§5.日本の進路1.政治と経済の混迷①
※この記事は常に新鮮なネタを提供すべく、随時、更新されています。
・町内会の不思議
◎【町内会は必要?】強制入会も…年会費&使途不明の積立金?令和のコミュニティ
論を考えるABEMA Prime 【公式】 2024/07/06 15:27
地方自治は民主主義の学校である、と言われるように、町内会のあり方は日本の民主主義の最も身近な実践例と考えてよいだろう。町内会の問題点としてよく指摘されているのが、町会費の高さや使途、さらに役員の仕事の多さであろうか。
最も身近な「民主主義の学校」の停滞と腐敗(おそらく老害が一番の要因)はそのまま日本の民主主義の悪しき側面を反映しているに違いあるまい。身近な問題として日本政治の現状を捉える上でもぜひ、視聴させたい動画である。
・都知事選ポスター問題
参考記事
○【2024“荒れた都知事選”】「恥ずかしい」「これが民主主義」 ポスター掲示板、
有権者はどう見た?日テレNEWS NNN によるストーリー 2024.7.10
討論型授業に使うのならこの記事が良いかもしれない。ポスターを巡る意見の多様性に気付けるだろう。この問題をどう捉えるのか、議論百出してまとめるのは難しいだろう。ここでは無理やりまとめるよりも、出来るだけ多様な意見を引き出してみることを最優先したい。考え方の多様性に気付くことの重要性について考えを深めるチャンスとなれれば結論が出なくとも議論する価値は決して小さくあるまい。
〇橋下徹氏 都知事選のポスター掲示板問題は「ある意味、今の都民の民主主義のレベ
ル…僕は事前規制に反対」 スポーツニッポン新聞社 の意見 2024.6.24
「都民の民主主義のレベル」が低い、とのことだが、民主主義のレベルがとりわけ東京都に限って低いとは思えない。今や安芸高田市などを筆頭に地方議員のレベルの低さはあまねく知れ渡っている。今後、取り組むべきは国民の政治意識の低さがどの程度なのか、国際比較等を通じて明らかにし、日本での意識の低さがどのようにして生み出されてきたのかをまず明らかにすること。次に国民の政治意識を高めるには今後どうすべきか、その方策を練ることだろう。
〇車椅子アイドル、ほぼ全裸の都知事選ポスター騒動に私見 インプ稼ぎで「余裕で元
が取れます」 日刊スポーツ新聞社 2024.6.21
〇ひろゆき氏 都知事選わいせつポスターに「本人以外の写真載せた人みんな…」番
組で持論述べる スポニチ 2024/6/22 10:36
ポスターへの対応という目先の観点では妥当な意見であるが、本質的に問うべき点はなぜこのようなことが今の日本で生じているのか、であろう。ぜひ生徒たちには事の本質、事件の背景を推理させたい。
◎有権者「ばかにしている」 都知事選の掲示板に大量の同じポスター
毎日新聞 によるストーリー 2024.6.21
今、最高に刺激的なニュースであり、授業で取り上げないわけにはいくまい。生徒たちの意見、感想をまずアンケートで募りたい。ある程度、対立的な意見にまとまりそうならば、討論に持ち込めるだろう。相当、ホットな議論が展開できそうな内容だが、特にNHK党の立花氏の見解が興味深い。この意見をどう評価するのか、多角的に考えることで日本政治の現状についてかなり深掘り出来そうである。またアンケートでは誰が当選するのか、予想させるとさらに面白くなるだろう。予想の根拠、理由もぜひ書かせたい。
※参考記事
〇「YouTubeでバズってる」オリラジ中田 明かした都知事選で“注目する候補者”コメント欄では対
談求める声が 女性自身 2024.6.21
〇小倉智昭「言語道断だよ」都知事選のポスター問題&大量擁立「何か手を打った方
が将来のため」日刊スポーツ新聞社 によるストーリー 2024.6.24
〇73歳大物タレントが苦言「いまの日本には一般常識が存在しないのか?」都知事選
ポスター騒動に 日刊スポーツ新聞社 によるストーリー 2024.6.22
高齢者による苦言には真剣に耳を傾けなくとも良いケースが少なくないだろう。いかにも「昔は良かった…」的な、高齢者のあやふやな記憶に基づく発言ほど「老害」臭が漂うものはない。堀江氏が指摘するように、昔から日本の選挙と政治は腐敗しており、残念な部分や滑稽な要素をいっぱい抱えてきたはず。それを今回の、児戯に等しいポスター騒ぎをもってして「今の日本には一般常識が存在しないのか」と大仰に嘆く方が滑稽だろう。何を今さら仰いますやら…
昔から日本の選挙と政治は酷くねじ曲がっており、腐敗していた側面を持っていた残念な歴史がある。それを自覚できないでここまで来てしまったのか、それとも高齢者特有の記憶の揺らぎが生じてしまっているのか…現状を変える力を持たない、無意味なボヤキを発する前に、かつての日本の政治の闇と今の政治の闇との間に横たわり続けているどす黒い「何か」にしっかりと目を凝らし、向き合う方がはるかに有意義ではないのか。
もちろん選挙のあり方について「何か手を打った」方が良いのは当然であり、むしろ言わずもがな、である。当たり前すぎて耳を貸したくもないし、問題の核心は選挙のあり方には無いだろう。
どんな選挙に変えたとしても、おそらく別の弊害を生み出すやもしれず、どんな法にも抜け道はあるに違いない。つまり選挙どうのこうのは日本の政治を変える上ではあくまで対症療法に過ぎず、根本的な解決にはまったくつながりそうもないと思うがいかがか。
そもそも地方政治から国政まで様々な問題が噴出している現状を許容してきたのは国民そのものであろう。議員や首長を選んだのは国民であり、国民が変わらなければ政治が変わらないのは民主主義の鉄則ですらある。今、問われるべきは民意の方なのだ。したがって都知事選のポスター問題は国民が生み出している側面があると考えるべきであろう。
では現状の無様な騒動を生み出す基盤たる国民の政治意識がどのように形成されてきたのか…問題の核心はそこにあると考えるが、いかがだろう。そして民意形成の要となっているのは学校教育とマスコミのふたつであることはほぼ議論の余地があるまい。すなわち私たちはこの騒動を機に、この騒動の主犯格たる戦後の学校教育とマスコミの歩み、学校とマスコミが高々と掲げてきた理念の裏側で実際にはたしてきた社会的機能の方をこそ、しっかりと振り返ってみるべきではないか。
参考動画
〇車椅子アイドル、ほぼ全裸の都知事選ポスター騒動に私見 インプ稼ぎで「余裕で元
が取れます」 日刊スポーツ新聞社 2024.6.21 7:39
〇【石丸伸二最新】※衝撃の支持率が発表され驚きを隠せない…当選確率の高さに腰
を抜かしました ホリエモンのお前が終わってんだよ!【堀江貴文 切り抜き】
2024/06/22 10:29
〇2022年5月山梨県北杜市太陽光説明会 住民恫喝【里山連絡会】太陽光パネルの乱
立から里山を守る北杜連絡会 2022/11/01 1:46
〇山梨県北杜市太陽光発パネル事業者と住民間の様子【里山連絡会】太陽光パネルの
乱立から里山を守る北杜連絡会 2022/11/01 2:13
これだけの違法なレベルの暴言や威嚇が繰り返し行われる背景にはこの事業者と首長とが裏でつながっているからではないのか…これだけ地方政治の無秩序ぶりが各地で続々と露わになっているのに、これまでテレビでは単発の報道しかされてこなかったのは一体なぜなのだろう。他方で東京都知事選の子供じみたポスター程度でしつこいほど騒ぎ続けるマスコミのマスゴミぶりにはやはり呆れるほかあるまい。
今、真っ先に検討すべきなのは日本の政治が地方を含めて一体どこまで腐敗、堕落してしまったのか、その真相究明にあるはず。ポスターの取り締まり方法を検討するといった、表面的な小手先の対応で済ませられるほど底の浅い問題ではあるまい。日本の政治が現在、どれほど深刻な機能不全に直面しているのか、まずは現状を直視することから始めたい。
〇裏金処分議員、千葉でパーティー 政治とカネ問題相次ぐ「震源地」
共同通信 によるストーリー 2024.6.28
選挙などにおいて金銭の問題が多いことで昔から知られている、いかにも千葉県らしい案件。政治家の腐敗は同じく「~先生」と呼ばれている教師や教育委員会の腐敗と良く同期するだろう。千葉県が古くから管理主義教育の聖地として有名であったことと、管理主義的教育を支持してきた政治家が大勢いることとは決して無縁ではあるまい。そして彼らの厚顔無恥ぶりは千葉県教育委員会の厚顔無恥ぶりと実に瓜二つである。
◎日本の若者、自国の将来「良くなる」15% 米英中など6カ国中最低
毎日新聞 によるストーリー 2024.4.9
議論の材料としてうまく利用できれば面白いだろう。同じようなアンケートを事前に生徒に行ってから、結果を比較させて議論に持ち込みたい。
◎45都道府県で「採用予定数割れ」 公務員不足、急速に悪化
毎日新聞 によるストーリー 2024.1.15
◎地方公務員の採用試験、過去30年で最も低い5・2倍…23年間で競争率半減
読売新聞 によるストーリー 2024.1.14
少子高齢化による急速な人口減が招く当然の帰結として行政サービス全般の劣化と各種ボランティア活動の衰退が考えられる。地方自治体における公務員不足、消防士不足、消防団員不足、警察官不足、保護司不足、幼稚園~高校での教師不足、保育士不足、医師不足、看護師不足、介護士不足、自衛隊員不足、郵便を含めた運輸・配送従事者の不足、児童相談所員の不足、公民館員不足、町内会員の減少、ケースワーカー不足、民生委員不足…これらが一向に改善されることなく同時進行していけばやがて日本社会の美徳とされた安全性、規律正しさ、各種の利便性、おもてなし精神、識字率の高さ、平均的学力の高さ等は瞬く間に瓦解するに違いない。
以上のことを踏まえると公民科授業のポイントは以下のような点であろうか。
科学技術の発達がそうした問題の解消にどれだけ貢献できるのか、今後予想される大規模な自然災害の発生がどれほどのダメージを日本にもたらすのか、気候変動による損失はどの程度まで膨れ上がるのか、海洋資源の確保と利用がどの程度まで可能となるのか、中国や北朝鮮、ロシアなどによる軍事的脅威はどの程度まで高まるのか、移民政策の進展は可能か、今後、女性政治家がどの程度、増えていくのか、老害政治家の排除は可能か、学校教育の根本的変革はどこまで進められるのか…
課題山積の現状から人々は目を背けてはなるまい。そのためにまず鍵を握っているのは学校教育、とりわけ授業改革であると考える。なぜならば日本社会の主要な問題点を国民の多くが、特に若者たちがある程度までは共有していなければまともな議論さえ成立しないからである。とりわけ社会科授業の見直しは急務であろう。児童生徒の課題発見能力を磨き、彼らが自分なりの考えを組み立てていく力を養い、他者の意見を汲み取り、議論を建設的に進めていく方法に習熟していくような、新たに工夫された授業展開が今、切実に求められていると思うが、いかがだろう。
◎【貧困大国ニッポン①】円安・賃金の停滞・国際競争力の低下…日本はなぜ貧困に
なってしまったのか?その原因を徹底解明します
中田敦彦のYouTube大学 2023/11/11 38:27
◎【貧困大国ニッポン②】官邸一強によって生まれた忖度…「内閣人事局」の功罪と
は? 中田敦彦のYouTube大学 2023/11/12 34:48
「失われた30年」がどのようなメカニズムで生じたのか、非常に明快な論理で解き明かした傑作動画。特に安部政治の負の側面を抉り出し、処断する論説が展開されている。確かに中田氏が強調するように、2012年に一人当たりのGDPが13位だった日本が、10年後の2022年に27位に転落した責任の過半は安部政治にあるだろう。
失われた30年は小選挙区比例代表制と政党助成金が導入された細川護熙内閣から始まるという指摘は面白い。本来は金権政治への批判から導入された政治改革のための制度が政治の意思決定の面で族議員や大企業の力を弱め、相対的に首相官邸の指導力が高まる流れを創り出した点は確かに否めないだろう。加えて1996年に官庁が再編され、省庁の数がほぼ半減されたことで官僚の力も一気に後退し、これまた相対的に首相、及び官邸の力が伸長することにつながる。
そしてこの流れが決定的になったのが安倍内閣による内閣人事局の設置(2014年)であったという。これによって政府は各省庁の幹部クラスの人事権を握るのみならず、日銀やNHKのトップを決める人事権まで握ってしまった。この人事は首相とそのお気に入り官僚(通産省出身者が多いらしい)とでほぼ決められてしまい、左遷、降格人事を恐れる官僚たちの過剰なまでの忖度を生み出した。もちろんNHKや日銀も同様となる。安倍首相は検事総長の人事にも介入し、モリカケ問題や桜を見る会の隠蔽に走った。つまり首相のやりたい放題の政治が官邸主導で実現されてしまったことになる。総務省を通じてマスコミの統制にも成功した政府はついには政権に批判的なテレビキャスターを引きずり下ろす蛮行まで行うようになってしまった。
他方で日本経済の立て直しはもっぱら日銀による異次元の金融緩和、すなわち莫大な通貨の市場への放出を行ったのみで、その効果は極めて一時的なものであったにもかかわらず、政策の検証を行わないままとうとう10年が経ってしまった。むしろ景気が後退する中でひたすら円安が進み、輸入価格の高騰に伴う物価上昇に対して賃金の上昇が間に合わないという、悲劇的な状況が日本の現状を覆っている。
中田氏はこの「失われた30年」を取り戻し、「貧困大国」と揶揄される政治と経済の停滞から脱出するには「情報の透明化」が最大のポイントとなると指摘している。確かに過去30年間のしっかりとした検証抜きではいつまでたっても真剣な反省ができないまま停滞の沼につかっていく一方となるかもしれない。この状態はおそらくカッパが再三指摘してきた教育行政の停滞だけに限らない、広範で根深い現象なのだろう。とりわけ「情報の透明化」は学校の強固な隠蔽体質の改善にもつながる、キーワードであると感じた。
◎【成田悠輔 下村博文】そもそもの制度、構造の問題を指摘し続ける成田博士の視点
は必要だと思う。
天才博士の見る世界【成田悠輔 切り抜き】 2022/02/25 5:49
こ成田氏の高齢政治家に対する一貫した主張が理解できる、貴重な切り抜き動画。
ぜひ、この動画から「老害政治家」の問題や若者の閉塞感を明らかにしていきたい。
◎Z世代の約7割が日本社会の未来に「希望を感じていない」…理由2位「少子高齢
化」を超えた1位は? まいどなニュース の意見 2023.10.6
やや調査対象の人数が少ないと思われるが、この分野の最初で使いたいデータである。なぜ、日本社会の未来に希望を感じられない若者が多いのか、その理由を出来るだけ多く考えさせたい。同時にどうしたら未来に希望を持てるようになるのか、その条件もできるだけ多く挙げさせたい。
○二階元幹事長「不出馬」で考える スウェーデン82%、日本36.5% これが日本
の“おじさん政治”を生む【報道1930】
TBS NEWS DIG_Microsoft によるストーリー 2024.3.26
老害政治家が跋扈するする日本では若者の政治に対する無関心と諦めが蔓延している。とりあえず政治家の定年制と被選挙年齢の引き下げが同時に実現しないと若者の政治参加は進まないだろう。と同時に学校での政治的話題に関する議論形式の授業が小学校を含めて広く行われなければなるまい。日本の学校教育がいかに若者を政治的無関心に陥れているのか、特に社会科教師は深く自省すべきであろう。
◎「安倍派幹部は責任を果たした」自民党・大西英男衆院議員が主張 「われわれは選
挙で選ばれた人間」 東京新聞 2024.1.25
◎岸田首相「責任は国民判断」波紋=自民反発、野党は解散要求
時事通信 2024.4.5
○二階元幹事長に新疑惑 3年間で3400万円以上の“書籍代” 裏金で出版か…さらに
「本もらった」と話す住民たち 禁止される“寄付”にあたる可能性
FNNプライムオンライン によるストーリー 2024.4.5
パーティー券販売に関する会計処理の杜撰さ、不透明さが問題になり、ついには安倍派などによるこれまでの派閥政治への批判、安部派を中心とする自民党幹部の辞任に発展している。こうした一連の騒動によって国民の政治不信が高まる中で、一見、安倍派議員による開き直り、とも取れそうな発言が記事となっている。これをどう受け止めるのか、まず生徒の意見を確認したい。
大西議員の発言は代議制民主主義の原理・原則から見れば決して間違っていると単純に決めつけられるものではなく、むしろ正当なものとさえ考えられるだろう。こうした事案に対して国民には選挙で政党や議員を断罪できる権利が与えられているのだから、本来ならば選挙を通じて国政を変えていくのが民主主義国家における国民のとるべき本道ではある。
ところがこの本道自体、実は大きな落とし穴が随所に待ち受けていて、民主主義の根幹を揺さぶりかねない危険性をはらんでいることも、また事実だろう。ナチスの台頭を招いたのはドイツ国民の大多数によるヒトラーへの熱狂的な指示である。ドイツ第三帝国は最初から独裁体制だったわけではなく、むしろ最も民主主義的であったはずのワイマール共和国こそがファシズムの母胎の一部ですらあった…そうした側面は決して否めないだろう。民主主義的な多数決の原理が最悪の政治を引き寄せた過去があったとすれば、多数派の発言力、優位性はある程度まで認めるとしても、今日においてはその正当性全般をも軽々に判断することは避けるべきだろう。
選挙に当選すれば議員としてのある程度の特権が法的には約束されている。しかし議員ならば何をしても良い、というわけではもちろんない。どこまでが議員としての特権でどこから先が禁じられたゾーンなのか、グレーゾーンも多少あるだろうが、出来る限り厳密に問うべきだろう。
しかし残念ながらモリカケ問題、桜を見る会の問題、すべてこれまで証拠隠滅が疑われる中で証拠不十分というあいまいさを払しょくできずに不透明なまま過ぎてきている。どうやらこの国の証拠隠滅による誤魔化しだらけの政治は地方議会のみならず、地方行政組織、公立学校の隅々まで深刻で根深い隠蔽体質としてすでに広く浸透してしまっているのではあるまいか。つまり国民は民主主義が健全に機能する上で不可欠なはずの知る権利が常に侵害されている状況に置かれているため、選挙の際、どの政党を選べばよいのか、どの議員を選べばよいのかといった判断基準に関わる、信用するに足る肝心な情報を実は十分に持っていないのが実情だと私は考えている。
このような状況で選ばれた議員に、そもそも国民を代表して国政に関わる代議士としての資格があるのかどうか、実際には疑わしい限りである。しかも比例代表制があるため、少なからぬ国民が落選させるべきだと考えている、差別的発言を繰り返してきた某国会議員を落選させることが出来ないシステムである点も、選挙制度の大きな欠陥として指摘できるだろう。またよく言われるように少子高齢化に伴う世代別選挙民人口の偏りは極めて大きな問題であり、若者を政治から遠ざけさせている無視できない一つの原因となっている。
さらに日本の学校教育の不備がこの問題を一層深刻にしているだろう。高校ですらまともな政治教育が出来ない、知識詰込み型の授業が蔓延する現状では18歳になっても選挙に行くだけの政治的関心や意欲、知識を持つ若者が極めて限定されてしまっている。無論、成人したところで日本では信頼するに足る政治情報が極めて限定的にしか報道されないのだから、もはや、選挙結果自体、国民の世論を十分に反映しているとは考えられない…だとすれば今の議員たちが本当に国民の代表としてふさわしい存在なのか、もう一度真剣に問い直すべき時が来ているに違いない。
要するに大西議員や岸田首相の発言はこうした日本の「知らしめず、よらしむべし」の封建的な政治風土、システム上の欠陥などについて政治家としてまったく考えが及ばない、いかにも今、ありがちな、特権意識丸出しの開き直りに過ぎない、と判断するが、いかがだろう。
・地方議会の現実:安芸高田市の動きを中心に
参考記事
◎人口8000の町で起きた「公益通報」の不可解 不正をただすつもりが…「懲戒処分
はあまりに不当」AERA dot. 夏原 一郎 によるストーリー 2024.5.21
ここ最近、地方政治においてパワハラ、セクハラ問題が噴出している。特に首長やベテラン議員による案件が目立っている。その背景に何があるのか、考えさせられる事件だろう。学校でイジメ事件の隠蔽がはびこる背景と共通するものがありそうだ。
◎日本の水道「寿命切れラッシュ」目前!過疎地はタンク車給水に?水道危険度の真
実 ダイヤモンド・オンライン 井澤 梓 によるストーリー 2023.10.13
一斉に耐用年数が切れてくるのは水道管だけではあるまい。道路、橋脚、ダム、港湾、高層ビル、ガス管、トンネル…あらゆるインフラが老朽化している現在、少子高齢化による減収は特に地方の山間部などに大打撃を与えるだろう。安芸高田市はそうした市の一つであり、痛みを伴う改革が急がれるはず。しかし…
◎多選・高齢議員が跋扈、「地方議会」の悲惨な現実 町村議員の8割が60歳超、若手をく
じく報酬事情 東洋経済オンライン山田 稔 によるストーリー 2023.4.26
◎「氷山の一角が世間の目に触れた感覚」神社政治連盟が配布した“LGBTQ冊子”に神
社で働く当事者らが意見書 TBS NEWS DIG の意見 -2022.11.25
宗教と性差別は日本でも密接に絡み合っている問題。一部有力政治家の政治意識の中にも日本の未来は明るく感じられない事に気付きたい。
※神道政治連盟国会議員懇談会:神社本庁の関係団体である『神道政治連盟』(神政
連)の理念に賛同する日本の国会議員により構成される議員連盟で安倍元首相が亡
くなるまで会長を務めていた。そのメンバーにはかの杉田水脈氏ら自民党国会議員
の多くが名を連ねている(Wikipediaによると2021年11月1日現在、247
名)。安倍元首相殺害事件を契機に自民党と旧統一教会との密接な繋がりが問題化
しているが、神道組織との関係も政教分離の原則に違反しかねない側面を孕んでい
るだろう。また日本が今もなお性差別撤廃への取り組みが極めて遅れている背景に
この組織が何らかの役割を果たしてきた事も考えられる。
2000年5月15日、神道政治連盟国会議員懇談会において森喜朗内閣総理大臣(当
時)が行った挨拶の中に含まれていた「日本の国、まさに天皇を中心としている神
の国であるぞということを国民の皆さんにしっかりと承知して戴く、そのために
我々(=神政連関係議員)が頑張って来た」という発言はこの団体の氏素性、本質
を余すところなく物語っているようだ。
国民主権と政教分離の原則に違反する戦前の古色蒼然たる亡霊のような国体観念
が有力政治家の頭から離れていかない限り、日本の民主主義は「老害」の沼にはま
ったまま、一歩も前進できないだろう。
参考動画
◎日本人初「国際子ども平和賞」川崎レナさん(17)にインタビュー 「若者は未来
ではなく今」新成人の高校生が描く「社会」【news23】|TBS NEWS DIG
TBS NEWS DIG Powered by JNN 2023/01/11 6:56
◎【快挙】日本人初「国際子ども平和賞」に大阪の17歳(2022年11月15日)
ANNnewsCH 2022/11/15 2:50
この高校生のように今の日本の政治に対して何らかの悔しさを感じている生徒がクラスの中でどれほどいるのか、まず確認したい。悔しさを感じているとすればどの点に感じているのか列挙させてみたい。いきなり討論に持ち込むのはやや性急すぎるテーマだと思うので、動画視聴後にアンケート形式で記述させたり、選択肢から選ばせたりして多少、時間をとって考えさせてみたらよいだろう。その方がしっかりと問題点を分析できるように思うが、いかがか。
◎【安芸高田市議会】学生からは「絶望感」という声…
【公式】HOME広島ニュース 2023.12.5 11:05
学生たちの意見が参考になるだろう。二元代表制の意義を問いたい。この動画から入ると議論の効率性は高まるだろうが、非効率が持つ意義は無視できない。教師側としては早めにこの動画を見ておくとさほど混乱せずに議論に持っていけるだろう。
◎【安芸高田市・石丸市長vs議会①】居眠り論争&恫喝疑惑…リアル半沢直樹こと石
丸市長と議会のバトルから目が離せない
中田敦彦のYouTube大学 2023/09/26 33:51
◎【安芸高田市・石丸市長vs議会②】「恥を知れ、恥を」発言と無印良品事件…石丸
市長は地元の救世主なのか?
中田敦彦のYouTube大学 2023/09/27 25:30
事の次第を把握するにはうってつけの動画。地方政治の動きこそ、日本の未来を見据えるうえで見逃してはならないポイントであり、安芸高田市議会と市長との対立は少子高齢化が加速する日本の今後を占う点で非常に役立つテーマを提供してくれる。
◎【9/25速報】YouTubeがバズってる本当の理由お教えします!!実は石丸市長の
狙い通りだった!?みんなの政治ちゃんねる 2023/09/26 24:31
石丸市長の考えが非常に分かりやすく、興味深い内容となっている。日本の政治の行き詰まりがどのような症状を呈してきているのか、安芸高田市の議会を通じて明確に把握できるだろう。教師としては必見の動画。
○【デジタル化】「政治家は未来予測できる人材がいない」総理提言"Web3推進" 橋
下徹×安田クリスチーナ 2022/09/11 ABEMAニュース【公式】
日本の政治家の資質を問いたい。政治家の高齢化に加えて情報を隠そうとする教育
行政を典型とするような、閉塞した日本の行政体質こそ日本社会の「デジタル化」、政治改革を阻む大きな要因ではないか・・・
◎【国葬】「関心低い…日本に未来を感じない」若者と愛国心を考える 橋下徹×安田
クリスチーナ 2022/09/11 ABEMAニュース【公式】 9:56
安倍元首相の国葬問題について賛否を問う必要はありそうである。討論の俎上にあげてみたい。特に「日本に未来を感じない」若者の政治意識の背景について考えていきたい。
◎【しらべてみたら】政治家を勝手に観察 議会に遅刻!遅刻!遅刻!
2022/09/07 FNNプライムオンライン 20:58
議会における議事進行のあり方に大きな問題があることは事実だろう。それにしても元議長らベテラン議員、高齢議員の遅刻、居眠り、「内職」等の問題行動の多さには呆れるほかない。前市長の暴走を牽制すべき市川市議会は残念ながらほぼ機能不全に陥っているのではあるまいか。一体この人達に年、一千万円以上もの給与を税金から支給することは正しいことなのか。
地方議会の多くが同様の状況にあることはこれまでもFNNが山梨や千葉、東京、神奈川などで立証してきている。また国会もFNNによればほぼ同様の状況であるという。これでは若者の政治離れを防ぐことなど不可能。
中央調査社による2015年の「日本の国会議員を信用できるか」との問いに対して「信頼できる」と答えた割合はわずか8%に過ぎなかったらしい(←「日本の国会議員」濱本真輔 中公新書 2022)。政治家の資質及び議会運営のあり方を根本から見直す必要がありそうだ。
同様の動画で「税金を使った海外視察に勝手についていってみた【追跡スクープ】【しらべてみたら】2022/02/14 FNNプライムオンライン 20:07」もかなり刺激的。
◎政治家を勝手に観察!議会中に銀座のバーを検索?【しらべてみたら】
FNNプライムオンライン 2023/11/07 22:18
神奈川県議会議員の会議中の醜態は困難校での授業中の状況に匹敵するだろう。しかも元県議会議長ほど居眠りが多い。3年前にも議会の様子を取材され、厳しく批判されたにもかかわらず、このていたらく。
一体、どれほど地方議会が腐敗しているのか、私たちは知るべきだろう。
◎【安芸高田市】39歳石丸市長「恥を知れ」怒りの訴えも「議員半減案」は"否決"/
担当記者解説付き 2022/06/10 【公式】HOME広島ニュース 9:05
議会と市長の対立は不毛なのか?男性ばかりの高齢政治家がはびこる日本の政界の異常さをもっとアピールする必要はありそうだ。マスコミやSNSの反響を計算に入れた市長の挑発的な言動は確かに物議を醸す点もあるが、強烈なアピール力を持ち、若者の政治的関心を高める効果はそれなりにあるだろう。
◎39歳市長が怒り「恥を知れ」 議員半減する案 大差で否決 “居眠り政治家”リス
トラ狙い? 2022/06/10 FNNプライムオンライン 3:15
◎新しい風を!安芸高田市の若き新市長|京大卒元銀行員 石丸伸二さん(38)
2020/10/06 【公式】HOME広島ニュース 9:33
◎「是々非々」とは… 安芸高田市長と議会の7カ月|対立の構図
2021/03/19 【公式】HOME広島ニュース 8:42
選挙結果が本当に民意の大勢を反映しているのか、極めて怪しい現状が地方政治には色濃く漂う。議員は誠実に住民の代表として仕事をしているのか、厳しく問うていくべきだろう。
○【居眠り論争、恫喝疑惑...】新人市長の奮闘 武器はTwitter~“つぶやき”が生んだ
混乱~|安芸高田市 2021/05/06 【公式】HOME広島ニュース
市長と市議会の対立はここから本格化するので、この場面から安芸高田市の動きを追っていきたい。
◎#つぶやき市長 と 議会のオキテ~400日の“議論”の行方~政治経験ゼロの元銀行員
の武器は「 #Twitter 」【テレメンタリー2021】【ナレーター:福山潤】
2021/11/13 ANNnewsCH 24:44
◎【政治に“根回し”は必要?】Twitter話題の市長|目玉政策を議会で否決され…
2021/11/05 【公式】HOME広島ニュース 8:07
日本政治にこれまではびこってきた「根回し」や「忖度」が公明正大な議論の機会を奪い、不透明な政治運営を生み出してきたのかもしれない。日本政治を考える上でここは非常に重要なポイントだと思われる。ぜひ議論させたい。
○【市議が疑問視】「美術館休館」に主導の市長は・・・
2021/12/15 【公式】HOME広島ニュース 0:55
土建業者と癒着した政治家が今までに続々と収賄事件を起こしてきただけではなく、いわゆる「箱物行政」の負の遺産としての財政的負担を後世の市民に長く背負わせているといった側面は典型的な地方政治の腐敗ぶりを示していよう。市民の声や議会の声を無視した市長の暴走・・・とする議員側の反発の是非を生徒に問いたい。
◎【必要悪?】非公開の場で行われる議論“根回し”その実態は
2022/02/09 【公式】HOME広島ニュース 8:49
「根回し」は必要悪だろうか?「政治に根回しは必要?」と同じ趣旨の動画。ただしこちらの方がより論点を整理できているかもしれない。特に議会での議員による発言に関する情報公開の制約が極めて大きい点についてはもっと問題視すべきではあるまいか?
◎【安芸高田市】39歳石丸市長「恥を知れ」怒りの訴えも「議員半減案」は"否決"/
担当記者解説付き 2022/06/10 【公式】HOME広島ニュース
市政への質問を市長に事前通告する制度は国政にもあり、問題視されている。議会での議論の形骸化という点で確かに大きな課題があるだろう。質問内容の事前通告は公開の場での議論を封じ込め、ある種の「根回し」、「忖度」にも繋がりかねない、非民主主義的な密室政治への危険性を持っている。多くの地方政治が直面している現実にはこうした側面があるに違いない。
市長と議会との溝が深まる中、市民の市政に対する関心は徐々に全国的な広がりを見せている。高齢化によっていっそう地方政治にはびこる村社会的慣習、掟の是非が問われる。是非、討論の俎上にあげてみたい。若者を政治の世界に取り戻すには何が鍵となるのか・・・市長のSNSの利用が不可視化しつつある市政に風穴をあけ、若者、市民に「見える化」させている影響の大きさも考えたい。
○【安芸高田】“居眠り”議員が記者会見で改めて主張。市長は診断書の中身を確認せ
ずシュレッダー 2022/06/30 【公式】HOME広島ニュース 6:47
◎【ひろゆき&成田悠輔】大ゲンカ!若き市長はなぜ揉める?【地方自治体から変え
る日本】 2022/07/31 日経テレ東大学 50:04
◎【ひろゆき&成田悠輔】革命起こす…市長たちの野望【リアルすぎる現実】
2022/08/07 日経テレ東大学 55:08
少子高齢化、人口減少という現実に直面する地方自治体の身を切るような厳しさは知っておいた方が良いだろう。特に安芸高田市は極めて前途多難であるにもかかわらず、議会政治がマヒしていて老獪で無責任なその場しのぎの誤魔化しがまかり通っているようだ。異常なほどに高齢議員が目立つ地方議会のフットワークの悪さに対しては地域住民側から今後いっそう厳しく糾弾していく動きが必要とされるだろう。しかし、肝心の住民側も高齢化し、将来に備えた新しい試みに消極的な側面が目立つ点は非常に厄介である。
◎【広島県安芸高田市】議会との確執は? 石丸市政の2年
2022/08/09 広島テレビニュース 5:21
◎【議会改革】橋下徹も絶賛「恥を知れ!」安芸高田市長の議会改革&バズり術
2022/08/21 ABEMAニュース【公式】 8:10
日本の地方政治における旧態依然の体質を変えるには何が必要か、興味深い取り組み。討論の俎上にあげてみたい。
◎【安芸高田市長】「政治のエネルギーは怒りだ」橋下徹が絶賛!&政治家のセカン
ドキャリア問題 2022/08/21 ABEMAニュース【公式】 10:49
日本社会の閉塞状況に対する若者達の怒りが新しい動きをもたらすに違いない。本当にこのままで良いのか・・・日本が抱えている深刻な機能不全の諸側面をキッチリと抉り出して生徒達に分かりやすく提示していく工夫が求められている。
○【安芸高田市議会】仰天!石丸市長と議員の"通信簿" 議員定数は3/4が「多い」
2022/09/22 【公式】HOME広島ニュース 3:06
結果的には市長と議会との対立を激化させた政策だが、非常に面白い取り組み。
◎【広報紙を私物化?】石丸市政に議会が反発 今度は決算を初の「不認定」|
安芸高田市議会 2022/09/28 【公式】HOME広島ニュース 1:49
市議会側と市長側との対立が深刻化する一方となっている。高齢化し、時代の変化に取り残された守旧派の議員達にこれまた高齢化した市民達が共鳴してしまう絶望的に閉塞した市政の現状をどのように変えていくべきなのか、その方法論も問われよう。この対立が市政の深刻な停滞を招くことだけは避けたい。
参考記事
○辻元議員が激怒「丸川珠代議員に、山谷えり子議員…自民党の憲法審査会21人中11
人が『裏金議員』!」裏金総額はなんと5000万円
女性自身 によるストーリー 2024.2.2
◎「安倍派幹部は責任を果たした」自民党・大西英男衆院議員が主張 「われわれは選
挙で選ばれた人間」 東京新聞 2024.1.25
パーティー券販売に関する会計処理の杜撰さ、不透明さが問題になり、安倍派などによるこれまでの派閥政治への厳しい批判が噴出している。ついには安部派を中心とする自民党幹部の役職辞任に発展。こうした一連の騒動によって国民の政治不信が一層高まる中で、表面的には安倍派議員による開き直り、とも取れそうな発言が記事となっている。これをどう受け止めるのか、まず生徒の意見を確認したい。
大西議員の発言は代議制民主主義の原理・原則から見れば決して間違っていると単純に決めつけられるものではなく、むしろ正当なものとさえ考える見方も十分成立しうるだろう。こうした事案に対して国民には選挙を通じて政党や議員を断罪できる権利が与えられているのだから、本来ならば選挙の結果で国政を変えていくのが民主主義国家における国民のとるべき本道ではある。
ところがこの本道自体、実は大きな落とし穴が随所に待ち受けていて、民主主義の根幹を揺さぶりかねない危険性をはらんでいることも、また歴史的事実だろう。ナチスの台頭を招いたのはドイツ国民の大多数によるヒトラーへの熱狂的な指示である。ドイツ第三帝国は最初から独裁体制であったわけではなく、むしろ最も民主主義的であったはずのワイマール共和国こそがファシズム成立の出発点ですらあった…そうした側面は決して否めないだろう。民主主義的な多数決の原理が最悪の政治を引き寄せてしまった過去があったとするならば、多数派の発言力、優位性は現時点である程度まで認めるとしても、今日においてはその正当性全般をも軽々に評価することは避けるべきではあるまいか。
選挙に当選すれば議員としてのある程度の特権が法的には約束されている。しかし議員ならば何をしても良い、というわけではもちろんない。どこまでが議員としての特権でどこから先が禁じられたゾーンなのか、グレーゾーンも多少あるだろうが、議員の公正に反する行為は出来る限り厳密にその罪を問うべきだろう。
しかし残念ながらモリカケ問題、桜を見る会の問題…それらすべてこれまで公文書の改ざんや破棄などによる証拠隠滅が疑われる中で証拠不十分という不透明さのまま事件は忘れ去られようとしている。あるいはドリルやドライバー一本でパソコンを破壊してしまえば証拠は残るまい…どうやらこの国の証拠隠滅による誤魔化しだらけの政治のあり方は地方議会のみならず、地方行政組織、公立学校の隅々まで深刻で根深い隠蔽体質としてすでに日本国内広く浸透してしまっているのではあるまいか。
つまり国民は民主主義が健全に機能する上で必要不可欠なはずの、国政を知る権利がひどく侵害されている状況に置かれているため、選挙の際、どの政党を選べばよいのか、どの議員を選べばよいのかといった判断基準に関わる、信用するに足る肝心な情報を実は十分に持てていないのが実情だと私は考えている。
このような状況下で選ばれた議員に、そもそも国民を代表して国政に関わる代議士としての十全たる資格があるのかどうか、実際には疑わしい限りであろう。しかも国政では比例代表制があるため、少なからぬ国民が落選させるべきだと考えている、差別的発言を繰り返してきた某国会議員を落選させることが今もって出来ていない、機能不全の選挙システムである点も、この国の制度上の大きな欠陥として指摘できるだろう。またよく言われるように少子高齢化に伴う世代別選挙民人口の偏りは極めて大きな問題であり、若者を政治から遠ざけさせている無視できない原因となっている。
さらには日本の学校教育の不備がこの問題を一層深刻にしているだろう。高校ですらまともな政治教育が出来ない、知識詰込み型の授業が蔓延する現状では18歳になっても選挙に行くだけの政治的関心や意欲、知識を持つ若者の数が極めて限定されてしまっている。無論、成人したところで日本では信頼するに足る政治情報が大きな制約をうけてしか報道されないのだから、もはや、選挙結果自体、国民の世論を十分に反映しているとは考えられようもない…だとすれば今の議員たちが本当に国民の代表としてふさわしい存在なのか、もう一度真剣に問い直すべき時が来ているはずである。
要するに大西議員の発言はこうした日本の「知らしめず、よらしむべし」の封建的な政治風土、システム上の欠陥などについて政治家としてまったく考えが及んでいないという点で、いかにも与党議員の最大派閥に属する者による夜郎自大、特権意識丸出しの開き直りに過ぎない発言だと私は判断するのだが、いかがだろう。
同様の開き直りは国政に限らず、安芸高田市議会議員の最大派閥、清志会のメンバーなどにも垣間見られるような気がするのだが…
◎「NHKとネットがあれば、民放は不要」アメリカと同じように「テレビから公平性
を排除」しようとした「安倍ショック」の衝撃
文春オンライン 根岸 豊明 によるストーリー 2024.1.29
この記事も安部政治が何を目指してきたのかを明らかにしている。国民の情報は丸裸にしていく一方で、政府の動きは隠蔽と証拠隠滅で不透明化を押し進め、誤魔化しの連続。政府に不都合な真実は隠し続けつつ、自分たちに都合の良いメディアを育てながら批判的なメディアは潰していく…まさにファシズムそのもの。
○若狭勝弁護士 「居眠りや雑誌読んでいる議員…事実に基づいた発言なんで」日本の
17歳が国際子ども賞受賞 スポーツニッポン新聞社 2022/11/16 09:59
超高齢化した日本の政治家の多くが「老害」と呼ばれている現状は青年の危機意識にも深く刻まれてきている。どうしたら日本の政治を変えていけるのか、その具体的な方法論が問われているのだろう。
◎報道の自由度ランキング、日本は70位に後退。G7で最下位、ウクライナや韓国を
下回る。その要因は? ハフポスト日本版 によるストーリー 2024.5.4
◎日本の「報道の自由度」は70位でコンゴ共和国以下!マスコミを萎縮させる諸悪の
根源とは ダイヤモンド・オンライン 窪田順生 の意見 2024.5.10
マスコミの退化による弊害は大きく、ネット上にフェイクニュースを横行させる原因の一つとなっているようだ。時の政権に忖度して辛うじて情報を得る政治記者たちの動きには絶望しか覚えない。
※参考記事
◎新たな戦場は「人の脳」 ディープフェイクで対立あおり分断 国が不満や不公正を放置すれば
「弱点」に 東京新聞 2024.7.14
国内の不公正、格差問題を放置していると外国から世論の分断や対立を目的とする情報戦の餌食
になりかねない、との指摘は重要。対立する外国からのデマにかく乱されないよう、政府は国民
の不満にもっと耳を傾ける姿勢を打ち出し、知る権利を十分に保障すべきだろう。外交や軍事を
巡る国家機密の多さは国民の分断を招く危険因子の一つであり、一定の期間を過ぎた過去の出来
事については積極的に情報公開をすべきだと考える。
◎社会的地位や学歴はまったく関係ない…精神科医が「本当にバカだ」と思う人の特徴
プレジデントオンライン 和田 秀樹 の意見 2022.12.6
「老害」の発生メカニズムを脳科学から説明していて非常に興味深い。
◎40~50代から脳の前頭葉は老化!? 歳をとっても老けない人が50代で「やらな
いこと」 1/3(火) 東洋経済オンライン
前の記事と同様、老害発生のメカニズムと弊害、前頭葉の老化を防止するために必要とされることなどが解説されている。ここでは特に高齢者あるいは高齢者的発想がはびこることで日本の政界、経済界、教育界などでの長期的停滞が生じている事の深刻さに気付きたい。
◎賢い若者だけが気づいている 「バカが多い日本」では投票率は低ければ低いほどい
いという矛盾 集英社オンライン オピニオン 2022.12.9
現在の選挙の仕組みが民主主義の自壊を招いている点を非常に分かりやすく説明してくれている。トランプ政権の登場や安倍政権の長期化などはこれである程度、説明できるだろう。ではどうすべきなのか、考えさせてみたい。
◎杉並区議選の波乱を起こした「2万票」…女性が当選者の過半数、自民が大量落選
東京新聞 2023.4.28
わずか4%あまり投票率が上がるだけで区議会の勢力にこれだけの変化が生じる事に驚く。日本の政治に絶望するにはまだ早すぎるのだ。たとえ国政レベルには達していなくとも、この動きの中に幽かではあっても日本の未来と希望の光が宿っていると考えたい。区長、区会議員ともに若い女性を意識した地方政治をどこまで実現できるのか、今後の動きにもぜひ注目していきたい。
〇最年少市長の人事案、市議会が異例の否決 重視する教育改革つまずく
朝日新聞デジタル 朝日新聞社 によるストーリー 2023.12.1
…兵庫県芦屋市議会で1日、高島崚輔市長が提案した教育委員の人事案が、反対多数で否決された。教育委員の人事案が否決されるのは極めて珍しい。高島氏が「1丁目1番地」と重視する教育改革が、それを進める要職選びからつまずいた形だ…
広島県安芸高田市と似たような事態が芦屋市でも生じているようだ。市の教育長は多くの市において市内の校長経験者から選ばれているのが通例であろう。こうした人事が学校でのイジメ事件の隠蔽などを生み出し、校長と教育委員会とのなれ合いを生み出してきた元凶であるのは間違いあるまい。
つまり改革を嫌う老害人事を続ける教育界での保守的慣習を見直そうとすれば、市長は市議会に跋扈する老害政治家とも戦う必要がある。安芸高田市の場合、優秀な副市長を外部から呼ぼうとする市長と保守派の市会議員が対立し、結局新しい副市長を呼ぶことはかなわなかった。芦屋市でもこれからは市長と市会議員との激しい対立が不可避と思える。
ただ芦屋市の場合、少子高齢化の度合いは安芸高田市ほど進展していないだろうから議会側との激しい衝突を回避しようとすれば次回の市議選で市長派が多数派となるのをじっくりと待つという手もあるだろう。しかしながら兵庫県では学校でのイジメ事件の隠蔽が頻発しており、残念ながら当地域での教育界の保守性には突出したものがあると予想される。おそらく改革への抵抗は政界のみならず教育界においても強大なものがあるだろう。どうやら若い市長の行く手は今後とも決して平坦ではないようだ。
他方、少子高齢化がかなり進展している安芸高田市の場合、財政悪化が危機的であるため、改革は待ったなしの状態であったようだ。したがって石丸市長はデビュー当初から議会との激しい対立を余儀なくされていたと思われる。とはいえ来年は二期目となるとともに待望の市議会議員選挙が行われるため、頑迷な清志会の勢力が半減する可能性は高く、一気に改革が加速していく見込みは十分ある。
いずれにせよ、地方政治から国政を変えていく可能性を探る上でも両市の動向からは目が離せまい。
・兵庫県知事パワハラ問題
参考動画
◎斎藤知事の罪「公益通報者保護制度」について深堀り!一部疑惑を認める
マスコミの責任も 長谷川良品「テレビ悲報ch」 2024/07/19 19:47
齊藤知事が3月に「嘘八百」「公務員として失格」などと証拠を提示することなく一方的に批判すること自体が公益通報者保護制度に違反する行為であり、まして停職三か月の処分を下したことは重大な問題、さらに通報者を特定するに至った知事側の動きもまた違反行為であるとの指摘は非常に大きな意味を持つだろう。
○【告発者が残した「音声データ」】知事パワハラ疑惑告発した職員死亡 パワハラ
行為を具体的に記した陳述書を残す 「主人の行動を無駄にしてはいけない」 兵庫県
斎藤知事〈カンテレNEWS〉 カンテレNEWS 2024/07/15 8:53
◎批判文書問題を巡り片山副知事が辞任の意向 「知事にも辞職を促した」
サンテレビニュース 2024/07/12 2:18
まだまだ事実関係が判然としない部分はあるが、このところ頻発している地方の首長や議員によるパワハラ、セクハラ問題の一例としてその動向に注目すべきだろう。特に神戸市と中心とする兵庫県での学校教育問題の深刻さと行政との関りが気になる点である。
参考記事
○斎藤兵庫県知事のパワハラ告発の元局長死亡 「つるし上げる」と維新議員から糾弾
されていた AERA dot. 今西憲之 によるストーリー 2024.7.13
元局長自殺の一因となる動きが見えてきている。公務員としての守秘義務と内部告発、公益通報との難しい関係も察せられる。教師もまた公務上、生徒の個人情報に接する機会が多く、その情報を次年度の担任に伝える際、校務用のパソコンを使うべきなのか、私有のパソコンを使っても良いのか…おそらく多くの教師は校務用のパソコンを使用するだろう。守秘義務に関わる生徒のプライバシー情報を私有のパソコンに入力すること自体、避けるべきであるのは当然だからだ。
ならば今回のような問題が生じたとき、教師が使用した校務用のパソコンの情報を公の場で公開すべきだと言われたとしたら、それは誰もが拒否するに違いない。特にクラス担任が抱える生徒情報の一部は決して口外できない部類のものも少なからず含まれており、議場で公開して良いはずがない。…元局長の心中を察するに、胸が痛む教師たちは少なくないのでは…