たちに問いかけたい。

【ジャニーズ会見の問題点】の授業を終えて中田が思った事は?

   中田敦彦のトーク  2023/09/15 32:25

【元NHK紅白歌合戦責任者/元民放報道担当が語る】“ジャニーズ性加害”にメディ

 アはなぜ向き合ってこなかったのか [クロ現] |

 NHK 2023/09/15 9:59

ジャニー喜多川氏による性加害 フォーリーブスの北公次氏 34年前の告白ビデ

   オ|TBS NEWS DIG Powered by JNN  2023/09/05 2:08

国連人権理が性加害調査へ ジャニーズ当事者聞き取り

 KYODO NEWS  2023/07/12 1:07

「タレント数百人が性的搾取」ジャニーズ性加害問題めぐり国連人権理事会の専門

 家が会見、当事者ら涙「35年かかった」【news23】

 TBS NEWS DIG Powered by JNN  2023/08/05 4:06

 とうとう国連の介入まで招いてしまった日本政府の無策ぶりにまずは驚く。本来、BBCの放映で激震が走った3月段階でジャニーズ事務所へは司法の捜査がすぐにでも入るべきであり、とっくの昔に重大な人権問題があることは判明していたはず。この国家としての対応のあきれるほどの遅さはまさに「人権後進国」の面目躍如である。こと人権問題に関しては「黒船」に頼らなければ、自らは何もできない、何もしようとはしないのがいかにも日本らしい。しかも日本の場合、多くのマスメディアがそもそも加害者側に立っているのだから実に始末が悪いと言える。国連の場で日本のマスコミと芸能界や政界、経済界などとの癒着を問題視してくれると多少は事態の改善につながるのかもしれない。この問題に関してはこの動画から入ると日本における人権問題の一例として展開しやすいだろう。

育った畑に乱入して荒らす!TVのジャニーズごり押しの終焉が近い理由

 元テレビD さっきーch  2022/07/21 9:43

 この動画はBBCの番組が放映される前のもの。ジャニーズ事務所のテレビ局への大きな影響力が分かる。ジャニタレの扱いの難しさ、番組の裏側が分かる。

BBC、故ジャニー喜多川氏の加害について取材 言葉を詰まらせる元ジュニア 

 BBC News Japan  2023/03/08 3:37

グルーミングとは……性的被害専門のセラピストに聞く ジャニーズ事務所取材の

 BBC記者 BBC News Japan  2023/03/24 2:40

BBCドキュメンタリー「J-POPの捕食者:秘められたスキャンダル」【日本語字幕

 つき】 BBC News Japan  2023/06/17 52:29

 この問題の厄介でなかなか理解しがたい特異性は名前と業績、その性癖に関してまで誰もが知っている芸能界の大御所、ジャニー喜多川氏の素顔を、実はほとんど誰も知らない、知ることすら出来ない、知ろうともしてこなかった…という奇妙な事実に象徴されているのだろう。

 「ジャニーズ帝国」と呼ばれるほどに権勢を誇った喜多川氏の影響力は、少年たちへの性加害を記事にした文春報道の真偽を巡る最高裁の判決後すらまったく衰えることがなかった。多くのマスメディアが判決のもつ重大な意義を黙殺したことで、判決後も同氏による少年たちへの性加害は続いてしまったのである。しかもこの「少年の捕食者」が芸能界に君臨することを許し続けてしまった日本社会の闇を体当たりの取材で暴き、60年余にもわたった喜多川氏の性犯罪の歴史を明るみに出すきっかけを作れたのは結局のところイギリスのBBCであった。

 自己保身を優先させて権力者におもねり、妙な忖度ばかりしてきたがゆえにすっかり自浄能力を失った芸能界やマスコミ、それらを含む日本社会の危機的状況を象徴する事件としてこの問題を捉えたい。ことは当然、芸能界のスキャンダルにとどまらないだろう。東京オリンピック時の一連の騒動、相次ぐ学校での事件・事故の隠蔽・責任逃れ、原子力発電に関わる事故隠し・不祥事の数々…そのすべては敗戦という現実にまともに向き合うこともなく、無責任にも戦時中の国家的犯罪行為の隠蔽に走ったあの「昭和の妖怪」たちの時代の、まさに延長線上での出来事だったのではないか… 

 日本の公文書管理の杜撰さに見られる、政治家や官僚たちによる「歴史」への冒とくの度重なる連鎖が招いた、しっかりと反省することの出来ない、それゆえに政治家らの都合次第でいくらでも書き換え可能な日本の戦後社会…ボタンの掛け違いが一体どこで生じてしまったのか、もう一度、本当の歴史を振り返ってみたい…もちろん日本の場合、極秘資料の大量廃棄によってそれすらも叶わぬ願いにすぎないのだが…

【告白】ジャニーズと性加害問題 2人の元所属タレントが実態を知ってほしい

 [クロ現] | NHK  2023/05/25 9:57

【元ジャニーズJr.】89年に告発するも、"売名行為"と非難され【ジャニーズ問

 題・平本淳也さん】たかまつななチャンネル 2023/06/01  14:31

検証・ジャニー氏 性加害問題 2度の裁判とメディアの責任【報道特集】|

 TBS NEWS DIG Powered by JNN   2023/06/17  19:26

「メディアは"共犯"」ジャニー氏の性加害の構造的な問題とは?【ゲスト:松谷

 創一郎】【ジャニーズ問題】 たかまつななチャンネル  2023/05/18  13:00

【テレ朝との蜜月】ジャニーズのタレントをキャスターにしてはいけない本当の理

 由!報道倫理違反の可能性も

 長谷川良品「テレビ悲報ch」  2023/05/25  17:40

 各テレビ局のジャニーズ事務所への忖度が報道倫理規定に違反する重大なレベルに及んでいたという。ジャニー氏の性加害報道を巡ってマスメディアの信用失墜行為の数々が暴かれつつあるようだ。

櫻井翔氏がようやくJ問題に言及!ジャニタレを報道番組キャスターに起用してはい

 けない理由【news zero】

 長谷川良品「テレビ悲報ch」  2023/06/08  9:25

ニュースゼロ櫻井翔がジャニーズ騒動に初コメント全文紹介、「臆測で傷つく人」

 へのズレた配慮と仕事放棄発言

 元テレビD さっきーch  2023/06/07 6:58

ジャニーズと全TV局のふざけた状況と報道番組の忖度、火に油をそそぐ東山、ズレ

 た対策、今後のスポンサー離れや共演NGで崩壊の可能性など!

 元テレビD さっきーch   2023/06/04 10:28

ジャニーズ問題について語る山下達郎に「なぜモヤる」のか言葉にしてみた。

 ワラしがみ 2023/07/10 17:52

世界でジャニーズ排除の動き!国連の調査が決定でデヴィ夫人の被害者批判が炎上 

 元テレビD さっきーch   2023/07/20 7:38

 黒船が何度も来航しないと動かない日本の異常さ、人権意識の低さはどうやって育てられてきたのだろうか。ここでも学校教育の犯罪性が問われる。

参考記事

ジャニーズ問題、日本企業が知るべき「海外の視点」 ビジネス優先で「見て見ぬふり」

 は許されない 東洋経済オンライン 安部 雅延 によるストーリー 2023.10.13

 良きにつけ悪しきにつけグローバル化が進む現在、人権問題に無頓着な企業や国家は国際社会の中で冷遇されるようになってきている。古くから人権後進国と揶揄されてきた日本だが、このままで良いはずがない。

 NHKが次第に毅然たる姿勢でジャニーズ問題に臨むようになったのは倫理的な観点だけではなく、それが時流にかなったあり方であるからであり、経営上も合理的であるからだろう。

 日本の人権問題における後進性は早急に改善していかないと世界の進運からさらに取り残されてしまい、経済的な行き詰まりから脱出できなくなるだろう。

BBC記者「被害者たちはこの会見で、救われたのか?」「圧倒的にNOだ」 ジ

 ニーズ事務所 会見に 日テレNEWS によるストーリー 2023.9.8

ジャニーズ性加害、国連専門家が被害者らと面談へ…「ビジネスと人権」作業部会

 読売新聞 2023/07/15 10:27

ジャニーズ性加害問題「タレント数百人が性的搾取と虐待」 国連人権理作業部会が

 記者会見 産経新聞 2023.8.4

 BBCや国連の介入が無ければこの問題は一歩も前に進めなかったことがより鮮明になった。つまり経済界や政界=政府はこの件に関してほとんど無視してきたか、何一つ力にならなかった。人権後進国日本の面目躍如である。

 この事態は各地の教育委員会や学校が引き起こしたイジメ事件隠蔽に対して市長らが第三者委員会を設置し、真相究明を図ろうとする動きとよく似た図式。そもそも日本社会全体が事件、事故の真相究明にあまり積極的でない傾向が昔からあるのではあるまいか。

 そういえば敗戦時の戦争責任追及も外国任せで中途半端に終わった感は否めまい。日本人全体に人権感覚の鈍さが今も蔓延しているのかもしれない。日本人に人権感覚の鈍感さが見られるとすればそれは何に由来するのか、授業では問いを深めていく必要があるだろう。

「政府が被害者の実効的救済を」ジャニー氏の性加害際に国連ビジネスと人権の作

 業部会【声明全文】ENCOUNT によるストーリー 2023.8.4

 日本政府の動きの鈍さに国連もとうとう業を煮やしたのか、政府を主体とする被害者の救済を国連は迫った。しかし政府は未だにこの問題に対するイニシアチブを発揮しようとしていないのはなぜだろう?生徒たちにぜひ考えさせたい。

元ジャニーズ7人が糾弾「人類史に残る史上最強の性加害」 被害者は数百人か

 東スポWEB によるストーリー 2023.8.4

「人類史上最悪の性虐待事件」ジャニーズ性加害問題当事者の会が会見で主張 ジャ

 ニーズ事務所「できるだけ早く会見」

 TBS NEWS DIG_Microsoft によるストーリー 2023.8.4

 「人類史上最悪の性加害」を放置してきた日本の政府、マスコミの責任は重い。

「ジャニーさんに食われるぞ」13歳の自分には忠告の意味すら分からなかった ア

 イドルへの道は暗転、うつに悩み自殺願望も 「ジャニーズ性加害問題」(2)

 47NEWS 一般社団法人共同通信社 によるストーリー 2023.6.20

ジャニーズ性加害糾弾の中村一也氏 SNSでは誹謗中傷の被害「嘘をついて楽しい

 ですか?とか」 東スポWEB によるストーリー 2023.6.20

 上の二つはこの問題が明らかに深刻な犯罪であったことを示す貴重な証言。同時に日本の性教育の遅れが生み出した事件であったことも示唆されているだろう。

「ジャニー氏の闇」BBC特集が日本語字幕付きでYouTube無料配信の大波紋!大緊

 迫の「事務所突撃120秒」!!ジャーナリスト「完全に人間性が欠如している」

 ピンズバNEWS によるストーリー 2023.6.20

NHK「クロ現」ジャニー氏特番実現の裏側番組スタッフが漏らした局内の内部

 圧力 日刊ゲンダイDIGITAL によるストーリー 2023.5.23

 マスコミが「マスゴミ」と揶揄されるようになった原因の一つがジャニー氏による性加害の黙殺、隠蔽であったかもしれない。20年以上前に文春の報道が裁判にまで発展したにも関わらず、その後も一部を除いて大手マスコミ各社は沈黙を守った。そのため、残念ながらジャニー氏による性加害が続いてしまったようである。被害拡大の責任の一端は芸能界とマスコミにあることは疑いようがない。

 BBCの報道が突破口を開いてくれなければ、日本はこの問題を今後も葬り去り続けていたのだろう。まさに幕末の黒船来航と同じで、日本はこの問題でも自己解決能力、自浄能力を失ってきている。表向きは基本的人権の尊重をうたってきた日本でありながら、立場の弱い被害者は長い事、泣き寝入りを余儀なくされてきた。マスコミと芸能界の闇は深い。当然、このことをまともに国会で論じてこなかった政界の闇はもっと深いだろう。

 かねてから宮台氏らが指摘してきた日本におけるマスコミと政界との癒着は不自由で保守的な学校教育の不備と相まって「知らしめず、依らしむべし」の愚民化政策を推進し、とうとう深刻なまでの民意の劣化を招いてしまいかねない…とい心配ははたしてただの「杞憂」であろうか。

オールドメディアのオワコン化から、戦後78年の「既得利権」の崩壊へ もう「社会

 的もみ消し」は起こらない? 現代ビジネス

 大原 浩 によるストーリー 2023.5.27

 ジャニーズ事務所での性犯罪が放置されてきた背景には自社の利益を優先してかつて芸能界に君臨してきた喜多川氏に長らく忖度してきた大手メディア側の無責任な姿勢があった。もちろんかねてから反社勢力とのつながりを指摘されてきた芸能界をはじめ、若手タレントらに「枕営業」などを持ち掛るなどといったうわさの絶えない作曲家、作詞家や監督、プロデューサー、芸能事務所等による性犯罪の数々を見て見ぬふりをしてきた映画、テレビ、舞台等の演芸に係る業界全体の体質も根本から見直していくべきだろう。

 振り返ってこれまでもイジメ問題などの「社会的もみ消し」を得意としてきた学校教育業界はどうなのだろう。管理職を含む教師たちによるパワハラやセクハラ行為を横行させてきた学校という組織にもきっと大きな病根が宿っているはずである。

 生徒たちの関心がかなり高いこの事件を一つの切り口にして国民の啓蒙、ないしは洗脳に深く関わってきたマスコミや教育の問題点にまで迫っていくような展開が構想できるのならば、この記事は社会科授業の導入として大いに利用価値あり。

ジャニー喜多川氏に“グルーミング”されたのは「日本社会そのもの」だったのかも

 しれない《BBCが番組を無料公開》

 文春オンライン 水島 宏明 によるストーリー 2023.6.18

BBC「ジャニー喜多川氏の性加害番組」の背景“…死後400人以上に性的虐待を告 

 発された「伝説の男」の裏の顔 文春オンライン

 大山 くまお によるストーリー 2023.6.2

 BBCが喜多川氏の摘発に着手した背景には過去に苦い経験があったことが分かる。今後、最も大切なのは日本自身が過去から学べるかどうかだろう。

「しょせん週刊誌レベルの話だろって」事務所への忖度ではない…新聞が「ジャニ

 ーズ性加害」を報じなかった理由とは

 文春オンライン プチ鹿島 によるストーリー 2023.7.11

 テレビ局と新聞社との癒着、資本提携がこの問題の背後にあり、基本的にはそのためにこそ大手新聞社はジャニーズ性加害問題を報道してこなかったのだろう。テレビ朝日を忖度して朝日新聞が、TBSを忖度して毎日新聞が…

 しかし多くの人々はマスコミに流されてしまい、おなじように「しょせん週刊誌レベルの話だろって」この問題を素通りしてきたはずであろう。なぜ、素通りしてしまったのか、自分自身を省みて、改めて学校やマスメディアの在り方を問い直したい。

「ファンを共犯にするな」ジャニーズ問題で田中秀臣・上武大教授

 産経新聞 2023.8.4

 ジャニタレのファンは少なくない。この記事を授業の導入に利用するとこの事件が他人事ではない重大事件であることへの理解が進むだろう。特に「責任があいまいなままになってしまえば、全員が非常に不健全な共犯関係になってしまう。」との指摘は極めて重要。

河野談話を裏付ける証拠は増えたのに、責任認めない主張が根強い保守層…発表30

 年、研究者の考えは 東京新聞 2023.8.4

 国連が調査に入ってきたことでついに国際問題に発展してしまったジャニー喜多川氏による性加害問題が意味することは何か?性差別解消に消極的な政府の性加害問題に対する認識の甘さは慰安婦問題に代表される戦争中の性加害問題への認識の甘さにも通じているのではあるまいか?

成田悠輔氏 ジャニーズ性加害問題に「日本社会全体がある意味で加害者」

 東スポWEB によるストーリー 2023.8.6

 マスコミやスポンサー企業、政府すべてに責任があるとすればこれは国家的な犯罪であったというに等しいだろう。だからこそ、この問題に対して政府が一貫して及び腰だったのだ。残念な国である。

 同時にこの問題に対してこれまで何の疑念も持てなかった多くの国民の無関心さがどこから生じてきているのか、厳しく問うべきだろう。この問いはおそらく太平洋戦争当時、なぜ国民の多くが戦争に賛成してしまったのか、反対できなかったのか、という過去の問題と通底するはずである。

「国として動いて」「温度感低い」 元ジャニーズJr.ら政府に訴え

 朝日新聞社 によるストーリー 2023.8.7

 この問題に対してなぜ政府は無関心なままなのか、次の記事と併せて生徒に考えさせたい。「老害政治」の実害がここにも表れているはず。

国連部会に「法的拘束力なし」 松野氏、性被害救済声明で

 共同通信社 によるストーリー 2023.8.7

 こんな当たり前のことを官房長が内外への声明としてわざわざ口にした事自体が衝撃。国連部会の声明に法的拘束力があるわけはない。言われなくとも皆が承知していることを敢えて口にした政府の意図は明白である。国連の内政干渉的介入に反発して人権問題大して鈍い政府のメンツを守ろうとの発言だろう。

 しかし意に反してこの発言でさらに日本政府のメンツは丸つぶれとなってしまったのではあるまいか。政府の面々の人権意識の低さが官房長の発言によって臆面もなく露呈してしまったのだ。しばらくは世界から猛烈な顰蹙を買うに違いない。

 人権後進国の面目躍如たるものが見られる、と皮肉るしかできない発言。

§6.市原の郷土史90.養老神社と永井家(後編)

 

 

 

・謎、その7 「なぜここに朝廷の有力者の名が?」

 

 こちらは石造物ではありませんが、養老神社の拝殿にかかる見事な神号額を取り上げます。左端、慶応3年(1867315日という日付の側にある源有長(綾小路有長:17921873)という人物にご注目。幕末当時は著名な歌人・書家・公卿です。

 朝廷ときわめて近しい有力人物がこの神号額に介在した可能性は大でしょう。これまた京都に出入りしていた山田橋の野城らか?しかもこの日付、奇しくもちょうど一年後は江戸城総攻撃予定日に当たります。

 

 

 

・謎、その8 「神明造りを採用した理由」

 

 最後に養老神社の社殿を取り上げましょう。市内では比較的珍しい神明造なのです。神明造は伊勢神宮を代表格とする古式ゆかしい建築様式。本殿の両脇に屋根を支えるかのように立つ棟持ち柱が最大の特色。弥生時代の建築様式の流れを引くものです。ただし養老神社の社殿は明治年間の再建ですが・・・

 

 伊勢神道を奉ずる、これも尊王攘夷派の動きでしょうか?お伊勢参りが盛んになり、尊王攘夷思想が全国に広がった江戸時代後期、各地で社殿の改築の際に伊勢神宮と同じ神明造りが採用されていきました。ただし市原では江戸時代までさかのぼれるこの様式の社殿を私は見た記憶がございません。

 

 

 近隣で見られる神明造の社殿は千葉市村田町の神明神社。市原八幡高校の近く、村田川を渡ってすぐの所にございます。江戸末期に建造された総ケヤキ造りの立派な社殿です。ここは七里法華地帯にあたり、尊王攘夷思想になびいていた日蓮宗の寺院が多く、この神社の近くにかつて京都で尊王攘夷派の僧侶として知られた天羽南翁が私塾を開いた日蓮宗寺院泉福寺があります。天羽南翁は幕末、尊王攘夷派の志士を幕吏からかくまったというエピソードの持ち主。

 

・嶋穴社原地碑

嶋穴社原地碑:嘉永元年(1848)

二条城留守居役成島譲撰文、田辺修書

 

 「二条城留守居役成島譲」とあります。譲は司直の子で当時、二条城の留守居役として京都にいたことが分かるのです。司直と永井家との関りに浅からぬものがあったことはすでに触れました。

 とすれば永井家に残された千種有功卿の和歌、狩野栄岳の絵、養老神社への改称と源有長卿揮ごうの神号額、神殿内にあるとされる平田鉄胤揮ごうの額、やがてこの地区一帯が「千種」村と命名された事…多くの謎が孕む伏線が一気に回収されてくる予感がいたします。

 もう少し傍証となるものを挙げましょう。

 

・嶋穴神社の歌碑と勅願所碑

 

 

 

 

 

 いかがでしょう。松ヶ島の近く、風の神を祀る嶋穴神社には黒船来航の前後に幕府関係者では松平定信(老中退任後は白河藩主として江戸湾防備体制の確立に努めていた)、筒井政憲(江戸湾防備体制の一環として湾岸の村々を巡検している)らがしきりに参拝していました。朝廷からも再三にわたり勅願所として国土安穏の祈願を受けています。例の千種有功も弘化4年(1847)、ここに歌を奉納していました。

 こうした慌ただしい動きは島野村に接する松ヶ島にも大きな刺激を与えていたに違いありません。筒井は松ヶ島にも当然、立ち寄っています。

 幕府の権威が動揺し、仏教を批判する国学が台頭するなかで尊王攘夷運動は市原の場合、まず神官、すなわち村役人層へ浸透していきました。山田橋の野城氏はそうした動きの先頭に立っていて、松ヶ島ともかかわっています。加えて成島司直の跡取り息子(結局、若死にしてしまいますが)譲が弘化年間には京都にいて、もしかしたら永井家と京都のお公家さんたちとの仲介をしてくれていたのでは…

 

 養老神社や永井家の所蔵品はそうした幕末の動き、京都での緊迫した情勢を雄弁に物語っているのでしょう。

 

 さて養老神社の謎8つが出そろいました。いかがでしたか?

 身近で些細なところからでも私たちをワクワクさせてくれる謎、数々のミステリーが、ほんのわずかな手掛かりと想像力、妄想力を働かせるだけでけっこう芋づる式に解明(?)できた気にさせてくれます。

 旧家に伝わる品々、神社に残された石造物は私たちに様々な謎を問いかけているのです。そして様々な妄想をかきたててもくれます。たとえ根拠レスで身勝手な妄想であっても偶然、新たなヒラメキを私たちにもたらすかもしれません。

 

 皆さんもぜひかつての長寿番組「世界不思議発見」の軽いノリで、謎探しと謎解きの散策をメインのご馳走にしながら、健康増進を兼ねてご近所の寺社巡りをしてみたらいかがでしょう。

 

§6.市原の郷土史89.養老神社と永井家(中編)

 

謎、その5 「神社名変更の謎」

 

 かつての神社名「山王大権現」の「大権現」もまた本地垂迹説に基づく称号です。「権現」とは本来、仏であった存在が仮に神の姿を取って現れた…という意味であると言います。

 御存知の方も多いと思いますが、かの徳川家康は亡くなってから「東照大権現」として日光に祀られました。これは本地垂迹説に立つ天台宗の高僧天海らの力が強力に働いたからでしょう。

 一方、豊臣秀吉の方は「豊国大明神」として京都の豊国神社に祀られていました。「大明神」はどちらかというと神道優位の反本地垂迹説に近い称号。ちなみに日蓮宗の勢力が強いところ、たとえば千葉市と隣接する七里法華地帯では権現よりも明神の称号が用いられることが多いとされます。面白い事に日蓮宗は仏教の一宗派でありながら特定の神様をとても重視していて、確かに「妙正大明神」と刻まれた、疱瘡神の祠と同じ役割を持つ祠が七里法華地帯中心に見られるのです。

 やはり神道優位の反本地垂迹説をとるのが尊王攘夷論。これは日本を神聖なる神の国として捉え、外国由来の教え=仏教や儒教などを「漢意(からごころ)」として排撃する排他的思想ですから、当然、神道優位の立場です。

 妄想するに過激化した平田篤胤流の国学を奉じていた野城らの策動が神社名の変更に結びついたのではないでしょうか?良右衛門の養子となった野城廣助らが京都洛北の等持院から足利将軍三代の木像の首を持ち出して三条河原に晒す有名な事件を引き起こしたのは神社名改称の翌年、文久3年(1863)にあたります。

 尊王攘夷運動が高揚し、水戸浪士や長州藩、薩摩藩、土佐藩の過激派連中による天誅事件、テロ計画が京都などを騒がしていた動乱期の事。血湧き肉躍る幕末、京都と市原とのこうしたつながりに胸がときめきます。

 

 ちなみに出津の牛頭天王社(ごずてんのうしゃ:八坂神社・祇園社系)や青柳の牛頭天王社(明治3年=1870に改称)の場合、名前の変更はいずれも明治に入ってからで二社とも「八雲神社」に変更されています。

 明治初年の廃仏毀釈運動の動きの中で仏教と習合してきた多くの神社が寺院と切り離されたり、名前の変更を余儀なくされました。1868年、新政府から出された一連の通達によって神道の国教化が目指される一方で仏教を排撃する運動が急速に勢いを増していたのです。多くの寺院が破却され、没落を余儀なくされました。何と全国で数万の寺院がたちまちのうちに消えていったといいます。新政府の中心勢力を担った薩摩では1600以上の寺院があっという間に消滅したとのこと。寺請制度によってながらく幕府や藩から優遇されてきた寺院に猛烈な逆風が襲ったのが明治維新と呼ばれる時代のもう一つの側面でした。

 市原でも八幡宿駅付近にあり、広大な寺域を誇っていた真言宗寺院霊応寺がこのとき消滅しました。その流れの中で出津と青柳の牛頭天王社は「八雲神社」に改称されているのです。

 が、松ヶ島ではそれらの動きが生ずる数年前(1862年)に改称している…加えてなぜ「養老神社」なのか。なお養老神社の本社は岐阜県養老郡養老町にありますが、主な祭神は菊理媛命(ククリヒメノミコト)です。松ヶ島の場合、不思議なことに神社名だけ変え、主祭神はオオヤマクイノミコト、すなわち山王大権現の時代のまま、変更されておりません。

 実は養老神社、千葉県の宗教法人名簿で見る限り、市内ではここ松ヶ島しか祀られていないのでいっそう不思議なのです。それにそもそも祭神を変えずに山王大権現社を改名するならば「日吉神社」か「日枝神社」と改名するのが当時の相場でした。

 

 改名の有力な根拠として考えられるのが、すぐ近くを流れる養老川。川の名前が新しい神社名を養老神社とさせてしまったのかもしれません。

 では誰がなぜ、このタイミングで養老という神社名を選んだのか?改名の主体を突き止めなければならないでしょう。ということは当時の松ヶ島村の名主が誰であったのか…これまでも取り上げてきた永井家こそ、カギを握っているようです。

 永井家は当時、本家の当主が若死にするなどが重なり、急速に力を失ってしまいました。かわりに分家の養右衛門家が台頭し、19世紀中ごろに名主となっています。

 

   延享4年(1747)、養老川が川欠けし、天明8年(1788)までの40年余り、養老川は出津八雲神社のすぐ傍を流れ、松ヶ島村を抜けて青柳との境あたり字塩場で海にそそぐことになりました。

 養右衛門家が分家したのは1770年代のことと思われ、屋敷は村の中心にあった本家とは異なり、当時の養老川と海に近く、完全に村はずれでした。

 わざわざ村はずれに隠居分家した宇右衛門の思惑はおそらく、上流の川船問屋が青柳村とのつながりを強めていくことに危機感を覚え、河口で営まれる水運に自ら関与することにあったのかもしれません。実際、青柳村海川船組合の若宮丸と上流の牛久泊船組合​​​​​が合同で牛久の丸山神社に手水鉢(下写真)を奉納したのは安永9年(1780)のことでした。

 

 

 すでに触れたように青柳村と松ヶ島村は浜辺の利用権をめぐって熾烈な争いを繰り返してきました。養老川を運航する川船の河岸としても機能し始めた青柳村に対して松ヶ島としてはメラメラと対抗心を燃やさないわけにはいかなかったはずです。

 養右衛門家の裏手の田畑には小字で、不自然なほどに細長い区画の「大澪」と呼ばれた土地がありました。おそらく養右衛門家は屋敷のすぐそばに海に出るための水路=澪を設けていたと考えられます。

 

明治初年に作成された絵図。コピーしたうえ、カッパが色付けしている。赤線は道路、深緑の線で囲まれた区画が養右衛門家の家敷地、水色のゾーンが字「大澪」である。大澪に伸びている屋敷地の不自然な出っ張りといい、大澪の溝状の区画といい、水色のゾーンが海に達していた澪の可能性は高い。

 

 残念ながら永井家に伝わる江戸期の古文書はわずかしか残されておらず、きちんとした裏付けを得ることはできませんので、ここまで傍証をもとに無理やり、推理を重ねてみた次第です。

 

 さて養右衛門家は当初から養老川への関心が高かった…とすれば、養右衛門家の当主が新たな神社の名称を川の名から「養老神社」と発想する可能性は決して低くは無いでしょう。

 

 

 永井家には千種有功(ちぐさありこと:17961854)卿の和歌が書かれた懐紙が残されています。「手折りきて 長閑にかざせ 春秋の 花も若葉も 御代のたまもの」。実にお公家さんらしい雅な歌でしょう。

 嶋穴神社には弘化4年(1847)に寄せられた千種有功の歌碑(碑自体は明治時代に建てられたもの)があるので、ここ市原でも彼は書や和歌の世界では相当有名な公卿だったと思われます。これも野城らの京都での運動と無関係ではないのかもしれません。実は永井家には代々禁裏御用絵師を務めてきた京狩野派の六代目、幕末に活躍した狩野縫殿助栄岳(かのうぬいのすけえいがく:17901867)の絵も残されております。残念ながら虫食いが酷くて展示には耐えられませんが、落款などから見てこち

らは本物と思われます。これらの品がどういう経緯で永井家にもたらされたのか、実に興味深いのです。

 

 

 漢文に詳しい辻井義輝先生の解読によって永井家墓地内にある吉野常廣墓偈(天保7年=1836)、及び岸先生寿蔵碑(嘉永6年=1853)から19世紀前半、永井家(当時、吉野姓)の先祖に江戸で医者(松本養民)となって活躍した常廣や学者として活躍した岸貞吉(岸家に養子入り「一陽」と号す)がいたことが判明しております。常廣や貞吉らは本家の「七郎左衛門」家出身。

 このころ、分家の「養右衛門」家当主であった順吉(後の養右衛門)は弘化4年(1847)、質屋を創業し、持ち高は20石であったらしく(「市原市史」中巻)、村の要職(榊原氏領分の名主:天明6=1786、松ヶ島も二給地となり、榊原氏の領地と代官地とに二分されました)を務めていたに違いありません。この時期に永井家と江戸との交流が相当あったことが推察できます。

 永井家には成島柳北の祖父司直(もとなお)の揮毫した歌碑(嘉永5年=1856)や「大江庵」と書かれた司直の書、中野、菊間、海保などの領主であった旗本筒井政憲(町奉行時代は遠山の金さんの上司、幕末、伊豆の下田でプチャーチンとの応対にもあたった。能吏としてだけでなく能書家としても有名)の書(嘉永5年=1852)も残されています。これらはおそらく本家に伝わったものでしょう。

 

 

 なお質屋を創業した順吉は安政2年(1855)にも質屋を創業しています。ということは一旦、廃業に追い込まれたのでしょう。実際、質屋再開時の彼の持ち高は11石8斗で最初の創業時に比べて8石余りも減っています。

 最初に質屋を創業した弘化4年(1847)の翌年(1848年=弘化5年及び嘉永元年)、養老神社では鳥居、石灯籠、狛犬などを一挙に奉納していて、当時、永井家は榊原領に属する養老神社とは村役人として深く関わっていたことが分かっています。ですから養老神社の石造物奉納時に永井家が私財を投じていた可能性が考えられなくはないのです。

 

※「岸氏寿蔵碑」:題額は梅澤典(江戸下谷の著名な書家:17971859)で文は深川元儁(もととし:18101856)。深川は平田篤胤に国学を学び蘭学にも造詣があった。若くして亡くなった貞吉の交友の広さ、学者としての資質の高さが忍ばれる。分家の順吉も貞吉を通じて他の江戸の著名人(成島司直、筒井政憲ら)とコンタクトをとったのかもしれない。

 

 おそらく当時、経済的にはかなり行き詰っていた江戸の文化人や京都のお公家や絵師らと地方の富裕層との間を橋渡しする人々がいたに違い有りません。実際、狩野栄岳も地方の富裕層、名主達の注文に応じて絵を描く事が多かったようです。だとすれば江戸や京都の文化人と地方の富裕層との橋渡し役の一画に野城のような上洛を企む地方出身の尊攘派の志士達が食い込んでいた可能性があるのではないのでしょうか?彼らが地方に京都の雅な書画をもたらし、売り上げの一部を自分たちの活動資金としていた可能性は有りそうです。

 なお野城家は慶応4年(1868)、旧姓の「若菜」に復し、現在に至ります。その直系の子孫がかつて、同じ勤務校の社会科にいらしてビックリ。ある日、ふざけ半分に「若菜先生、もしかすると足利将軍木首事件の野城廣助の子孫?」と振ってみたら驚いた顔でこちらを見た先生、「じつは子孫です」との予期せぬ辺答で私もビックリ。ご本人は今、ご退職なさって柏方面に引っ越してしまいました。先生に良右衛門のことを訊いたら「激しやすく、時には刀を抜いて相手を威嚇したという言い伝えが残っている」とのこと。

 とすれば謎の1「なぜ鳥居の柱が横たわっているのか?」に関しても野城らが一旦できあがった鳥居を気にくわなく思い、石工の根本甚太郎に刀をちらつかせて作り直させた場面までついつい思い浮かべてしまいます。実は今建っている鳥居と横たわっている柱とは微妙に書体が違っているのです。

 おっと妄想が余りにも暴走気味になってしまったようです。憶測はここまでといたしましょう。

 養老神社の富士塚上の碑は市内で初めて根府川石(ねぶかわいし、ねぶかいしとも)が使用された点でも注目されます。根府川石は小田原付近で採れる硬い安山岩で表面がツルツルしており、板状摂理のため、薄くはがれやすい性質を持っているとのこと。ですから庭の敷石や文字を沢山刻む石碑にうってつけの石材なのです。

 市内の江戸時代の石造物のほとんどが同じ安山岩でも小松石ですから、根府川石は市原の地での突然の登場ということになります。そこで・・・

 

・謎、その6 「なぜ根府川石を用いた?」

 

 根府川石の起用は富士講の一つ「山包(やまつつみ)講」が絡んでいるかもしれません。実は松ヶ島涼風庵の富士講先達の墓石(明治初年)も根府川石。

 青柳や今津朝山、姉崎が「一山(いちやま)講」という名の富士講なのですが、松ヶ島の場合、富士講のグループが南五井方面と同じで市原で最大派閥の「山包講」。そういう点でも千種地区での松ヶ島の独自路線がうかがえます。なお北五井は「山水講」ですので、同じ五井でありながら講のグループが違うことの方もこれはこれでけっこう興味深いのですが・・・

 どうやら松ヶ島は千種地区ではかなりの異分子的集落であったと言えましょう。実際、松ヶ島周辺の千種地区では圧倒的な勢力を誇る真言宗ですが、松ヶ島だけは曹洞宗の飯沼龍昌寺の檀家ばかり。これは松ヶ島が飯沼の枝村的存在であったことを物語る現象の一つです。他には浄土宗寺院だった涼風庵(かつては八幡無量寺住職の隠居寺、現在は廃寺となり集会所とされている)があるのみ。市内最大多数派の真言宗寺院が一つも無いというのも海浜部では松ヶ島だけであり、この集落の大きな個性といえましょう。

 石造物散策に欠かせない基本資料の一つ「稿本五井町歴史年表」(昭和38年)によりますと市原における根府川石の利用は松ヶ島養老神社の「仙元大菩薩」碑(天保2年=1831)以降の事とされています。二例目は玉前稲荷神社富士塚の「仙元大菩薩」碑(安政5年=1858)で「山包講」のもの、三例目も松ヶ島の富士講先達の墓石であることを考えるとどうやら根府川石の市原進出に山包講(市原での最大の拠点は五井大宮神社)が一役買っていたことが伺えます。

 これらの謎を総合的に見ますと何がしかの急進的な、周囲の村々とは一線を画して独自路線をとろうとする動きが松ヶ島の中枢部にしばらく以前から存在していたと考えられなくもないのです。

 

§6.市原の郷土史88.養老神社と永井家(前編)

 

 

   松ヶ島の養老神社は私たちの想像力、空想力を大いに刺激してくれる、実に謎多き市原市有数のミステリーゾーンです。以下、養老神社に関わる七不思議ならぬ八不思議をご紹介致しましょう。

 

 

謎、その1 「横たえられた鳥居の柱」

 

   鳥居(弘化5年=1848)を造った石工は名工として知られた五井川岸の根本甚太郎です。この鳥居をくぐりますと境内の右側にこっそりと目立たない様子でなぜか同じ年代の鳥居の柱部分が二本横たえられています。

 けっこう値の張る鳥居の柱がなぜ横倒しになってここに残されているのでしょう?不思議ですよね?しかも今、建っている鳥居と同じ年号のもの・・・老朽化したので新しい鳥居と交換され、古いほうの柱がこうして残されている・・・という、よくありがちなパターンではなさそうです。

 この神社、入口付近からいきなり妄想に火がついてしまうミステリアスなポイントなのです。ちなみにカッパが確認した市内の江戸時代の鳥居は柱のみ、あるいは台石のみを含めてもわずか30基。

 市内最古は柱部分のみですが、これまた何と近くの青柳にございます。青柳若宮八幡の正徳5年(1715)、完品では金剛地熊野神社の享保12年(1727)。

 鳥居は見てのとおり元来が地震などの際に倒壊しやすい構造なので江戸期のものはとても稀少価値があります。青柳若宮八幡はおそらく老朽化して新しい鳥居にリニューアルする際、古い鳥居も記念に残しておこうという氏子たちの意識が働いたのでしょう。年代が刻まれた側の柱が一本、本来の半分ほどの高さで立っています。後世の者にとっては実にありがたい気配りです。

 古い鳥居の柱が横たわっているケースは養老神社以外では嶋穴神社に見ることが出来ます(嶋穴神社のものは肝心の部分が地面側を向いていて年代が判読出来ませんでした)。しかし同じ年代の鳥居なのに片方が柱二本だけ横倒し、というケースはこの養老神社以外では見かけた事がございません。どうみてもこれは不自然であり、滅多に見られないレアケースなのです。

 他の状況からみてこの鳥居は末社の浅間神社のものであったかもしれません。安政の大地震(安政2年=1855)や「大正の大津波」と呼ばれた大正6年(1917)の高潮、あるいは関東大震災(1923)の際などで倒壊し、その後に柱一本を残して撤去された可能性は十分考えられるでしょうが、残念ながらその確証はないのです。

 この柱の経緯、ご存じの方、いらっしゃいましたら是非、ご教示のほどお願いいたします。

 

 

 

謎、その2 「なぜ1848年に鳥居、石灯籠、狛犬が相次いで造られた?」

 

 石灯籠もこれまた1848年で石工も同じく根本甚太郎。石灯籠は寺社ともに奉納されるため市内に1000基近くは存在しますが、江戸時代のものとなると思ったほど多くはありません。カッパが確認できているのはたったの82件ですから、今見られる各地の石灯籠のほとんどは明治以降のもの。これも鳥居と同様に地震などで倒壊しやすいため、それほど長くは後世に伝わらないのでしょう。

 さてここで注目されるのは高価な鳥居二基と石灯籠がこの神社では同時に造られていること。富士塚前の狛犬も1848年のもの。4件合わせればおそらく総額で少なくとも当時100両くらいは支払ったはずです。

 値段がハッキリ分かっている高滝神社の鳥居はここの鳥居の百年ほど前に大坂に発注された御影石の大きなもので、60両という金額。これを参考に考えましょう。

 100年ほどの間の物価上昇を考慮すれば御影石より値段の安い小松石(安山岩)で高滝神社のものと比べてかなり小ぶりという要素があったとしても石灯籠と二基の鳥居と狛犬がコミであるならば最低でも100両ぐらいはしただろうと推察できるでしょうか。今で言えば一千万円近くというお値段。

 柱だけが残されている点も謎なのですが、どうやらこの時期、松ヶ島の村人たちの間に多少の出費を覚悟してでも神社の石造物造営に駆り立てる、何らかの強烈な力が働いていたと思われます。

 これは先走るようですが、外国船の来航が相次いだ江戸時代末期における尊王攘夷思想の浸透、平田派国学の普及が背景にプンプン匂って参ります。風雲急を告げる幕末、国難到来の中で神風を期待して神社に石造物を奉納する動きは各地に見られました。まして黒船が実際に入り込んできた江戸湾に面したこの地でそうした動きがあったとしても不思議ではありません。

 この二年前、1846年にアメリカのビッドル提督が浦賀に来航しています。既に幕府は江戸湾岸の防備体制の強化を進めておりました。この周辺では五井の大宮神社の鳥居がペリー来航の年、1853年に造営され、日米修好通商条約締結の1858年には川岸富貴稲荷神社の鳥居が造営されております。

 

 

 

謎、その3 「なぜ、海浜部なのに廿三夜塔?」

 

  廿三夜塔(1828:文字塔)が拝殿の左、大きな銀杏の御神木の傍らにまつられています。廿三夜塔は主尊の普賢菩薩を祀るケースが多いのですが、こちらは仏像を彫り出してはおらず、文字のみの文字塔。海浜部ではそもそも廿三夜塔自体が極めて珍しく、多くは内陸部に祀られております。カッパが確認できている廿三夜塔は合計で13基、内、海浜部は3基に過ぎません。

 月待ち講は海浜部の場合、圧倒的に如意輪観音を主尊とする十九夜講なのです。これは私が確認した中で希少な海浜部の廿三夜塔の一つといえます。

 松ヶ島村の草分け百姓の一部は飯沼村出身者(国吉氏等)であり、当初、松ヶ島は飯沼の枝村、分村的存在。しかも海岸部が狭かったために松ヶ島村村民は始めのうちはあまり海に出ることが無く、ほとんど農業で暮らしていました。従って同じ千種地区であっても早くから海の稼ぎが大きかった青柳やそのお隣の今津朝山とは様々な点で松ヶ島は趣が異なっているように感じます。これもそうした差異の表れかもしれません。

 ただしさほど遠くない五井の大宮神社にも廿三夜塔が2基あるので、ことさらに珍しいというほどではないのですが…

 

 「廿三夜」「十九夜」などの月待ち講についてここで簡単に説明いたします。かつて十五夜の満月を過ぎて月が欠け始める日の夜、特定の家やお堂に集まって月の出を待つ間にお経をあげ、普段よりも夜遅くまで過ごす「月待ち講」と呼ばれる、今で言うところの「女子会」のような集まりがございました。

 十九夜は1月や2月の場合、月の出が夜9時以降になるので女たちは少しずつ食べ物や小銭を持ち寄っては仏事を口実に遅くまで女性だけの歓談を楽しみつつ夫や舅への恨みを発散するなど、講は女性たちが日頃ため込んだストレスのはけ口ともなっていたといいます。

 特に出産を控えた、あるいは子育て、夫婦関係などに苦戦する若い女性は年配者からのアドバイスをもらえる絶好のチャンス。そうした機能の面では子安講とほぼ重なっています。月待講は関東では非常に盛んでその信仰の証である十九夜塔や廿三夜塔などの月待ち塔が市内にも数多く存在します。

 対して大山講(相模雨降り神社、石尊講とも)、八日講(出羽三山)などはどちらかといえば男の講なのです。ちなみに徹夜して日の出を待つ日待ち講の一つの庚申講や富士信仰にまつわる富士講は一応男中心と見られますが、実際には女性が参加するケースが市内では少なからず見られます。

 

 

 

・謎、その4 「富士塚の碑の表と裏が少し変」

 

 富士塚上に1831年の「浅間神社」と表に刻まれた碑が建てられております。実はこの碑、裏側を見ますと「仙元大菩薩」と大きく刻まれております。

 「仙元」と「浅間」はともに音が同じで音読みでは「せんげん」と読みます。音読みの「せんげん」は活火山を意味する訓読みの「あさま」に「浅間」の字をあてたことから「せんげん」と音読みされてさらに別の字「仙元」という字もあてられるようになったようです。つまりは霊力盛んな活火山を崇拝する山岳信仰を源流とするのが富士講なのです。

 1707年の宝永の大噴火で江戸の人々にもその威力を示した霊峰富士。折からの西風で江戸の空は昼なお暗く、一寸ほど、灰が積もったといいます。お山が噴煙を上げる様はここからでもしっかり見えていたはず。富士山への信仰はその後、東国で江戸を中心に爆発的に流行しました。葛飾北斎の最も有名な傑作「冨嶽三十六景」は江戸における富士講の盛況ぶりが背景にあったと言われます。

 写真の方、よく見て頂きたいのですが、年代と碑面の形状から見て碑の表側は非常に不自然。第一、裏の方が平面的でデコボコが少なく、どちらかといえば裏を表側にした方が良いように見えませんか?

 実は富士塚の石造物で「浅間神社」という呼称は明治以降に頻出しますが、江戸時代には珍しいのです。そもそも一つの石碑の裏面と表面で神の呼び名、称号が異なるケースはあまり例を見ません。これまた不思議の極みなのです。

 ※佐是の浅間神社にまったく同じパターンの石碑あり

松ヶ島養老神社の碑と同様、面は「浅間大神」、裏は「仙元大菩薩」とある。石の形状からこれも幕末から明治維新期に裏返されたのかもしれない。嘉永7年(1854)、山包講により建てられている。

 

 ところで裏の大菩薩という神の称号は本地垂迹(ほんちすいじゃく)説という考えに依拠した称号と考えられます。神様は仏が日本に現れた際に仮の姿として神の姿をとっただけで、その本体はあくまで仏であるとする仏教優位の思想が平安時代から強まります。これを本地垂迹説と申します。

 これに対して伊勢神道の側から室町時代に入ると猛烈な反発が起こり、次第に神道優位の思想が神官や国学者の間で強まってくるのです。妄想するに、この反本地垂迹説の立場をとる尊王攘夷派が「大菩薩」という仏教くさい称号を嫌って無理やり碑を裏返し、その時に「浅間神社」という文字を新たに刻んだのではないか・・・

 さらに妄想すれば過激な尊王攘夷派であった山田橋の名主野城良右衛門(国学者の平田鉄胤門下。養子に廣助らを迎え、廣助も文久2年(1862)に自分と同じ平田鉄胤の門下生に入れている)らの動きとどこかで関わるかもしれません。

 実は文久2年(1862)にこの神社、神社名を山王大権現社から現在の養老神社に変更しているのです。山王大権現社は日吉神社系・天台宗系の神社です。

 天台宗寺院は現在、市原では内陸部に多いのですが、天台宗の信徒がかつて松ヶ島にいた可能性も考えられます。…天台宗と内陸部を結びつけますと内陸部に多い廿三夜塔がここにポツンと祀られていることと山王大権現社という神社名とが絶妙につながってくるという印象があるのです。

 そもそも松ヶ島は飯沼の農民に加えて三河、美濃、出羽出身者が16世紀後半に開墾してつくりあげた村ですから、そのメンバーはもともとかなりの混成旅団。宗教的にも様々な要素が当初は混じり合っていたはずですから、かつて山王大権現社が存在していたとしても不思議ではありません。

 

 むしろ今もって不思議なのは神社名変更のタイミングと新しい名前の選択基準。なぜこのタイミングで新しい名称がつけられ、しかも「養老神社」だったのか?

 他に名称が変えられたケースはありますが(出津の牛頭天王社が八雲神社へ…)、いずれもそれは明治になってからの、廃仏毀釈運動の下でのことです。

 この謎、なかなかそそられます。

 そこで・・・次回、この件をじっくりと検討していきましょう。

 

§6.市原の郷土史その87 .高度経済成長期とは(後編)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「青い地球は誰のもの」は3分30秒余りの曲で、大雑把に言うと歌詞としては「青い地球は誰のもの」という歌詞が合わせて9回も繰り返されるだけの構成となっている。しかし今、60代の人なら聴いているうちに自然と泣けてくるかもしれない。

 

 私たちの世代は一体、何を目指して死に物狂いで頑張ってきたのか…思い返すたびに、内心、忸怩たるものがある。

 そして教育やマスコミによる洗脳の恐ろしさを今更ながら痛感してしまうのだ。

 

§6.市原の郷土史その86 .高度経済成長期とは(中編)

 

著作権を考慮してスポット修正を施している。

 

プライバシー保護のため顔にスポット修正を施している。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

§6.市原の郷土史その85.高度経済成長期とは(前編)

 

パワポの冒頭でBGMに冨田勲作曲の「新日本紀行」で使用されたテーマ曲を流したい。

なおプライバシーの問題で顔にはスポット修正を施している。

 

 

 

この場面では三波春夫の歌で「1970年のこんにちは…」を流したい。

 

ベニヤ板のせいだろうか、当時のリビングは茶系統の色が目立つ

 

 

顔にスポット修正あり

 

BGMで「キューピー3分クッキング」のオープニング曲を流したい

 

 

 

 

著作権の問題があるのでスポット修正をほどこしている

 

当時は見逃されていたようだが、このセリフはコンプライアンス上、問題あり。

 

 

駅前の大型百貨店で家具、家電製品、文具、食料品、衣類…すべて取りそろえた百貨店の業態はやがて週休二日制やマイカーの普及などにより、専門量販店やコンビニなどとの競争に敗れていく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

§6.市原の郷土史その84.市原市海浜部60年の歩み

 

・五井小学校校歌の由来より…白砂に黒松林 ウルトラマリン 海は輝く… 

 以下、「市原市中央図書館たより」からカッパが加筆抜粋。

 

 …五井小学校の校歌は、同校の卒業生であり、小説『叛乱』で第28 回直木賞(昭和27年下半期)を受賞した作家・立野信之が、母校に寄贈したものです。『五井小学校創立百周年記念誌』の学校沿革年表では、昭和 33年(1958)に「校歌制定(立野信之氏寄贈)」と記載されてい ます。  

 作詞は、教科書にも作品が載るような詩人・草野心平です。では、なぜ草野が作詞したのでしょうか。 千葉県立東部図書館にある『草野心平日記 第1巻』には、昭和33年3月15日に「立野信之君から五井小学校々歌の依頼」と記載。3月27日には「五井小学校の校歌を考へる」「五井小学校々歌つくる。渡辺浦人君に作曲依頼。」、5月1日には「立野君から五井の校歌の二万円もらふ。」とあります…

 

 校歌が発表された1958年にはまだ海辺の埋め立て工事が始まっておらず、松林が続く美しい砂浜の光景が広がっていたのだろう。今は残念ながら校歌に歌われた白砂清松の景色を見ることはできない。そのためもあってか、児童たちには歌詞のイメージがイマイチ、ピンとこないまま、今日まで漫然と歌い継がれてきているようだ。

 まさに往時茫々…

 

・市原市のホームページより:若干、カッパが補足、修正を加えている

市原市の概況

 本市は都心から50㎞圏内にあり、千葉 県のほぼ中央に位置し、北は千葉市、東は 茂原市、長柄町、長南町、南は大多喜町、 君津市、西は木更津市、袖ケ浦市の5市3 町と隣接している。 

 市の面積は368.16k㎡で、首都圏では有数 の市域を有している。 市の中央部を養老川が縦断して東京湾に 注ぎ、北部から中部にかけては平坦地が多 く、中部で緩やかな丘陵となって、南部は 標高200mから300mの山間地帯で、地質は 概ね第4紀層に属している。 

 大化の改新後には、上総国の国府がこの 地におかれ、奈良時代には現在の市庁舎が 建つ国分寺台に、上総国分寺と上総国分尼 寺が建立されるなど、市原市はかつて上総国の政治の中心地であった。 大正5年に作成された市原郡誌によれば、郡内11,856戸の84%にあたる10,024戸が 農業に従事していたと記されている。また、東京湾に面した村では海の幸を求める漁業や製塩も行われており、明治時代後半から東京湾の浅瀬を利用したのりの養殖が盛んに 行われ、昭和の前半までは、典型的な第1次産業のまちであった。 

 この頃、市の中央を縦断する養老川では、内陸部で生産された米や薪などを河 口まで運搬し、帰りに海産物や衣類などを運ぶ川舟による輸送が盛んに行われて おり、大正14年3月に開通した小湊鉄道とともに、経済の重要な流通経路となっていた。 

 さらに、東京湾を横断して、江戸(東 京)へ農産物、海産物、薪等を輸送する 手段として「五大力船」と呼ばれた帆かけ舟が江戸時代以降活躍し、戦後まもなくまでまちの経済を支えてきた時代もあった。 

 昭和30年代に入り、臨海部の埋め立てが始まると、電力・石油精製・石油化学 の大手企業が進出して京葉コンビナート地帯が形成され、日本の高度成長とともに、農業と漁業のまちは、第2次産業、第3次産業 を中心とするまちへと大きな変貌を遂げてきた。

 その一方で、千葉県内第9位の経営耕地面積を有し、農業産出額は県内第12位であり、水稲のほかにダイコン、スイカ、ジャガイモ、トマトなどの野菜栽培、梨、イチジクなどの果樹栽培も盛んに行われている。 また、南部の丘陵や山間地帯には多くの自然が残され、高滝ダム周辺から養老渓谷にかけては観光地となっており、年間を通して観光客が訪れているほか、ゆるやかな丘陵を利用し たゴルフ場が多いのも特徴の一つとなっている。

※ゴルフ場の数は33か所で市町村の中では日本一多い。市の面積の11%ほどをゴルフ場が占めており、

 市の観光客の半数近く、年間160万人がゴルフ場を利用しているという。…カッパ補足

※工業製品の出荷額と面積の広さでは県内1位…カッパ補足

 

市原の沿革 

 明治4年の廃藩置県によって、鶴牧、鶴舞、菊間の各藩がそれぞれ県になり、後に木更津県の一部となる。明治6年には市原郡として組み込まれ、明治22年の町村制の施行により、 市原郡はほぼ現在の大字にあたる172町村を合併して21町村となり、戦後、全国的な市町村 合併が進むなか、市原郡は、市原町、五井町、姉崎町、三和町、南総町、市津村、加茂村の5町2村となった。 

 その後、昭和34年から始まる臨海部のコンビナートの操業が、さらなる合併推進の大きな背景となり、昭和38年5月に市原町、五井町、姉崎町、三和町、市津町の5町が合併して、 市として県下19番目となる市原市が誕生した。 

 さらに、昭和42年10月には、南部の南総町と加茂村の1町1村を加えて、1郡1市とす る現在の市原市となり、現在の人口は271,159 人、129,203 世帯の首都圏有数の広域都市となっている。( 令和4年4月1日現在)

 

 ・少子高齢化の南北格差と外国人の増大

 海岸部の埋め立ては昭和32年(1957)から昭和38年(1963)に五井、市原、姉崎、市津、三和の5町が合併して市原市が誕生昭和42年(1967)には南総町、加茂村を合併して今日の姿となった。

 人口は昭和35年(1960)3月段階で98026人だったのが、昭和51年(1976)9月段階で20万人を突破し、平成1510月の281173人あたりがピークであった。

 以後、漸減して平成27年10月段階で280030人、令和5年9月段階で268943人とこの10年近くの間に1万人以上減少。

 地区別に見ると昭和48年(1973)の10月で五井地区(八幡を含む)が39514人だったのに対し、南部の南総は17081人、加茂は10100人に過ぎず、臨海部の工場地帯を抱える市北部への人口集中が既に見られた。また辰巳台団地の造成が進み、17510人と南総地区を上回る人口を抱えた。

 平成時代の後半には特に市の南部で高齢化と人口減少が顕著になる。令和4年段階で加茂の老年人口(65歳以上)比率は54.0%と高率(この10年間で10%も上昇)なのに対して年少人口(15歳未満)は4.0%に過ぎず、少子高齢化のスピードが加速していることが分かる。

 なお令和4年段階で、五井の人口は86465人で50年程前と比べて倍以上に増えており、人口比率は年少人口が11.1%、老年人口は25.7%となっていて、加茂地区とは好対照をなしている。ただ市北部といえども工場の進出に伴う団地群の造成で高度成長期、一気に増えてきた人口はこのところ頭打ちとなり、辰巳台などは約6000人減の11011人(令和4年)である。

 近年目立ってきたのは外国人の増加。昭和56年(1981)には675人に過ぎなかった外国人が平成24年には5102人と8倍近くも増えている。令和4年には6072人に達したが、コロナ禍によるのか、ここ2、3年は停滞気味である。内、フィリピン人が1840人と最も多く、次に多いのは中国人の896人、韓国朝鮮人の690人、ブラジル人が392人と続く。

 

八幡町大観(戦後まもなくの絵図で八幡公民館に展示)

 単線の房総西線の時代で蒸気機関車が走っている。バスはボンネットバスで海岸には遠浅の海が広がっており、海苔やアサリなどが重要な収入源だった。夏は海水浴や簾立てなどの客で賑わったという。船溜まりや澪、佃煮工場なども描かれていて実に興味深い。

房総西線(現在の内房線)、五所付近を五井に向かって走る蒸気機関車。

 飯香岡八幡と八幡宿駅付近をボンネットバスが走る。南総学校の校舎が八幡宮の左側に残っている。左上、グランドのすぐ近く、無量寺の裏手まで船が進入できる澪が迫っていた。

 

・埋め立て前の風景

 多くの写真は「写真アルバム 市原市の昭和」(いき出版 2013)及び岩崎公民館所蔵写真(故渡辺善雄氏、故時田隆氏寄贈)からカッパが選んでいる。

 

 

 ちなみに市原浦の名物であった海苔の養殖は意外にも歴史が浅く、明治33年に富津青堀の渡邊忠次氏による指導のもと青柳村で着手された。本来、延宝年間(1670年代)に江戸前で始まった海苔養殖は浅草海苔商人だった近江屋甚兵衛が房総の地に文政年間(1820年代)にもたらしたものである。

 ただこのとき五井村は貝などの海産物が採れなくなるのでは…という懸念から近江屋の申し出を断り、申し出を受け容れた小糸川河口の人見村(現在君津市)で房総最初の養殖が始まった。次第に君津、富津、袖ヶ浦で発達、普及した海苔養殖は江戸湾沿岸の村々に貴重な現金収入をもたらし、明治になってようやく市原にも普及するようになった。

 市原では青柳に続いて五井村が1909年、君塚村と今津朝山村が1912年、八幡五所村が1914年、松ヶ島村が1915年、椎津村が1925年、姉崎が1926年と相次いで海苔の養殖が普及。特に松ヶ島の漁業組合長だった斎藤久雄は養殖の技術改良に専心し、1950年、全国水産功労者として大日本水産会の表彰を受けている(松ヶ島養老神社境内に「斎藤海苔翁之碑」が1955年に建てられた)。

 こうした努力もあって1947年には千葉県の海苔生産が全国一位となり、昭和30年代まで八幡宿から姉崎にかけては11月上旬になるとあちらこちらで海苔を干す光景が見られた。しかし京葉工業地帯の造成により、昭和37年(1962)、松ヶ島を最後に市原の海苔養殖の歴史は幕を閉じることになったのである。

 

※昭和28年には船橋市から五井町にかけての漁業組合の代表者らが千葉市の水産会館に集まって県の京

 葉工業地帯造成と海岸の埋め立て計画に反対する方針を固めていたが、県などの圧力と説得によって

 補償金を受け取って漁業権を放棄する漁協組合が続出し、昭和30年から五井海岸の埋め立ても始まっ

 ていた。昭和32年から33年にかけて君塚、八幡、五所、五井の各漁協と県との間で漁業補償が妥結

 し、昭和34年には旭硝子、36年には古河電工、富士重機、碑の建てられた37年には三井造船、東電

 五井火力、昭和電工、38年には丸善石油、40年に不二サッシ等、企業の進出が相次いでいる。

 

・市原の高度経済成長と景観の変貌―埋め立てと団地造成―

 市原の景観が急激に変貌を遂げ始めた昭和三十年代は池田勇人内閣の所得倍増計画が進められて日本全体が重化学工業中心に高度経済成長時代を迎えていた時期でもあった。

 

腰巻漁の様子

 

 

 市原の臨海部ではかつて遠浅の海岸を利用したアサリ、バカ貝(青柳が特産地として有名であったため、バカ貝を「あおやぎ」ともいう)などの採取や海苔の養殖が盛んで、五井や八幡では夏になると海水浴場も開かれ、半農半漁ののどかな農村風景が浜伝いに展開していた。

 台地上の内陸部では畑作が盛んで薪炭材の切り出しも続いていた。現在、市役所を擁し市の中心部として繁華な景観を持つ国分寺台もかつては山林原野と畑が入り混じる純農村地帯であった。辰巳台、有秋台も同様であり、カブトムシはおろか野兎や野生のリスなどが生息する山林が多く残されていた。

 市原は海浜部も含めていわゆる郡部であり、都市的景観から程遠い純朴な農村地帯で占められていたのである。八幡宿や五井、姉崎、牛久、鶴舞などは交通の要衝として町場が古くから形成されていたが、昭和三十年代になっても道路はなかなか舗装されず、町場といえどもひなびた田舎町に過ぎなかった。そうした市原の田舎的景観は海浜部において昭和三十年代後半に一変していった。

 その経過を以下、概観してみたい。

 千葉県や千葉市は川崎製鉄(現JFE)工場の建設(昭和26年から建設開始)と京葉地域の工業地帯化のために必要とされる電力の供給を求めて昭和26年以来、東京電力に陳情を繰り返してきた。

 昭和29年、東京電力は県に対して内湾25万坪を埋め立てて火力発電所を建設したいと正式に申し入れた。発電所の候補地となった蘇我沿岸の漁民二百数十名が埋め立て反対の陳情をするために千葉市役所や県庁に押しかけたが、結局は巨額の補償金と引き換えに埋め立てが実現していった。

 この埋め立て成功をきっかけに船橋沿岸の埋め立ても進んでいった。電力供給の目途がついた県は工業地帯の造成に急ピッチで取りかかるようになったのだ。昭和30年には五井・市原海岸の埋め立ても始まり、昭和34年には旭硝子が進出するとともに辰巳台団地の造成も始まった。

 

 

辰巳台神社の瑞垣に、当時、埋め立て地へ進出してきた企業名が数多く刻まれている。

※辰巳台の山林原野は大規模な開発によって1960年代、大きな変貌を遂げていた。昭和43年(1968)

 に創建された辰巳台神社には当時の国会議員菅野儀作、始関伊平、千葉県知事友納武人、初代市原市

 長鈴木貞一など、高度経済成長期を支えた地元の著名人の名がズラリと刻まれている。またチッソ、

 昭和電工、宇部興産、大日本インキなど、埋め立て地帯に続々と進出してきた企業名もチラホラ見る

 ことができる。同様の開発は若宮、国分寺台、青葉台、有秋台、桜台、光風台と続いていった。

友納武人(1914~1999)「開発大明神」:広島出身。東大から厚生省に入り、戦後の健康保険制度

 を立ち上げる中心となった。1951年、柴田知事に招かれて副知事となり、1963年の加納知事急逝に

 ともない、知事選に出馬。以後、1975年まで3選を果たす。副知事時代から東京湾の大規模埋め立て

 による開発を推進し、京葉工業地域の礎を築く。しかし三井不動産の江戸英雄とのつながりなど、土

 建業界との癒着が噂され、さらには川鉄公害訴訟や成田空港問題も惹起した。知事退任後は1976年か

 ら衆議院議員になり、4期務める。1990年に引退。

 

 以後、海岸部の工業地帯化に伴ってその後背地、海に面した台地上には若宮、有秋台など大型団地の造成が相次いだ。国も池田内閣が昭和35年12月に重化学工業政策を重視して京葉臨海地域の埋め立て計画を一挙に3400万坪に拡大し、この動きを強力に後押しした。

 県は昭和35年、「五井姉崎、袖ケ浦地区工業地帯造成計画」を策定し、ついに五井南部から姉崎にかけての埋め立てに乗り出した。昭和36年には今津朝山・青柳・姉崎・椎津の各漁業協同組合が補償金と引き換えに漁業権を放棄した。市原沿岸の埋め立てはほぼ昭和37年に完了し、多額の補償金を得た沿岸部では住居の建て替え、新築が相次いだという。川崎などでは市原からの客は当時、「五井様」と呼ばれて金離れの良い上客扱いだったようだ。

 

 

柴田等1899~1974):宮崎県出身の農林官僚(京都大学卒)。1947年、旧知の間柄であった川

 口為之助が千葉県知事となると農業再建を掲げた川口に招かれ、副知事となる。1950年、川口の辞任

 に伴う選挙で知事に当選。以後三期務める。農業再生とともに川崎製鉄の誘致を実現させ、京葉工業

 地域の基礎を築く。後に知事となる友納武人を副知事に招く。やがて工業化を急ぐ川島正二郎、水田

 三喜男らが農林官僚出身の柴田を農業派と断じて批判し、対立を深める。柴田が漁民の生活を案じて

 東京湾埋め立ての推進にブレーキをかけると川島らは強く反発。このため1962年、柴田は自由民主党

 から除名され、次の知事選には公認されなかった。川島らは上総一宮藩の最後の藩主の子加納久朗を

 推し、知事に当選させた。しかし加納は1963年2月、任期110日にして急死する。

 

 大企業の進出も相次いだ。昭和36年に古河電工、富士電機、昭和37年に三井造船、東電五井火力、昭和電工、昭和38年には丸善石油、出光興産、昭和39年に丸善石油化学コンビナート、昭和40年に不二サッシ、昭和42年には三井石油化学コンビナート、東電姉崎火力などが進出している。

 京葉工業地帯の形成で遠浅の浜は一変した。その一角を占める市原市は工業製造品出荷額(4兆円弱)で県内トップクラスの工業都市である。

 なお日本全体が今、人口停滞期に入りつつあるが、市原市では既に1995年頃から人口が停滞している。市内に流入してくる人が減少してきたのがその大きな理由。

 市制移行から50年、人口は3倍近くに増え、都市的景観が市原の各地に拡大した。近年の都市区画整理事業によって町並みは一新され、かつての面影はなくなる一方である。他方で公害や交通事故の多発、ゴミ処理問題、治安の悪化等、都市化に伴う難問も山積している。

 若い世代であふれていた団地族もいまやひどく高齢化し、躍進を続けるだけのパワーが残っているのかどうか…きわめて怪しくなってきた。私達は一体、どこでどう間違ってしまったのか…ボタンのかけ違いがあるとすればそれはいつのことだろう。

 足元を見つめなおすとすれば原点はおそらく生活革新が叫ばれた高度経済成長期に求められるだろう。ただの懐古趣味ではなく、今後の市原、さらには日本の行く末を考えるためにも、もう一度あの頃をしっかりと見つめなおしてみたい。

 

1966年7月撮影。複線化工事中の養老川鉄橋。なお路線名は1972年に房総西線から内房線に改称。

 

§5.日本の進路1.政治と経済の混迷①

※この記事は常に新鮮なネタを提供すべく、随時、更新されています。

 

・町内会の不思議

【町内会は必要?】強制入会も…年会費&使途不明の積立金?令和のコミュニティ

 論を考えるABEMA Prime 【公式】  2024/07/06  15:27

 地方自治は民主主義の学校である、と言われるように、町内会のあり方は日本の民主主義の最も身近な実践例と考えてよいだろう。町内会の問題点としてよく指摘されているのが、町会費の高さや使途、さらに役員の仕事の多さであろうか。

 最も身近な「民主主義の学校」の停滞と腐敗(おそらく老害が一番の要因)はそのまま日本の民主主義の悪しき側面を反映しているに違いあるまい。身近な問題として日本政治の現状を捉える上でもぜひ、視聴させたい動画である。

都知事選ポスター問題

参考記事

【2024荒れた都知事選】「恥ずかしい」「これが民主主義」 ポスター掲示板、

   有権者はどう見た?日テレNEWS NNN によるストーリー 2024.7.10

   討論型授業に使うのならこの記事が良いかもしれない。ポスターを巡る意見の多様性に気付けるだろう。この問題をどう捉えるのか、議論百出してまとめるのは難しいだろう。ここでは無理やりまとめるよりも、出来るだけ多様な意見を引き出してみることを最優先したい。考え方の多様性に気付くことの重要性について考えを深めるチャンスとなれれば結論が出なくとも議論する価値は決して小さくあるまい。

橋下徹氏 都知事選のポスター掲示板問題は「ある意味、今の都民の民主主義のレベ

 ル僕は事前規制に反対」 スポーツニッポン新聞社 の意見 2024.6.24

 「都民の民主主義のレベル」が低い、とのことだが、民主主義のレベルがとりわけ東京都に限って低いとは思えない。今や安芸高田市などを筆頭に地方議員のレベルの低さはあまねく知れ渡っている。今後、取り組むべきは国民の政治意識の低さがどの程度なのか、国際比較等を通じて明らかにし、日本での意識の低さがどのようにして生み出されてきたのかをまず明らかにすること。次に国民の政治意識を高めるには今後どうすべきか、その方策を練ることだろう。

車椅子アイドル、ほぼ全裸の都知事選ポスター騒動に私見 インプ稼ぎで「余裕で元

 が取れます」 日刊スポーツ新聞社 2024.6.21

ひろゆき氏 都知事選わいせつポスターに「本人以外の写真載せた人みんな…」番

 組で持論述べる スポニチ 2024/6/22 10:36

 ポスターへの対応という目先の観点では妥当な意見であるが、本質的に問うべき点はなぜこのようなことが今の日本で生じているのか、であろう。ぜひ生徒たちには事の本質、事件の背景を推理させたい。

有権者「ばかにしている」 都知事選の掲示板に大量の同じポスター

 毎日新聞 によるストーリー 2024.6.21

 今、最高に刺激的なニュースであり、授業で取り上げないわけにはいくまい。生徒たちの意見、感想をまずアンケートで募りたい。ある程度、対立的な意見にまとまりそうならば、討論に持ち込めるだろう。相当、ホットな議論が展開できそうな内容だが、特にNHK党の立花氏の見解が興味深い。この意見をどう評価するのか、多角的に考えることで日本政治の現状についてかなり深掘り出来そうである。またアンケートでは誰が当選するのか、予想させるとさらに面白くなるだろう。予想の根拠、理由もぜひ書かせたい。

※参考記事

 〇「YouTubeでバズってる」オリラジ中田 明かした都知事選で注目する候補者”メント欄では対

  談求める声が 女性自身  2024.6.21

小倉智昭「言語道断だよ」都知事選のポスター問題&大量擁立「何か手を打った方

 が将来のため」日刊スポーツ新聞社 によるストーリー 2024.6.24

73歳大物タレントが苦言「いまの日本には一般常識が存在しないのか?」都知事選

   ポスター騒動に 日刊スポーツ新聞社 によるストーリー 2024.6.22

   高齢者による苦言には真剣に耳を傾けなくとも良いケースが少なくないだろう。いかにも「昔は良かった…」的な、高齢者のあやふやな記憶に基づく発言ほど「老害」臭が漂うものはない。堀江氏が指摘するように、昔から日本の選挙と政治は腐敗しており、残念な部分や滑稽な要素をいっぱい抱えてきたはず。それを今回の、児戯に等しいポスター騒ぎをもってして「今の日本には一般常識が存在しないのか」と大仰に嘆く方が滑稽だろう。何を今さら仰いますやら…

   昔から日本の選挙と政治は酷くねじ曲がっており、腐敗していた側面を持っていた残念な歴史がある。それを自覚できないでここまで来てしまったのか、それとも高齢者特有の記憶の揺らぎが生じてしまっているのか…現状を変える力を持たない、無意味なボヤキを発する前に、かつての日本の政治の闇と今の政治の闇との間に横たわり続けているどす黒い「何か」にしっかりと目を凝らし、向き合う方がはるかに有意義ではないのか。

 もちろん選挙のあり方について「何か手を打った」方が良いのは当然であり、むしろ言わずもがな、である。当たり前すぎて耳を貸したくもないし、問題の核心は選挙のあり方には無いだろう。

 どんな選挙に変えたとしても、おそらく別の弊害を生み出すやもしれず、どんな法にも抜け道はあるに違いない。つまり選挙どうのこうのは日本の政治を変える上ではあくまで対症療法に過ぎず、根本的な解決にはまったくつながりそうもないと思うがいかがか。

 そもそも地方政治から国政まで様々な問題が噴出している現状を許容してきたのは国民そのものであろう。議員や首長を選んだのは国民であり、国民が変わらなければ政治が変わらないのは民主主義の鉄則ですらある。今、問われるべきは民意の方なのだ。したがって都知事選のポスター問題は国民が生み出している側面があると考えるべきであろう。

 では現状の無様な騒動を生み出す基盤たる国民の政治意識がどのように形成されてきたのか…問題の核心はそこにあると考えるが、いかがだろう。そして民意形成の要となっているのは学校教育とマスコミのふたつであることはほぼ議論の余地があるまい。すなわち私たちはこの騒動を機に、この騒動の主犯格たる戦後の学校教育とマスコミの歩み、学校とマスコミが高々と掲げてきた理念の裏側で実際にはたしてきた社会的機能の方をこそ、しっかりと振り返ってみるべきではないか。

参考動画

【成田悠輔】評価と仕事と学校教育|好き勝手なことをやる意志|他人の評価、分

   類、肩書きに捉われない生き方|無感覚観

   日本経営合理化協会  2022/08/20  8:23

   少子高齢化の下で若者がどのような心構えで生きていくべきなのか…重要なヒントが潜んでいるだろう。他者による評価、自己承認欲求に足を掬われない事が最も重視されるという指摘は成田氏以外でも多くの識者が行っている。

車椅子アイドル、ほぼ全裸の都知事選ポスター騒動に私見 インプ稼ぎで「余裕で元

 が取れます」 日刊スポーツ新聞社 2024.6.21 7:39

【石丸伸二最新】※衝撃の支持率が発表され驚きを隠せない…当選確率の高さに腰

   を抜かしました ホリエモンのお前が終わってんだよ!【堀江貴文 切り抜き】

   2024/06/22  10:29

2022年5月山梨県北杜市太陽光説明会 住民恫喝【里山連絡会】太陽光パネルの乱

 立から里山を守る北杜連絡会 2022/11/01  1:46

山梨県北杜市太陽光発パネル事業者と住民間の様子【里山連絡会】太陽光パネルの

   乱立から里山を守る北杜連絡会 2022/11/01  2:13

 これだけの違法なレベルの暴言や威嚇が繰り返し行われる背景にはこの事業者と首長とが裏でつながっているからではないのか…これだけ地方政治の無秩序ぶりが各地で続々と露わになっているのに、これまでテレビでは単発の報道しかされてこなかったのは一体なぜなのだろう。他方で東京都知事選の子供じみたポスター程度でしつこいほど騒ぎ続けるマスコミのマスゴミぶりにはやはり呆れるほかあるまい。

 今、真っ先に検討すべきなのは日本の政治が地方を含めて一体どこまで腐敗、堕落してしまったのか、その真相究明にあるはず。ポスターの取り締まり方法を検討するといった、表面的な小手先の対応で済ませられるほど底の浅い問題ではあるまい。日本の政治が現在、どれほど深刻な機能不全に直面しているのか、まずは現状を直視することから始めたい。

 

裏金処分議員、千葉でパーティー 政治とカネ問題相次ぐ「震源地」

 共同通信 によるストーリー 2024.6.28

 選挙などにおいて金銭の問題が多いことで昔から知られている、いかにも千葉県らしい案件。政治家の腐敗は同じく「~先生」と呼ばれている教師や教育委員会の腐敗と良く同期するだろう。千葉県が古くから管理主義教育の聖地として有名であったことと、管理主義的教育を支持してきた政治家が大勢いることとは決して無縁ではあるまい。そして彼らの厚顔無恥ぶりは千葉県教育委員会の厚顔無恥ぶりと実に瓜二つである。

日本の若者、自国の将来「良くなる」15% 米英中など6カ国中最低

   毎日新聞 によるストーリー 2024.4.9

 議論の材料としてうまく利用できれば面白いだろう。同じようなアンケートを事前に生徒に行ってから、結果を比較させて議論に持ち込みたい。

45都道府県で「採用予定数割れ」 公務員不足、急速に悪化

   毎日新聞 によるストーリー 2024.1.15

地方公務員の採用試験、過去30年で最も低い5・2倍…23年間で競争率半減 

   読売新聞 によるストーリー 2024.1.14

 少子高齢化による急速な人口減が招く当然の帰結として行政サービス全般の劣化と各種ボランティア活動の衰退が考えられる。地方自治体における公務員不足、消防士不足、消防団員不足、警察官不足、保護司不足、幼稚園~高校での教師不足、保育士不足、医師不足、看護師不足、介護士不足、自衛隊員不足、郵便を含めた運輸・配送従事者の不足、児童相談所員の不足、公民館員不足、町内会員の減少、ケースワーカー不足、民生委員不足…これらが一向に改善されることなく同時進行していけばやがて日本社会の美徳とされた安全性、規律正しさ、各種の利便性、おもてなし精神、識字率の高さ、平均的学力の高さ等は瞬く間に瓦解するに違いない。

 以上のことを踏まえると公民科授業のポイントは以下のような点であろうか。

 科学技術の発達がそうした問題の解消にどれだけ貢献できるのか、今後予想される大規模な自然災害の発生がどれほどのダメージを日本にもたらすのか、気候変動による損失はどの程度まで膨れ上がるのか、海洋資源の確保と利用がどの程度まで可能となるのか、中国や北朝鮮、ロシアなどによる軍事的脅威はどの程度まで高まるのか、移民政策の進展は可能か、今後、女性政治家がどの程度、増えていくのか、老害政治家の排除は可能か、学校教育の根本的変革はどこまで進められるのか…

 課題山積の現状から人々は目を背けてはなるまい。そのためにまず鍵を握っているのは学校教育、とりわけ授業改革であると考える。なぜならば日本社会の主要な問題点を国民の多くが、特に若者たちがある程度までは共有していなければまともな議論さえ成立しないからである。とりわけ社会科授業の見直しは急務であろう。児童生徒の課題発見能力を磨き、彼らが自分なりの考えを組み立てていく力を養い、他者の意見を汲み取り、議論を建設的に進めていく方法に習熟していくような、新たに工夫された授業展開が今、切実に求められていると思うが、いかがだろう。

【貧困大国ニッポン①】円安・賃金の停滞・国際競争力の低下…日本はなぜ貧困に

   なってしまったのか?その原因を徹底解明します

   中田敦彦のYouTube大学  2023/11/11 38:27

【貧困大国ニッポン②】官邸一強によって生まれた忖度…「内閣人事局」の功罪と

   は? 中田敦彦のYouTube大学 2023/11/12 34:48

 「失われた30年」がどのようなメカニズムで生じたのか、非常に明快な論理で解き明かした傑作動画。特に安部政治の負の側面を抉り出し、処断する論説が展開されている。確かに中田氏が強調するように、2012年に一人当たりのGDPが13位だった日本が、10年後の2022年に27位に転落した責任の過半は安部政治にあるだろう。

 失われた30年は小選挙区比例代表制と政党助成金が導入された細川護熙内閣から始まるという指摘は面白い。本来は金権政治への批判から導入された政治改革のための制度が政治の意思決定の面で族議員や大企業の力を弱め、相対的に首相官邸の指導力が高まる流れを創り出した点は確かに否めないだろう。加えて1996年に官庁が再編され、省庁の数がほぼ半減されたことで官僚の力も一気に後退し、これまた相対的に首相、及び官邸の力が伸長することにつながる。

 そしてこの流れが決定的になったのが安倍内閣による内閣人事局の設置(2014年)であったという。これによって政府は各省庁の幹部クラスの人事権を握るのみならず、日銀やNHKのトップを決める人事権まで握ってしまった。この人事は首相とそのお気に入り官僚(通産省出身者が多いらしい)とでほぼ決められてしまい、左遷、降格人事を恐れる官僚たちの過剰なまでの忖度を生み出した。もちろんNHKや日銀も同様となる。安倍首相は検事総長の人事にも介入し、モリカケ問題や桜を見る会の隠蔽に走った。つまり首相のやりたい放題の政治が官邸主導で実現されてしまったことになる。総務省を通じてマスコミの統制にも成功した政府はついには政権に批判的なテレビキャスターを引きずり下ろす蛮行まで行うようになってしまった。

 他方で日本経済の立て直しはもっぱら日銀による異次元の金融緩和、すなわち莫大な通貨の市場への放出を行ったのみで、その効果は極めて一時的なものであったにもかかわらず、政策の検証を行わないままとうとう10年が経ってしまった。むしろ景気が後退する中でひたすら円安が進み、輸入価格の高騰に伴う物価上昇に対して賃金の上昇が間に合わないという、悲劇的な状況が日本の現状を覆っている。

 中田氏はこの「失われた30年」を取り戻し、「貧困大国」と揶揄される政治と経済の停滞から脱出するには「情報の透明化」が最大のポイントとなると指摘している。確かに過去30年間のしっかりとした検証抜きではいつまでたっても真剣な反省ができないまま停滞の沼につかっていく一方となるかもしれない。この状態はおそらくカッパが再三指摘してきた教育行政の停滞だけに限らない、広範で根深い現象なのだろう。とりわけ「情報の透明化」は学校の強固な隠蔽体質の改善にもつながる、キーワードであると感じた。

【成田悠輔 下村博文】そもそもの制度、構造の問題を指摘し続ける成田博士の視点

   は必要だと思う。

   天才博士の見る世界【成田悠輔 切り抜き】  2022/02/25  5:49

   こ成田氏の高齢政治家に対する一貫した主張が理解できる、貴重な切り抜き動画。

ぜひ、この動画から「老害政治家」の問題や若者の閉塞感を明らかにしていきたい。

 Z世代の約7割が日本社会の未来に「希望を感じていない」…理由2位「少子高齢

   化」を超えた1位は? まいどなニュース の意見 2023.10.6 

  やや調査対象の人数が少ないと思われるが、この分野の最初で使いたいデータである。なぜ、日本社会の未来に希望を感じられない若者が多いのか、その理由を出来るだけ多く考えさせたい。同時にどうしたら未来に希望を持てるようになるのか、その条件もできるだけ多く挙げさせたい。

二階元幹事長「不出馬」で考える スウェーデン82%、日本36.5% これが日本

 のじさん政治”を生む【報道1930】

   TBS NEWS DIG_Microsoft によるストーリー 2024.3.26

   老害政治家が跋扈するする日本では若者の政治に対する無関心と諦めが蔓延している。とりあえず政治家の定年制と被選挙年齢の引き下げが同時に実現しないと若者の政治参加は進まないだろう。と同時に学校での政治的話題に関する議論形式の授業が小学校を含めて広く行われなければなるまい。日本の学校教育がいかに若者を政治的無関心に陥れているのか、特に社会科教師は深く自省すべきであろう。

「安倍派幹部は責任を果たした」自民党・大西英男衆院議員が主張 「われわれは選

 挙で選ばれた人間」 東京新聞 2024.1.25

岸田首相「責任は国民判断」波紋=自民反発、野党は解散要求

 時事通信 2024.4.5

二階元幹事長に新疑惑 3年間で3400万円以上の書籍代 裏金で出版かさらに

 「本もらった」と話す住民たち 禁止される寄付にあたる可能性

 FNNプライムオンライン によるストーリー 2024.4.5

 パーティー券販売に関する会計処理の杜撰さ、不透明さが問題になり、ついには安倍派などによるこれまでの派閥政治への批判、安部派を中心とする自民党幹部の辞任に発展している。こうした一連の騒動によって国民の政治不信が高まる中で、一見、安倍派議員による開き直り、とも取れそうな発言が記事となっている。これをどう受け止めるのか、まず生徒の意見を確認したい。

 大西議員の発言は代議制民主主義の原理・原則から見れば決して間違っていると単純に決めつけられるものではなく、むしろ正当なものとさえ考えられるだろう。こうした事案に対して国民には選挙で政党や議員を断罪できる権利が与えられているのだから、本来ならば選挙を通じて国政を変えていくのが民主主義国家における国民のとるべき本道ではある。

 ところがこの本道自体、実は大きな落とし穴が随所に待ち受けていて、民主主義の根幹を揺さぶりかねない危険性をはらんでいることも、また事実だろう。ナチスの台頭を招いたのはドイツ国民の大多数によるヒトラーへの熱狂的な指示である。ドイツ第三帝国は最初から独裁体制だったわけではなく、むしろ最も民主主義的であったはずのワイマール共和国こそがファシズムの母胎の一部ですらあった…そうした側面は決して否めないだろう。民主主義的な多数決の原理が最悪の政治を引き寄せた過去があったとすれば、多数派の発言力、優位性はある程度まで認めるとしても、今日においてはその正当性全般をも軽々に判断することは避けるべきだろう。

 選挙に当選すれば議員としてのある程度の特権が法的には約束されている。しかし議員ならば何をしても良い、というわけではもちろんない。どこまでが議員としての特権でどこから先が禁じられたゾーンなのか、グレーゾーンも多少あるだろうが、出来る限り厳密に問うべきだろう。

 しかし残念ながらモリカケ問題、桜を見る会の問題、すべてこれまで証拠隠滅が疑われる中で証拠不十分というあいまいさを払しょくできずに不透明なまま過ぎてきている。どうやらこの国の証拠隠滅による誤魔化しだらけの政治は地方議会のみならず、地方行政組織、公立学校の隅々まで深刻で根深い隠蔽体質としてすでに広く浸透してしまっているのではあるまいか。つまり国民は民主主義が健全に機能する上で不可欠なはずの知る権利が常に侵害されている状況に置かれているため、選挙の際、どの政党を選べばよいのか、どの議員を選べばよいのかといった判断基準に関わる、信用するに足る肝心な情報を実は十分に持っていないのが実情だと私は考えている。

 このような状況で選ばれた議員に、そもそも国民を代表して国政に関わる代議士としての資格があるのかどうか、実際には疑わしい限りである。しかも比例代表制があるため、少なからぬ国民が落選させるべきだと考えている、差別的発言を繰り返してきた某国会議員を落選させることが出来ないシステムである点も、選挙制度の大きな欠陥として指摘できるだろう。またよく言われるように少子高齢化に伴う世代別選挙民人口の偏りは極めて大きな問題であり、若者を政治から遠ざけさせている無視できない一つの原因となっている。

 さらに日本の学校教育の不備がこの問題を一層深刻にしているだろう。高校ですらまともな政治教育が出来ない、知識詰込み型の授業が蔓延する現状では18歳になっても選挙に行くだけの政治的関心や意欲、知識を持つ若者が極めて限定されてしまっている。無論、成人したところで日本では信頼するに足る政治情報が極めて限定的にしか報道されないのだから、もはや、選挙結果自体、国民の世論を十分に反映しているとは考えられない…だとすれば今の議員たちが本当に国民の代表としてふさわしい存在なのか、もう一度真剣に問い直すべき時が来ているに違いない。

 要するに大西議員や岸田首相の発言はこうした日本の「知らしめず、よらしむべし」の封建的な政治風土、システム上の欠陥などについて政治家としてまったく考えが及ばない、いかにも今、ありがちな、特権意識丸出しの開き直りに過ぎない、と判断するが、いかがだろう。

 

・地方議会の現実:安芸高田市の動きを中心に

参考記事

人口8000の町で起きた「公益通報」の不可解 不正をただすつもりが「懲戒処分

 はあまりに不当」AERA dot. 夏原 一郎 によるストーリー  2024.5.21

 ここ最近、地方政治においてパワハラ、セクハラ問題が噴出している。特に首長やベテラン議員による案件が目立っている。その背景に何があるのか、考えさせられる事件だろう。学校でイジメ事件の隠蔽がはびこる背景と共通するものがありそうだ。

日本の水道「寿命切れラッシュ」目前!過疎地はタンク車給水に?水道危険度の真

   実 ダイヤモンド・オンライン 井澤 梓 によるストーリー 2023.10.13

 一斉に耐用年数が切れてくるのは水道管だけではあるまい。道路、橋脚、ダム、港湾、高層ビル、ガス管、トンネル…あらゆるインフラが老朽化している現在、少子高齢化による減収は特に地方の山間部などに大打撃を与えるだろう。安芸高田市はそうした市の一つであり、痛みを伴う改革が急がれるはず。しかし…

多選・高齢議員が跋扈、「地方議会」の悲惨な現実 町村議員の8割が60歳超、若手をく

 じく報酬事情 東洋経済オンライン山田 稔 によるストーリー  2023.4.26

「氷山の一角が世間の目に触れた感覚」神社政治連盟が配布した“LGBTQ冊子”に神

 社で働く当事者らが意見書 TBS NEWS DIG の意見 -2022.11.25 

 宗教と性差別は日本でも密接に絡み合っている問題。一部有力政治家の政治意識の中にも日本の未来は明るく感じられない事に気付きたい。

神道政治連盟国会議員懇談会:神社本庁の関係団体である『神道政治連盟』(神政

 連)の理念に賛同する日本の国会議員により構成される議員連盟で安倍元首相が亡

 くなるまで会長を務めていた。そのメンバーにはかの杉田水脈氏ら自民党国会議員

 の多くが名を連ねている(Wikipediaによると2021年11月1日現在、247

 名)。安倍元首相殺害事件を契機に自民党と旧統一教会との密接な繋がりが問題化

 しているが、神道組織との関係も政教分離の原則に違反しかねない側面を孕んでい

 るだろう。また日本が今もなお性差別撤廃への取り組みが極めて遅れている背景に

 この組織が何らかの役割を果たしてきた事も考えられる。

  2000年5月15日、神道政治連盟国会議員懇談会において森喜朗内閣総理大臣(当

 時)が行った挨拶の中に含まれていた「日本の国、まさに天皇を中心としている神

 の国であるぞということを国民の皆さんにしっかりと承知して戴く、そのために

 我々(=神政連関係議員)が頑張って来た」という発言はこの団体の氏素性、本質

 を余すところなく物語っているようだ。

  国民主権と政教分離の原則に違反する戦前の古色蒼然たる亡霊のような国体観念

 が有力政治家の頭から離れていかない限り、日本の民主主義は「老害」の沼にはま

 ったまま、一歩も前進できないだろう。

参考動画

日本人初「国際子ども平和賞」川崎レナさん(17)にインタビュー 「若者は未来

   ではなく今」新成人の高校生が描く「社会」【news23】|TBS NEWS DIG

   TBS NEWS DIG Powered by JNN 2023/01/11 6:56

【快挙】日本人初「国際子ども平和賞」に大阪の17歳(2022年11月15日)

   ANNnewsCH 2022/11/15 2:50

 この高校生のように今の日本の政治に対して何らかの悔しさを感じている生徒がクラスの中でどれほどいるのか、まず確認したい。悔しさを感じているとすればどの点に感じているのか列挙させてみたい。いきなり討論に持ち込むのはやや性急すぎるテーマだと思うので、動画視聴後にアンケート形式で記述させたり、選択肢から選ばせたりして多少、時間をとって考えさせてみたらよいだろう。その方がしっかりと問題点を分析できるように思うが、いかがか。

【安芸高田市議会】学生からは「絶望感」という声…

   【公式】HOME広島ニュース 2023.12.5 11:05

 学生たちの意見が参考になるだろう。二元代表制の意義を問いたい。この動画から入ると議論の効率性は高まるだろうが、非効率が持つ意義は無視できない。教師側としては早めにこの動画を見ておくとさほど混乱せずに議論に持っていけるだろう。

【安芸高田市・石丸市長vs議会】居眠り論争&恫喝疑惑リアル半沢直樹こと石

   丸市長と議会のバトルから目が離せない

   中田敦彦のYouTube大学  2023/09/26 33:51

【安芸高田市・石丸市長vs議会②】「恥を知れ、恥を」発言と無印良品事件…石丸

   市長は地元の救世主なのか?

   中田敦彦のYouTube大学  2023/09/27 25:30

   事の次第を把握するにはうってつけの動画。地方政治の動きこそ、日本の未来を見据えるうえで見逃してはならないポイントであり、安芸高田市議会と市長との対立は少子高齢化が加速する日本の今後を占う点で非常に役立つテーマを提供してくれる。

【9/25速報】YouTubeがバズってる本当の理由お教えします!!実は石丸市長の

 狙い通りだった!?みんなの政治ちゃんねる  2023/09/26  24:31

 石丸市長の考えが非常に分かりやすく、興味深い内容となっている。日本の政治の行き詰まりがどのような症状を呈してきているのか、安芸高田市の議会を通じて明確に把握できるだろう。教師としては必見の動画。

 【デジタル化】「政治家は未来予測できる人材がいない」総理提言"Web3推進" 橋

 下徹×安田クリスチーナ 2022/09/11 ABEMAニュース【公式】  

 日本の政治家の資質を問いたい。政治家の高齢化に加えて情報を隠そうとする教育

行政を典型とするような、閉塞した日本の行政体質こそ日本社会の「デジタル化」、政治改革を阻む大きな要因ではないか・・・

【国葬】「関心低い…日本に未来を感じない」若者と愛国心を考える 橋下徹×安田

 クリスチーナ 2022/09/11 ABEMAニュース【公式】 9:56

 安倍元首相の国葬問題について賛否を問う必要はありそうである。討論の俎上にあげてみたい。特に「日本に未来を感じない」若者の政治意識の背景について考えていきたい。

【しらべてみたら】政治家を勝手に観察 議会に遅刻!遅刻!遅刻!

 2022/09/07 FNNプライムオンライン 20:58

   議会における議事進行のあり方に大きな問題があることは事実だろう。それにしても元議長らベテラン議員、高齢議員の遅刻、居眠り、「内職」等の問題行動の多さには呆れるほかない。前市長の暴走を牽制すべき市川市議会は残念ながらほぼ機能不全に陥っているのではあるまいか。一体この人達に年、一千万円以上もの給与を税金から支給することは正しいことなのか。

 地方議会の多くが同様の状況にあることはこれまでもFNNが山梨や千葉、東京、神奈川などで立証してきている。また国会もFNNによればほぼ同様の状況であるという。これでは若者の政治離れを防ぐことなど不可能。

   中央調査社による2015年の「日本の国会議員を信用できるか」との問いに対して「信頼できる」と答えた割合はわずか8%に過ぎなかったらしい(←「日本の国会議員」濱本真輔 中公新書 2022)。政治家の資質及び議会運営のあり方を根本から見直す必要がありそうだ。

   同様の動画で税金を使った海外視察に勝手についていってみた【追跡スクープ】【しらべてみたら】2022/02/14 FNNプライムオンライン 20:07もかなり刺激的。

政治家を勝手に観察!議会中に銀座のバーを検索?【しらべてみたら】

   FNNプライムオンライン 2023/11/07 22:18

 神奈川県議会議員の会議中の醜態は困難校での授業中の状況に匹敵するだろう。しかも元県議会議長ほど居眠りが多い。3年前にも議会の様子を取材され、厳しく批判されたにもかかわらず、このていたらく。

 一体、どれほど地方議会が腐敗しているのか、私たちは知るべきだろう。 

【安芸高田市】39歳石丸市長「恥を知れ」怒りの訴えも「議員半減案」は"否決"/

 担当記者解説付き 2022/06/10 【公式】HOME広島ニュース 9:05

 議会と市長の対立は不毛なのか?男性ばかりの高齢政治家がはびこる日本の政界の異常さをもっとアピールする必要はありそうだ。マスコミやSNSの反響を計算に入れた市長の挑発的な言動は確かに物議を醸す点もあるが、強烈なアピール力を持ち、若者の政治的関心を高める効果はそれなりにあるだろう。

39歳市長が怒り「恥を知れ」 議員半減する案 大差で否決 “居眠り政治家”リス

 トラ狙い? 2022/06/10 FNNプライムオンライン 3:15

新しい風を!安芸高田市の若き新市長|京大卒元銀行員 石丸伸二さん(38)

 2020/10/06 【公式】HOME広島ニュース 9:33

◎「是々非々」とは… 安芸高田市長と議会の7カ月|対立の構図

 2021/03/19 【公式】HOME広島ニュース 8:42

 選挙結果が本当に民意の大勢を反映しているのか、極めて怪しい現状が地方政治には色濃く漂う。議員は誠実に住民の代表として仕事をしているのか、厳しく問うていくべきだろう。

【居眠り論争、恫喝疑惑...】新人市長の奮闘 武器はTwitter~つぶやきが生んだ

 混乱~|安芸高田市 2021/05/06 【公式】HOME広島ニュース 

 市長と市議会の対立はここから本格化するので、この場面から安芸高田市の動きを追っていきたい。  

#つぶやき市長 と 議会のオキテ~400日の議論の行方~政治経験ゼロの元銀行員

 の武器は「 #Twitter 」【テレメンタリー2021】【ナレーター:福山潤】

 2021/11/13 ANNnewsCH 24:44

【政治に“根回し”は必要?】Twitter話題の市長|目玉政策を議会で否決され… 

 2021/11/05 【公式】HOME広島ニュース 8:07

 日本政治にこれまではびこってきた「根回し」や「忖度」が公明正大な議論の機会を奪い、不透明な政治運営を生み出してきたのかもしれない。日本政治を考える上でここは非常に重要なポイントだと思われる。ぜひ議論させたい。

【市議が疑問視】「美術館休館」に主導の市長は・・・

 2021/12/15 【公式】HOME広島ニュース 0:55

 土建業者と癒着した政治家が今までに続々と収賄事件を起こしてきただけではなく、いわゆる「箱物行政」の負の遺産としての財政的負担を後世の市民に長く背負わせているといった側面は典型的な地方政治の腐敗ぶりを示していよう。市民の声や議会の声を無視した市長の暴走・・・とする議員側の反発の是非を生徒に問いたい。

【必要悪?】非公開の場で行われる議論“根回し”その実態は

 2022/02/09 【公式】HOME広島ニュース 8:49

 「根回し」は必要悪だろうか?「政治に根回しは必要?」と同じ趣旨の動画。ただしこちらの方がより論点を整理できているかもしれない。特に議会での議員による発言に関する情報公開の制約が極めて大きい点についてはもっと問題視すべきではあるまいか?

【安芸高田市】39歳石丸市長「恥を知れ」怒りの訴えも「議員半減案」は"否決"/

 担当記者解説付き 2022/06/10 【公式】HOME広島ニュース 

 市政への質問を市長に事前通告する制度は国政にもあり、問題視されている。議会での議論の形骸化という点で確かに大きな課題があるだろう。質問内容の事前通告は公開の場での議論を封じ込め、ある種の「根回し」、「忖度」にも繋がりかねない、非民主主義的な密室政治への危険性を持っている。多くの地方政治が直面している現実にはこうした側面があるに違いない。

 市長と議会との溝が深まる中、市民の市政に対する関心は徐々に全国的な広がりを見せている。高齢化によっていっそう地方政治にはびこる村社会的慣習、掟の是非が問われる。是非、討論の俎上にあげてみたい。若者を政治の世界に取り戻すには何が鍵となるのか・・・市長のSNSの利用が不可視化しつつある市政に風穴をあけ、若者、市民に「見える化」させている影響の大きさも考えたい。

【安芸高田】“居眠り”議員が記者会見で改めて主張。市長は診断書の中身を確認せ

 ずシュレッダー 2022/06/30 【公式】HOME広島ニュース 6:47

【ひろゆき&成田悠輔】大ゲンカ!若き市長はなぜ揉める?【地方自治体から変え

 る日本】 2022/07/31 日経テレ東大学 50:04

【ひろゆき&成田悠輔】革命起こす…市長たちの野望【リアルすぎる現実】

 2022/08/07 日経テレ東大学 55:08

 少子高齢化、人口減少という現実に直面する地方自治体の身を切るような厳しさは知っておいた方が良いだろう。特に安芸高田市は極めて前途多難であるにもかかわらず、議会政治がマヒしていて老獪で無責任なその場しのぎの誤魔化しがまかり通っているようだ。異常なほどに高齢議員が目立つ地方議会のフットワークの悪さに対しては地域住民側から今後いっそう厳しく糾弾していく動きが必要とされるだろう。しかし、肝心の住民側も高齢化し、将来に備えた新しい試みに消極的な側面が目立つ点は非常に厄介である。

【広島県安芸高田市】議会との確執は? 石丸市政の2年

 2022/08/09 広島テレビニュース 5:21

【議会改革】橋下徹も絶賛「恥を知れ!」安芸高田市長の議会改革&バズり術

 2022/08/21 ABEMAニュース【公式】 8:10

 日本の地方政治における旧態依然の体質を変えるには何が必要か、興味深い取り組み。討論の俎上にあげてみたい。

【安芸高田市長】「政治のエネルギーは怒りだ」橋下徹が絶賛!&政治家のセカン

 ドキャリア問題 2022/08/21 ABEMAニュース【公式】 10:49

 日本社会の閉塞状況に対する若者達の怒りが新しい動きをもたらすに違いない。本当にこのままで良いのか・・・日本が抱えている深刻な機能不全の諸側面をキッチリと抉り出して生徒達に分かりやすく提示していく工夫が求められている。

【安芸高田市議会】仰天!石丸市長と議員の"通信簿" 議員定数は3/4が「多い」 

 2022/09/22 【公式】HOME広島ニュース 3:06

 結果的には市長と議会との対立を激化させた政策だが、非常に面白い取り組み。

【広報紙を私物化?】石丸市政に議会が反発 今度は決算を初の「不認定」|

 安芸高田市議会 2022/09/28 【公式】HOME広島ニュース 1:49

 市議会側と市長側との対立が深刻化する一方となっている。高齢化し、時代の変化に取り残された守旧派の議員達にこれまた高齢化した市民達が共鳴してしまう絶望的に閉塞した市政の現状をどのように変えていくべきなのか、その方法論も問われよう。この対立が市政の深刻な停滞を招くことだけは避けたい。

参考記事

市町村が子育て支援を頑張ると、国が「お仕置き」「嫌がらせ」してくる根深い病

   理 泉 房穂 によるストーリー ダイヤモンド・オンライン 2024.10.26

   国と地方との関係が非常に分かりやすく説明されており、とても役立つ。特に民主主義と地方自治との関係を考え直す上でぜひ読んでおくべきだろう。財務省や総務省と地方自治体との上下関係のみならず、文科省と都道府県教育委員会以下、市町村教育委員会、各学校、各教師、児童生徒との上下関係を少しでも対等な、民主主義的関係に再構築するには今後、一体何が必要なのか…学校改革、教育改革を目指す生徒たちにもこの記事を通じて考えさせてみたい。

   大昔の天皇を頂点とする中央集権化の幻想にいまだ囚われている日本人は官僚たちに限らず、決して少なくあるまい。そうした古臭い政治意識を持つ日本人を相も変わらず大量生産してきた、画一的管理主義教育に走りがちな日本の教育行政の改革にも泉氏の指摘は大いに役立つであろう。

辻元議員が激怒「丸川珠代議員に、山谷えり子議員…自民党の憲法審査会21人中11

   人が『裏金議員』!」裏金総額はなんと5000万円

   女性自身 によるストーリー 2024.2.2

「安倍派幹部は責任を果たした」自民党・大西英男衆院議員が主張 「われわれは選

   挙で選ばれた人間」 東京新聞 2024.1.25

 パーティー券販売に関する会計処理の杜撰さ、不透明さが問題になり、安倍派などによるこれまでの派閥政治への厳しい批判が噴出している。ついには安部派を中心とする自民党幹部の役職辞任に発展。こうした一連の騒動によって国民の政治不信が一層高まる中で、表面的には安倍派議員による開き直り、とも取れそうな発言が記事となっている。これをどう受け止めるのか、まず生徒の意見を確認したい。

 大西議員の発言は代議制民主主義の原理・原則から見れば決して間違っていると単純に決めつけられるものではなく、むしろ正当なものとさえ考える見方も十分成立しうるだろう。こうした事案に対して国民には選挙を通じて政党や議員を断罪できる権利が与えられているのだから、本来ならば選挙の結果で国政を変えていくのが民主主義国家における国民のとるべき本道ではある。

 ところがこの本道自体、実は大きな落とし穴が随所に待ち受けていて、民主主義の根幹を揺さぶりかねない危険性をはらんでいることも、また歴史的事実だろう。ナチスの台頭を招いたのはドイツ国民の大多数によるヒトラーへの熱狂的な指示である。ドイツ第三帝国は最初から独裁体制であったわけではなく、むしろ最も民主主義的であったはずのワイマール共和国こそがファシズム成立の出発点ですらあった…そうした側面は決して否めないだろう。民主主義的な多数決の原理が最悪の政治を引き寄せてしまった過去があったとするならば、多数派の発言力、優位性は現時点である程度まで認めるとしても、今日においてはその正当性全般をも軽々に評価することは避けるべきではあるまいか。

 選挙に当選すれば議員としてのある程度の特権が法的には約束されている。しかし議員ならば何をしても良い、というわけではもちろんない。どこまでが議員としての特権でどこから先が禁じられたゾーンなのか、グレーゾーンも多少あるだろうが、議員の公正に反する行為は出来る限り厳密にその罪を問うべきだろう。

 しかし残念ながらモリカケ問題、桜を見る会の問題…それらすべてこれまで公文書の改ざんや破棄などによる証拠隠滅が疑われる中で証拠不十分という不透明さのまま事件は忘れ去られようとしている。あるいはドリルやドライバー一本でパソコンを破壊してしまえば証拠は残るまい…どうやらこの国の証拠隠滅による誤魔化しだらけの政治のあり方は地方議会のみならず、地方行政組織、公立学校の隅々まで深刻で根深い隠蔽体質としてすでに日本国内広く浸透してしまっているのではあるまいか。

 つまり国民は民主主義が健全に機能する上で必要不可欠なはずの、国政を知る権利がひどく侵害されている状況に置かれているため、選挙の際、どの政党を選べばよいのか、どの議員を選べばよいのかといった判断基準に関わる、信用するに足る肝心な情報を実は十分に持てていないのが実情だと私は考えている。

 このような状況下で選ばれた議員に、そもそも国民を代表して国政に関わる代議士としての十全たる資格があるのかどうか、実際には疑わしい限りであろう。しかも国政では比例代表制があるため、少なからぬ国民が落選させるべきだと考えている、差別的発言を繰り返してきた某国会議員を落選させることが今もって出来ていない、機能不全の選挙システムである点も、この国の制度上の大きな欠陥として指摘できるだろう。またよく言われるように少子高齢化に伴う世代別選挙民人口の偏りは極めて大きな問題であり、若者を政治から遠ざけさせている無視できない原因となっている。

 さらには日本の学校教育の不備がこの問題を一層深刻にしているだろう。高校ですらまともな政治教育が出来ない、知識詰込み型の授業が蔓延する現状では18歳になっても選挙に行くだけの政治的関心や意欲、知識を持つ若者の数が極めて限定されてしまっている。無論、成人したところで日本では信頼するに足る政治情報が大きな制約をうけてしか報道されないのだから、もはや、選挙結果自体、国民の世論を十分に反映しているとは考えられようもない…だとすれば今の議員たちが本当に国民の代表としてふさわしい存在なのか、もう一度真剣に問い直すべき時が来ているはずである。

 要するに大西議員の発言はこうした日本の「知らしめず、よらしむべし」の封建的な政治風土、システム上の欠陥などについて政治家としてまったく考えが及んでいないという点で、いかにも与党議員の最大派閥に属する者による夜郎自大、特権意識丸出しの開き直りに過ぎない発言だと私は判断するのだが、いかがだろう。

 同様の開き直りは国政に限らず、安芸高田市議会議員の最大派閥、清志会のメンバーなどにも垣間見られるような気がするのだが…

「NHKとネットがあれば、民放は不要」アメリカと同じように「テレビから公平性

   を排除」しようとした「安倍ショック」の衝撃

   文春オンライン 根岸 豊明 によるストーリー 2024.1.29

 この記事も安倍政治が何を目指してきたのかを明らかにしている。国民の情報は丸裸にしていく一方で、政府の動きは隠蔽と証拠隠滅で不透明化を押し進め、誤魔化しの連続。政府に不都合な真実は隠し続けつつ、自分たちに都合の良いメディアを育てながら批判的なメディアは潰していく…まさにファシズムそのもの。

若狭勝弁護士 「居眠りや雑誌読んでいる議員事実に基づいた発言なんで」日本の 

 17歳が国際子ども賞受賞 スポーツニッポン新聞社 2022/11/16 09:59

 超高齢化した日本の政治家の多くが「老害」と呼ばれている現状は青年の危機意識にも深く刻まれてきている。どうしたら日本の政治を変えていけるのか、その具体的な方法論が問われているのだろう。

「少子化問題」実は30年以上前から議論されていた 想定を外れて落ち続ける出生

 率…その理由は まいどなニュース によるストーリー 2024.7.27

 30年以上も前から日本政府が取り組み続けてきた少子化対策はほとんど効果を発揮することなく、出生率の低下にまったくといってよいほど歯止めがかからなくなっている状況がよく分かる。授業ではとりあえず統計資料が活用できるだろう。ただし、これまでの少子化対策が効果を発揮できなかった根本的な理由については説明が不十分である。そこで生徒たちにその理由を調べさせ、考えさせたい。

 まず女性の高学歴化と社会進出の増大は出生率低下の大きな要因として挙げられるだろう。しかしこの現象は他の先進国でも同様に生じてきたものである。なぜ日本や韓国の出生率がとりわけ低下し続けてきたのか、他にも大きな原因が見いだされなければなるまい。

 おそらく日本の場合には先進国の中で男女間の格差解消が遅々として進んでこなかったことが大きな要因の一つと考えられるのではなかろうか。かねてから先進国の中で圧倒的に遅れていると批判されてきた日本での男女間格差の解消は確かに公務員や中小企業などでの働き方改革の遅れにも足を引っ張られるなどして遅々として進んでいない。残業時間の削減が繰り返し叫ばれるものの、特に公務員や中小企業の状況はなかなか改善される見込みがない。そんな中で将来的に子育てや親の介護が重くのしかかるような自身の結婚や出産に躊躇してしまう若者は決して少なくあるまい。

 日本で現在、進行しているのは結婚や出産に関わる若い女性たちの大きな意識変化ではあるまいか。高学歴化し、社会で働くようになった女性たちの結婚忌避、出産忌避傾向の高まりが出生率の低下をもたらす最大の要因だと思われるがいかがだろう。

 大学に進学し、そして社会に出ていった女性たちはかつての専業主婦と比べて比較にならないほど数多く、日本社会に巣くう頑強な女性への偏見、差別に直面せざるを得ない。彼女たちは日本社会の随所に埋め込まれた制度的な各種の欠陥を目の当りにする機会も少なくないだろう。すなわち目の前に立ちはだかる日本特有の、頑迷固陋な男性中心の老害社会の壁を誰よりも強く意識せざるを得ない。そして女性たちはついに結婚や出産を躊躇せざるをえないほどに八方ふさがりの、絶望的な意識に囚われるようになってきている…違うだろうか。

 もちろん彼女たちは男性に強く偏る日本の政治家たちの中で自分たちの不安を代弁してくれるような政治家をなかなか見出すことができない。これもまた女性たちに将来への強い不安を醸成している。

 女性に限らず、若い男性もまた急速な少子高齢化の進展に将来への強い不安を隠せない。長いデフレ時代に進んでいた若者の貧困化、中流階層の没落もまた少子化の大きな要因だろう。

 少子化の原因は多岐にわたり、根深いものが多いに違いない。生徒たちにはできるだけ広く原因を探索してもらいたい。

報道の自由度ランキング、日本は70位に後退。G7で最下位、ウクライナや韓国を

 下回る。その要因は? ハフポスト日本版 によるストーリー 2024.5.4

日本の「報道の自由度」は70位でコンゴ共和国以下!マスコミを萎縮させる諸悪の

 根源とは ダイヤモンド・オンライン 窪田順生 の意見  2024.5.10

 マスコミの退化による弊害は大きく、ネット上にフェイクニュースを横行させる原因の一つとなっているようだ。時の政権に忖度して辛うじて情報を得る政治記者たちの動きには絶望しか覚えない。

 ※参考記事

  新たな戦場は「人の脳」 ディープフェイクで対立あおり分断 国が不満や不公正を放置すれば 

   「弱点」に 東京新聞 2024.7.14

   国内の不公正、格差問題を放置していると外国から世論の分断や対立を目的とする情報戦の餌食

   になりかねない、との指摘は重要。対立する外国からのデマにかく乱されないよう、政府は国民

   の不満にもっと耳を傾ける姿勢を打ち出し、知る権利を十分に保障すべきだろう。外交や軍事を

   巡る国家機密の多さは国民の分断を招く危険因子の一つであり、一定の期間を過ぎた過去の出来

   事については積極的に情報公開をすべきだと考える。

社会的地位や学歴はまったく関係ない…精神科医が「本当にバカだ」と思う人の特徴

 プレジデントオンライン 和田 秀樹 の意見 2022.12.6

 「老害」の発生メカニズムを脳科学から説明していて非常に興味深い。

40~50代から脳の前頭葉は老化!?  歳をとっても老けない人が50代で「やらな

 いこと」 1/3(火)  東洋経済オンライン

 前の記事と同様、老害発生のメカニズムと弊害、前頭葉の老化を防止するために必要とされることなどが解説されている。ここでは特に高齢者あるいは高齢者的発想がはびこることで日本の政界、経済界、教育界などでの長期的停滞が生じている事の深刻さに気付きたい。

賢い若者だけが気づいている 「バカが多い日本」では投票率は低ければ低いほどい

 いという矛盾 集英社オンライン オピニオン 2022.12.9

 現在の選挙の仕組みが民主主義の自壊を招いている点を非常に分かりやすく説明してくれている。トランプ政権の登場や安倍政権の長期化などはこれである程度、説明できるだろう。ではどうすべきなのか、考えさせてみたい。

杉並区議選の波乱を起こした「2万票」…女性が当選者の過半数、自民が大量落選 

 東京新聞 2023.4.28

 わずか4%あまり投票率が上がるだけで区議会の勢力にこれだけの変化が生じる事に驚く。日本の政治に絶望するにはまだ早すぎるのだ。たとえ国政レベルには達していなくとも、この動きの中に幽かではあっても日本の未来と希望の光が宿っていると考えたい。区長、区会議員ともに若い女性を意識した地方政治をどこまで実現できるのか、今後の動きにもぜひ注目していきたい。

最年少市長の人事案、市議会が異例の否決 重視する教育改革つまずく

   朝日新聞デジタル 朝日新聞社 によるストーリー  2023.12.1

   …兵庫県芦屋市議会で1日、高島崚輔市長が提案した教育委員の人事案が、反対多数で否決された。教育委員の人事案が否決されるのは極めて珍しい。高島氏が「1丁目1番地」と重視する教育改革が、それを進める要職選びからつまずいた形だ…

   広島県安芸高田市と似たような事態が芦屋市でも生じているようだ。市の教育長は多くの市において市内の校長経験者から選ばれているのが通例であろう。こうした人事が学校でのイジメ事件の隠蔽などを生み出し、校長と教育委員会とのなれ合いを生み出してきた元凶であるのは間違いあるまい。

 つまり改革を嫌う老害人事を続ける教育界での保守的慣習を見直そうとすれば、市長は市議会に跋扈する老害政治家とも戦う必要がある。安芸高田市の場合、優秀な副市長を外部から呼ぼうとする市長と保守派の市会議員が対立し、結局新しい副市長を呼ぶことはかなわなかった。芦屋市でもこれからは市長と市会議員との激しい対立が不可避と思える。

   ただ芦屋市の場合、少子高齢化の度合いは安芸高田市ほど進展していないだろうから議会側との激しい衝突を回避しようとすれば次回の市議選で市長派が多数派となるのをじっくりと待つという手もあるだろう。しかしながら兵庫県では学校でのイジメ事件の隠蔽が頻発しており、残念ながら当地域での教育界の保守性には突出したものがあると予想される。おそらく改革への抵抗は政界のみならず教育界においても強大なものがあるだろう。どうやら若い市長の行く手は今後とも決して平坦ではないようだ。

   他方、少子高齢化がかなり進展している安芸高田市の場合、財政悪化が危機的であるため、改革は待ったなしの状態であったようだ。したがって石丸市長はデビュー当初から議会との激しい対立を余儀なくされていたと思われる。とはいえ来年は二期目となるとともに待望の市議会議員選挙が行われるため、頑迷な清志会の勢力が半減する可能性は高く、一気に改革が加速していく見込みは十分ある。

 いずれにせよ、地方政治から国政を変えていく可能性を探る上でも両市の動向からは目が離せまい。

 

§6.市原の郷土史83.久留里街道殿様道の現在⑥

 

 今回は今富から袖ケ浦と市原との境までを散策いたします。

 

 

 

 

 

 



 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

   以上で久留里街道中往還「殿様道」散策の市原市内限定版、終了となります。

 ここまで辛抱強くご覧くださった皆様、有難うございました。

 郷土史の世界はマニアックな要素が多く含まれますが、「細部にこそ神は宿る」のだと信じております。

 またのご来場、お待ちいたしております。