ティリー・ページズと消えた童話 | kanoneimaのブログ

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私的備忘録

書名:ページズ書店の仲間たち2 ティリー・ページズと消えた童話
原題:Pages & Co. (2) Tilly and The Lost Fairy Tales
著者:アナ・ジェームス
出版:文響社
内容:マチルダ・ローズ・ページズことティリーは11歳の少女。ティリーはロンドンの『ページズ書店』で祖父母に育てられた。秋のある日、ティリーと男友達のオスカー・ルーは自分たちが本を旅する『ブックワンダラー(本の旅人)』だと知る。『ブックワンダー(本の旅)』の魔法を管理する大英『地下』図書館の館長だったという祖父に導かれ、ティリーとオスカーは地下図書館で職員から本の中の世界に入る方法を学ぶ。ところが、イーノック・チョークという怪しい図書館員が実は『ソースキャラクター(原典の登場人物)』であることが判ったうえ、ティリーの母親を長年『小公女』の物語の中に閉じ込めていたことを知る。ティリーは母親を救い出したものの、チョークは取り逃がしてしまう。さらに、この事件が原因で図書館長アミーリア・ウィスパーが解任されることになってしまった。12月、新たな図書館長を選ぶ選挙が行われる。当選したのは、チョークの行方を知っているというメルビル・アンダーウッド。メルビルは双子の姉デシマとともに主催したブックワンダラーのための童話ツアーで数十年も行方不明になっていたが、2週間前に一人で戻ってきたという怪しい経歴の持ち主。しかも、メルビルは当選直後に子供による本の旅を禁止し、大人のブックワンダラーには追跡スタンプを押すと宣言する。メルビルを中心とする『ブックバインダー(本の封印者)』たちの方針に不安をかかえながらも、ティリーはオスカーと一緒にクリスマス・シーズンのパリへ行く。パリで暮らすオスカーの父親の出迎えを受けた二人は、オスカーの祖母クララに連れられて行った書店『妖精の小部屋』で店主グレチェン・スタインを紹介される。実はクララとグレチェンもブックワンダラーだという。二人に勧められてティリーとオスカーは童話の本の世界に旅立つ。童話は声に出して語りつがれてきた物語なので、文字で書かれた物語とくらべると、もともととても不安定なのだが、ティリーとオスカーが旅をすると奇妙なことが次々と起き……。
※作中でティリーとオスカーが本の旅をした童話のひとつは『赤ずきん』。『赤ずきん』には、登場人物や結末などが違う内容のものが幾つもある。古くは11世紀のフランスで語られていたという記録が残っていて、中国のトラのおばあさんの昔話『老虎外婆(ラオフーワイポー)』がルーツだという説もある。ティリーとオスカーの旅した『赤ずきん』は、1697年に、フランスの作家シャルル・ペローが口伝えの物語を集めて再話、編集した童話集におさめられているもの。ただし、ペロー版はグリム版の『赤ずきん』とくらべると、恐ろしい結末になっている。
※作中に登場するグレチェンの書店『妖精の小部屋』は、『Le Cabinet des Fees(妖精の小部屋:英語ではFaery(Fairy) Cabinet)』というフランスの有名な童話集にちなんで名づけられている。この童話集は、18世紀にシャルル=ジョゼフ・ドゥ・メイエーという作家によって編集、出版されたもので、全部で41巻。

ホワイトブロンド:限りなく白に近いベージュまたはブロンドカラー。

ブローグシューズ:穴飾り(ブローグ)がついている革靴

モルドワイン:赤ワインに砂糖やスパイスや柑橘類を加えてあたためた飲み物。イギリスでクリスマスの時期によく飲まれる。

クリスマスティー:イギリスを始めヨーロッパの国々でクリスマスの時期に好んで飲まれる紅茶のこと。19世紀中頃のイギリスが発祥で、当時は高価だったスパイスや柑橘系フルーツのドライピールを紅茶にブレンド。スパイスはキリストの誕生の際にお祝いに駆けつけた東方の三博士がキリストに贈った乳香、没薬、黄金の3つの品を象徴するシナモン、クローブ、ナツメグが使われた。スパイシーかつ甘酸っぱい紅茶で、ヨーロッパの冬の定番として浸透している。

トゥースフェアリー:歯の妖精。ぬけた乳歯を枕の下に入れておくと、お金などに引きかえてくれるとされる妖精。