『Wabi-Sabi わびさびを読み解く』(ビー・エヌ・エヌ新社 レナード・コーレン著)を読了しました。
アメリカ出身で作家・編集者であり日本に在住していた経歴を持つ著者が、まだ体系的に考察されたことのない“わびさび”について読み解こうと試みられた書の翻訳版です。
昨年開催された万博・アメリカ館の設計者も「わびさび文化にヒントを得た」と発言していますね。海外からもこのワードは大きな注目を集めているようです。
さて、本書は1994年に英語版として発行されてから20 年以上読み継がれているそうで、美的概念としての一般化、そして「Wabi-Sabi」の流行を生み出すきっかけとなっているとのこと。
「わびさび」とはよく耳にします。日本の美徳であり外国から見ると魅力となっているとも聞きます。しかし、わびさびと一言で言われても、それが何かと問われて明快に答えることのできる日本人は存在しないでしょう。
それは誰一人として一度も“知的”にわびさびについて学んでおらず、頭で覚えることを阻害してきたから…と著者は記しています。
本書では「わびさびとは」について、言語化するべくさまざまな角度からアプローチ。暫定的な定義として、大きく言えば人の“生き様”としているほか、英訳で最も近い意味として、素朴で飾り気がいないという意味の“Rustic”を挙げています。
そのうえで、西洋的な美的感覚としての“モダニズム”と比較。モダニズムの定義としては公の領域で表現され、論理的、合理的で絶対的かつ未来志向であり、テクノロジーを美化し、人工素材で管理が行き届き、潔癖で冷たく恒久的であるとしています。
それに対してわびさびは私的領域で表現され、直感の世界にあり、相対的かつ即今志向で自然を美化し、自然素材で劣化や消耗を受け入れ、腐食や汚れを受け入れ温かくあらゆるものに季節感がある、としています。
また、わびさびを総合的な美の体系として、無常で未完成であること。また偉大なるものは目につきにくいものや見落としやすい細部に存在していること。隠れていて確かではなく、儚く、凡俗の目に見わけがつかない。物質的貧しさと心の豊かさを表現し、執着を手放して肩肘を張らない生き方につながる…としています。
国内外のクリエイターをはじめ、多くの人々から注目を集めている、日本ならではの美的感覚であるわびさび。外国人でなければ考えつくことのない、“わびさびの言語化”という形で、その魅力を伝える興味深い書です。

