書名:ページズ書店の仲間たち2 ティリー・ページズと消えた童話
原題:Pages & Co. (2) Tilly and The Lost Fairy Tales
著者:アナ・ジェームス
出版:文響社
内容:マチルダ・ローズ・ページズことティリーは11歳の少女。ティリーはロンドンの『ページズ書店』で祖父母に育てられた。秋のある日、ティリーと男友達のオスカー・ルーは自分たちが本を旅する『ブックワンダラー(本の旅人)』だと知る。『ブックワンダー(本の旅)』の魔法を管理する大英『地下』図書館の館長だったという祖父に導かれ、ティリーとオスカーは地下図書館で職員から本の中の世界に入る方法を学ぶ。ところが、イーノック・チョークという怪しい図書館員が実は『ソースキャラクター(原典の登場人物)』であることが判ったうえ、ティリーの母親を長年『小公女』の物語の中に閉じ込めていたことを知る。ティリーは母親を救い出したものの、チョークは取り逃がしてしまう。さらに、この事件が原因で図書館長アミーリア・ウィスパーが解任されることになってしまった。12月、新たな図書館長を選ぶ選挙が行われる。当選したのは、チョークの行方を知っているというメルビル・アンダーウッド。メルビルは双子の姉デシマとともに主催したブックワンダラーのための童話ツアーで数十年も行方不明になっていたが、2週間前に一人で戻ってきたという怪しい経歴の持ち主。しかも、メルビルは当選直後に子供による本の旅を禁止し、大人のブックワンダラーには追跡スタンプを押すと宣言する。メルビルを中心とする『ブックバインダー(本の封印者)』たちの方針に不安をかかえながらも、ティリーはオスカーと一緒にクリスマス・シーズンのパリへ行く。パリで暮らすオスカーの父親の出迎えを受けた二人は、オスカーの祖母クララに連れられて行った書店『妖精の小部屋』で店主グレチェン・スタインを紹介される。実はクララとグレチェンもブックワンダラーだという。二人に勧められてティリーとオスカーは童話の本の世界に旅立つ。童話は声に出して語りつがれてきた物語なので、文字で書かれた物語とくらべると、もともととても不安定なのだが、ティリーとオスカーが旅をすると奇妙なことが次々と起き……。
※作中でティリーとオスカーが本の旅をした童話のひとつは『赤ずきん』。『赤ずきん』には、登場人物や結末などが違う内容のものが幾つもある。古くは11世紀のフランスで語られていたという記録が残っていて、中国のトラのおばあさんの昔話『老虎外婆(ラオフーワイポー)』がルーツだという説もある。ティリーとオスカーの旅した『赤ずきん』は、1697年に、フランスの作家シャルル・ペローが口伝えの物語を集めて再話、編集した童話集におさめられているもの。ただし、ペロー版はグリム版の『赤ずきん』とくらべると、恐ろしい結末になっている。
※作中に登場するグレチェンの書店『妖精の小部屋』は、『Le Cabinet des Fees(妖精の小部屋:英語ではFaery(Fairy) Cabinet)』というフランスの有名な童話集にちなんで名づけられている。この童話集は、18世紀にシャルル=ジョゼフ・ドゥ・メイエーという作家によって編集、出版されたもので、全部で41巻。
ホワイトブロンド:限りなく白に近いベージュまたはブロンドカラー。
ブローグシューズ:穴飾り(ブローグ)がついている革靴
モルドワイン:赤ワインに砂糖やスパイスや柑橘類を加えてあたためた飲み物。イギリスでクリスマスの時期によく飲まれる。
クリスマスティー:イギリスを始めヨーロッパの国々でクリスマスの時期に好んで飲まれる紅茶のこと。19世紀中頃のイギリスが発祥で、当時は高価だったスパイスや柑橘系フルーツのドライピールを紅茶にブレンド。スパイスはキリストの誕生の際にお祝いに駆けつけた東方の三博士がキリストに贈った乳香、没薬、黄金の3つの品を象徴するシナモン、クローブ、ナツメグが使われた。スパイシーかつ甘酸っぱい紅茶で、ヨーロッパの冬の定番として浸透している。
トゥースフェアリー:歯の妖精。ぬけた乳歯を枕の下に入れておくと、お金などに引きかえてくれるとされる妖精。
書名:第八森の子どもたち
原題:De Kinderen van Het Achtste Woud
著者:エルス・ペルフロム
出版:福音館文庫
内容:1944年9月、イギリス軍がアルネムをめぐる戦いに負け、ドイツ軍に町を追われた人々の中に11歳の少女ノーチェ・ファン=デル=フックがいた。ノーチェは父親と自転車をこぎ、避難場所を探してさまよった。11月のある日、フューフェンス丘近くの森のなかにある人里はなれた農家クラップヘクにたどり着いた二人は、農家の主人であるエフェリンゲン家のおやじさんの好意で戦争が終わるまで同居させてもらえることになった。ノーチェは1歳年上の少年エバート・エフェリンゲンと仲良くなり、農家の仕事を手伝いながら毎日一緒に遊ぶようになる。農家には病に侵されたレジスタンスの青年テオが隠れ住んでいたし、食料を求めてたくさんの人々がやってきた。さらにノーチェが「第八森」と名づけた森の地下にはユダヤ人の一家が隠れ住んでいて……。第二次世界大戦末期のオランダを舞台に、少女ノーチェが厳しい戦争の冬をへて春を迎えるまでの間に経験した出来事を描いた作品。
※1977年初版
※作者が戦争時代に疎開先の農家で過ごした日々の思い出をもとに本書を書いた。作中で12歳の誕生日を迎えるノーチェは、作者の分身ともいえるが、これは自伝ではなく、あくまでもフィクションだと作者は語っている。
※第二次世界大戦中の1944年9月17日~24日、オランダ東部のアルネムでイギリス軍を中心とする連合軍とナチス・ドイツ軍が激しく戦った。連合軍はライン川を渡ることに失敗し、アルネムの全住人、十万人以上の人々が町を離れなければならなかった。
※オランダでは、それぞれの農家の特徴に合わせて呼び名がつけられていることが多く、「クラップヘク」とは、手をはなすと、扉がパタンと閉まる柵をさす言葉。
代用せっけん:形は石鹸に似ているが、灰色で、粘土のかたまりに似た、質の悪い代用品。物資が不足していたため、当時はよく使われていた。
代用コーヒー:外国からコーヒーを輸入できなくなっていたため、どんぐりなどの木の実や麦を煎(い)ったものにチコリという香草ををまぜ、コーヒーの代わりに飲んでいた。
書名:ロッタの夢 オルコット一家に出会った少女
原題:Lotta's Progress (直訳すると『ロッタの進歩』)
著者:ノーマ・ジョンストン(アメリカ作家)
出版:岩波少年文庫
内容:1848年冬、米国ボストン。12歳の少女カルロッタ・ミュラーことロッタは、一家で祖国ドイツからボストンにやってきた。ロッタはアメリカへ渡る船のなかで片言の英語を覚えたが、家族はドイツ語しか話せない。そのため父親は仕事を探してもうまくいかず酒びたりになり、母親は身重のため働けない。ロッタと兄カールは母親が望む教育を受けようと学校を訪れるが、移民には入学資格がないと断られる。失意のロッタは帰宅途中に少年とぶつかる。少年はマイケル・キャラハンというアイルランド移民で、ロッタの住む集合住宅のお隣さん一家の息子だった。マイケルに助言されたロッタは家計の足しにと市場で小遣い稼ぎをするようになる。ある日、父が行方不明になり、兄カールも窃盗で警察に捕まってしまう。困り果てたロッタは貧しい人を支援しているという女性ミセス・ブロンソン・オルコットを訪ねるが……。オルコット家との交流により、ロッタは成長し自らの道を見つけだす。
※主人公ロッタは架空の少女だが、本書の作中でオルコット家に起こった事柄は、実在のオルコット一家に起こった事。オルコット一家はボストンのデッダム通りの家に1848年秋から1849年春まで住んでおり、夏にジェイムズ・サヴィッジ夫人の家へ行った。
※オルコット家の次女ルイザ・メイ・オルコットは『若草物語』の著者。
ロットヒェン:ロッタの愛称
ヨハネス(女の子だったらヨハンナ)
ティルダ:マティルデの愛称
レナ:マグダレーナの愛称
アニー:アンナの愛称
アビー:アビゲイルの愛称
書名:サリー・ロックハートの冒険2 仮面の大富豪 下
原題:The Shadow in the North
著者:フィリップ・プルマン(イギリス作家)
出版:東京創元社
内容:財政コンサルタントとして働くサリーは顧客の依頼で海運会社の倒産事件を調べる。サリーの友人ジムは、命を狙われているという奇術師マッキノンを助ける。サリーに求婚している私立探偵フレデリックは、シティの事務員に依頼されて降霊会にでかけ霊媒師ネリー・バッドのことを調べる。一見ばらばらの三つの事件は、調査を進めるうちに大富豪ベルマンに集約していく。怪しい過去をもつベルマンは、元閣僚だが破産寸前のウィザム伯爵を利用して彼の娘レディ・メアリと婚約する。ベルマンはイングランド北部に広大な工場を建設し、新たな事業を始めているが、何を企んでいるのか?事件を追うサリーと仲間たちは核心に迫るが、ベルマンの秘書と手下たちによる脅迫と暴力が……。
※1986年初版
※前作『マハラジャのルビー』 事件から6年後が本書。サリー・ロックハートは父親の遺産のおかげでガーランド写真店の共同経営者となり、さらにケンブリッジ大学の女子コレッジを卒業して財政コンサルタントになっている。6年前の事件で友人となったガーランド兄妹のうち、妹のローザは聖職者のニコラス・ベドウェルと結婚し、兄のフレデリックは写真技術を磨きながらも、私立探偵の仕事にいそしんでいる。
書名:サリー・ロックハートの冒険2 仮面の大富豪 上
原題:The Shadow in the North
著者:フィリップ・プルマン(イギリス作家)
出版:東京創元社
内容:1878年冬、22歳のサリー・ロックハートは財政コンサルタントとしてロンドンのシティにオフィスをかまえている。ある日、顧客のミス・ウォルシュという老婦人が訪ねてきた。2年前にサリーの薦めで投資をした海運会社アングロ‐バルト海運会社が倒産し、老後の貯えをすべて失ってしまったのだという。ミス・ウォルシュは海運会社の詐欺を疑い、サリーに真相を解き明かしてもらいたいと頼む。一方、サリーの友人ジム・テイラーは芝居の脚本家を目指し、劇場などの裏方で働いているが、出演者の奇術師マッキノンに助けを求められる。ジムは追手をまいてマッキノンが逃亡する手助けをし、私立探偵をしているフレデリック・ガーランドの所へ連れていく。マッキノンはサイコメトリーで殺人事件を知ってしまい、犯人に狙われていると告白する。サリーの調査と、フレデリックとジムの事件の調査は別々に進んでいたが、どうやらふたつの事件の背後にはヨーロッパ一の大富豪アクセル・ベルマンの姿が……。
※1986年初版
※前作『マハラジャのルビー』事件から6年後が本書。サリー・ロックハートは父親の遺産のおかげでガーランド写真店の共同経営者となり、さらにケンブリッジ大学の女子コレッジを卒業して財政コンサルタントになっている。6年前の事件で友人となったガーランド兄妹のうち、妹のローザは聖職者のニコラス・ベドウェルと結婚し、兄のフレデリックは写真技術を磨きながらも、私立探偵の仕事にいそしんでいる。
父親は男爵で、自身、〝オノラブル″という敬称つきで名前を呼ばれる身だ
牧師に結婚を公言されたとたんに、彼女の所有するものはすべて、(法的に)夫のものになる
『妻財産法』は、1870年に議会を通過した
書名:ロシアのクリスマス物語
翻訳:田辺佐保子
出版:群像社
内容:1870年代~1930年代にかけて書かれたロシアのクリスマス小説のアンソロジー。
<収録作品>
●クリスマス:イワン・セルゲーエヴィチ・シメリョフ著
※自伝的長編『主の歳月――祝祭・喜び・悲しみ』(1933年作)の一部「クリスマス」の章
●ザリガニの泣いたときに――クリスマスの怪談――:テフィ著:1911年作
●イーダ:イワン・アレクセーエヴィチ・ブーニン著:1925年作
●クリスマス物語:ミハイル・ミハイロヴィチ・ゾシチェンコ著:1926年作
●クリスマス:ヴラジーミル・ヴラジーミロヴィチ・ナボコフ著:1925年作
●ヨールカ祭の森の精:サーシャ・チョールヌイ著
※『紅色の本』(1929年出版)に収められた短篇
●キリストのヨールカ祭に招かれた少年:フョードル・ミハイロヴィチ・ドストエフスキー著
※雑誌に掲載した『作家の日記』の一部で、1876年新年号に掲載されたもの
●雪娘:フォードル・ソログープ著
※『変身の書』(1914年出版)に収められた短篇。ロシア民話でなじみの雪娘の話。
●父と娘の新年の祝日:アレクサンドル・ステパーノヴィチ・グリーン著:1922年作
●車両長――これぞまことのクリスマス物語――:アレクサンドル・イワーノヴィチ・クプリーン著:1911年作
●クリスマス・シーズンに:アントン・パーヴロヴィチ・チェーホフ著:1899年作
●うすのろ――過ぎし昔のクリスマス物語――:ニコライ・ペトローヴィチ・ワグネル著:1886年作
●真珠のネックレス:ニコライ・セミョーノヴィチ・レスコフ著:1886年作
ヨールカ:小さな樅の木の意味
スヴャートキ:聖シーズン、ほどの意味。本書ではクリスマス・シーズンと訳されている。
マロース:酷寒、凍て
レーシイ:森の精、森の妖怪
書名:ペストの夜 下
原題:Veba Geceleri (Nights of Plague)
著者:オルハン・パムク(トルコ作家)
出版:早川書房
内容:1901年4月、オスマン帝国の東地中海領土ミンゲル島においてペストが発生した。中国を発しインドを経て徐々に西に拡大した疫病が、ついに地中海域へ到着したのだ。皇帝アブデュルハミト二世はボンコウスキー衛生総監をミンゲルに派遣する。ところが、イスラーム教徒とギリシア正教徒の人口が拮抗し、古代の言葉ミンゲル語が話される島では両教徒の山賊が争い、イスラーム神秘主義教団の導師たちが暗躍し、各国領事が帝国当局とたびたび対立していた。政治的混迷の続くミンゲル島に上陸したボンコウスキーは、何者かに惨殺される。殺されたボンコウスキーの代わりにペスト撲滅を命じられたのは、オスマン家の皇女パーキーゼ姫と結婚したばかりの検疫学者ヌーリー医師であった。夫妻はミンゲル島出身のキャーミル上級大尉を護衛として伴い、ミンゲル州総督サーミーらとともに検疫隔離体制を実施する。しかし、州都アルカズでは日に日にペスト感染が拡大し、島民は島から逃げ出そうとしていた。感染拡大を懸念し、海上封鎖を進める西欧列強諸国とイスタンブルの中央政府。そのさなかボンコウスキーの助手だったイリアス医師が毒殺されてしまう。ペストが猛威を振るい孤立していく島に取り残されたパーキーゼ姫とヌーリー医師。二人が目撃するミンゲル島の運命とは……。架空の島ミンゲルを舞台にした歴史長篇。
ガーズィー・○○・パシャ:ガーズィーは武勲のあった軍人などに与えられる称号。パシャは「閣下」。
会稽(かいけい)する:1.「会稽山(かいけいざん)」の略。中国の地名。2-1.「会稽の恥」の略。元々は敗戦の屈辱のことです。そのことから、他人から受けた忘れられない屈辱のことをいいます。2-2.《会稽の恥をすすぐ意》あだ討ち。 仕返し。復讐。
治定(じてい:《「ちてい」とも》国などをおさめ安定させること。世の中がおさまり安定すること。)
軽忽(けいこつ)な言動:1.(きょうこつ、とも。)軽々しく、そそっかしいこと。また、そのさま。2.馬鹿げたこと。笑止なこと。3.軽蔑すること。軽んずること。
喋々(ちょうちょう)しい:1.口数が多い。口まめである。口軽である。転じて、調子がいい。いいかげんに調子をあわせる。2.おおげさである。
井々(せいせい)とした魅力: 1. 境目 の正しいさま。秩序 正しく整っているさま。少し の乱れもなく整っているさま。整整 。2.静かで変わらないさま。 清く静かなさま。
真率さ:ありのままでつつみかくしのないこと。 正直でかざりけのないこと。 まっすぐで一途なこと。 また、そのさま。 真摯 (しんし) 。
怯懦(きょうだ:臆病で気が弱いこと。いくじのないこと。また、そのさま。)
書名:ペストの夜 上
原題:Veba Geceleri (Nights of Plague)
著者:オルハン・パムク(トルコ作家)
出版:早川書房
内容:1901年4月、オスマン帝国の皇帝アブデュルハミト二世の勅命により、義和団の乱で荒れる清(中国)に諮問団が送られることになり、帝国旗を掲げた汽船アズィズィイェ号がイスタンブルを出港した。諮問団には先帝ムラト五世の娘でアヴデュルハミト二世の姪であるパーキーゼ姫と彼女と結婚したばかりの夫で疫学者であるヌーリー医師も含まれていた。ところが、航海の途中で寄港した港湾都市イズミルでボンコウスキー衛生総監が乗船し、彼と助手を東地中海のミンゲル島に送ることになる。クレタ島とロドス島の間に位置するミンゲル島では、ペスト流行の噂が囁かれているのだ。ペスト禍を抑え込むため皇帝に派遣されたボンコウスキーだが、彼はミンゲル島で何者かの手によって惨殺される。一方、ボンコウスキーをミンゲル島で下船させたアズィズィイェ号はアレクサンドリアに寄港しているところへ、皇帝からの暗号電文が届く。死んだボンコウスキーの代わりに、ヌーリー医師はミンゲル島とその州都アルカズにおけるペスト禍に対応するべく島に赴くようにという命令だった。パーキーゼ姫とヌーリー医師は、ミンゲル島出身のキャーミル上級大尉を護衛として伴い島に降り立つが……。架空の島ミンゲルを舞台にした歴史長篇。
パーキーゼは「清らかで美しい」を表す言葉
本書の掉尾(ちょうび:物事が最後になって勢いがよくなること。また、最後。「とうび」とも読み、捕らえられた魚が死ぬ直前に尾を振ること。転じて、最後の意。)
回想録を渉猟すれば
渉猟: 1 広くあちこち歩きまわって、さがし求めること。 2 調査・研究などのために、たくさんの書物や文書を読みあさること。
本書の劈頭(へきとう:物事のはじめ。最初。冒頭。)
教誨(きょうかい)いたしたく:教えさとす
シャッポ:《(フランス)chapeauから》帽子。特に、つばのある帽子。シャポー。
のべつ幕なし:絶え間なく続くさまを表す言葉。語源は、「延べつ」に「幕なし」を重ねたもので、「絶え間なく」といった意味の「延べつ」、「幕なし」は芝居で幕を引かずに演じ続けることを意味する。明治以降に使われるようになった言葉。
聡慧(そうけい:才知にすぐれること。また、そのさま。聡明。
絶佳:すぐれていて美しいこと。非常にすぐれていること。また、そのさま。
その名声も赫奕(かくえき)たる化学者
赫奕:1.光り輝くさま。2.物事の盛んな・こと(さま)。
太りじし:よく太っていること。肉づきのよいこと。
正鵠を射ている:物事の急所や要点を正しくおさえることを表す慣用句。「正」「鵠」とも弓の的の中心にある黒点の意味があり、同様の意味で「正鵠」という熟語が古代中国で生まれた。「正鵠」は的の中心の意味から、物事の要点や核心の意味に転じた。明治時代に物事の急所や要点を正確につく意味で「正鵠を得る」が生じ、「正鵠」に「的」の意味があるところから、昭和に入って「正鵠を射る」の形が生まれた。
懸絶(けんぜつ:著しい隔たりがあること。非常に大きな差があることを表す言葉。)
樹木の一色(ひとしき)ならざる緑色
平和に時を閲(けみ)してきた
閲する:1 見る。調べ見る。改める。検閲する。 2 調べ読む。閲覧する。3 経過する。 年月を過ごす。経る。
騒擾(そうじょう:集団で騒ぎを起こし、社会の秩序を乱すこと。「擾」は、乱れるの意。)
三嘆:何度も感心する。何度も嘆く。
慨嘆:気が高ぶるほど嘆いて心配すること。
形而上学的(けいじじょうがく)
譴責(けんせき:1 しかり責めること。不正や過失などを厳しくとがめること。2 懲戒処分のうち最も軽いもの。職務上の義務違反について警告し、将来を戒めること。現在、法令上では戒告という。)
険阻な対応:1 地勢のけわしいさま。また、その所。2 顔つきなどのけわしいこと。
諮(はか)る:(下の者に)意見を求める、相談。
綸言(りんげん:1.(「綸」は組糸。天子の口から出るときは糸のように細い言葉が、下に達するときは組み糸のように太くなる意) 天子の仰せごと。君主のことば。みことのり。2. (「綸言汗の如し」から) 汗をしゃれていう語。)
瀰漫(びまん:1.水が満ちあふれること。水原の果てしなくひろいこと。また、そのさま。2. 転じて、ひろがり満ちること。ひろくはびこること。また、そのさま。)
鬱勃: (「鬱」は上から押えて、ものを中にこもらせること、「勃」は草木が芽を出すように、中にたまったものがふき出すこと) こもりつもった気が盛んに出るさま。また、胸中にみちふさがる意気が、今にも発しようとしているさま。また、意気が盛んにわき起ころうとするさま。)
こまっしゃくれた表情:子どもが、おとなびたこざかしい言動をする。子どもがませた様子をする。言動などが大人ぶっていて生意気であるさま。
軌を一にする:1.車の通った跡を同じくするように、立場や方向を同じくする。2.国家が統一される。
一口両舌(いっこうりょうぜつ:同じ事に関して別のことをいうこと。前に言ったことと後で言ったこととが違うさま。うそをつくこと。二枚舌。)
カスケット帽:ハンチング帽(鳥打帽)の一種。フランス語のカスク(casque、かぶと・ヘルメット)の指小形(-ette)で、前びさし(前方のみのつば)がある帽子のことである。
○○・パシャ:政府高官に付される尊称。閣下などに担当。
ハジュ・○○:巡礼者。メッカ巡礼を果たした者に付せられる尊称。
「クブルスル・キャーミル閣下は並ならぬ才知に恵まれ徳も高く、お名前のとおりに完璧(キャーミル)な御仁でした」
書名:アンナの戦争 キンダートランスポートの少女の物語
原題:Anna at War
著者:ヘレン・ピーターズ(イギリス作家)
出版:偕成社
内容:六年生になったダニエルは、授業で第二次世界大戦のことを学ぶことになった。そこで、ダニエルは戦争が始まる直前にドイツからイギリスに来たアンナおばあちゃんに話を聞こうと家を訪ねる。――1938年11月11日、ユダヤ人の少女アンナ・シュレジンガーの家にナチの突撃隊員が乱入し、家中を破壊して回り、父親と叔父を連行して行った。後に「クリスタルナハト(水晶の夜)」と呼ばれる事件だ。事件から三週間後、ブーヘンヴァルト強制収容所に入れられていた父親と叔父が帰宅したが、ユダヤ人への迫害は更に酷くなり、アンナは学校に通うことも禁止されて家にいるしかなかった。1939年7月、イギリス行きの「キンダートランスポート(子どもの輸送)」がアンナを受け入れるという手紙が届く。泣く泣く両親に別れを告げ汽車に乗り込んだアンナ。ところが、汽車が発車したタイミングでプラットホームを走っていた女性にバスケットを渡される。アンナがバスケットを開けてみると、中には赤ちゃんが眠っていた。赤ちゃんの世話はアンナに託され、国境を越えるための検閲のときもナチの兵士に渡さず守った。無事にイギリスのロンドンに到着したアンナは赤ちゃんと別れ、里親として受け入れてくれるディーン家のローズおばさんを紹介される。ローズおばさんに連れられてアンナが辿り着いた先は、ケント州のアッシュクーム村にある農場。里親家族はおばさんの配偶者であるバートおじさんと7歳の息子フランク、娘のモリーはアンナと同じ12歳。1939年9月、アンナは地元の学校に通い始めるが、ドイツとイギリスの戦争が始まったせいで同級生にナチのスパイではないかと疑われて傷つく。それでも頑張って英語を学び、イギリスの生活になじんでいく。しかしある日、飼い猫クローバーを探していたアンナと二人の子どもたちは納屋に隠れていた兵士を発見する。病気の母親を見舞うために軍隊を脱走して足に怪我をしたと兵士は言い訳をするが、アンナは彼がドイツ語を呟くのを聞く。彼はイギリス兵ではなくナチのスパイだと気づいたアンナは通報しようとするが……。
※2019年初版
※クリスタルナハト:1938年11月9日の夜、パリのドイツ大使館員がユダヤ人の青年に暗殺された事件を機に、ユダヤ人に対する組織的な暴力行為がドイツ全土で勃発した。ユダヤ人の経営する店のガラスがくだけ散ったありさまから、この事件は「水晶の夜(クリスタルナハト)」と呼ばれるようになった。
※キンダートランスポート:「水晶の夜」事件の後、ドイツのユダヤ人たちは命の危険を感じ、出国を急ぎはじめた。しかし、ヨーロッパ諸国やアメリカは大量の難民の流入をおそれ、ユダヤ人の受け入れを制限していた。そんななかでイギリス政府が、ユダヤ人の子どもにかぎり、ビザなしの入国を許可することにした。その決定を受けて、すぐに民間の救援団体が組織され、1938年12月、ユダヤ人の子どもたちを列車と船でイギリスに送る大作戦「キンダートランスポート(子どもの輸送)」が始まった。この計画の資金は民間の団体や個人によってまかなわれ、子どもたちの受け入れ先も民間から募集された。1939年9月1日にドイツ軍がポーランドに侵攻して国境が封鎖されるまでに、ドイツ、オーストリア、チェコスロヴァキアなどから約一万人のユダヤ人の子どもたちがイギリスに送り出された。
※本書はキンダートランスポートでイギリスに渡った子どもたちの手記にもとづいている。「バスケットの中の赤ちゃん」も実話をもとにしているが、実際には赤ちゃんは双子だったという。
※アッシュクームは架空の村。
キッチンガーデン:主に野菜やハーブを育てて、収穫と鑑賞を楽しむ菜園。
書名:落語少年サダキチ(ご)
著者:田中啓文
出版:福音館書店
内容:清海忠志(きよみただし)は小学校五年生。あるとき助けた老人が落語家の笑酔亭粋梅(しょうすいていいきうめ)だったことから、忠志は落語の面白さを知る。さらに彦八神社にある石碑の前で落語をするという方法で、江戸時代の大坂にタイムスリップまでしてしまう。さまざまな経験をした忠志は落語の独演会を成功させ、「定吉」として知られるようになる。その忠志が住む町で、次々に起きる窃盗事件。ついには、親友真一の家にも泥棒が入る。小学校では警察官がきて泥棒対策の教室が開かれることになり、忠志は前座で泥棒が出てくる落語をすることに。そんなとき、忠志はあやしい工具箱を拾い……最大のピンチ「花色木綿」篇。小学校の新校歌発表会で、忠志は落語を演じることになる。クラスメイト達も鳴り物(伴奏)で参加する。だが、肝心の三味線を誰も弾けない。忠志は母親で三味線弾きの「ペ ン子」のことを思い出し……「七度狐」篇。巻末は恒例の落語家・桂九雀(かつらくじゃく)による「落語の話」を収録。