砂漠の旅ガラス | kanoneimaのブログ

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私的備忘録

書名:砂漠の旅ガラス
著者:長谷川まりる
挿絵:長谷川まりる
出版:小学館
内容:マッシュルーム戦争によって世界は砂で覆われ、文明は途絶えた。『ぼく』ことツバメは16歳の少年。ツバメは半年前に居住地を出て、『旅ガラス』の青年ミサゴの世話になっている。旅ガラスとは、単独で砂漠を走りまわって砂を掘って暮らす人のことだ。ミサゴの家には二年前に拾ったという声のない少年キツツキも居る。三人は黄色く冷たい砂を掘りかえし、古代人が残した食べ物や日用品や服やバイクを探し当てて暮らしている。砂漠の砂は『防腐塵(ぼうふじん)』と呼ばれる特殊なもので、砂の中に埋もれているものは絶対に錆びたり腐ったりしない。だから古代人の街は、昨日うもれたばかりのように遺っている。ある日、採掘作業のあとにツバメはある物を落とした。それを見たキツツキが小さな声で「バンクシア」と言う。喋れないはずのキツツキが言った言葉に、ツバメは驚く。キツツキを警戒しながらも、ツバメは居住地を出て行くきっかけになった物の名前が分かったことを喜ぶ。そんな時、ミサゴから「旅ガラスの一座に連れて行ってやる」と言われる。『旅ガラスの一座』とは、砂漠に散った旅ガラスたちが月に一度集まって、物々交換や情報交換をする助け合いの場のことだ。よそ者のツバメは今まで連れて行ってもらえず留守番だったのだ。一座の日、ツバメはタシギという青年に旅ガラスをやめて居住地に行ったアビという人物を知らないかと尋ねられる。ツバメはアビが死んだことを言えずに思い悩む。そして、夜になると一座は砂賊の襲撃に遭い、ツバメたちは逃げ出すが……。