同志少女よ、敵を撃て | kanoneimaのブログ

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私的備忘録

書名:同志少女よ、敵を撃て
著者:逢坂冬馬(あいさかとうま)
出版:早川書房
内容:独ソ戦が激化する1942年2月、モスクワと要衝都市トゥーラの間にある村人40人程度の小さな農村イワノフスカヤで育った18歳の少女フィーマことセラフィマ・マルコヴナ・アルスカヤは、外交官を目指して大学進学が決まっていた。生まれる前に父を亡くし母娘ふたりで半農半猟の暮らしをしてきたセラフィマ。彼女たちが食害を防ぐための鹿撃ちを終えて村に戻ると、パルチザンを探すドイツ軍が村人たちに銃口を向けていた。セラフィマの母親が村人を救おうと猟銃を構えたものの撃つことを躊躇ううちに、ドイツ軍の狙撃兵イェーガーに撃ち殺されてしまう。セラフィマもドイツ兵に連行されて尋問を受け暴行される寸前、赤軍を率いる女性兵士イリーナに救われる。ところが、イリーナは焦土作戦のために村を焼くと言い、村人たちの遺体にガソリンをかけて焼き払う。イリーナに「お前は戦うのか、死ぬのか!」と問われたセラフィマは、母を殺したドイツ人狙撃兵と母の遺体を焼いたイリーナを殺すと誓う。彼女はイリーナが教官を務める女性狙撃兵訓練学校の生徒となる。学校にはセラフィマと同じ境遇で家族を喪い、戦うことを選んだ女生徒たちがいた。彼女たちと寝食をともにし訓練を重ねるセラフィマ。厳しい訓練に脱落していく生徒が続き、残ったのはセラフィマ・カザフ人の猟師で射撃の天才アヤ・模範的な優等生シャルロッタ・最年長の生徒で皆にママと呼ばれるヤーナ・ウクライナ出身のコサックで誰とでも仲良くなるオリガ。1942年11月、戦局が悪化するなか訓練生たちの養成課程が短縮され、セラフィマたちの卒業試験を実施することが決まった。そこへ内務人民委員部(NKVD)所属の女性ハトゥナが現われ、オリガが本当はNKVDで訓練生たちをスパイしていたことを知る。ショックを受けたセラフィマたちだが、何とか気持ちを立て直し、卒業試験の模擬戦を圧勝して終える。卒業したセラフィマたち4人はイリーナを隊長とした第三九独立小隊として戦地に向かう。イリーナを恨むハトゥナの差し金か、配属先はウラヌス(天王星)作戦が行われる戦場、スターリングラードの前線だった。独ソ戦の決定的な転換点となる戦闘。おびただしい死の果てに、セラフィマが目にした『敵』とは?独ソ戦を背景に、スターリングラード攻防戦と、要塞都市ケーニヒスベルクの戦いを女性狙撃手の立場から描く。
※第二次世界大戦でソ連は参戦国のなかで唯一、女性兵士が従軍した国である。

ミーシカ:ミハイルの愛称
ターニャ:タチヤーナの愛称
アーニャ:アンナの愛称
コーリャ:ニコライの愛称
リューダ:リュドミラの愛称
イーラ:イリーナの愛称

ザイツェフ。兎に由来する名字だ。その教え子故にザイチョーノク(子兎)か

ドイツ語で「王の山」を意味する古都、ケーニヒスベルク