現在の映画の興業システムのシネマコンプレックススタイルが、もうすっかり世の中にも定着してきている。劇場そのものもキレイになっているし、前の席との間隔もあるし、ボクもそのシステムに慣れてきて、それはそれで悪くはないとは思えるようになってきた。
しかし、一つネックがあるとしたら、一週間の中でも日によって開始時刻やかかっている作品が替わっていることがあるので、毎日確認しないといけないということだ。つまり、予定を立てづらくなっているということでもある。さらに、錦糸町の場合だと、少し距離が離れて楽天地とオリナスがあって、こっちの思い込みで場所を間違えてしまうというケースもある。そういう意味では、こっちの「うっかり」を含めて、便利でいいんだけれども不便ということになってしまう。
東宝シネマズ錦糸町オリナスの入口
実は、この日もそんなミスを犯してしまって、予定していた作品ではないものを見る羽目になってしまった。それでも、ぎりぎり「見てもいいか」という気にはなっていた作品なので観ることにした。それが『約束のネバーランド』(平川雄一郎・監督/後藤法子・脚本/白井カウイ・原作)だった。鬼退治じゃないけれども、いわば「現代版おとぎ話」的なホラー色を打ち出した、『週刊少年ジャンプ』に掲載されていたコミックの映画化である。脱獄ファンタジーという触れ込みである。
周囲を阻まれて下界と遮断された敷地内の学園生活。そこでは一見、孤児たちの楽園のように見えた学園生活だったが、実は鬼に献上するための人間養育牧場だったのだ。そして、一定に成長したところで”出荷”されて鬼の食肉となっていくというモノ。その秘密を知った子どもたちが、学園のママ(これが北川景子の怪演)や本部と戦って何とか脱出していこうというのが根幹のストーリーだ。
本部を仕切るグランドママに三田佳子、途中派遣された野望あるシスターの渡辺直美といったところが、それぞれの味を出していて、子どもたちだけの学園ドラマっぽいところにエッセンスと妙な毒を注いでいくのも面白い。鬼の最初の登場は、それはそれで衝撃的だった。その様相も、今の時代らしく、鬼というよりは怪獣(モンスター)だった。ゲテモノとは言わないけれども、そんな奇怪な見どころもあったかな(笑)、というところである。
最終的には脱出へのストーリー展開的には、ちょっと無理があるかなという印象は否めない。そうは思いつつも、アドベンチャーファンタジーということで言えば、それでもいいのかなとも思う。先への希望の光を感じさせるラストは、こういう作品の最終処理としては悪いものではないなぁという気にもなっていた。