前回の公開から30年を経て3度目の映画化となった🎥『八つ墓村』(清水崇・監督/尾ケ井慎太郎、同・脚本)である。特に今回は、今の時代のホラー作品の旗頭とも言われている清水崇監督なので、どんな『八つ墓村』になるのかという興味はあった。そして尾上松也がどんな金田一耕助を見せてくれるのかという楽しみもあった。
ただ、映画としては、かなり評価の分かれる作品になっていたのかなとも思った。
前提としてどういう意識というか、心づもりでこの作品を観るのかということで、まったく受け止め方が違ってくるのではないかと思えた。というのも、横溝正史原作の推理小説「八つ墓村」を原作とした推理サスペンスという心算で観ていると、ちょっとはぐらかされるというか「何なんだ、これは(# ゚Д゚)❢!」ということになってしまうかもしれない。だけど、ホラー映画の名手が「八つ墓村」という小説をモチーフとしてホラーサスペンスを仕上げていったという趣で観ると、さすがにホラーサスペンスの味わいは十分にあった。
現代の設定で、なかなか就活が上手くいかない大学生のところに、突然、早くに生き別れることになった母親の訃報が入る。そのことで、自分のルーツを探っていくことになり、岡山県の山奥の集落というか八つ墓村を訪ねていくことなる。そして、そこで奇妙な体験をしながら、460年前の怨霊が子々孫々まで様々な形で引き継がれていることを知って、その怪奇なことに巻き込まれていくのだ。
そこで村を仕切る旧家に依頼されて調査を進めていた金田一耕助と出会い、やがて一緒に怪奇現象に遭遇しながら、それらの要因を解決していくということになる。そんなストーリーなので、さまざまな怪奇現象なども現れるのだけれども、それは、かつての横溝正史作品の映画化のモノとはちょっと、趣を異にした大ホラースベクタル映画と言ってもいいであろうか。言うならば「怪奇幻想ロマン冒険作品」ということになるのかなぁ。
ラストのクレジットが上がった後のワンシーンで、その後、就職が決まって、出勤していく主人公と一緒に横断歩道を渡る人の群れの中にも、ちょっとしたホラーサスペンス的な要素もあって、このあたりは、さすがに清水崇監督だなと思わせた。
そういう意味では、ホラー作品としては清水崇監督としては『犬鳴村』や『忌怪島』などにも劣らないホラー的要素は十分に味わえたと言ってもいいであろう。また、ともに一人二役の滝藤賢一や高島礼子の怪演も印象的ではあった。
それで、尾上松也の金田一耕助はどうだったのかというと、ボクとしては決して悪い印象ではなかった。むしろ1977年の野村芳太郎監督の松竹作品での『八つ墓村』の渥美清の金田一耕助よりはしっくり来たのかなとも思った。渥美清の場合は当時、既に寅さんのイメージが固定してしまってきていたので、どうしてもそういう先入観もあったのかもしれなかったからね。
それに、市村崑監督で多くの東宝作品で金田一耕助と言うと石坂浩二というイメージが定着していたが、そことも少し趣が違ったということでは、フレッシュではあったかなと思う。


